Z世代とは1997年から2012年生まれ、2026年は14歳から29歳
「Z世代」という言葉を検索する人がいちばん知りたいのは、何年生まれの人を指すのか、そしていま何歳なのか、この2点です。先に答えを置きます。広く使われている区切りでは1997年から2012年に生まれた人で、2026年時点の年齢は14歳から29歳, contained in burdock and cocoa.
ただしこの範囲は、資料によって違います。米国のピュー・リサーチ・センターは始まりの年だけを決めて終わりの年を決めていませんし、日本の官公庁の資料は生年ではなく年齢で区切っていることが多いです。どこまでが確かめられる事実で、どこから先が出典のない通説なのか。原典を開いて確かめた内容だけを並べました。
Z世代は何年生まれで、いま何歳なのか
最初に早見表を置きます。世代の区切りには複数の説がありますが、この表は日本語の解説で最も多く見かける区切りに揃えたものです。X世代・Y世代・ベビーブーム世代の3つはピュー・リサーチ・センターが2019年に公表した区分と一致します。
| 世代の呼び方 | 生まれた年 | 2026年時点 の年齢 | ライフステージ の目安 |
|---|---|---|---|
| α(アルファ)世代 | 2013年以降 | 13歳以下 | 未就学児 〜中学1年 |
| Gen Z | 1997〜2012年 | 14〜29歳 | 中学2年 〜20代後半 |
| Y世代 (ミレニアル世代) | 1981〜1996年 | 30〜45歳 | 30代 〜40代前半 |
| Gen X | 1965〜1980年 | 46〜61歳 | 40代後半 〜60代前半 |
| ベビーブーム世代 | 1946〜1964年 | 62〜80歳 | 60代前半 〜80歳 |
2026年時点でZ世代は14歳から29歳
1997年生まれは2026年に29歳、2012年生まれは14歳になります。上と下で15歳の差があるため、「Z世代」とひとくくりにされる集団のなかには中学2年生と20代後半の社会人が同居しています。この幅の広さが、世代論を読むときの最初の注意点になります。
年齢の数え方には2通りあります。誕生日を迎えたあとなら「2026-生まれ年」、誕生日前なら「2025-生まれ年」です。ネット上の記事が示す年齢がばらつく理由のひとつは、この計算基準に加えて、記事が書かれた年が違うことです。
- 1997年生まれ:2026年に29歳
- 2000年生まれ:2026年に26歳
- 2005年生まれ:2026年に21歳
- 2010年生まれ:2026年に16歳
- 2012年生まれ:2026年に14歳
自分の生まれ年から世代を割り出す
生まれ年が分かっていれば、上の早見表の「生まれた年」の列を上から見ていけば当てはまる行が見つかります。境目に近い年に生まれた人は、参照する資料によって2つの世代にまたがります。特に1995年から1997年生まれと、2009年から2013年生まれは、資料ごとの扱いが変わりやすい年です。
- 1995年生まれ:資料によってZ世代にもY世代にも入る
- 1996年生まれ:同じく両方の扱いがある
- 2009年生まれ:Z世代の最後の年とする資料と、そうでない資料がある
- 2010年〜2012年生まれ:Z世代とする資料と、α世代とする資料がある
「若者」と「Z世代」は指す範囲が違う
ここを混同すると、統計の読み方を誤ります。日本の官公庁の調査で使われる「若者」「若い世代」という区分は、Z世代の範囲と一致しません。令和4年版消費者白書は「本章における『若者』とは、主に10歳代後半から20歳代までを指して取り上げますが、統計上の都合等により、30歳代を含む場合もあります」と書いています。
一方、農林水産省の食育白書は「20〜30歳代(以下『若い世代』という。)」と定義しています。2026年時点で30歳代はY世代に入る年齢層です。つまり食育白書の「若い世代」は、Z世代とY世代をまたいだ集団を指しています。
Z世代の定義は資料によって割れている
「Z世代とは1997年から2012年生まれ」という説明はよく見かけますが、この範囲を明記した一次資料を探すと、意外に見つかりません。原典を開いて確かめた結果を表にしました。始まりの年は1995年・1997年・「1990年代半ば」・「1990年代後半」で割れ、終わりの年は「定めていない」「2009年」「2010年代序盤」「2000年代」で割れます。
| 資料・機関 | Z世代の範囲 | Y世代 の範囲 | 区切り方 |
