健康経営の食事施策、うちの人数だと結局いくらかかるのか
「健康経営で食事に取り組むことになった」と言われて最初に困るのは、選択肢が多すぎることです。社員食堂、宅配弁当、食事補助チケット、オフィスおやつ、冷蔵庫を置く設置型。どれも「健康経営に使えます」と書かれていますが、どれが自社で成立するのかは書かれていません。
弊社(株式会社Agriture)は、オフィスに国産乾燥野菜を置くOffice Yaoya (office greengrocer)を運営しています。導入のご相談で圧倒的に多い質問は、制度の話ではありません。「うちの人数で、月いくらになるのか」です。
この記事は、その質問にまっすぐ答えるために書きました。施策を6種類に整理し、人数と予算で並べ直しています。あわせて、導入したのに使われなくなる施策の共通点、総務が決裁前に気にしていること、税務上の落とし穴までを扱います。
調査票の設問の読み方や申請書の書き方は、この記事では扱いません。申請の段階に入っている方は、記事の最後にある実務マニュアルへ進んでください。
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食事の福利厚生は、どれを選んでも同じではない
社員食堂を新設する話と、給湯室に箱をひとつ置く話が、同じ「食事施策」という言葉でひとくくりにされています。かかる金額は100倍以上違いますし、やめたくなったときの手間も違います。まずここを分けないと、比較が成立しません。
実際の相談で判断材料になっているのは、次の3つです。
- 一食あたり、社員がいくら払うか。ここが高いと、制度があっても使われません
- 会社が毎月いくら負担するか。人数×単価で効いてくるので、規模で結論が変わります
- やめたいときにやめられるか。ここを軽く見ると、あとで動けなくなります
3つ目は見落とされがちです。冷蔵庫や什器を設置するタイプは、入れるときより出すときのほうが面倒になります。設置工事をして、置き場所を確保して、社内に告知して始めたものを、1年で撤去する判断は通りにくい。逆に、置くだけで始められて、発注を止めれば終わるものは、試す判断が軽くなります。
健康経営の文脈では「何を導入したか」より「続いているか」が問われます。続けられる形かどうかを、金額と同じ重さで見てください。
会社が使える食事施策は6種類ある
細かく数えればきりがありませんが、運用の形で分けると6つに収まります。それぞれ、成立する条件がはっきり違います。
1. 社員食堂
もっとも手厚い形です。栄養バランスを設計でき、社員同士が顔を合わせる場にもなります。一方で、厨房設備と運営委託が前提になるため、一定の食数が出る拠点でないと成立しません。
1拠点あたりの人数が少ない会社、複数の小さな拠点に分かれている会社では、そもそも選択肢に入りません。すでに社食がある会社がメニューを見直すのは有効ですが、これから作る前提で検討するのは、ごく限られた規模の会社に限られます。
2. 設置型社食(冷蔵・冷凍)
冷蔵庫や冷凍庫をオフィスに置き、惣菜や冷凍弁当を補充してもらう形です。厨房が要らないぶん、社食よりはるかに導入しやすくなりました。ここ数年でいちばん増えたタイプです。
ネックは2つあります。ひとつは設置そのもののコストと手間。もうひとつは、賞味期限が短い商材を扱うため、売れ残りの扱いが発生することです。廃棄が出ると「うちには合わなかった」という空気になりやすく、続けるかどうかの判断が早く来ます。
3. 宅配弁当・仕出し
一食あたりの金額で見ると、実はこれがかなり優秀です。まとまった数を事前に契約するため、単価を抑えられます。社員にとっても、注文すれば昼に届くという分かりやすさがあります。
成立条件は事前契約です。前日までに数を確定する運用が多く、出社人数が読めない会社、外出が多い部署が中心の会社では回りません。出社が固定されている会社なら、まずこれを検討する価値があります。
4. 食事補助チケット
加盟している飲食店やコンビニで使える電子チケットを配る形です。会社側は現物を扱わないので、事務の手間はいちばん軽くなります。リモートと出社が混ざる会社とも相性がいい。
ただし、近くに加盟店があるかどうかで価値が決まります。工場や郊外の事業所、地方拠点では、配ったのに使える店がないという事態が起きます。導入前に、拠点ごとの加盟店を地図で確認してください。もうひとつ、後述する税務の要件を外すと給与課税になるタイプでもあります。
5. オフィスおやつ・ドリンク
お菓子や飲料を置き、社員が都度買う形です。導入のハードルはとても低く、満足度も出やすい。ただ、健康経営の文脈で「食事の改善」として説明するには弱くなります。何を置くかによって、意味づけが変わってきます。
置く商材ごとの違いはオフィスおやつサービスの比較.
