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柚子の種類は何種類あるのか、公の資料で名前が残る系統を数えた

Summary of this article
柚子の種類を、国の統計・GI登録簿・登録品種データベースなど公の資料だけで一覧にしました。品種登録されているのは平の香と鬼北の香里の2つです。木頭系・多田錦・公文系といった系統名の出どころ、本ゆず・花ゆず・獅子柚子の違い、産地名と品種名の関係を整理しています。

ゆずの苗木を選ぼうとすると、木頭系、海野系、山根系、多田錦といった名前が並びます。青果売り場では、そうした名前はどこにも書かれていません。同じ「ゆず」として並んでいるものに、なぜ売り手の側だけ細かい呼び名があるのか。この記事は、その呼び名がどこから来ていて、どこまでが公の資料で確かめられる話なのかを一本ずつたどったものです。

確かめに使ったのは、農林水産省の地理的表示(GI)登録簿、同省の登録品種データベース、同省が高知県について出している品種資料、農薬登録に使う作物分類、特産果樹生産動態等調査、高知県農業技術センター果樹試験場の公表資料、国立科学博物館 筑波実験植物園の植物図鑑、公益財団法人中央果実協会がまとめた在来品種の解説です。名前は流通しているのに公の資料に見あたらないものは、そう書きました。資料どうしで食い違っているところも、どちらかに寄せずにそのまま書いています。

ゆずがどこで採れるかはゆずの産地と収穫量にまとめてあります。こちらは、木そのものと実そのものの話です。

TOC

ゆずは、どこまでを「ゆず」と呼んでいるのか

この記事では、一般にゆずとして流通するものを本ゆずと呼びます。青果売り場で「ゆず」と書かれて並んでいるもの、ゆず果汁やゆずこしょうの原料になるものが、ここでいう本ゆずです。花ゆずや獅子柚子と区別するときに使う呼び方で、植物の種そのものの名前ではありません。

「ゆず」と呼ばれたり、ゆずの隣に置かれたりするものを、先にまとめておきます。

呼び名植物としての
位置
Size guideMain uses
本ゆず
(ゆず)
ユズ
Citrus junos
90〜120g
直径4〜7cm
果汁を搾る
皮を削る
花ゆず
(一才ゆず・常柚)
ハナユ
ユズとは別の種
50〜70g
(苗木業者の表示)
吸い物や
料理の香りづけ
獅子柚子
(鬼柚子)
行政の資料では
ゆず扱いでない
本ゆずより
はっきり大きい
ジャムや
砂糖漬け
すだち・かぼす
ゆこうなど
ユズと同じ
ユズ区の柑橘
25〜130g青いうちに
搾る

本ゆずの中がさらに木頭系や多田錦といった系統に分かれます。その中身は記事の後半で一本ずつ見ていきます。まずは本ゆずそのものの話からです。

ゆずはミカン科カンキツ属の常緑樹です。果汁を搾り、皮を削って使う柑橘であることは資料の間で食い違いがありませんが、学名の書き方や分類上の位置づけは、開く資料によって変わります。

学名の書き方は資料によって変わる

農林水産省が農薬登録に使う作物分類では、ゆずの学名はCitrus junosと書かれています。中央果実協会の在来品種解説も、田中長三郎の分類にもとづいてCitrus junos Sieb ex.Tanakaを採っています。一方、国立科学博物館の筑波実験植物園の図鑑は、同じユズをCitrus aurantium L. subsp. junos Makinoと記しています。ユズを独立した種とみるか、別の種の下に置くかで、書き方が分かれています。

さらに中央果実協会の解説は、スウィングルがユズを独立した種として認めず、イーチャンパペダと中国の栽培種のマンダリンが自然に交雑してできたものとみなしていたことも併記しています。「ゆずとは何か」は、植物学の側でも一本にまとまっていません。染色体数について、中央果実協会の解説は2n=18としています。

田中長三郎の分類では、ユズを置く亜区が資料で割れている

中央果実協会がスダチとカボスの解説で示している田中長三郎の分類では、カンキツ属はまず花序の有無で初生カンキツ亜属と後生カンキツ亜属に分かれ、前者が5区、後者が3区に分かれます。後生カンキツ亜属のひとつがユズ区で、11種が含まれます。

ユズ区はさらに3つの亜区に分かれます。スダチの解説では、原始ユズ亜区はイーチャンチーの1種のみ、真正ユズ亜区にスダチ、ユコウ、ユズ、ハナユ、モチユ、ナオシチ(タクマスダチ)、ヘンカミカン、イーチャンレモン、カボスが入り、擬ミカン亜区はコウライタチバナの1種のみとされています。カボスの解説も同じ書き方で、ユズを真正ユズ亜区に含めています。

ところが、同じ中央果実協会のユズの解説は、ユズを後生カンキツ亜属・ユズ区・原始ユズ亜区に分類すると書いています。発行元が同じでも、ユズをどちらの亜区に置くかは資料どうしで割れているということです。この記事ではどちらかに寄せず、割れていること自体を書いておきます。

いずれの書き方でも、ユズがユズ区に入ること、そして同じ亜区の柑橘がいずれも独特のユズ香を持つと書かれていることは変わりません。すだちやかぼすの香りがゆずと近いと感じられるのは、分類の上でも近い場所にいるからです。

果実は直径4〜7cm、皮は5〜6mmで、種は20〜30個入る

筑波実験植物園の図鑑は、ユズの花を直径3cmほどの白い花、果実を直径4〜7cmとしています。中央果実協会の解説はもう少し細かく、果実は扁球形で横径60〜65mm、縦径50mm程度、果実重は普通90〜120g、大果の系統で130g程度としています。果皮はやや厚く5〜6mmあり、鮮黄色ですが、12月まで樹上に置くと濃い黄色になります。

