小袋でも省略できない、カシューナッツが加わったアレルギー表示の9品目
自社の野菜を乾燥させて袋詰めしたい、農園の果物を使った商品を作りたい。そう考えて最初に足が止まるのが、裏面のラベルに何を書くかという問題です。なかでもアレルギー表示は、対象の品目が増え、書き方に原則と例外があり、間違えると回収につながります。
2026年4月1日に、カシューナッツが義務表示の対象に加わりました。義務の品目が増えたのは、2023年のくるみ以来です。この記事は、消費者庁が公開している食品表示基準と通知、食品表示基準Q&A、事業者向けのハンドブックを根拠にまとめています。扱うのは表示の話だけで、症状や治療には触れません。
アレルギー表示が必要な食品と、対象にならない食品
容器包装された加工食品が対象になる
対象は、容器包装された加工食品と添加物です。食品表示基準Q&Aは、対象範囲を「食品表示基準別表第14 に定める食品(特定原材料)を原材料とする加工食品又は特定原材料に由来する添加物であって販売の用に供するもの」と説明しています。袋やパックに入れて売る乾燥野菜、ドライフルーツ、ミックス品は、ここに入ります。
ばら売り・量り売り・店内飲食は対象から外れる
容器包装に入れずに売る食品は対象になりません。消費者庁のハンドブックが対象外として挙げているのは、ばら売りや量り売りなど容器包装に入れずに販売する食品、飲食店で提供される食品や出前、そして酒類です。ただし飲食店でも、容器包装に入れた食品を販売するなら表示が必要です。直売所で袋に詰めて棚に並べるなら、それは容器包装された加工食品にあたります。
小さい袋でも省略はできない
表示面積が足りないから省く、という逃げ道はありません。ハンドブックには「容器包装の表示可能面積が30 ㎠以下の場合であっても、食物アレルギー表示は省略できません」と書かれています。試食用の小袋やノベルティ用の個包装ほど、この一行が効いてきます。
書ききれないときの答えは、省略ではなく一括表示です。後述します。
業務用に卸す原料にも義務がある
消費者に直接売らないから関係ない、とはなりません。Q&Aは「アレルギー表示は業務用や加工食品の原料であっても表示の義務付けがされていますので、表示してください」と答えています。原料としてメーカーや飲食店に納める乾燥野菜も対象です。
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国産の野菜・果物を乾燥し、必要に応じて粉砕してお出ししています。扱っている品目は100種前後で、規格は 乾燥品の一覧・パウダーの一覧 に掲載しています。
義務表示は9品目に増え、推奨は20品目に入れ替わった
いま義務で書くのは9品目
食品表示基準で表示が義務づけられているのは、次の9品目です。
えび、カシューナッツ、かに、くるみ、小麦、そば、卵、乳、落花生(ピーナッツ)
2026年4月版のハンドブックは、この9品目を「重篤度・症例数の多い9品目」として位置づけています。2026年3月以前に作った資料やラベル台紙は、カシューナッツが入っていない8品目のままです。
書かなくてもいいが、書かないと伝わらない20品目
法令ではなく通知で表示が推奨されているのが、次の20品目です。
アーモンド、あわび、いか、いくら、オレンジ、キウイフルーツ、牛肉、ごま、さけ、さば、大豆、鶏肉、バナナ、ピスタチオ、豚肉、マカダミアナッツ、もも、やまいも、りんご、ゼラチン
義務の9品目と合わせて29品目です。この20品目も動いています。2024年3月28日にマカダミアナッツが追加され、同時にまつたけが削除されました。2026年4月1日には、全国実態調査で症例数が継続して相当数みられることを理由に、ピスタチオが追加されています。あわせて消費者庁は、事業者の実行可能性と、新たに特定原材料へ移ったカシューナッツとの交差反応性も踏まえて、速やかにピスタチオを表示するよう指導することを都道府県などに求めています。
推奨なので、書かなくても違反にはなりません。
9品目までか29品目までかを、ラベルに書いておく
推奨の20品目を書かないと、その原材料を使っていないのか、使っているが書いていないのかが読み手に伝わりません。ハンドブックは、対象範囲が9品目なのか29品目なのかが分かるよう、一括表示枠に近接した箇所に書くことを勧めています。挙げられている文例は「この食品は29 品目のアレルゲンを対象範囲としています。」「アレルゲン(29 品目対象)」「アレルゲンは義務9品目を対象範囲としています。」「アレルゲン(特定原材料のみ)」などです。
一行入れておくだけで、問い合わせが減ります。
カシューナッツはいつまでに切り替えればいいか