|---|---|---|---|
| Pew Research センター(米・2019年) | 1997年生まれ以降。 終わりの年を 定めていない | 1981 〜1996年 | Birth years |
| マクリンドル(豪) α世代の命名者 | 1995〜2009年 | 1980 〜1994年 | Birth years |
| Consumer Affairs Agency 新未来創造戦略本部 (2024年4月) | 1990年代半ば 〜2010年代序盤 | Not stated | Birth years |
| 現代用語の基礎知識 2021(自由国民社) | 1990年代後半 〜2000年代 | 1975年 〜1990年代 前半 | Birth years |
| 内閣府男女共同参画局 (令和4年度調査) | 調査時点で 20〜27歳を 「若年層(Z世代)」 | Not stated | 年齢 |
| Consumer Affairs Agency 令和4年版消費者白書 | Z世代の語を使わず 「若者」=主に 10歳代後半〜20歳代 | Not stated | 年齢 |
| Ministry of Agriculture, Forestry and Fisheries 食育白書 | Z世代の語を使わず 「若い世代」= 20〜30歳代 | Not stated | 年齢 |
ピュー・リサーチは終わりの年を決めていない
「Z世代は1997年から2012年生まれ」の根拠としてピュー・リサーチ・センターの名前が挙がることがあります。しかし同センターが2019年1月に公表した、ミレニアル世代の終わりとZ世代の始まりを論じた解説記事は、ミレニアル世代を1981年から1996年生まれと定めたうえで、1997年以降に生まれた人を新しい世代とするとだけ書いています。終わりの年は明示されていません。
同センターの2020年の報告書も「Born after 1996」と書くだけで、上限を示していません。Z世代を扱う同センターの一覧ページにも2012年という数字は出てきません。つまり「2012年」という終わりの年は、ピュー・リサーチが決めたものではないということになります。
- 1996年を区切りにした根拠として挙げているのは、9・11のときの年齢差
- 2008年の大統領選のときに有権者になっていたかどうか
- 社会に出た時期が景気後退の底と重なったかどうか
- 初代iPhoneが発売された2007年に、いちばん年長のZ世代が10歳だったこと
日本の官公庁で生年を書いているのは消費者庁の報告書
内閣府・総務省・経済産業省・消費者庁の資料を探した範囲で、Z世代を生年で定義していたのは消費者庁新未来創造戦略本部の「消費生活の未来に関する調査報告書」(令和6年4月)でした。脚注に「Z世代:1990年代半ばから2010年代序盤に生まれた世代を指す。」と書かれています。
同報告書は、Z世代以降に生まれた世代が2030年には日本の総人口の約3割、2050年には約半数を占めるようになると見込んでいます。この推計は国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(令和5年推計)」を基に作成されたものです。米国については、2022年時点でZ世代以降が総人口の3割を超え、2050年には6割を超えると記しています。
内閣府と農林水産省は年齢で区切っている
内閣府男女共同参画局の「令和4年度 新しいライフスタイル、新しい働き方を踏まえた男女共同参画推進に関する調査報告書」は、「調査時点で、20歳〜27歳を『若年層(Z世代)』と定義して、傾向を分析する。」と書いています。生年ではなく調査時点の年齢で切っているため、調査年が変われば対象の生年も動きます。
この切り方には利点があります。世代論の当たり外れに依存せず、同じ年齢の人を年をまたいで比べられるからです。逆に、生年を固定して追跡する分析はできません。官公庁の資料でZ世代という言葉を見たときは、生年で切っているのか年齢で切っているのかを先に確かめると、数字の読み違いを防げます。
- 生年で切る:同じ集団を何年でも追える。世代の範囲そのものが争点になる
- 年齢で切る:調査ごとに対象者が入れ替わる。年齢の影響と世代の影響を分けにくい
- 官公庁の調査は後者が多く、Z世代という語を避けているものもある
ピュー・リサーチ自身が世代論の扱いを変えた