6. 常温設置型(乾燥野菜など)
常温で保存できるものを箱で置き、社員が使う形です。弊社のオフィス八百屋はここに入ります。冷蔵設備が要らないため設置が最も軽く、日持ちするので廃棄が出ません。
他の5つと性格が違うのは、料理そのものを提供しない点です。持ってきたカップ麺やインスタント味噌汁に足して使うため、「その料理を食べる」のではなく「いつもの昼食に野菜が足される」という形になります。この違いは後半で詳しく書きます。
裏を返せば、限界もはっきりしています。お湯が出る環境がないと使えません。そして、これ単体では昼食になりません。主食は各自が持ってくる前提です。「会社が昼食を用意する」という形にしたいなら、この種類は外れます。
| Type | 設置の手間 | 廃棄の心配 | やめやすさ | 成立しない条件 |
|---|---|---|---|---|
| Operations outsourcing, inventory management | 非常に重い | Yes | Low | 1拠点の食数が少ない |
| 設置型社食 | Heavy | Yes | やや低い | 設置スペースがない |
| Delivered bento | Light | 注文数次第 | High | 出社人数が読めない |
| Meal-subsidy tickets | Very light | None | High | 近くに加盟店がない |
| オフィスおやつ | Light | 商材次第 | High | 食事の改善として説明したい |
| 常温設置型 | Very light | None | High | お湯が出ない/昼食そのものを用意したい |
人数と予算で並べると、選べるものは絞られる
ここがこの記事の本題です。6種類あると書きましたが、自社の人数に当てはめると、現実的に残るのは2つか3つです。
先に、社員側の金銭感覚を確認しておきます。ここを外すと、いくら会社が補助しても使われません。以下は統計ではなく、弊社が導入先や商談で聞いてきた範囲での相場観, contained in burdock and cocoa.
| 社員が昼に払う金額 | 受け止められ方 |
|---|---|
| 外でランチ 1,000〜1,500円 | これ以下に抑えたいという基準になっている |
| カップ麺200〜300円+野菜100円=400円 | まだお得と感じてもらえる |
| 弁当で500円 | 安いと感じる |
| 副菜・単品で500円 | 少し割高に感じる |
同じ500円でも、主食として500円なら安く、副菜として500円なら高い。この線引きが、施策が使われるかどうかを分けています。単品で置くものは、400円を超えたあたりから利用率が落ちると見ておいたほうが安全です。
10名と100名では、残るものが違う
弊社への相談のなかで見聞きしてきた他社見積もりの範囲です。条件で動くので、そのまま見積もりになる数字ではありません。判断の順番を決めるための目安として使ってください。
| 人数 | 現実的に残る選択肢 | Initial cost | 会社の月額負担の目安 | つまずくところ |
|---|---|---|---|---|
| 〜10名 | 常温設置型/おやつ | Almost none needed | 数千円〜2万円 | 最低ロットで断られることがある |
| 10〜20名 | 常温設置型/チケット | Almost none needed | 10,000 to 50,000 yen | チケットは人数が少ないと手数料が割高 |
| 20〜50名 | 常温設置型/チケット/宅配弁当 | Almost none needed | 1〜10万円 | 設置型は月額固定費が重く感じる |
| 50〜100名 | 設置型社食/チケット/常温設置型 | 冷蔵設備を入れるなら発生 | 5〜25万円 | 拠点が分かれると一気に複雑になる |
| 100〜300名 | 設置型社食/チケット/宅配弁当 | 什器・設置工事 | 15〜60万円 | 部署ごとに出社率が違い、不公平感が出る |
| 300名〜 | 社員食堂の見直し+併用 | 拠点ごとに大きく変わる | 拠点ごとに設計 | 本社以外の拠点が置き去りになる |