経過措置は2028年3月31日まで
食品表示基準の附則(令和八年内閣府令第三十四号)第二条が、経過措置をこう定めています。
> 令和十年三月三十一日までに製造され、加工され、又は輸入される加工食品(業務用加工食品を除く。)及び同日までに販売される業務用加工食品の表示については、第一条の規定による改正後の食品表示基準別表第十四の規定にかかわらず、なお従前の例によることができる。
別表第十四が特定原材料の一覧です。読み方は、売り先によって2通りに分かれます。
- 消費者向けの加工食品:2028年(令和10年)3月31日までに製造・加工・輸入したものは、従来どおりの表示のままでよい
- 業務用加工食品:2028年3月31日までに販売したものは、従来どおりの表示のままでよい
消費者向けは製造した日、業務用は販売した日が基準です。原料として卸す側は、手元の在庫をいつ出荷するかで判断が変わります。
消費者庁は令和8年4月1日の事務連絡で「なお、2年間の経過措置期間を設けていますが、可能な限り速やかに表示に努めるよう御指導願います」と求めています。期限まで待ってよい、という趣旨ではありません。
くるみはすでに猶予が終わっている
くるみは2023年3月9日に特定原材料へ移りました。消費者庁の「これまでの食品表示基準の改正概要について」によると、くるみの経過措置は令和7年(2025年)3月31日までです。いま作る商品でくるみを表示していないなら、猶予の話ではなく表示漏れです。
なお、くるみを追加した令和5年3月9日の事務連絡には、この時点でカシューナッツへの言及があります。「特定原材料に準ずるカシューナッツについては、現在、木の実類の中でくるみに次いで症例数の増加等が認められることから、アレルギー表示をしていない食品関連事業者等に対し、可能な限り表示することをより一層努めるよう周知をお願いします」という一文です。義務化の3年前から、消費者庁はカシューナッツを名指しで推奨を強めていたことになります。
個別表示と一括表示のどちらで書くか
原則は原材料名の直後に書く個別表示
Q&Aは「アレルギー表示は、特定原材料等を原材料として含む旨又は食品に含まれる添加物が特定原材料等に由来する旨を、原則、原材料名の直後に括弧を付して表示してください」としています。原材料なら「(〜を含む)」、添加物なら原則「(〜由来)」です。
ハンドブックのロールパンの例は、この形です。
原材料名:全粒粉(小麦を含む)、砂糖、卵、ショートニング(大豆を含む)、脱脂粉乳、イースト、食塩
添加物:乳化剤(卵由来)、酸化防止剤(V.C)
個別表示が原則とされたのは、食べられる食品が限られている人が確実に情報を得られるようにするためだ、とQ&Aは説明しています。
一括表示は原材料名欄の最後にまとめる
一括表示も認められています。原材料欄の最後に「(一部に○○・○○を含む)」とまとめる書き方です。ハンドブックは2つの形を示しています。
原材料と添加物で事項欄を分ける場合は、それぞれの欄の最後に書きます。
原材料名:準チョコレート(パーム油、砂糖、全粉乳、ココアパウダー、乳糖、カカオマス、食塩)、小麦粉、ショートニング、砂糖、卵、コーンシロップ、ぶどう糖、麦芽糖、加工油脂、カラメルシロップ、食塩、(一部に大豆・乳成分・小麦・牛肉・卵を含む)
添加物:ソルビトール、酒精、乳化剤、膨張剤、香料、(一部に大豆・乳成分を含む)
原材料欄にスラッシュで添加物を続けて書く場合は、末尾にひとつだけ置きます。
原材料名:準チョコレート(パーム油、砂糖、全粉乳、ココアパウダー、乳糖、カカオマス、食塩)、小麦粉、ショートニング、砂糖、卵、コーンシロップ、ぶどう糖、麦芽糖、加工油脂、カラメルシロップ、食塩/ソルビトール、酒精、乳化剤、膨張剤、香料、(一部に大豆・乳成分・小麦・牛肉・卵を含む)
品目を2種類以上続けるときは「・」でつなぎます。Q&Aは、個別表示によりがたい例として、一括表示のほうが文字数を減らせて、表示面積の都合で一括表示でないと書ききれない場合を挙げています。小袋で品目数が多い商品は、ここに当たります。
個別表示と一括表示は混ぜられない
同じ表示の中で両方を使うことはできません。Q&Aは「これらの表示を組み合わせて使用することはできません」と否定しています。一部の原材料だけ括弧書きにして残りを末尾にまとめる、という書き方は認められません。
ただし、例外が1つあります。Q&Aは続けて「ただし、業者間取引において、原材料を送り状等に表示する場合に限り、容器包装へのアレルギー表示は、原則、原材料に係るものは一括表示、添加物に係るものは個別表示をしてください」としています。原料を送り状に書いて業者間で取引するときだけ、容器包装の表示は原材料が一括、添加物が個別という組み合わせになります。