世代区分を広めた当事者が、2023年5月にその使い方を改めると表明しています。ピュー・リサーチ・センターは、世代を比べる分析は同じライフステージで比較できる過去データがある場合に限るとし、標準的な世代ラベルの使用にも慎重になると書きました。
同センターの別の記事は「Z世代とミレニアル世代を分ける境目は、正確でもなく、決定的でもなく、広く合意されたものでもない」と書き、「メディアも研究者も、当センターを含めて、世代の境目が厳密な科学ではないことを十分に明確にしてこなかった」と認めています。名前についても「ミレニアル世代かY世代か、Gen ZかiGenか、呼び名すら統一されていない」としています。
なぜ「Z」という文字が使われているのか
ZはX・Yの続きです。ではXはどこから来たのか。ここには書誌として確かめられる事実と、確かめられない通説が混ざっています。分けて書きます。
1964年と1991年、同じ書名の本が2冊ある
書誌データベースで確認できたのは次の2冊です。1964年にチャールズ・ハンブレット、ジェーン・デヴァーソンによる『Generation X』が刊行され、1991年にはダグラス・クープランドによる同名の小説が刊行されています。前者はタンデム・ブックス、後者はセント・マーティンズ・プレスなどから出ています。
この語がどちらから広まったのかについて、世代研究者のマーク・マクリンドルは、Xという呼び名はダグラス・クープランドから来たと自社サイトで説明しています。1964年の本との関係について同サイトは触れていません。写真家のフォトエッセイが語源だとする日本語の解説も見かけますが、原典を確認できなかったため本記事では扱いません。
- 1964年:ハンブレット/デヴァーソン『Generation X』(タンデム・ブックス)
- 1991年:ダグラス・クープランド『Generation X』(セント・マーティンズ・プレス)
- マクリンドルの説明:Xの呼び名はクープランドから来た
- 確認できなかったこと:それ以前の写真家由来説の原典
XのあとにY、そしてZが続いた
Xの次の世代にYを、その次にZを当てたのはアルファベットの並びです。特別な意味づけがあったわけではなく、先行する世代名を起点に文字を1つ進めていった結果です。マクリンドルも、XからY、Zと順に進んできたという言い方をしています。
Y世代には「ミレニアル世代」という別名があり、こちらのほうが日本語でも定着しています。Z世代には「ポストミレニアル世代」「iGen」という呼び方が英語圏にあります。呼び名が複数あること自体が、この区分が公的に定められたものではないことを示しています。
Zの次はギリシャ文字のα、そしてβ
Zでラテン文字を使い切ったため、次はギリシャ文字に移りました。α世代という呼び名を作ったマクリンドルは、その発想のもとを2005年の大西洋のハリケーンだと説明しています。その年は通常の英字による命名が尽きて、初めてギリシャ文字が使われました。同じ考え方で、Zの次をα世代にしたと書いています。
同サイトは、その次の区分としてβ(ベータ)世代を2025年から2039年生まれと定めています。2026年に生まれる子どもは、この区分ではβ世代に入ります。
- X世代:ラテン文字のX
- Y世代/ミレニアル世代:Xの次の文字
- Z世代:Yの次の文字。ラテン文字はここで尽きる
- α世代:ギリシャ文字の1文字目。マクリンドルは2010〜2024年生まれとする
- β世代:ギリシャ文字の2文字目。同じ資料で2025〜2039年生まれ
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X世代・Y世代・α世代はそれぞれ何年生まれか
Z世代の位置を正確に把握するには、前後の世代の範囲も押さえておく必要があります。ここでも資料による差があるため、どの資料の数字かを添えて書きます。
X世代は1965年から1980年生まれ
ピュー・リサーチ・センターは1965年から1980年生まれをX世代としています。2026年時点で46歳から61歳です。マクリンドルは1965年から1979年生まれとしていて、終わりの年が1年ずれます。日本語の辞書では、小学館の大辞泉が「1960年代から1980年代初頭までに生まれた世代」と説明しています。
- ピュー・リサーチ・センター:1965〜1980年生まれ
- マクリンドル:1965〜1979年生まれ
- 大辞泉(小学館):1960年代〜1980年代初頭生まれ
Y世代(ミレニアル世代)は1981年から1996年生まれ