初期費用の列を分けたのは、ここが月額より効くことがあるためです。冷蔵設備や什器が要る形は、初年度だけ負担が跳ね上がります。月額だけで比べると判断を誤ります。
この表で伝えたいのは金額そのものより、人数が増えるほど「一律で配る」形が難しくなるということです。50名を超えたあたりから、出社率の差、拠点の差、部署の差が表面化します。全員に同じものを届けようとすると、どこかに不満が残ります。
逆に、10名前後の会社では別の壁があります。多くのサービスが最低利用人数や最低発注金額を設けているため、そもそも申し込めないことがある。ここは事前に確認してください。弊社の場合は1ボックスが約30袋(30回分)なので、この単位で入れられます。少人数の会社や、ときには個人で経営されている会社にも導入いただいています。
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予算1万円・5万円・10万円で何ができるか
人数から入る見方をもうひとつの角度から見ます。先に予算が決まっているケースも多いためです。「今年は月◯万円まで」と言われたとき、その金額で何が成立するかを並べておきます。
月1万円まで
会社が全員分を負担する形は、この予算では成立しません。社員が自分で払う前提にして、会社は場所と仕組みだけを用意する形にしてください。置き型で、社員が都度キャッシュレスで支払う形なら、会社の持ち出しはほぼ発生しません。
この予算帯で無理に会社負担にすると、一人あたりの補助が月数百円になり、社員から見て「あってもなくても同じ」になります。金額を薄く広げるより、会社が負担しない代わりに、職場でしか買えないものを置くほうが満足度が出ます。
では1万円は何に使うのか。送料と、最初のサンプル代と、置き場所を整える程度です。什器を買う必要がない形を選べば、この帯は予算をほとんど使わない設計で回ります。
月5万円まで
ここから会社負担の設計ができるようになります。ただし、全員に毎日となると人数の壁があります。30名の会社で月5万円なら、一人あたり月1,600円ほど。1回あたり50円の半額補助にすれば月32回分、100円補助なら16回分です。全員が毎日使う想定では足りず、週1回前後が現実的な線になります。
使い方は2通りあります。ひとつは半額補助にして回数を増やす形。もうひとつは特定の曜日だけ手厚くする形です。後者は「水曜は会社が出す」と決めるだけで社内に伝わりやすく、利用率も読みやすくなります。
ここで注意したいのが税務です。会社が全額を出すと、本人負担がゼロになり給与課税の対象になります。半額補助にしておくと、この論点を踏まずに済みます。詳しくは後半の税務の項に書きました。
月10万円まで
拠点差を埋める使い方ができる帯です。本社にはチケット、人数の少ない拠点には置き型、といった組み合わせが取れます。
この規模になると、全社一律にこだわらないほうが満足度が上がります。同じ金額を全員に配るより、使えるものが何もない拠点をなくすことに使ったほうが、社内の不満は減ります。
月10万円を超えるなら
設置型社食やチケットの全社導入が選択肢に入ってきます。月額固定費のあるサービスも、この帯なら吸収できます。
気をつけたいのは、固定費の比率です。月額固定費が予算の半分を超えると、社員が実際に口にする分に回る金額が少なくなります。見積もりを見るときは、総額ではなく「固定費と変動費の内訳」を出してもらってください。ここを聞くと、サービスごとの性格がはっきり分かれます。
| 月の予算 | 成立する形 | 設計のこつ |
|---|---|---|
| 〜1万円 | 社員負担の置き型 | 会社は場所と仕組みだけ出す |
| 〜5万円 | 置き型の半額補助/曜日を絞った補助 | 薄く広げず、日を決めて手厚く |
| 〜10万円 | 置き型+チケットの併用 | 拠点差を埋める使い方をする |
| 10万円〜 | 設置型社食/チケット全社導入 | 固定費と変動費の内訳を必ず確認する |
社食もチケットも使えない会社はどうするか
比較記事の多くは、社食かチケットか、という前提で書かれています。ところが弊社が相談を受ける会社では、体感で半数近くがそのどちらも使えません。