同じ解説によれば、ゆずの含核数は20〜30個、平均で26個です。種は厚みがあり、丸く大きい。果汁歩合は温州ミカンに比べてはるかに低く15〜20%とされています。100gの実から搾れる果汁は、見た目の大きさから想像するよりかなり少ないということです。この2つの数字は、このあと系統を見ていくときに何度も効いてきます。

種の多さと果汁の少なさは、そのまま加工現場の手間に直結します。だから「種のない系統」や「果汁の多い系統」が、産地ごとに探されてきました。

ゆずは、そのまま剥いて食べられるのか

資料で確かめられるのは、剥きにくさの程度までです。中央果実協会の解説は、果肉が軟弱で、果肉外周のじょうのう膜が薄いため剥皮はやや難である、と書いています。食べられないとは書かれていません。

しかも、この評価は系統によって動きます。品種登録されている「平の香」の登録簿では、剥皮の難易が「易」と記録されています。同じゆずでも、剥きやすさは一律ではないということです。

ただし、実際に流通しているゆずの使われ方は、果汁と皮に寄っています。中央果実協会が収穫の項で挙げている用途も、青果、貯蔵、加工、黄玉生果の4つで、加工用は果汁の酸味を使うものと果皮の香りと色を使うものに大別され、圧倒的に果汁用が多いとされています。温州ミカンのように房ごと食べるために作られている果実ではない、というあたりが実際に近いところです。

ゆずには、なぜ品種登録された品種がほとんどないのか

実生で増やしてきたので、産地ごとに系統が分かれた

中央果実協会の解説は、ゆずについて「古来実生繁殖されており、かなりの系統分離があるものと思われる」と書いています。種をまいて増やせば、親と同じ性質の木にはなりません。実の大きさも、トゲの多さも、実がつき始める年齢も、一本ずつ違う木ができます。

リンゴやナシのように、試験場が交配して名前をつけ、穂木を配って全国に同じ木を広げる、というやり方をゆずは通ってきませんでした。代わりに、各地の産地が自分の畑にある在来の木を見比べて、良いものから穂木を採る。その繰り返しで残ったまとまりが「系統」です。

国の統計では「ユズ(柚)」ひとつにまとめられている

農林水産省の令和5年産特産果樹生産動態等調査 Ⅱ 特産果樹生産出荷実績調査 表2-1 種類別栽培状況(全国)は、かんきつ類を品目ごとに集計しています。この表には96の品目名が立っていますが、ゆずは「ユズ(柚)」という一行だけです。木頭系も多田錦も花ゆずも、この統計の上では区別されません。

同じ表で、すだち、かぼす、ゆこう、だいだい、直七のように独立した行を持つ柑橘もあります。名前が統計の品目として立つかどうかは、その名前がどれだけ知られているかではなく、産地がその名前で出荷をまとめているかどうかで決まります。

品目名(統計の表記)栽培面積
(ha)
Main growing region
ユズ(柚)2,228.6高知・愛媛・徳島
Lemon797.5広島・愛媛・和歌山
カボス550.8大分・宮崎
スダチ371.1徳島・佐賀・高知
ダイダイ68.2静岡・和歌山・広島
田熊スダチ
(直七)
41.0高知
ユコウ23.9Tokushima
ブシュカン
(餅柚)
15.7高知
スダイダイ9.5山口
ヘツカダイダイ
(辺塚ダイダイ)
5.5Kagoshima
ナガトユズキチ
(長門ゆずきち)
5.1山口
カブス4.3Ehime

同じ調査から、ゆずと近い香酸柑橘の栽培面積を抜き出しました。この表にハナユ、シシユズ、タダニシキという品目はありません。

品種登録されたゆずは、数えるほどしかない

農林水産省の登録品種データベースには、種苗法にもとづいて登録された品種が並びます。ここからカンキツ属の登録を抜き出して名前を照合すると、市場に流通しているゆずの系統名のうち、データベースにそのまま載っているのは「平の香」と「鬼北の香里」の2つだけでした。木頭、海野、山根、多田錦という名前は、ここにありません。

登録がないことは、その系統が存在しないという意味ではありません。品種登録は、誰かが出願して初めて成立する制度です。古くからある在来の系統は、新しく育成されたものであることを求める登録の要件を満たしにくく、出願の入口に立ちにくい。ここで確かめられたのは、これらの名前が登録品種データベースに載っていない、という事実だけです。それ以上の理由を断定できる材料は、公の資料の側にありませんでした。

「系統」と「品種」は、同じ名前でも意味が違う

この記事では、登録品種データベースに名前がある2つを品種、それ以外を系統と呼び分けています。産地の資料や苗木のカタログでは、どちらも「品種」と書かれていることが多く、読む側からは区別がつきません。苗木を選ぶだけなら区別しなくても困りませんが、「この名前は誰が保証しているのか」を知りたいときには、この線引きが効いてきます。

