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ドライフルーツのOEMで甘い品種を選ぶと失敗する理由

この記事の要約
ドライフルーツOEMを、原価の決まり方から実務まで整理しました。歩留まりは7〜10%で、生果1kgから取れる製品は70〜100g。規格外品を使うとさらに落ち、柑橘は種が落ちるぶん残る量が減ります。糖度が高すぎる品種は甘さが濃縮されてえぐみが出るうえ、保管中に変色するため、乾燥方式より先に品種で決まります。そのまま食べるなら熱風、お茶なら温風、パウダーや1年以上の日持ちが要るならフリーズドライという用途別の使い分け、果実のパウダーが糖度で粉末になりにくい理由、原料の確保は旬の3〜6ヶ月前から動く必要があること、柑橘の隔年結果、国産無添加の賞味期限が6ヶ月程度で糖度によりさらに短くなり輸出に向かないこと、食品表示と規格書、自社ブランド・企業ノベルティ・業務用という3つの出口までを扱っています。

ドライフルーツのOEMは、果実の乾燥加工から袋詰めまでを製造委託し、自社ブランドで販売する仕組みです。設備を持たなくても商品を持てる一方、乾燥野菜や菓子のOEMとは原価の決まり方が大きく違います。

違いの正体は歩留まりです。果実は水分が8割以上あるうえ、皮や芯、種を取り除くため、生果1kgから取れる製品は70〜100gほどにしかなりません。ここを理解しないまま見積もりを見ると、原料単価が高すぎるように見えます。

この記事は、ドライフルーツを自社商品として立ち上げたい方に向けて、歩留まりと原価の関係、乾燥方式の選び分け、ミックスや詰め合わせの組み方、製造枠の季節性、無添加でつくるときに実際に起きること、表示と検査の実務までを整理しました。Agritureは京都府京丹後で100品目近い乾燥野菜・ドライフルーツを自社加工しており、内容は実際の受託現場に基づいています。

目次

どこまで任せられるのか

発注側が決めるのは、品目・容量・ロット・販路の4つです。原料の手配から乾燥、カット、充填までは製造側が担います。

委託できる工程

工程委託できる内容発注側で決めること
原料調達産地・品種の選定、契約農家との調整、規格外品の確保国産か輸入か、産地訴求の有無
前処理洗浄、皮むき、芯抜き、種抜き、カット皮を残すか、輪切りかスティックか
乾燥熱風乾燥・低温乾燥・フリーズドライ仕上がりの食感と価格帯
配合複数品目のブレンド、ナッツとの組み合わせ単品かミックスか
充填・包装計量充填、シール貼付、箱詰め容量とパッケージ仕様
出荷指定倉庫への納品、EC倉庫への直送納品先と出荷日

原料を持ち込んで乾燥だけ委託する形も選べます。自社で果樹園を持っている場合や、規格外品の活用が目的の場合はこの形が多くなります。

何を売りにして並べるか

ドライフルーツ市場は、健康志向とギフト需要の 2つの方向から伸びてきました。商品を立てるときは、どちらの文脈で語るかを先に決めます。

訴求軸刺さる相手商品側で必要になること
無添加・砂糖不使用原材料表示を読んで選ぶ層表示の裏づけと、褐変や硬さへの説明
スーパーフード・機能性健康目的で買う層素材の選定。効能を断定しない表現の設計
国産・産地指定贈答用途、産地を重視する層契約栽培などトレーサビリティの確保
アップサイクル・サステナビリティ企業の配布物、理念を重視する層規格外果実の安定確保

機能性を打ち出す場合、健康効果を断定する表現は景品表示法や健康増進法の観点で問題になります。素材の特徴を述べるにとどめ、効能の断定は避ける設計にします。

商品の出口は3つに分かれる

同じドライフルーツでも、どこに出すかで求められる仕様がまるで変わります。相談の入口で最も多い3つを整理します。

出口求められること効いてくる仕様
自社ブランド・PBリピートされる味と、棚で選ばれる見た目賞味期限、容量設計、表示、価格帯
企業ノベルティ・法人ギフト配布数の確保と、渡した相手に嫌われないこと小ロット、個包装、アレルギー表示、常温流通
業務用・卸安定供給と加工しやすさ規格の均一性、大容量、通年の供給力