- 1拠点の人数が少ない。社食も設置型社食も、食数が出ないと成立しない
- 周辺に加盟店がない。工場、郊外の事業所、地方拠点ではチケットが機能しない
- 出社人数が日によって変わる。事前契約型の宅配弁当が回らない
- 置くスペースがない。冷蔵庫や什器を入れる場所が確保できない
この4つのどれかに当てはまると、残るのは「常温で置けて、使う人だけが使う」形になります。使わなかった分が無駄にならないため、出社率が読めない会社でも成立します。
高層階だと、下に降りるのが面倒になる
意外な導入理由として多いのが、フロアの高さです。
ビルの高層階で働いていると、1階にコンビニがあっても、わざわざエレベーターで降りて並んで戻ってくるのが面倒になります。結果、朝に買ってきたカップ麺やおにぎりで済ませる日が増える。ここに足せるものがフロア内にあるかどうかで、昼食の中身が変わります。
この層に効くのは、外に買いに行かせる仕組みではなく、すでに手元にある食事に足せる仕組みです。
出社していない社員から不公平だと言われる
オフィスに置く形の弱点は、出社していない人が使えないことです。ここを放置すると、リモート中心の社員から不公平だという声が出ます。
解き方は2つあります。
- 出社した日の特典として位置づける。全員に等しく配るものではなく、出社したときに使えるものだと最初に説明しておく。出社を促す施策として説明すれば、筋が通ります
- 在宅の社員には別の形で渡す。自宅に送れるものなら、年に数回まとめて送る形にできます
2つ目をやるなら、常温で送れて、冷蔵便にならないものである必要があります。送料が上がると、この形は一気に成立しなくなります。乾燥野菜のように常温で送れるものは、この使い方に向いています。
どちらにしても、先に説明しておくことが肝心です。「出社した人だけが得をしている」という受け取られ方は、あとから訂正しにくくなります。
導入したのに使われなくなる施策には共通点がある
健康経営の食事施策でいちばんもったいないのは、導入したのに1年で使われなくなることです。予算は消化され、社内の期待も一度上がっているので、次の提案が通りにくくなります。
使われなくなる施策には、はっきりした共通点があります。
最初のインパクトが強いものほど、飽きが早い
導入直後は物珍しさで利用率が跳ね上がります。この数字を見て「成功した」と判断すると、半年後に落ち込んだときの説明ができません。毎日使うものは、必ず飽きます。判断するなら、3か月目以降の数字を見てください。
単価が高いと、そもそも手が伸びない
前述の400円・500円の線引きがここに効いてきます。社員が自腹で払う金額が近所のコンビニと変わらないなら、わざわざ社内で買う理由がありません。会社が補助して初めて成立する価格帯なのか、補助なしでも選ばれる価格帯なのかは、最初に見極めておく必要があります。
新しいサービスが次々に出てくる
オフィス向けの食事サービスは参入が多い分野です。目新しいものが定期的に登場するため、社内から「あっちのほうが良さそう」という声が出ます。使われなくなっていくこと自体は、この分野では一般的な現象だと考えたほうがいい。
だからこそ、乗り換えやすい形で始めるほうが結果的に長く続きます。撤退コストが低ければ、合わなかったときに次を試せる。設備を入れてしまうと、それができません。
置いただけでは気づかれない
意外と多い失敗が、設置したのに社員が存在を知らないというものです。総務からすれば全社メールを1本送ったつもりでも、読まれていません。
実際に効いているのは、次のような手当てです。
- 置き場所を給湯室や休憩スペースにする。昼に人が通る動線上に置かないと、存在が消えます
- 使い方を紙で貼る。カップ麺に入れる、味噌汁に入れる、といった具体的な使い方が書いてあると、初回のハードルが下がります
- 最初の1週間だけ無料にする。一度使えば、次からは説明が要りません
- 部署ごとに使っている人を1人つくる。誰かが使っているのを見ると広がります
とくに3つ目は効きます。前述のとおり、この分野は最初のインパクトで利用率が跳ねたあと落ちていきます。逆に言えば、最初に一度使ってもらえないと、そのまま気づかれずに終わるということでもあります。導入直後の1〜2週間に何をするかで、その後の定着が変わります。