資料の呼び方も、この記事の中でそろえてあります。地理的表示のほうは登録簿、種苗法のほうは登録品種データベースと書きます。別の制度で、決めていることも違います。

名前の裏が取れるゆずの系統と品種を並べる

ここからは、公の資料に名前が残っている系統と品種を一本ずつ見ていきます。出どころも一緒に書きました。特徴の欄は、その資料に書かれていることだけを写しています。

名前公の資料での
扱い
どこで
選ばれたか
記録されている特徴
木頭系GI「木頭ゆず」の
使用系統
徳島県那賀町
(旧木頭村)
登録簿に
個別記述なし
海野系GI「木頭ゆず」の
使用系統
徳島県那賀町登録簿に
個別記述なし
平の香登録品種
3705号
(権利は消滅)
徳島県那賀郡
木頭村
ゆずの偶発実生
果実140g程度
在来系GI「木頭ゆず」の
使用系統
徳島県那賀町在来ゆずそのもの
鬼北の香里登録品種
22391号
(権利存続中)
愛媛県鬼北町枝のとげが少ない
浮皮果が出ない
物部系品種登録審査の
対照品種
高知県香美市―
木頭6号品種登録審査の
対照品種
徳島県那賀町―
走川系品種登録審査の
対照品種
Tokushima Prefecture―
多田錦中央果実協会の
解説(無核種)
記録を
確認できず
種がない
山根・東地中央果実協会の
解説(早期結実種)
Tokushima Prefecture実がつき始めるのが
早い
古野・木頭7号
殿川・和田・椎本
中央果実協会の
解説(普通種)
Tokushima Prefecture―
公文系・永野系
清遠系
Ministry of Agriculture, Forestry and Fisheries
品種資料(高知県)
Kochi Prefecture一般品種として
記載

木頭系は那賀町の在来ゆずから半世紀かけて選ばれた

地理的表示に登録されている「木頭ゆず」の登録簿には、使ってよい系統がはっきり書かれています。生産地である那賀町内の在来ゆずを由来として選抜された系統、すなわち木頭系、海野系、平の香、在来系などです。産地の名前で売るために、どの木から穂木を採ってよいかまで決めてある、ということです。

選抜の基準も3つ明記されています。果実が大きく連年結果し豊作性であること。かいよう性コハン症の発生が少なく外観が美しいこと。果皮が厚く香気が高く果汁量が多いこと。味ではなく、まず外観と果皮と果汁が並んでいるのが、加工にも青果にも回る果実らしいところです。

登録簿は産地化の経緯も残しています。昭和35年に旧木頭村助地区の有志6名が青果を大阪中央市場に出したところ評価が高く、本格的な生産が始まりました。昭和36年からは苗木の生産にEfforts、大玉で外観の良い実のなる樹を母樹に指定して採穂した穂木で育苗を始めています。この育苗から生まれたのが木頭1〜7号です。

海野系と在来系も、同じ枠の中にある

海野系は、木頭ゆずの登録簿に木頭系と並んで書かれている系統です。名前の由来や選抜した人については、公の資料で確かめられませんでした。ウェブ上の記事には「高知県の海野村が発祥」と書いているものがありますが、登録簿は海野系を那賀町内の在来ゆず由来の系統として扱っており、食い違います。この記事では登録簿の書き方に従いました。

在来系は、特定の個体から選抜せずに那賀町内に昔からある木をそのまま指す枠です。

「平の香」は1993年に品種登録されたゆず

登録品種データベースを開くと、登録番号3705号として「平の香」(タイラノカオリ)が出てきます。出願は1991年8月27日、登録は1993年10月13日。品種登録者は徳島県那賀郡木頭村の平守行氏です。

育成者権について、データベースは存続期間を18年と記録し、消滅日を1999年10月14日としています。登録から18年であれば2011年まで続くはずですから、この消滅は期間の満了ではなく、期間の途中で権利が消えたということになります。「期間18年」という表示だけを見て、権利がいつまで生きていたかを読み違えないほうがいい箇所です。

データベースの特性欄には「この品種は、ゆずの偶発実生であり、果実が扁球、大きさが140g程度、果皮色が黄橙色で、育成地(徳島県那賀郡木頭村)において11月下旬に成熟するゆずである」と書かれています。偶発実生、つまり狙って交配したものではなく、実生の中から偶然出てきた木です。枝梢のとげは多く、隔年結果性は高いとも記録されています。

審査では「木頭6号」と「走川系」が対照品種に置かれ、果頂部の凹環が大きいこと、中心柱が大きいことで区別されました。木頭の産地に当時どんな系統が並んでいたかが、審査の記録の側から見えてくる箇所です。

「鬼北の香里」は今も育成者権が生きている

もうひとつの登録品種が「鬼北の香里」(キホクノカオリ)です。登録番号22391号、出願は2010年6月17日、登録は2013年3月14日。品種登録者は愛媛県北宇和郡鬼北町の影浦重美氏で、育成者権の存続期間は40年、消滅日は空欄のままです。今も権利が生きている、現役の登録品種ということになります。

特性欄で目を引くのは、枝梢のとげの多少が「少」と記録されていることです。審査では「平の香」と「物部系」が対照に置かれ、この2つと比べてとげが少ない点で区別性が認められました。ほかに、果実の形は扁球、果皮の色は黄橙、果皮の厚さはやや厚、香気の多少は多、種子数は多、浮皮果の発生は無と記録されています。

愛媛県鬼北町については、農林水産省のみどりの食料システム戦略の資料にも「地域で育成されたとげの少ないユズの有望品種への改植を進めている」という記述があります。とげの少なさが、産地の側でも改植を進める理由になっていることが読み取れます。

多田錦・山根・東地は、徳島県の調査で3つに分けられた

中央果実協会の解説は、徳島県での調査にもとづく音井格の分類として、ゆずの品種・系統を3つのグループに分けています。無核種が多田錦、早期結実種が山根と東地、普通種が古野、木頭6号、木頭7号、海野、走川、殿川、和田、椎本です。多田錦は、このうち唯一の無核種として挙げられています。

種がないぶん搾りやすく、実は本ゆずの中では小さいほうに入ります。苗木の販売資料では80g程度とされます。ただし、誰がいつどこで見つけた木なのかという来歴は、公の資料では確かめられませんでした。

同じ音井格の分類で早期結実種に置かれているのが山根と東地です。ゆずは実生から育てると実がつくまで長くかかる木です。早く実がつく系統に別枠が与えられているのは、その裏返しです。

山根系について、徳島県阿南市の山根氏が選抜したという説明をウェブ上でよく見かけますが、この来歴を公の資料で確かめることはできませんでした。系統名として徳島県の調査に出てくること、早期結実種に分類されていることまでが、確かめられた範囲です。