ノベルティは容量が小さく個包装が前提になるため、同じ原料でも1個あたりの加工費の比重が上がります。配布数と単価の関係は小ロット500個からつくれる食品ノベルティで整理しています。ドライフルーツを配布物として使う場合の選び方はドライフルーツのノベルティが参考になります。

国産果実を乾燥加工したドライフルーツが並ぶ製造工場
国産果実を乾燥加工したドライフルーツ。品目ごとに歩留まりが大きく変わる

原価を決めるのは歩留まり

ドライフルーツOEMで最初につまずくのが原価です。乾燥野菜や菓子と同じ感覚で見積もりを見ると、原料単価が高すぎるように感じます。理由は果実の水分量にあります。

歩留まりは1割前後になる

弊社の製造現場では、フルーツも野菜も歩留まりは7〜10%に収まります。生果1kgから取れる製品は70〜100gです。

歩留まり生果1kgから製品1kgに必要な生果
10%(条件がよい場合)100g10kg
7%(ロスが多い場合)70g約14kg

水分量だけで計算すると、りんごなら17%前後という数字が出ます。ただ実際には、皮・芯・種・ヘタの除去に加えて、カットや乾燥、選別の各工程でロスが乗ります。その結果が1割前後という実測値です。見積もりを読むときは、計算上の理論値ではなくこちらを前提にしてください。

規格外品を使うとさらに落ちる

規格外の果実は仕入れ値が下がりますが、傷んでいる箇所や腐りが入っている部分を取り除く工程が加わります。そのぶん歩留まりは7%を下回ることもあります。

原料が安く手に入る代わりに、必要な生果の量が増えるという関係です。原価を試算するときは、単価と歩留まりの両方を動かして見ないと実際の数字になりません。アップサイクルの文脈で規格外を使う場合も、この点は先に共有しています。

柑橘は種が落ちて歩留まりが下がる

柚子やすだちのような柑橘は、乾燥の工程で種が落ちます。これも歩留まりを押し下げる要因です。

ここは商品の設計で回避できます。弊社の柚子チップは、種を含めて丸ごと粉砕する設計にしています。除く工程をなくすことで捨てる部分がなくなり、原料を全量使えます。粉末やチップとして使う用途なら、この形が選べます。

逆に、輪切りのまま見せる商品にすると種を除く必要が出て、歩留まりが落ちます。カット形状を決める前に、種をどう扱うかを決めておくと原価が変わります。

乾燥野菜と比べたときの価格差

同じ乾燥品でも、ドライフルーツは乾燥野菜の3〜6倍の単価になります。キャベツやにんじんが数千円台で調達できるのに対し、国産のりんごやみかんは1万円台から2万円台です。

原価を下げる余地は、原料・ロット・包装・工程の4つにあります。

  • 旬の時期にまとめて調達する。相場が最も落ち着く
  • 規格外品を使う。見た目の基準を外すだけで調達の幅が広がる
  • ロットを適正化する。小ロットは初期費用を抑えられるが単価は上がる
  • 過剰包装を避ける。透明パウチとラベルなら印刷版代がかからない
  • カットと乾燥の条件を固定して、工程のばらつきを減らす

この差が商品設計に直結します。乾燥野菜のミックスは200gで成立しますが、ドライフルーツを同じ容量で組むと売価が跳ね上がります。ドライフルーツは40〜100gの小容量か、ギフト・ノベルティのように単価を許容できる用途に寄せるのが基本の型です。品目ごとの相場はドライフルーツの価格相場で整理しています。

国産のドライフルーツが市場にあまり出回っていないのは、この歩留まりの重さが単価に効いてくるためです。詳しくは高単価の国産ドライフルーツが少ない理由で解説しています。

熱風乾燥機でドライフルーツを加工している製造工程
熱風乾燥の工程。方式によって食感・色・加工費が変わる

乾燥方式より先に、品種で決まる

果実を乾燥させると甘みが凝縮されます。ここから「糖度の高い品種を選べばおいしくなる」と考えられがちですが、実際には逆のことが起きます。

糖度が高すぎると失敗する

水分が抜けるぶん糖が濃縮されるため、元の糖度が高い果実は甘さが過剰になります。ちょうどよい範囲を通り越すと、後味に雑味として残ります。弊社の製造現場では、これをえぐみと呼んでいます。