総務が導入前に気にしていること
提案する側と、決裁する側で、見ているところが違います。実際に総務・人事の方から出る質問は、健康効果の話ではなく、運用の話に集中します。
| 聞かれること | 本当に確認したいこと |
|---|---|
| 賞味期限はどれくらいですか | 余ったときに誰が捨てるのか。廃棄の写真が社内に出回らないか |
| 集金はどうなりますか | 総務が現金を扱う手間が発生しないか |
| 補充は誰がやりますか | 担当者が異動したら回らなくなるのではないか |
| 解約はいつでもできますか | 合わなかったときに引き返せるか |
| 置き場所はどれくらい要りますか | 会議室やロッカーを潰すことにならないか |
このうち廃棄と集金の2つが、決裁を止める理由になりやすい。賞味期限が短いものは、余った分を誰かが捨てることになります。捨てる作業そのものより、「社内で食べ物を捨てている」状態が続くことを嫌がる会社が多い。
集金も同じです。社員から都度お金を集める形にすると、総務の作業が増えます。キャッシュレスで社員が直接支払える形になっているかどうかは、確認しておいたほうがいい項目です。
見積もりを取るときに聞いておくこと
複数のサービスから見積もりを取ると、総額だけが並んだ資料が集まります。そのままでは比べられません。同じ土俵に乗せるために、先に聞いておく項目を決めておいてください。
固定費と変動費を分けてもらう
月額◯円という提示は、中身によって意味がまったく違います。人数に関係なくかかる固定費と、食べた分だけかかる変動費に分けてもらってください。
固定費が大きいサービスは、利用率が下がったときに割高になります。導入直後は問題なくても、半年後に利用が落ちたときの一食あたり単価が跳ね上がる。逆に変動費中心なら、使われなければ請求も減ります。撤退しやすさとも直結する部分です。
最低契約期間と解約の予告期間
ここを確認しないまま契約すると、合わないと分かってから1年動けないことがあります。什器を貸与する形のサービスは、その分の回収を契約期間で担保していることが多い。
聞くべきなのは3点です。最低契約期間があるか、解約は何か月前に伝える必要があるか、什器の撤去費用は誰が持つか。3つ目は見落とされがちで、あとから請求されて社内で問題になることがあります。
補充と支払いを誰がやるか
運用の手間は見積書に載りません。載らないので、比較のときに抜け落ちます。
補充を社内の誰かがやる形になっていないか、集金が発生しないか、請求書は月1枚にまとまるか。この3つを聞いておくと、導入後に総務の作業が増える形かどうかが分かります。担当者が異動したときに止まる仕組みは、長続きしません。
| 聞く項目 | この答えなら軽い | この答えなら重い |
|---|---|---|
| 費用の内訳 | ほぼ変動費 | 固定費が半分以上 |
| 最低契約期間 | なし/数か月 | 1 year or more |
| 解約予告 | 1 Month Before | 3か月以上前 |
| 什器の撤去 | 什器なし | 撤去費用が会社負担 |
| Replenishment | 先方が発送、置くだけ | 社内の担当者が管理 |
| 集金 | 社員が直接支払う | 総務が現金を集める |
| Usage data | 月次の件数をもらえる | 数字が出てこない |
この表の右側に丸がつくサービスが悪いという意味ではありません。手厚いサービスほど固定費と契約期間が発生します。その重さを引き受けるだけの規模と確度があるかどうかを、導入前に判断しておくという話です。
税金の扱いを間違えると給与課税になる
ここは2026年に変わったばかりの部分です。食事補助の非課税限度額は、長く据え置かれていた月3,500円から月7,500円に引き上げられました。以前の3,500円を前提に補助額を決めている会社は、設計を見直す余地があります。
押さえておかないと後から問題になる要件があります。国税庁が示している非課税の条件は2つあります。どちらか一方でも欠けると、給与として課税されます。
- 役員や使用人が食事の価額の半分以上を負担していること