公文系・永野系・清遠系は高知県の一般品種として載っている

農林水産省が都道府県ごとに出している品種資料のうち、高知県で主に栽培されている品種をまとめた表があります。その果樹の欄に、ユズの一般品種として公文系、永野系、清遠系の3つが挙げられています。登録品種の欄は空欄です。掲載されているのは主な品種のみで、この3つ以外が流通している場合もあると資料自身が断っています。

徳島の系統名ばかりが知られているのは、GIと品種登録という制度の上に名前が残ったからで、収穫量では高知県が全国の半分を超えています。名前が知られている量と、実際に植わっている量は一致しません。

馬路村や北川村は、品種の名前ではない

ゆずを探していると、馬路村、北川村、木頭、物部といった名前に行き当たります。これらはすべて市町村や地区の名前で、品種名でも系統名でもありません。「馬路村という品種」を探しても、登録品種データベースにも品種資料にも出てきません。

産地名と系統名の関係は、3通りに分かれます。

  • 産地名がGIとして登録され、使ってよい系統まで決まっているもの(木頭ゆず、物部ゆず)
  • 産地名が系統名にそのまま使われたもの(木頭系、物部系)
  • 産地名として知られているが、そこで使われている系統名が公の資料からは読み取れないもの

高知県のユズについて品種資料が挙げているのは公文系、永野系、清遠系の3つですが、この資料は県単位のまとめで、どの市町村でどれを植えているかまでは書かれていません。産地名から系統名へは、そのままでは降りていけないということです。

逆に言えば、産地名が保証しているのは系統だけではありません。物部ゆずの登録簿は香美市の平均気温まで書いていますし、木頭ゆずの登録簿は那賀町の降水量まで書いています。産地名は、系統と土地の条件をひとまとめにした名前だと考えたほうが実際に近くなります。

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系統が違うと、手元で何が変わるのか

名前の違いが、買う人と植える人の手元で何になって現れるのかを整理します。

とげの多さは、収穫と外観に効く

物部ゆずの登録簿は「ゆずは、鋭いトゲを持ち果皮にキズがつきやすい」と書き、外観が重視される青果用のゆずは剪定や収穫などの栽培管理に手間がかかると続けています。とげは作業者を傷つけるだけでなく、果皮に傷をつける原因としても書かれている、ということです。

中央果実協会の栽培管理の項も、ゆずはトゲが多いので管理作業が大変だとして、樹間に0.5〜1mの空間を作って独立樹にすること、トゲをこまめに取り除いてトゲなしの樹の状態にすることを勧めています。とげが少ない系統が探されてきたのは、収穫の安全のためであり、同時に傷のない実を採るためです。

種の有無は、搾るときの手間を変える

本ゆずの含核数は、先に見たとおりです。これだけ入っている実を大量に搾るとき、種は搾汁の邪魔になります。無核の系統が別枠で扱われてきたのは、そのためです。一方で、種の少ない系統は実も小さくなりやすく、青果として並べたときの見栄えでは不利になります。どちらを取るかは、その産地が青果を売っているか果汁を売っているかで変わります。

種を取り除く手間を避けたいなら、無核種とされる多田錦が選択肢になります。ただし実は小ぶりで、青果として並べるより、搾って使う場面に向いた系統です。

皮の厚さは、どこを使うかで評価が反転する

木頭ゆずの選抜基準には「果皮が厚く香気が高く果汁量が多いこと」が入っています。皮を削って使う、あるいは皮を加工に回す産地にとって、厚い皮は歓迎される性質です。剥いて食べる柑橘なら欠点になるものが、ここでは基準の側に立っています。

鬼北の香里のデータベースにも、果皮の厚さはやや厚と記録されています。ゆずに求められているのが果肉ではないことが、品種の記述の端々に出ています。

青ゆずと黄ゆずは、同じ木から採った同じ実

色が変わっただけで、木も系統も同じ

売り場で青ゆずと黄ゆずが別のものとして並ぶので、別の品種だと思われがちですが、同じ木の実です。中央果実協会の解説は、果皮は鮮黄色だが12月まで樹上に置くと濃い黄色になる、と書いています。採る日を変えているだけで、品種も系統も変わりません。

使い道の側から見ると、青玉と黄玉では向く先が分かれます。中央果実協会は、加工用を果汁の酸味を利用するものと果皮の香りと色を利用するものに大別しています。青いうちに採る実が売り物になるのは、熟すのを待たなくても香りと酸味が使えるからです。

青玉を採る時期は、資料によって8月から10月まで幅がある

青玉をいつ採るかは、開く資料で前後します。

  • 高知県農業技術センター果樹試験場は、露地栽培での青玉の収穫を8〜9月頃、黄玉の収穫を11月頃としている
  • 中央果実協会は、青玉果としての出荷用の主な採収期間を9月下旬〜10月上旬としている

ひと月ほどずれています。中央果実協会は同じ項で、豊作年には摘果を兼ねてより早期から青玉果を採るべきだとも書いており、採る目的によって時期が動くことを前提にしています。産地と用途で前後する、と見ておくのが実際に近いところです。

黄玉は、皮の状態を見てから行き先が決まる

高知県農業技術センター果樹試験場の説明は「黄玉は果皮の状態により、搾汁用と青果販売用に分けられます」と続きます。木頭ゆずの登録簿も同じ考え方で、直径4cm以上でバラ傷・刺し傷のないものを青果として選果し、その基準を満たさないもののうち傷や病害虫の被害が著しくなく腐敗果でないものは加工用ゆずに回す、と決めています。