糖度が高すぎるといつ分かるか後から直せるか
甘さが濃縮されすぎてえぐみが出る試作の試食で分かる乾燥条件では戻せない。品種を替える
保管中に色が変わる出荷後、時間が経ってから出る包装では止めきれない。品種の選定に戻る

やっかいなのは変色のほうです。試作では問題なくても保管中に色が変わるため、商品を出したあとに気づくことがあります。乾燥方式や包装で抑えようとしても限界があり、結局は原料の選定まで戻ることになります。

甘さも酸味も突出しない品種を選ぶ

基準は、甘さが強すぎず、酸味も強すぎないことです。どちらかに振り切った品種は、乾燥後にその要素だけが際立ちます。生で食べておいしい品種が、乾燥させてもおいしいとは限りません。

弊社のドライ梨は、京都府京丹後産の二十世紀梨を使っています。甘さが比較的抑えられた品種で、濃縮されてもえぐみが出ません。ドライみかんも同じ考え方で、甘さが強すぎず酸味も強すぎない品種を選んでいます。

原料を持ち込んで乾燥だけを委託する場合も、この確認を先に行います。手元の果実の品種と糖度をお知らせいただければ、乾燥に向くかどうかを試作の前に見立てられます。

無添加だと香りが残る

日本の果実は甘味が強いため、砂糖を足さなくても自然な甘さが出ます。フルーツティーのように果実を戻して使う用途では、この特性がそのまま活きます。

柑橘のように香りの強い果実では、差がはっきり出ます。砂糖を使わず自然に乾燥させると、柑橘のフレッシュな香りがしっかり残ります。加糖すると糖の甘さが前に出て、香りが埋もれます。無添加は日持ちの面では不利ですが、香りでは有利という関係です。

乾燥方式で食感と価格帯が決まる

方式は3つあり、狙う価格帯から逆算して選びます。仕上がりの食感が変わるため、後から変更すると商品が別物になります。

3方式の比較

つくりたいもの向く方式理由
そのまま食べるドライフルーツ熱風乾燥食感と価格のバランスがよい
お茶に入れて使う温風乾燥香りの残り方と戻りのバランスがよい
パウダーフリーズドライ糖度が高いと粉末になりにくい。水分が抜けているFDなら粉砕できる
1年以上の賞味期限が要るフリーズドライ水分が最も低く、保存性が高い

方式ごとの仕上がりの違いも押さえておきます。熱風は食感が残りやすく価格を抑えられます。温風は香りが残るため、お茶や飲み物に入れる用途に向きます。フリーズドライは色と形をほぼ保ちますが、加工費が上がり、吸湿しやすいため個包装や脱酸素剤が前提になります。

パウダーはフリーズドライが前提になる

意外と知られていないのが、果実のパウダー化の難しさです。糖度が高いため、粉末になりにくいという性質があります。熱風や温風で乾かしたものを粉砕しようとしても、糖がべたついて粉になりません。

ここで有効なのがフリーズドライです。水分が十分に抜けているため、粉砕の方法次第できれいなパウダーに仕上がります。フルーツパウダーの相談をいただいた場合、弊社はフリーズドライを前提にお見積りしています。

賞味期限を伸ばしたい場合も同じです。無添加のドライフルーツは6ヶ月程度ですが、フリーズドライなら1年以上を狙えます。日持ちが要件になる案件は、方式の選択で解決できることがあります。

方式ごとの違いは乾燥野菜とフリーズドライの違いでも扱っています。用途が決まっていない段階でも、そのまま食べるのか、お茶に使うのか、粉にするのかだけ決めていただければ、方式はこちらでご提案できます。

半生とカリカリのどちらにするか

仕上げの水分をどこに置くかで、商品性と管理の難しさが変わります。

タイプ食べたときの印象賞味期限注意点
セミドライ(半生)やわらかく果実に近い。満足感が高い短くなりやすい水分が残るぶんカビのリスク管理が要る
ドライ(カリカリ)軽い。日持ちする長く取れる硬さがレビューで指摘されることがある

ギフトや百貨店向けはセミドライが好まれ、ノベルティや長期保管が前提の用途はドライが向きます。同じ品目でも両方つくれるため、出口を決めてから水分を決める順番になります。