- (食事の価額)-(本人負担額)が1か月あたり7,500円以下であること(消費税および地方消費税を除く)
国税庁の例では、1か月の食事の価額が13,000円で本人負担が6,000円のケースが挙げられています。この場合は「半分以上」の要件を満たさないため、差額の7,000円が給与として課税されます。金額の上限だけを見ていると足をすくわれる部分です。(出典:国税庁 タックスアンサー No.2594「食事を支給したとき」)
あわせて注意したいのが、現金で食事代を補助する場合です。深夜勤務者に夜食を支給できないために1食650円以下を支給するケースを除き、補助の全額が給与として課税されます。「食事手当として月◯円」という形は、この点で不利になります。
On the other hand,残業または宿日直のときに支給する食事は、無料で支給しても課税しなくてよいことになっています。繁忙期の夜食は、別枠で考えられます。
記載しているのは2026年8月時点の内容です(国税庁 タックスアンサー No.2594)。実務上は、社員が半額以上を負担する形にしておくと要件を外しにくくなります。社員が全額を負担する形なら、そもそもこの論点自体が発生しません。詳しい条件と計算例は食事補助の非課税枠と税務上の扱い.
稟議はどう書けば通るか
施策が決まっても、社内を通らなければ始まりません。通りにくい稟議には傾向があります。
健康効果を主語にしない
「野菜不足の解消につながる」から書き始めると、費用対効果の質問で止まります。健康施策の効果は短期では出ないので、その土俵で戦うと不利です。
通りやすいのは、すでに社内にある課題から書く形です。昼食を抜く社員がいる、高層階で昼に外へ出られない、採用面接で福利厚生を聞かれて答えるものがない。実在する困りごとに対する解として置くと、話が具体的になります。
やめる条件を先に書く
決裁者が心配しているのは、始めることより終われないことです。「利用率が◯%を下回ったら継続を再検討する」と先に書いておくと、判断が軽くなります。撤退条件が書いてある稟議は通りやすい。
そのとき、利用率の定義も一緒に書いてください。置き型なら「月間の消費数 ÷(出社人数 × 稼働日数)」で出せます。分母を在籍数にすると、リモート中心の会社では実態より低く出ます。
判定する時期も決めておきます。導入直後は物珍しさで数字が跳ねるので、最初の3か月は試行期間として判定に使わず、4〜6か月目の平均で見るのが実態に近くなります。
先に一度、試してから出す
資料だけで判断してもらうより、実物を一度出したほうが早い。多くのサービスがサンプルや無料トライアルを用意しています。稟議に「先行して1フロアで試した結果」を添えられると、説得力がまったく変わります。
弊社でも、資料請求やお問い合わせをいただいた後にサンプルを手配しています。まず現物を見てから社内に出す、という進め方をおすすめしています。
Agritureの場合:一食100円で、いつものカップ麺に足す
ここまでの条件に照らして、弊社のサービスがどう位置づけられるかを書いておきます。
国産の乾燥野菜をオフィスに置き、一食100円前後で、社員が自分で持ってきたカップ麺やインスタント味噌汁に入れて野菜を足せるサービスです。
料理を出すのではなく、いつもの昼食に足す
他のオフィス食サービスとの決定的な違いはここです。弁当や惣菜は「その料理を食べる」ことになりますが、乾燥野菜はすでに持っている食事にアレンジできる。いつものカップ麺が野菜入りになる、という足し算になります。
この形だと、社員の昼食の習慣を変えずに済みます。弁当派の人にも、麺派の人にも、同じものが使える。生・冷凍・惣菜と違って、下ごしらえも解凍も要りません。
朝コンビニで買って、昼に袋をひとつ足すだけ
導入されている会社では、だいたい次のような使われ方をしています。
朝、コンビニでカップ麺やおにぎりを買って出社する。昼にお湯を入れるとき、給湯室に置いてある袋をひとつ取って一緒に入れる。支払いはその場でQRコードを読んで済ませる。ここまでで、増えた手間は袋を開けることだけです。
この「増える手間が最小」という点が、続くかどうかを分けています。洗い物が出る、電子レンジの前に列ができる、注文を前日までに出す。こうした手順がひとつ挟まるだけで、使う人は減ります。