ピュー・リサーチ・センターの区分では1981年から1996年生まれで、2026年時点で30歳から45歳です。マクリンドルは1980年から1994年生まれとしていて、始まりも終わりも1年から2年ずれます。現代用語の基礎知識2021は「1975年〜1990年代前半生まれ」としていて、ここはさらに大きく違います。
ミレニアル世代という別名は、2000年(ミレニアム)の前後に社会に出た世代という意味合いから来ています。Z世代との違いを語る記事は数多くありますが、そもそもY世代の範囲自体が資料ごとに最大6年ずれることを踏まえて読む必要があります。
α世代は2010年代以降に生まれた世代
命名者のマクリンドルは2010年から2024年生まれをα世代としています。2026年時点で2歳から16歳です。一方、Z世代を1997年から2012年生まれとする区分に合わせて、α世代を2013年以降とする説明も日本語では多く見られます。この2つを混ぜると、2010年から2012年生まれの扱いが記事のなかで矛盾します。
- マクリンドル基準:α世代は2010〜2024年生まれ(2026年で2〜16歳)
- Z世代を2012年で区切る基準:α世代は2013年以降(2026年で13歳以下)
- この2つの差:2010〜2012年生まれの3学年ぶんが入れ替わる
ゆとり世代や団塊の世代は別の軸で切られている
「ゆとり世代」「団塊の世代」「バブル世代」は日本の教育制度や景気の局面に由来する呼び方で、X・Y・Zとは別の軸で作られた区分です。国立国会図書館のレファレンス事例でも、これらの語は世代区分の辞書項目として別に扱われています。X・Y・Zの並びと日本独自の呼び方を同じ表に並べると、年の重なりが必ず生じます。
ゆとり世代の年の範囲については、辞書類でも数字が一致しません。この記事では範囲を断定せず、X・Y・Z・αの並びに絞って整理しています。
日本にZ世代は何人いるのか
「日本のZ世代は人口の15%未満」という数字がよく引用されますが、出典が付いていないものも見かけます。総務省統計局の人口推計から各歳別人口を積み上げて計算しました。基準日は2024年10月1日現在(2025年4月14日公表)、単位は千人で丸められた数値の合計です。
| Generation | 生年の目安 | 2024 10月1日 の年齢 | 人口 (総人口) | 総人口に 占める割合 |
|---|---|---|---|---|
| Gen Alpha | 2013年以降 | 0〜11歳 | 約1,068万人 | 8.6% |
| Gen Z | 1997〜2012年 | 12〜27歳 | 約1,878万人 | 15.2% |
| Gen Z (1995年始まり の試算) | 1995〜2012年 | 12〜29歳 | 約2,139万人 | 17.3% |
| Y世代 | 1981〜1996年 | 28〜43歳 | 約2,192万人 | 17.7% |
| Gen X | 1965〜1980年 | 44〜59歳 | 約2,862万人 | 23.1% |
| 総人口 | — | 全年齢 | 1億2,380万人 | 100% |
Z世代は約1,878万人、総人口の15.2%
1997年から2012年生まれに当たる12歳から27歳の人口は約1,878万人で、総人口1億2,380万人の15.2%です。よく見る「15%未満」という表現は、総人口を分母にするとわずかに超えます。15%を下回るのは日本人人口だけで見たときで、約1,766万人、日本人人口1億2,030万人に対して14.7%です。
X世代(約2,862万人、23.1%)と比べると1,000万人近く少ない計算になります。Z世代を語る記事は購買力の大きさを強調するものが多いのですが、日本国内の人数だけを見ると、上の世代より小さい集団です。
定義を2年広げると約261万人増える
始まりを1995年に変えるだけで、対象は約2,139万人(17.3%)になります。1997年始まりとの差は約261万人です。定義の2年ぶんで、対象が1割以上ふくらむ計算になります。
- 1997年始まり:約1,878万人(15.2%)
- 1995年始まり:約2,139万人(17.3%)
- 差:約261万人、割合で2.1ポイント
市場規模を語る記事が引用元によって数字を大きく違えるのは、この定義差が原因のひとつです。人数や市場規模の数字を見たときは、どの生年範囲で計算したものかを確かめる価値があります。
2030年に「Z世代以降」が総人口の約3割になる