ミックスと詰め合わせをどう組むか

単品よりミックスや詰め合わせのほうが、原価の調整幅が広がり、見た目でも差がつきます。一方で組み方を誤ると、開封後に品質が崩れます。

単品とミックスの使い分け

単品ミックス・詰め合わせ
訴求品種と産地を言い切れる色数と種類の多さで見せられる
原価その品目の相場に直結する安い品目を混ぜて調整できる
在庫1品目に集中するので回しやすい品目ごとの最低ロットが積み上がる
向く出口産地ギフト、業務用、製菓材料ノベルティ、贈答、EC

品目を増やすほど、各品目の最低ロットが積み上がって在庫が滞留します。色数を確保したいだけなら3〜5種で足りることが多く、原価と在庫の両面で収まります。

詰め合わせの中身をどう割り振るか

市販の詰め合わせを見ると、安いセットほど特定の品目で嵩が稼がれています。パイナップルやパパイヤ、レーズンのような輸入の加糖品は単価が低く、量を入れても原価が上がりません。

自社商品として組むなら、原価の重い品目をどこに置くかを先に決めます。

役割比率の目安選ぶ品目
主役3〜4割産地や品種を言える高単価品。商品名に入れる
色をつくる3〜4割橙・赤・黄が出る品目。写真映えを担う
量を支える2〜3割歩留まりのよい品目。原価を抑える

主役を2品目以上入れると原価が跳ねます。1品目に絞り、残りで色と量をつくると、価格と見栄えのバランスが取りやすくなります。

ナッツと組み合わせるときの注意

ドライフルーツとナッツを1つの袋に入れる商品は増えていますが、製造側から見ると難易度が上がります。水分がフルーツからナッツへ移るためです。

  • ナッツがしけって食感が落ちる。ローストの香ばしさが先に消える
  • フルーツ側は乾いて硬くなる。半生タイプほど差が出る
  • ナッツの油分がフルーツに移り、風味が混ざる
  • 賞味期限は、水分の多い側ではなく劣化の早い側に引きずられる

市販のミックス商品が小袋の個包装になっているのは、この移行を止めるためです。大袋で1種類にまとめるなら、フルーツ側の水分を低めに仕上げるか、そもそも別包装にして箱でセットにする設計が現実的です。

ナッツを使った配布物としての設計は企業ノベルティ用ナッツの活用法で扱っています。食べる側から見た組み合わせの考え方はドライフルーツとナッツの組み合わせ方にまとめました。

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ドライフルーツのOEM商品開発を打ち合わせしている様子
商品コンセプトと仕様を詰める打ち合わせ。試作前に決めることが多い

依頼から納品までの流れ

初めてOEMで商品をつくる場合、どの順番で何を決めるかが分からないという相談が多くあります。ドライフルーツは収穫期の制約が入るため、一般的な食品OEMより前工程が長くなります。

段階決めることつまずきやすい点
1. ターゲットと出口誰に、どの販路で売るかここが曖昧だと容量も包装も決まらない
2. コンセプト設計品目、乾燥方式、食感、容量、パッケージ色を売りにするか否かで方式が変わる
3. 委託先の選定扱える品目と、生鮮を確保できる時期を確認する複数社に当たるうちに旬を逃す
4. 試作2〜3パターン振って食感と色を評価する1回で決めようとして後戻りする
5. 最終仕様の確定原料・製法・水分・包装・表示表示の確認を後回しにして刷り直しになる
6. 契約数量、納期、価格、品質基準、知財の扱い配合の権利関係を書かずに進める
7. 生産小ロットで出して反応を見る初回から在庫を積みすぎる

試作の段階は省かないことをおすすめします。理想と実物のギャップはここでしか埋まりません。既存在庫の品目で組む場合は乾燥からの試作が不要になるため、この工程は大幅に短くなります。

新しい果実を生鮮から手配する場合は、次に述べる収穫期の制約が加わります。相談から発売までは半年から1年を見ておいてください。

製造枠には季節がある

ドライフルーツOEMで見落とされやすいのが、発注のタイミングです。果実は収穫期が限られるため、加工できる時期も限られます。

収穫期に加工枠が集中する

相談をいただくタイミングで最も多い誤解が、「旬だから今つくれるはず」というものです。実際は逆で、旬に入った時点では動けません。

一定の数量をつくるには、製造側が生鮮の果実を確保しておく必要があります。いちごの旬は春ですが、その量を押さえるには冬のうちに動いておかなければ間に合いません。乾燥設備の枠だけでなく、その前段の原料手配まで遡って考える必要があります。