同じアレルゲンが繰り返すときは省略できる
個別表示で同じ特定原材料が何度も出てくるとき、どれか一つに書けば残りは省略できます。食品表示基準は「そのうちのいずれかに特定原材料を含む旨又は由来する旨を表示すれば、それ以外の原材料又は添加物について、特定原材料を含む旨又は由来する旨の表示を省略することができる」と規定しています。
省略する相手は選んだほうがよい、ともされています。しょうゆの小麦や味噌の大豆のように、一般にアレルゲンが含まれていても摂取可能といわれている食品があるためです。こうした食品が混ざるときは、摂取可能といわれている食品以外の原材料に「含む」と書くか、しょうゆ側に書くなら一括表示枠の近くに「たん白加水分解物には大豆が、酵母エキスには小麦が含まれています。」のように補うことが望ましい、とQ&Aは示しています。
文字を大きくしたり色を変えたりしてよい
アレルゲンの部分だけ目立たせる書き方は認められています。Q&Aは、特定原材料等の表示の文字の色や大きさ等を変えることは有用な方策だ、としています。具体的には、他の表示より文字を大きくすること(おおむね他の文字の1.5倍以下)、背景の色を考慮したうえで文字の色を変えること、フォントを変える、太字にする、下線を引く、網をかける、といった方法が挙げられています。
代替表記や拡大表記として書いた原材料名も、同じように目立たせることができます。複数の品目を書くときは、全部を同じ色や大きさに揃えます。
「乳」は「乳成分を含む」と書く
乳だけ書き方が違います。Q&Aは「『乳』のアレルギー表示は『乳成分を含む』と表示します」としています。乳製品に「乳を含む」、乳等を主要原料とする食品に「乳を含む」や「乳製品を含む」と書くことは認められていません。乳等命令で定義された「乳」や「乳製品」そのものを使って製造しているかのように見えてしまうためです。
理由としてQ&Aが挙げているのは4つです。事業者にとって分かりづらいこと、遵守にコストがかかること、患者にとっては「乳成分」が含まれていると分かればよいこと、「乳化剤」などの紛らわしい言葉と区別させるためであること。
添加物の場合だけは扱いが変わり、日本語としての収まりから「乳成分由来」ではなく「乳由来」と書きます。原材料なら「乳成分を含む」、添加物なら「乳由来」です。
代替表記と拡大表記があれば「含む」を省略できる
品目名と違う書き方でも、同じものだと読み手が理解できる表記なら、「含む」の表示を省略できます。消費者庁は2種類に整理しています。
- 代替表記:表記方法や言葉が違うが、特定原材料等と同一であると理解できる表記
- 拡大表記:特定原材料等の名称または代替表記を含むことにより、特定原材料等を使った食品であると理解できる表記
「小麦粉」は小麦の名称を含むので拡大表記、「こむぎ」は書き方を変えただけなので代替表記、という分かれ方です。
品目ごとの代替表記・拡大表記の一覧
通知の別表3「特定原材料等の代替表記等方法リスト」から、義務9品目を抜き出します。
| Item | 代替表記 | 拡大表記(表記例) |
|---|---|---|
| えび | 海老、エビ | えび天ぷら、サクラエビ |
| Cashews | None | None |
| かに | 蟹、カニ | 上海がに、カニシューマイ、マツバガニ |
| Walnuts | クルミ | くるみパン、くるみケーキ |
| 小麦 | こむぎ、コムギ | 小麦粉、こむぎ胚芽 |
| そば | ソバ | そばがき、そば粉 |
| Eggs | 玉子、たまご、タマゴ、エッグ、鶏卵、あひる卵、うずら卵 | 厚焼玉子、ハムエッグ |
| 乳 | ミルク、バター、バターオイル、チーズ、アイスクリーム | アイスミルク、生乳、ガーリックバター、牛乳、プロセスチーズ、濃縮乳、乳糖、加糖れん乳、乳たんぱく、調製粉乳 |
| Peanut | ピーナッツ | ピーナッツバター、ピーナッツクリーム |
カシューナッツの欄が空いているのは、転記漏れではありません。別表3のカシューナッツの行は、代替表記も拡大表記も空欄のまま置かれています。「カシューナッツ」と書く以外に省略するルートがない、ということです。
卵には注意書きが付いています。「卵白」と「卵黄」は「卵」の字を含みますが、事故防止の観点から、拡大表記として含む旨の表示を省略することは認められていません。
乳の代替表記のうち、ミルク、バター、バターオイル、チーズ、アイスクリームは「乳」の字を含みません。ココナッツミルクやカカオバターのような紛らわしい名前の食品もあるため、Q&Aは、これらについては可能な限り「乳成分を含む」と書くことが望まれるとしています。