採る日と採ったあとの選別についてはゆずの時期と収穫の見極め方で細かく扱っています。

ゆずと取り違えられやすい柑橘を見分ける

「ゆず」と名のつく果実には、植物としてはゆずでないものが混じっています。逆に、名前が違っても分類の上ではすぐ隣にいるものもあります。

名前Size guide分類上の位置香りと味Main uses
本ゆず90〜120g
直径4〜7cm
ユズ区
亜区は資料で
割れる
特有の芳香
酸味が強い
皮を削る
果汁を搾る
花ゆず
(一才ゆず)
50〜70g
(苗木業者の表示)
ユズ区
ユズとは別の種
資料によって
評価が割れる
吸い物や
料理の香りづけ
獅子柚子
(鬼柚子)
本ゆずより
はっきり大きい
公の資料で
確認できず
公の資料で
確認できず
ジャムや
砂糖漬け
Sudachi25〜35g
(徳島1号)
ユズ区
真正ユズ亜区
さわやかな
香りと酸味
青いうちに
搾る
Kabosu80〜100g
(8〜9月の出荷期)
約130g
(大分1号・成熟期)
ユズ区
真正ユズ亜区
苦味はなく
独特の香気
青いうちに
搾る
ゆこう60〜200g
平均120g程度
ユズ区
真正ユズ亜区
ユズの風味を
持つ
果汁を搾る
加工に回す
Daidai200g程度
(カブス)
ダイダイ区
(ユズ区ではない)
果皮に
苦味がある
正月の飾り
マーマレード
Lemon―ユズ区の一覧に
名前がない
―果汁を搾る
皮を削る

かぼすの2つの数字は、測っている時期が違います。80〜100gは大分県カボス振興協議会が示す8〜9月の出荷期の値、約130gは中央果実協会が示す「大分1号」の成熟期の値です。本ゆずの90〜120gは成熟期の値なので、比べるときはどちらの段階の話かを見てください。

花ゆずは、本ゆずとは別の種として扱われる

国立科学博物館の筑波実験植物園の図鑑は、ハナユをCitrus hanayu Hort. ex Shiraiという独立した学名で載せ、「常緑のかんきつ類。ユズの近縁種。香りが強い。」と説明しています。ユズとは別の項目です。中央果実協会が示す田中長三郎の分類でも、ハナユはユズと並んでユズ区に置かれます。近いけれど同じではない、という位置です。

花ゆず、一才ゆず、常柚といった呼び方は、いずれも同じものを指して使われます。苗木の販売資料では50〜70gの果実を早くから着けるとされ、本ゆずよりはっきり小さい実です。早く実がつくことから、庭木として勧められることが多い木でもあります。

香りの評価は、資料によって食い違います。筑波実験植物園の図鑑はハナユを「香りが強い」と説明する一方、食品系のウェブ記事は本ゆずより控えめだと書くものが目立ちます。同じ名前で流通している木の中身がそろっていない可能性もあり、この記事ではどちらかに寄せずに併記しておきます。

なお、農林水産省の特産果樹生産動態等調査にハナユという品目はありません。産地としてまとまった出荷があるわけではなく、家庭や庭先の木として広がったものだと考えるのが自然です。

獅子柚子と鬼柚子は、資料の種類で書かれ方が変わる

獅子柚子はゆずではなくブンタンの仲間だ、という説明が広く流通しています。この件は、どの種類の資料を開くかで書かれ方が変わるので、資料ごとに分けて並べます。

図書館の調査記録。国立国会図書館のレファレンス協同データベースに、豊中市立図書館が残した事例があります。質問は「鬼柚子または別名を獅子柚子というらしいが、それを使ったレシピを探している」というもので、質問の時点で鬼柚子と獅子柚子を同じものとして扱っています。回答では、『食品図鑑』のブンタンの品種の中に「ジャガタラ柚(別名:獅子柚)」が載っていることが示されました。獅子柚子をブンタンの側に置く記載は、ここまでたどれます。

行政の資料。こちらでは、ゆずとしてもブンタンとしても扱われていません。

  • 農薬登録の作物分類で、ぶんたんの別名等の欄に挙がっているのは、ざぼん、ぼんたん、晩白柚、うちむらさきの4つで、獅子柚子も鬼柚子も入っていない
  • 特産果樹生産動態等調査に、シシユズやオニユズという品目はない
  • 登録品種データベースに、獅子柚子・鬼柚子として登録された品種はない

苗木業者のカタログ。鬼ゆずと獅子ゆずが別の商品として並び、どちらもブンタンが育たない寒冷地でも育つとされています。

図鑑と図書館の調査記録は、鬼柚子と獅子柚子を同じものとして扱っています。別のものとして扱っているのは、いまのところ業者のカタログの側です。資料としての重みは図書館の調査記録のほうにあるので、この記事では「同じものを指す呼び名が2つある」を基本線として書きました。ただし売り場では、同じ名前で別のものが並んでいる可能性がある、と構えておくのが安全です。

すだちはゆずより小さく、かぼすは採る時期で大きさが変わる

中央果実協会のスダチの解説によると、徳島県が奨励品種としてきた「徳島1号」の果実重は25〜35gです。本ゆずが90〜120gですから、すだちはゆずの3分の1前後ということになります。

かぼすは、どの段階で測るかで印象が変わります。大分県カボス振興協議会は、8〜9月の出荷期には80〜100gで収穫すると説明しています。一方、中央果実協会のカボスの解説では「大分1号」の成熟期の果実重が約130g、果皮の厚さは約5mmとされ、果肉に苦味はなく独特の香気を備えると書かれています。青果として出回る段階ではゆずよりやや小さく、木に置いて熟させるとゆずより大きくなる、というのが両方を並べたときの姿です。売り場で手に取るかぼすが小さく感じるのは、熟す前に採っているからです。