消費者庁新未来創造戦略本部の報告書は、Z世代以降に生まれた世代が2030年には日本の総人口の約3割、2050年には約半数を占めると見込んでいます。ここでの「Z世代以降」にはα世代も含まれるため、上の表のZ世代とα世代を足した水準に近い見方になります。
2024年時点でZ世代とα世代を合わせると約2,946万人(23.8%)です。2030年に約3割へ上がるのは、分母である総人口が減ることと、2025年以降に生まれる世代が「Z世代以降」に積み上がることの両方が効くためです。
Z世代が何歳のときに何が起きていたか
世代の区切りは、その集団が共通して経験した出来事を根拠に引かれます。Z世代の上端(1997年生まれ)と下端(2012年生まれ)で、同じ出来事を何歳で迎えたかを並べると、ひとくくりにしづらい理由が見えます。
| Event | 起きた年 | 1997 生まれ の年齢 | 2012 生まれ の年齢 |
|---|---|---|---|
| 初代iPhoneの発売 | 2007年 | 10歳 | 生まれる前 |
| 東日本大震災 | 2011 | 14歳 | 生まれる前 |
| SDGsの採択 | 2015年 | 18歳 | 3歳 |
| 新型コロナの 流行が始まる | 2020年 | 23歳 | 8歳 |
| 成年年齢が 18歳に引き下げ | 2022年4月 | 25歳 | 10歳 |
スマートフォンが小学生のときに出た上端の層
ピュー・リサーチ・センターが1996年と1997年のあいだに線を引いた理由のひとつが、初代iPhoneの発売年です。2007年にいちばん年長のZ世代が10歳だったと同センターは書いています。ミレニアル世代は成長の途中で携帯電話からスマートフォンへ移行した一方、Z世代はスマートフォンのある状態を前提として育った、という整理です。
ただしこれは米国の状況を基準にした区切りです。日本のスマートフォンの普及時期は米国と一致しません。米国の世代区分をそのまま日本に当てはめるときは、この前提の違いが残ります。
東日本大震災を経験していない下端の層
2011年3月の東日本大震災を、1997年生まれは中学1年から中学2年の学年で経験しています。2012年生まれはまだ生まれていません。同じ「Z世代」のなかに、この出来事の記憶がある人とない人が同居しています。
- 1997年生まれ:震災時13〜14歳。記憶として残る年齢
- 2005年生まれ:震災時5〜6歳。断片的な記憶
- 2012年生まれ:震災後に誕生
SDGsが学校で教えられるようになった時期と重なる
SDGsは17の目標、169のターゲットからなる2030年を期限とする国際目標で、2015年に採択されました。1997年生まれが18歳、2012年生まれが3歳のときです。令和4年版消費者白書は、幼稚園から高等学校までの教育現場でSDGsが取り上げられる機会やメディアでの報道が増えたと書いています。
つまり同じZ世代でも、学校でSDGsを教わった層と、学校を出たあとに社会の話題として触れた層に分かれます。この差は、後の章で見る意識調査の年代別の数字にも表れています。
高校・大学の時期がコロナと重なった層がいる
2020年に流行が始まった時点で、1997年生まれは23歳、2002年生まれは18歳、2012年生まれは8歳です。進学や就職の節目がこの期間に当たった層と、小学校生活の一部が重なった層では、受けた影響の性質が違います。
成年年齢の引き下げも同じ時期に重なっています。民法の改正により、成年年齢が20歳から18歳になったのは令和4年(2022年)4月1日です。1997年生まれは施行前に20歳を迎えているため、20歳で成年になりました。施行後に18歳の誕生日を迎える層は18歳で成年になります。Z世代のなかに、成年になる年齢が違う層が併存しています。
政府の調査でわかっている若い世代の消費行動
ここからは、Z世代の「特徴」として語られる内容のうち、官公庁の調査で裏が取れるものだけを見ます。使うのは令和4年版消費者白書に載った「消費者意識基本調査」の結果です。調査の区分は「10歳代後半」「20歳代」で、Z世代の範囲と完全には一致しません。
| 購入時に 重視する項目 | 10歳代 後半 | 20歳代 | 他の年齢層 との比較 |
|---|---|---|---|
| 品質・性能の良さ | 94.2% | 98.1% | ほぼ同程度 |
| 価格の安さ | 92.5% | 92.1% | 若者のほうが高い |
| 見た目・デザイン | 83.8% | 83.5% | 若者のほうが高い |
| 環境問題・社会課題 の解決への貢献 | 21.3% | 14.9% | 若者のほうが低い |