もちろん、乾燥野菜も毎日同じものが続けば飽きます。前半に書いたとおり、これはこの分野に共通する現象です。弊社の場合は、補充のたびに品目を入れ替えられる形にしています。複数の野菜が一度に入るミックスを中心に置いているのも、同じ理由です。
逆に、料理をする会社では別の使い方もされています。給湯室でお湯を沸かせる環境があれば、スープとして単体で飲む形にもできます。使い方を限定しないぶん、部署や個人の習慣に合わせて広がっていきます。
常温で半年もつので、捨てるものが出ない
乾燥野菜は常温でおよそ半年もちます。総務が気にする廃棄の問題が、構造的に発生しません。冷蔵庫も要らないので、設置は箱を置くだけで終わります。
補充は、在庫が切れる、または切れそうなタイミングで発送します。毎月自動で届いて余っていく、ということがありません。
30袋単位なので、小さい会社でも入る
1ボックスが約30袋、つまり30回分です。この単位の小ささが、導入できる会社の幅を広げています。複数拠点を持つような規模の会社はもちろん、比較的小さな会社や、個人で経営されている会社にも入っています。
オフィス向けの食事サービスは、設置の手間とコストを吸収できる規模でないと成立しにくいため、大きな会社に導入される傾向があります。30袋という単位は、その前提から外れられる数字です。
支払いは3つの形から選べる
社員が100%負担する形、会社が負担する形、50%ずつ負担する形のいずれかを、会社の状況に合わせて選べます。前述の税務要件を踏まえるなら、社員が半額以上を負担する形が扱いやすくなります。
決済は弊社が支給するPayPayのQRコードです。社員が直接支払うため、総務が現金を集める作業は発生しません。
社員に喜ばれているのは、普段食べない野菜
反応が良いのは、複数の野菜が一度に取れる野菜ミックスです。1袋で何種類か入るので、選ぶ手間もありません。
印象に残っているのは、過去のイベントで出したオクラのネバトロミックスです。オクラは日常では食べづらい食材で、コンビニのサラダに入っていても量はごくわずかです。それを味噌汁に入れると、満足感をもってしっかり食べられる。普段は手が伸びない野菜が手に入る、という点に価値が出ていました。
取り扱っている品目はProduct listをご覧ください。自社ブランドの商品として企画される場合はDried vegetable OEM、規格外野菜の活用についてはSustainable initiatives.
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FAQ
Summary
食事施策は6種類ありますが、自社の人数と拠点の形に当てはめると、現実的に残るのは2つか3つです。まず絞り込んでから、金額を比べてください。
- 社員が払う金額は、単品なら400円が分かれ目になる
- 50名を超えると、出社率と拠点の差で不公平感が出る
- 10名前後の会社は、最低ロットで断られないかを先に確認する
- 非課税にするには本人が半額以上を負担し、会社負担が月7,500円以下(消費税抜き)であること。片方でも欠けると課税される
- 撤退条件を先に書いた稟議は通りやすい
そして、導入したあとに使われ続けるかどうかは、単価と飽きにくさで決まります。始めやすさだけでなく、やめやすさも一緒に見ておいてください。
すでに施策が決まっていて、調査票の記入や申請書の作成に進んでいる方は、設問の読み方と数値目標の立て方を実務ベースでまとめた健康経営度調査の食事の設問、何をどう書けば点が入るのか.
Source
税務の要件は以下で確認しました(2026年8月時点)。費用の目安は、弊社への導入相談のなかで見聞きした範囲をまとめたもので、統計ではありません。
- No.2594 食事を支給したとき|国税庁 タックスアンサー… 非課税の2要件(本人が食事の価額の半分以上を負担/会社負担分が月7,500円以下・税抜)、現金補助の取り扱い、深夜勤務者への1食650円以下の支給、残業・宿日直時の食事
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