3つとも田中長三郎の分類ではユズ区に入り、同じ解説はこの区の柑橘がいずれも独特のユズ香を持つと書いています。青いうちに搾って使う点も共通しています。違いは大きさと、産地が青いまま出すか黄色くなるまで待つかという出荷の組み立て方にあります。産地はすだちが徳島県、かぼすが大分県にほぼ集中しており、令和5年産の特産果樹生産動態等調査でも同じ形で記録されています。

だいだいは、そもそも別の区に置かれている

中央果実協会のダイダイの解説では、ダイダイは初生カンキツ亜属のダイダイ区・ダイダイ近似亜区に分類されます。ゆずが入る後生カンキツ亜属のユズ区とは、分類の枝が根元から分かれています。名前も見た目も柑橘らしく似ていますが、すだちやかぼすよりずっと遠い相手です。

同じ解説によると、日本で一般に栽培されているのはカブス(臭橙)と呼ばれるタイプが多く、果実重は200g程度、果皮の厚さは6〜7mm、果皮には苦味があり、含核数は30粒程度あります。「だいだい(代々)」という名は、成熟しても落果しにくく、新旧の果実が同じ樹に並んで見られることから生まれたとされ、室町時代後期に普及した呼び名です。

鹿児島県の「辺塚だいだい」は、名前の上ではだいだいですが、GI登録簿がダイダイと混同されがちだとわざわざ断ったうえで、果実や樹の特性がまったく異なる別の品種だと書いています。ダイダイより小ぶりで皮が薄く滑らかで、ダイダイが酸味が強く苦みがあるのに対して酸味がさわやかだ、とも記されています。

レモンは、ユズ区の一覧に名前がない

農林水産省が農薬登録に使う作物分類では、ゆずの学名はCitrus junos、レモンはCitrus limonです。別の種として扱われています。

中央果実協会のスダチの解説は、田中長三郎の分類でユズ区に含まれる11種を亜区ごとに全部書き出しています。その一覧にレモンの名前はありません。よく似た名前のイーチャンレモンは入っていますが、これはレモンとは別の柑橘です。ただし、田中分類でレモンがどの区に置かれるかについては、今回開いた資料の中に記載を見つけられませんでした。ユズ区に入らないことまでが、確かめられた範囲です。

どちらも果汁を搾り、皮を削って使う柑橘ですが、香りの出方は別のものです。分類が離れているからこう違う、と言い切れるだけの記述は資料の側にありません。

レモンは令和5年産の栽培面積が797.5ヘクタールで、主な産地は広島県、愛媛県、和歌山県です。広島と愛媛は瀬戸内ですが、和歌山は紀伊半島の側で、島しょ部に限った作物ではありません。ゆずが山あいの冷涼な土地に集まっているのとは、産地の並び方が違います。

ゆこう・直七・ブシュカンは、産地の中に残っている

ゆこうは、中央果実協会の解説では学名Citrus yuko hort. ex Tanaka、田中長三郎の分類でユズ区に入る柑橘です。果実重は60〜200gと幅があり平均120g程度、果皮の厚さは約4mmとされます。令和5年産の栽培面積は23.9ヘクタールで、収穫量のほとんどが徳島県のものです。

直七は、高知県農業技術センター果樹試験場の説明によれば、魚商人の直七という人が売り歩いたことからこう呼ばれるようになったとされ、広島県尾道市(旧因島市田熊)ではスダチと呼ばれていたため、田中長三郎によって「田熊スダチ」とも命名されました。ユズのような強い香りはなく、まろやかな酸味が特徴だと書かれています。

ブシュカン(モチユ)について、同じ果樹試験場は「仏手柑」という漢字を当てるのは間違いだと注意を促しています。仏手柑(ブッシュカン)は別の柑橘です。完全に着色すると橙色になり、高知では青い果実を新子の刺身の薬味として使うとされています。

産地の名前で売られるゆずは、何が決まっているのか

木頭ゆず、物部ゆずといった産地名は、単なる呼び名ではなく、地理的表示(GI)として国に登録されたものがあります。登録されていると何が決まっているのかを見ておきます。

Name登録番号登録年月日生産地現在の状態
木頭ゆず第42号平成29年
9月15日
Tokushima Prefecture
那賀郡那賀町
登録中
辺塚だいだい第57号平成29年
12月15日
鹿児島県肝付町
南大隅町
登録中
物部ゆず第96号令和2年
6月29日
高知県香美市登録中
徳島すだち第129号令和5年
3月31日
Tokushima Prefecture登録中
大分かぼす第33号平成29年
5月26日
Oita Prefecture令和8年3月11日
登録を消除

木頭ゆずは、使ってよい系統まで決まっている

木頭ゆずの登録簿は、品種の欄に那賀町内の在来ゆずを由来とする選抜系統(木頭系、海野系、平の香、在来系等)と書き、栽培方法の欄でも同じ系統を使うことを求めています。出荷規格は直径4cm以上でバラ傷・刺し傷のないもの、最終製品の形態は青果です。

ここで注意したいのは、登録簿が品質を書いているのは「木頭ゆず」という総称についてであって、系統ごとではないという点です。登録簿は「木頭ゆず」を那賀町内で生産されたゆずの総称だと定義したうえで、果実が大玉で玉揃いがよく、果皮が厚く、コハン症の発生が少ないことから外観が美しく色や香りの良い高品質なゆずである、と書いています。木頭系という個別の系統について、このように書かれた箇所はありません。「木頭系は大玉で果皮が厚い」という書き方をしている資料を見かけたら、それは総称の説明を系統の説明に読み替えたものです。