品質と価格が上位、環境・社会課題は2割前後
重視度がいちばん高いのは品質・性能の良さで、20歳代は98.1%です。価格の安さと見た目・デザインが続きます。一方、環境問題・社会課題の解決への貢献は10歳代後半で21.3%、20歳代で14.9%にとどまりました。白書は「重視度が高くないことが分かりました」と書いています。
他の年齢層との比較でも、この項目は若者のほうが低い結果でした。「Z世代は環境や社会課題を重視する」という説明を、この調査結果だけで裏付けることはできません。
情報源はSNSの口コミが約5割
同じ調査で、購入を検討するときに得ている情報のうち重視しているものを聞いたところ、「SNSでの口コミ・評価」を挙げた人の割合は10歳代後半と20歳代のどちらも約5割で最も高く、次いで「友人・知人(インターネット上でしか知らない人を除く。)」と「公式サイト」が約3割でした。
- SNSでの口コミ・評価:約5割。他の年齢層より高い
- 友人・知人:約3割。他の年齢層より高い
- 公式サイト:約3割。30歳代から50歳代と同程度
- 店頭・店員、新聞・雑誌の記事や広告:他の年齢層より低い
公式サイトの重視度が上の年代と同程度だった点は、「若者はSNSしか見ない」という単純な整理と食い違います。SNSで見つけたあと、公式の情報で確かめる動きが含まれていると読めます。
「応援する活動」にお金をかける人は全体の5倍
意識的にお金をかけているものを聞いた結果では、「有名人やキャラクター等を応援する活動(グッズ購入等)」と答えた人の割合が、全体6.6%に対して10歳代後半32.9%、20歳代22.2%でした。10歳代後半では全体の5倍です。「参加型のイベント(音楽/グルメフェス、コンサート、ファンイベント等)」も全体6.6%に対し10歳代後半16.3%、20歳代16.5%でした。
この2項目が、この年代に特徴的な支出先として白書に挙げられています。価格の安さを重視すると答える一方で、応援や体験には支出が集中する、という2つの傾向が同じ調査に同居しています。
調査の「若者」はZ世代と完全には重ならない
この白書の調査年(令和4年版)の時点で、20歳代の上端は1990年代前半の生まれです。Z世代の範囲の外側が一部入っています。逆に、10歳代前半のZ世代は調査対象に含まれていません。
- 調査の区分:10歳代後半、20歳代
- 含まれない層:当時10歳代前半だったZ世代の下端
- 混ざる層:20歳代の上端にあたる、Y世代寄りの生年
「Z世代は環境意識が高い」はどこまで裏が取れるか
この記事を書くうえでいちばん検証に時間をかけたのがこの点です。同じ調査のなかに、この説を支持する数字と否定する数字の両方があります。片方だけを引くと、どちらの結論にも持っていけてしまいます。
重視度は低いが「とても重視」は他年代より高い
先に見たとおり、環境問題・社会課題の解決への貢献を「重視している」と答えた割合は、若者のほうが他の年齢層より低い結果でした。ところが「とても重視している」に絞ると、10歳代後半は7.1%で、全年齢層のなかで2番目に高い数字です。
白書はこれについて、教育現場でSDGsが取り上げられる機会やメディアでの報道が増えたことで、若者の一部が環境問題や社会課題の解決への貢献に関心を持ちつつあると考えられると書いています。「一部」という限定が付いている点が重要です。
- 「重視している」の合計:10歳代後半21.3%、20歳代14.9%。他年代より低い
- 「とても重視している」:10歳代後半7.1%。全年齢層で2番目に高い
- 白書の解釈:若者の「一部」が関心を持ちつつある
消費者庁の報告書が引いている一次資料
消費者庁新未来創造戦略本部の報告書は、Z世代について「CSRやSDGsといった概念が広まった社会の中で育っていることなどから、企業が掲げる社会貢献のメッセージに比較的強く共感する傾向がみられる」と書いています。ただしこの記述の出所は、経済産業省(2022)「令和3年度コンテンツ海外展開促進事業 報告書」のZ世代の特徴を参考に作成された、とされています。
引用したZ世代についての記述も「〜といわれている」「〜傾向がみられる」という書き方です。官公庁の資料でも、この論点は断定の形を取っていません。Ethical Consumption andフェアトレードの仕組みを扱うときも、同じ距離感で書くのが妥当だと考えています。
世代でくくった説明を読むときの3つの確認点