一括表示のときは代替表記でも書く
代替表記や拡大表記で省略できるのは、個別表示の場合です。一括表示を選んだときは扱いが逆になります。ハンドブックは「全粉乳、小麦粉等の代替表記や拡大表記に該当する特定原材料等も、一括表示する必要があります」と注記しています。
原材料名に「小麦粉」と書いてあるから末尾の「(一部に〜)」から小麦を外す、という処理は誤りです。前掲のチョコレートケーキの例でも、原材料名に全粉乳と小麦粉が並んだうえで、末尾に乳成分と小麦が入っています。
「穀類」「肉類」とまとめる書き方は認められない
特定原材料を大きな分類名でまとめる書き方は禁止されています。「穀類」「肉類」「動物性○○」「果物類」「果汁」といった表記です。正しくは「穀類(小麦、大豆)」または「小麦、大豆」、「牛肉、豚肉、鶏肉」、「りんご、キウイフルーツ、もも」のように品目名を出します。
例外もあります。網で無分別に捕獲したものをそのまま原材料に使うため、どの種類の魚介類が入っているか把握できない場合に限り、「たん白加水分解物(魚介類)」「魚醤(魚介類)」「魚肉すり身(魚介類)」などの書き方が認められています。
同じ設備で別の商品も作っている場合、ラベルに何と書けるか
注意喚起は義務ではない
原材料として使っていないのに、製造ラインを通じて混入する場合があります。Q&Aは、混入の可能性が完全に否定できない場合でも、混入物が原材料ではないと判断されるなら表示の義務はない、としています。逆に、必ず含まれるのであれば原材料として使っていることになり、表示が必要です。
注意喚起表示そのものも義務ではなく、望ましいとされている扱いです。えび、かにについては、原材料中の意図しない混入の頻度と量が低いものは、患者の食品選択の幅を過度に狭める結果になることから注意喚起表示の必要はない、という整理も示されています。
入っているかもしれない、とだけ書くことはできない
書くと決めた場合に、禁止されている書き方があります。「入っているかもしれません。」「入っているおそれがあります。」といった、可能性だけを示す表示です。
Q&Aは理由をこう説明しています。安易な可能性表示が広がると、製造者が十分な調査をしないまま書くようになりかねず、実際には含まれていない食品まで避けられることになり、患者の選択の幅を狭めてしまうからです。
そのまま使える注意喚起の文面
Q&Aは、混入が起こる状況を含めて明確に注意喚起するよう求め、原材料表示欄の外に書くことが望ましいとしています。挙げられている文例は次のとおりです。
- 同一製造ラインを使う場合:「本品製造工場では○○(特定原材料等の名称)を含む製品を生産しています。」「○○(特定原材料等の名称)を使用した設備で製造しています。」
- 原材料の採取方法による場合:「本製品で使用しているしらすは、かに(特定原材料等の名称)が混ざる漁法で採取しています。」
- えび、かにを捕食していることによる場合:「本製品(かまぼこ)で使用しているイトヨリダイは、えび(特定原材料等の名称)を食べています。」
可能性だけの表示と、上の文例との差は、混入の理由が書いてあるかどうかです。どの設備で何を作っているから混ざりうるのか。そこまで書いてあれば、読む側は自分の状況に照らして判断できます。
洗浄と製造順で混入を減らす
注意喚起を書く前に、混入そのものを減らす手順があります。Q&Aが挙げている対策は2つです。製造ラインを十分に洗浄したうえで、特定原材料等を含まないものから先に製造すること。そして、可能な限り専用の器具を使うことです。
原料を預けて加工してもらうときに渡す情報
乾燥、粉砕、小袋充填といった工程を外部に委託すると、原料を持っている側と設備を持っている側に情報が分かれます。Agritureでも原料を預かる場面で話が止まるのは、決まって同じ2か所です。原料の規格書と、製造ラインの中身です。
なお、最終的に表示の責任を負うのは販売者です。加工を請けた側が表示を決めてくれるわけではありません。
規格書は複合原材料まで展開して読む
ハンドブックは、表示を作る最初の手順として、原材料を配合量の多い順に並べ、原料メーカーから入手した規格書などから複合原材料を抽出し、単体の原材料になるまで展開するよう示しています。例に挙がっているコロッケでは、粒状植物性たんぱくを粒状にするために小麦グルテンを加えていたため、名前からは読めない小麦が出てきます。
ハンドブックの言い方はこうです。「名称だけで判断せずに、複合原材料中の特定原材料等の有無は規格書等で必ず確認する習慣をつけてください。」