産地の条件も記載されています。那賀町は標高1,000メートル以上の山々に囲まれ、地域の9割以上が森林の中山間地域で、冷涼で昼夜の寒暖差が大きく降水量が多い。とくに夏期(7〜9月)の降水量は徳島市の2.5倍を超えます。登録簿は、県内の気温が高い地域では果実の着色が進むと黄色から橙色になるのに対し、那賀町では鮮やかな色合いになる、と説明しています。

物部ゆずは、青果に振り切った産地として登録された

高知県香美市の物部ゆずは、キズが少なく外観が美しい、棚持ちの良い青果用に特化したゆずとして登録されています。登録簿には、平成29年の全国ゆず出荷量のうち青果として出荷されるゆずは18%だが、物部ゆずは青果出荷が69%を占める、と書かれています。

同じ登録簿は、ゆずの生産には平均気温12〜15℃で他のカンキツに比べやや冷涼なところがよく、乾燥の激しい土壌は好ましくないという記述を引き、香美市の平均気温が14.9℃であることを挙げています。産地名が保証しているのは、系統だけでなく、その土地の気温と降水量でもあります。

大分かぼすのGI登録は、2026年に消除された

大分かぼすは、登録番号第33号として地理的表示に登録されていました。ところが、登録生産者団体から登録失効の届出があり、令和8年1月31日に生産行程管理業務廃止を理由として失効、令和8年3月11日付で登録が消除されました。農林水産省の「登録の消除の公示」に残っています。

GIは一度登録されたら永久に続くものではありません。産地名で売られている柑橘について「GI登録されている」と書いてある資料を見かけたら、公示の日付まで確かめたほうが確実です。

使い道から、ゆずの系統を選び直す

皮を削るのか果汁を搾るのかで、見る場所が変わる

皮を削って香りを使うなら、削る面積が取れる大玉のほうが手数は少なくて済みます。木頭ゆずの選抜基準に果皮の厚さが入っているのも、皮を使うことを前提にしているからです。表面に黒ずみや傷があるものは、削れる部分がそのぶん減ります。

青果として並んでいるゆずは、木頭ゆずなら直径4cm以上という規格を通ってきたものです。青果売り場にあるという時点で、ある程度の選別をくぐっていることになります。ゆず皮の使い道.

搾るほうを選ぶなら、先に見た含核数と果汁歩合が効いてきます。家庭で数個搾るぶんには気になりませんが、量をまとめて搾るなら種の処理が作業時間を決めます。無核の系統が別枠で扱われてきた理由は、ここにあります。

青玉と黄玉のどちらを買うかは、用途で決まります。中央果実協会が加工用を分けている通り、果汁の酸味を使う場面と、果皮の香りと色を使う場面では、求めるものが違います。搾るのか削るのかを先に決めたほうが迷いません。

庭に植えるなら、とげと実がつくまでの年数を見る

実生から育てたゆずは実がつくまで長くかかります。接ぎ木の苗、とくにカラタチ台の苗を選べばその期間は縮まります。中央果実協会の栽培管理の項は、苗は1〜3年生を用いること、大苗のほうが結実期までの期間を短縮できること、ただしトゲが多いので大苗の定植は他のカンキツに比べて大変であることを書いています。樹高は3m程度に抑えるのが目安です。

とげの少ない系統や早く実がつく系統に別枠があるのは、庭先や小規模な畑での扱いやすさに直結するからです。花ゆずが庭木として勧められるのも、実が早くつく性質によります。

もうひとつ、ゆずは隔年結果性が強い木です。たくさん採れた翌年は少なくなります。中央果実協会は摘果の程度を100葉に1果程度とし、豊作年には摘果を兼ねて青玉を早めに採ることを勧めています。

乾燥させて粉にすると、通年で使えるようになる

ゆずは採れる時期が限られる果実です。青玉は夏から秋、黄玉は11月ごろに集まります。使いきれない量を持ったときに、皮と果汁に分けて残すのが基本ですが、皮を乾かして粉にするという手もあります。

当社では、国産の野菜や果物を温風で乾燥させ、100メッシュ相当まで粉砕するContract processingを行っています。10g以上の小袋への充填にも対応しています。乾燥品の賞味期限は、出荷日から6か月程度が目安です。

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国産のゆずを乾燥・粉砕してお出ししています。カット形状や粒度の指定、継続してのお取引もご相談ください。規格は Dried yuzu・yuzu powder に掲載しています。

少量でのご購入は、姉妹ブランドの通販サイト OYAOYA で承っています。徳島県産の柚子パウダー(細かめ)と、皮ごと粗挽きにした粗目タイプの2種類があります。

FAQ

ゆずの種類はいくつありますか

公の資料で名前を確かめられる系統・品種は、この記事で数えた範囲で19です。内訳は、GI「木頭ゆず」の登録簿にある木頭系・海野系・平の香・在来系、登録品種データベースにある平の香・鬼北の香里、品種登録審査の対照品種として出てくる物部系・木頭6号・走川系、中央果実協会の解説にある多田錦・山根・東地・古野・木頭7号・殿川・和田・椎本、農林水産省の品種資料が高知県の一般品種として挙げる公文系・永野系・清遠系です。国の特産果樹生産動態等調査では、これらはすべて「ユズ(柚)」という1つの品目にまとめられており、種類ごとの統計はありません。

木頭ゆずと多田錦は何が違いますか

木頭ゆずは、徳島県那賀町内で生産されたゆずの総称で、地理的表示(GI)に登録されています。登録簿では木頭系、海野系、平の香、在来系などを使うことが決められ、総称としての木頭ゆずの品質が、大玉で玉揃いがよく果皮が厚いことと書かれています。これは総称についての記述で、木頭系という個別の系統の特性としては書かれていません。多田錦は、中央果実協会の解説で唯一の無核種として挙げられている系統で、種がなく、実は本ゆずの中では小さいほうに入ります。