ピュー・リサーチ・センターは、世代を比べる分析が誤りやすい理由として、人口構成の変化、すべての年齢層に同時に効く出来事の影響、年齢そのものによる差、この3つが世代の差と混同されやすいことを挙げています。この3つを分けるには統計的な処理が必要で、世代論の多くにはそれが欠けている、という指摘です。
この指摘から導ける、読者側のチェックは次の3つです。
- その特徴は世代の特徴か、その年齢だからか。10年後も同じか
- 調査の対象年齢と、記事が使う「Z世代」の範囲が一致しているか
- 数字の元が官公庁や調査機関の公表資料か、他記事の引き写しか
この3点で振り落とすと、世代論として流通している説明のうち、出典まで辿れるものはかなり少なくなります。
食べることに絞って見た若い世代の数字
ここからは食の行動に絞ります。使うのは農林水産省「食育に関する意識調査」と、それを載せた食育白書です。白書の「若い世代」は20〜30歳代で、Z世代とY世代をまたぐ区分です。数字を読むときはこの点を踏まえてください。
| Metrics | The whole mix | 若い世代 (20〜30歳代) | 2025年度 の目標値 |
|---|---|---|---|
| 朝食を欠食する 人の割合 | — | 29.6% | 15% or less |
| 主食・主菜・副菜を 組み合わせた食事を 1日2回以上 ほぼ毎日食べる割合 | 36.8% | 23.3% | 若い世代 40%以上 |
| 食育に関心を 持っている割合 | 80.8% | — | Over 90% |
| 環境負荷を低減した 農林水産物・食品を 選んでいる割合 | 61.3% | — | 75%以上 |
| 食品ロス削減のため 何らかの行動を している割合 | 74.9% | — | 80%以上 |
朝食を欠食する若い世代は29.6%
朝食を欠食する若い世代の割合は29.6%です。第4次食育推進基本計画を作った令和2(2020)年度の値は21.5%で、目標は15%以下。数字は目標から遠ざかる方向に動いています。3人に1人近くが朝食を食べていない状態です。
この数字は「意識が低いから」という説明で片づけられるものではありません。同じ調査で、主食・主菜・副菜がそろった食事の回数を増やすために必要なこととして若い世代が挙げたのは「時間があること」「食費に余裕があること」でした。
主食・主菜・副菜がそろう食事は23.3%
主食・主菜・副菜を組み合わせた食事を1日2回以上ほぼ毎日食べている人の割合は、全体36.8%に対して若い世代23.3%です。令和2年度の若い世代の値は27.4%だったので、こちらも下がっています。目標の40%以上との差は約17ポイントあります。
- 全体:36.8%(令和2年度36.4%からほぼ横ばい)
- 若い世代:23.3%(令和2年度27.4%から低下)
- 令和7年度の目標:若い世代で40%以上
- 回数を増やすために必要なこと:時間、食費の余裕
「食べること」にお金をかけている人は約半数
消費者白書の調査では、意識的にお金をかけているものとして「食べること」を挙げた人の割合が10歳代後半48.3%、20歳代50.0%でした。全体の48.6%と同水準で、この年代がいちばんお金をかけている項目です。調査も年も年齢区分も別ですが、食への支出意欲を示す数字と、栄養バランスの指標が下がっている数字が並ぶ形になります。
食育に関心を持っている国民の割合は80.8%(2024年度)で、令和2年度の83.2%から下がりました。関心の有無より、実行に移せる条件のほうが数字を動かしている可能性があります。
環境に配慮した食品を選ぶ人は61.3%で下がっている
農薬や化学肥料に頼らず生産された農産物、過剰包装でなくごみが少ない商品など、環境への負荷をなるべく低減した農林水産物・食品を「選んでいる」人の割合は61.3%です。令和2年度は67.1%で、目標は75%以上。こちらも目標から離れる方向に動いています。年代別の内訳は白書の該当箇所には示されていません。
Food lossの削減のために何らかの行動をしている国民の割合は74.9%で、こちらは高い水準を保っています。食品ロスの発生量は1年間で472万トン、国民1人当たり年間約38kg(2022年度推計)です。
乾燥野菜をつくる立場から、この数字をどう読むか
ここまでの数字を、国産乾燥野菜のつくり手として毎日見ている景色と突き合わせます。以下は自社での経験に基づく読み方で、調査結果そのものではありません。数字と意見を混ぜないように、出典のある部分とそうでない部分を分けて書きます。