調味液、シーズニング、油脂、乳化剤のような添加物製剤は、名前だけでは中身が読めません。規格書がないと、原料メーカーへの照会から始めることになり、ラベルの内容が固まるまでの日数が延びます。
規格が変わったときに誰が誰へ伝えるかを決めておく
ハンドブックが挙げている自主回収の原因のひとつが、原材料の規格変更に気づかず表示が漏れていた事例です。示されている対策は、仕入元で製品規格の変更があった際に特定原材料等の情報を正確に伝達してもらい、表示内容が更新されているかを確認する、という流れです。
原料を預ける側と加工する側が分かれていると、この連絡が抜けます。決めておく項目は3つで足ります。
- 規格書の版数と日付を控えておく
- 変更があったとき、誰が誰に、いつまでに連絡するか
- ラベルを発注する前に、手元の規格書の日付を確認する
そのラインで何を作っているかを聞いておく
注意喚起を書くかどうかは、その設備で何を製造しているかが分からないと決められません。Q&Aは、生産ラインでどのような原材料を用いた食品を製造しているかを管理し、必要に応じて消費者に情報提供することが望ましいとしています。
委託する側からは、同じ設備で扱っている品目を聞いておきます。とくに特定原材料9品目を扱っているかどうかは、注意喚起の文面をそのまま決めます。
問い合わせに答えるのは売っている側になる
ラベルだけで全部は伝わりません。ハンドブックは、消費者からの問い合わせに備えて、製造工程や原材料規格書などの情報を集積しておくよう求めています。実際に来る質問として挙げられているのは、最後に括弧書きされているものがどの原材料に使われているか、省略している表示があるか、同じ製造ラインで該当する特定原材料等を含む製品を作っているか、といった内容です。
この3つに答えるために、加工側から受け取っておくものも3つです。原料の規格書一式、同じ設備で扱っている品目、洗浄の手順と製造順の記録。質問と1対1で対応します。
表示を間違えたときに誰がどうなるか
自主回収につながった4つの原因
ハンドブックは、食物アレルギー表示のミスによる自主回収事例を4つの原因に分けています。
1. 表示ラベルの誤貼付、容器間違い(メンチカツにコロッケのラベルを貼って「卵」が欠落、まぐろ缶の容器にさけ缶の中身を充填など)
2. 配合ミスや製造工程上のミス(菓子に誤ってくるみを配合、分けていたラインを誤って共用など)
3. 表示ミス(記入漏れ、輸入品の翻訳ミス、原材料の規格変更の見落とし)
4. 製造工程中の意図しない混入(製品切替時の洗浄不良で先の製品の卵が残存し、自主検査で検出)
乾燥・粉砕・小分けの工程に置き換えると、1は品目違いのラベルを小袋に貼る、2は粉砕機の品目を取り違える、4は切替時の洗浄不足で前の品目が残る、という形になります。どれも作業そのものより、確認の手順が抜けたときに起きています。示されている対策も、複数人で確認する、検品記録と洗浄記録を残す、といったものです。
表示を直さないまま売ると何が起きるか
食物アレルギー表示は、食品を摂取する際の安全性に重要な影響を及ぼす表示事項として扱われます。ハンドブックによると、食品表示法第6条第8項に基づく回収命令や業務停止命令が出ることがあり、この命令に従わない場合は3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金、法人には3億円以下の罰金が科されます。表示が基準に従っていない食品を販売した場合には、2年以下の拘禁刑または200万円以下の罰金、法人には1億円以下の罰金が科されることがあります。
保健所などが見るのは、仕入時に販売元から特定原材料等の有無について情報提供を受けているかを関係書類から確認すること、製品を試験検査すること、製造ラインの洗浄方法などの混入防止策を確認すること、の3点です。書類が残っているかを見られる、ということです。
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FAQ
Summary
アレルギー表示は、覚えることが多いように見えて、決める順番は決まっています。対象になる商品か。義務の9品目までか、推奨を含めた29品目までか。個別表示か一括表示か。設備の共用があるなら注意喚起をどう書くか。
いま手を付けるとしたら、ラベル台紙の在庫と製造予定日の突き合わせです。2028年4月1日以降に製造するものは、カシューナッツを含む9品目で表示する必要があります。8品目のまま刷った台紙が何枚残っていて、それを使い切るのがいつになるか。ここが分かれば、刷り直す時期が決まります。
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