ゆずはそのまま剥いて食べられますか

剥いて食べられないわけではありませんが、剥きやすい柑橘ではありません。中央果実協会の解説は、果肉が軟弱で果肉外周のじょうのう膜が薄いため「剥皮はやや難」だとしています。ただし系統によって差があり、品種登録された「平の香」の記録では剥皮の難易が「易」とされています。実際の流通では、果汁を搾るか皮を削るかに用途が寄っており、加工用は果汁の酸味を使うものと果皮の香りと色を使うものに大別され、果汁用が圧倒的に多いとされています。

花ゆずと本ゆずは同じものですか

別のものです。国立科学博物館 筑波実験植物園の植物図鑑では、ハナユはCitrus hanayu Hort. ex Shiraiという独立した学名で、ユズの近縁種として載っています。田中長三郎の分類でも、ハナユとユズは同じユズ区に並ぶ別の種です。花ゆずは一才ゆず、常柚とも呼ばれ、苗木の販売資料では50〜70gとされ、本ゆずよりはっきり小さい実をつけます。

獅子柚子や鬼柚子はゆずの仲間ですか

行政の資料の上では、ゆずとして扱われていません。特産果樹生産動態等調査にシシユズやオニユズという品目はなく、登録品種データベースにも登録はありません。一方、国立国会図書館のレファレンス協同データベースに豊中市立図書館が残した調査記録では、質問者が鬼柚子と獅子柚子を同じものとして尋ねており、回答では『食品図鑑』のブンタンの品種の中に「ジャガタラ柚(別名:獅子柚)」が載っていることが示されています。ただし農薬登録の作物分類では、ぶんたんの別名等の欄はざぼん・ぼんたん・晩白柚・うちむらさきの4つで、獅子柚子は入っていません。

種のないゆずはありますか

あります。中央果実協会の解説が徳島県の調査にもとづいて示している分類では、多田錦が無核種として挙げられています。ゆずは含核数が20〜30個、平均26個ある果実なので、量をまとめて搾るときに種の処理が作業時間を左右します。無核の系統が別枠で扱われてきたのは、そのためです。一方で、種の少ない系統は実が小さくなりやすく、青果としての見栄えでは不利になります。

青ゆずと黄ゆずは別の品種ですか

同じ木から採った同じ実で、採る日が違うだけです。ただし採る時期は資料によって幅があり、高知県農業技術センター果樹試験場は露地栽培での青玉の収穫を8〜9月頃、黄玉の収穫を11月頃としているのに対し、中央果実協会は青玉果としての出荷用の主な採収期間を9月下旬〜10月上旬としています。産地と用途で前後すると見ておくのが実際に近いところです。黄玉は果皮の状態によって、搾汁用と青果販売用に分けられます。

馬路村や北川村はゆずの品種名ですか

品種名ではありません。いずれも高知県の市町村の名前です。登録品種データベースにも、農林水産省の品種資料にも、これらの名前の品種は載っていません。同省の品種資料が高知県のユズの一般品種として挙げているのは、公文系、永野系、清遠系の3つです。産地名のうち地理的表示に登録されているのは木頭ゆず(徳島県那賀町)と物部ゆず(高知県香美市)で、これらの登録簿には使ってよい系統や産地の気象条件まで書かれています。

庭に植えるならどのゆずが向いていますか

とげの少なさと、実がつき始めるまでの年数が選ぶ目安になります。登録品種データベースには「鬼北の香里」の枝梢のとげの多少が「少」と記録されており、愛媛県鬼北町ではとげの少ないゆずへの改植が進められています。早く実をつけたい場合は、早期結実種とされる山根や東地、あるいは花ゆずが選ばれます。中央果実協会の栽培管理の項は、カラタチ台の苗を使い、樹高を3m程度に抑えることを勧めています。

Summary

ゆずは、種をまいて増やしてきた歴史が長いぶん、産地ごとに系統が分かれた果実です。そのため、名前の数だけ公の裏づけがあるわけではありません。この記事で確かめられた範囲を整理しておきます。

  • 国の統計では、ゆずは「ユズ(柚)」という1品目にまとめられている
  • 品種登録されたゆずは「平の香」と「鬼北の香里」の2つで、鬼北の香里は今も育成者権が生きている
  • 木頭系・海野系・平の香・在来系は、GI「木頭ゆず」の登録簿に使用できる系統として書かれている
  • 登録簿が大玉・玉揃い・厚い果皮と書いているのは「木頭ゆず」という総称の品質で、木頭系という個別系統の特性ではない
  • 多田錦・山根・東地などは、徳島県の調査にもとづく分類として中央果実協会の解説に残っている
  • 高知県については、農林水産省の品種資料が公文系・永野系・清遠系を一般品種として挙げている
  • 馬路村や北川村といった名前は市町村名で、品種名でも系統名でもない
  • 田中長三郎の分類でユズをどの亜区に置くかは、同じ発行元の資料の中でも割れている
  • 花ゆずは学名の異なる別の種で、本ゆずより小さい
  • 獅子柚子と鬼柚子は、行政の資料の上ではゆずとして扱われていない
  • だいだいは、ゆずが入るユズ区ではなくダイダイ区に分類される

系統名は、産地がどんな実を残そうとしてきたかの記録でもあります。大きさ、とげ、種、皮の厚さ。そのどれを優先したかが、名前の裏に残っています。

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Author of this article

小島 怜's avatar Rei Kojima Agriture CEO

CEO of Agriture Inc. Runs a contract processing and OEM business centered on dried vegetables and dried fruit. In partnership with farmers within Kyoto Prefecture, he pursues “sustainable food distribution” through the use of non-standard vegetables and support for sixth-industrialization. Drawing on extensive hands-on experience at manufacturing sites, he provides support that walks alongside every business considering OEM—from product planning and prototyping to small-lot handling, packaging design, and sales-channel development.

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