足りていないのは意識より手数と時間
若い世代が主食・主菜・副菜をそろえる回数を増やすために必要だと答えたのは「時間があること」と「食費に余裕があること」でした。意識啓発ではなく、調理の手数と価格の話です。乾燥野菜の相談で実際に多いのも、洗う・切る・水を切るという工程を減らしたい、という内容です。
- 調査で挙がった条件:時間、食費の余裕
- 自社に寄せられる相談:下処理の工程を減らしたい、日持ちさせたい
- 数字として動かせる余地:副菜を1品足すまでの手数
朝食欠食率が目標から離れている現状に対して、朝に副菜を1品足すまでの手数をどこまで削れるかが、商品設計の論点になります。
物語だけでは選ばれない
Making use of off-spec vegetables and Upcycled foodsの相談をいただくとき、背景にある物語をどう伝えるかに話が集まりがちです。ただ消費者白書の数字を見ると、この年代が重視しているのは品質・性能(20歳代98.1%)、価格(92.1%)、見た目(83.5%)で、環境や社会課題への貢献は14.9%でした。
物語を語らないという話ではありません。品質と価格と見た目で選ばれる状態を先につくり、そのうえで背景を伝える順序のほうが、調査結果の並びには沿っています。
SNSで見つけて公式サイトで確かめている
この年代の情報源は、SNSでの口コミ・評価が約5割で最も高く、公式サイトも約3割で30歳代から50歳代と同程度でした。SNSだけを整えても、確かめに来た先で原料の産地や製法が読めなければ止まります。逆に公式サイトだけを整えても、見つけてもらえません。
- 見つける場所:SNSの口コミ・評価、友人・知人
- 確かめる場所:公式サイト。上の年代と同程度に重視されている
- 効きにくい場所:店頭・店員、新聞・雑誌の記事や広告
世代でくくらず、行動の数字で判断する
この記事で並べた数字は、すべて年齢層別の行動データで、生年で切った世代データではありません。商品を設計するうえで使えるのは後者より前者だと考えています。「Z世代向け」という言葉で対象を決めると、14歳と29歳が同じ箱に入ってしまいます。
飲食店での乾燥野菜を使ったフードロス削減のように、行動と数字で語れる領域から組み立てるほうが確実です。食のトレンドを世代の切り口で追う内容はZ世代と食の教科書シリーズ.
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FAQ
Summary
Z世代は広く使われる区切りで1997年から2012年生まれ、2026年時点で14歳から29歳です。総務省統計局の人口推計(2024年10月1日現在)から計算すると、日本の人口は約1,878万人、総人口の15.2%になります。
ただしこの範囲は資料によって割れています。ピュー・リサーチ・センターは1997年以降と始まりだけを定めて終わりを決めておらず、マクリンドルは1995年から2009年生まれとし、消費者庁の報告書は1990年代半ばから2010年代序盤と書いています。内閣府や農林水産省は生年ではなく年齢で区切り、Z世代という語を使わない資料もあります。始まりを2年ずらすだけで対象は約261万人動きます。
- ピュー・リサーチ・センター(2019年):ミレニアル世代1981〜1996年生まれ、Z世代は1997年生まれ以降で終期なし
- マクリンドル(豪):Z世代1995〜2009年生まれ、α世代2010〜2024年生まれ、β世代2025〜2039年生まれ
- 消費者庁 新未来創造戦略本部(2024年4月):1990年代半ばから2010年代序盤生まれ
- 内閣府男女共同参画局(令和4年度調査):調査時点で20〜27歳を「若年層(Z世代)」
「Z世代は環境意識が高い」という説明については、令和4年版消費者白書の調査で、環境問題・社会課題の解決への貢献を重視すると答えた割合は10歳代後半21.3%、20歳代14.9%で、他の年齢層より低い結果でした。一方「とても重視している」に絞ると10歳代後半は7.1%で全年齢層の2番目です。断定できるのは、この2つの数字が同じ調査に併存しているという事実までです。
食の行動では、朝食を欠食する若い世代(20〜30歳代)が29.6%、主食・主菜・副菜がそろう食事を1日2回以上ほぼ毎日とる人が23.3%で、どちらも目標から離れる方向に動いています。回数を増やすために必要だと挙がったのは時間と食費の余裕でした。世代でくくった性格づけより、この種の行動の数字のほうが、商品づくりの手がかりになります。