フルーツも野菜も、旬の3〜6ヶ月前に相談するのがベターです。

品目旬(加工できる時期)相談したい時期
いちご前年の秋から冬
もも冬から春先
初秋春から初夏
りんご初夏から夏
柑橘(みかん・柚子)晩秋から冬初夏から初秋

相談の時期は、旬から3〜6ヶ月さかのぼった範囲です。この幅の中で品目と数量が固まっていれば、生鮮の確保が間に合います。なお表は加工の時期であって、販売の時期ではありません。乾燥品は常温で保存できるため、収穫期にまとめて仕込み、年間を通じて出荷する形になります。

柑橘は豊作の年に作り置きする

柚子やすだちのような柑橘には、実の付き方が年によって変わる性質があります。収量が落ちる年を、産地では裏作と呼びます。裏作の年は仕入れ値が上がるため、そこで慌てて仕込むと原価が跳ねます。

乾燥品は生果より日持ちするので、収量と価格が有利な年にまとめて乾燥し、在庫で回すのが得策です。年間の仕込み計画を立てる意味はここにあります。単年で考えず、2年をひとまとまりで見ると原価が安定します。

発売日から逆算する

初めての品目を立ち上げる場合、収穫期をまたぐため準備期間が長くなります。逆算の順番はこうなります。

  • 発売日を決める
  • そこから流通と在庫の期間を引く
  • 充填と検査の期間を引く
  • 乾燥加工の枠を押さえる。ここが収穫期に固定される
  • 原料の手配を、収穫期の前に確定させる

収穫期を1回逃すと1年待つことになります。年内に出したい商品があるなら、春から夏のうちに品目を確定させておくのが安全です。既存在庫の品目で組む場合はこの制約が外れるため、立ち上げは大幅に早まります。

無添加・砂糖不使用でつくると起きること

「無添加対応可」と書いてあるメーカーは多いものの、つくったあとに何が起きるかを説明した情報は多くありません。実際には仕上がりと管理の両面で違いが出ます。

見た目と食感に出る変化

起きること原因対応の方向
色が茶色く沈む果実の褐変。りんご・梨・バナナで出やすい色を売りにしない設計にするか、カットから乾燥までを短くする
時間が経つと硬くなる糖を加えないぶん保水しない仕上げ水分をやや高めに取り、包装で守る
白い粉が浮く果実由来の糖が表面に出る現象不良ではない旨を商品ページに書いておく
ロットで色や甘さが変わる収穫時期・作柄による原料差仕様書で産地と時期を固定し、官能評価で外れを弾く

加糖品や漂白した輸入品と並べると、無添加品は見劣りすることがあります。ここは商品ページの書き方で吸収する部分で、製造だけでは解決しません。加糖タイプとの違いはドライフルーツの糖漬けと砂糖不使用タイプの違いで解説しています。

クレームになりやすい点を先に潰す

  • 白い粉を「カビ」と誤解される。商品ページとラベルで先に説明しておく
  • 硬さの指摘。想定する食べ方(そのままか、戻すか)を書いておく
  • 色のばらつき。写真を実物に寄せ、加工品であることを明示する
  • 開封後の湿気。チャック付きか個包装かを容量から決める

保存に関する説明は、購入者向けにドライフルーツの保存方法でも扱っています。商品ページから案内すると問い合わせが減ります。

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表示・賞味期限・検査の実務

小売で売る以上、商品ができてから表示でつまずくと出品できません。誰が何をつくるかを、発注の前に決めておきます。

ラベルに載せる項目

項目ドライフルーツ特有の注意
名称「乾燥果実」「ドライフルーツ」など内容がわかる一般的な名称にする
原材料名重量の多い順。砂糖・植物油脂・酸化防止剤を使えばすべて記載する
原料原産地名重量比が最も高い原材料の産地。複数県から調達するなら表記の設計が要る
内容量乾燥後の重量。生果換算は別表記にする
賞味期限検査で実測して設定する
保存方法直射日光と高温多湿を避ける旨。開封後の扱いも書く
栄養成分表示熱量・たんぱく質・脂質・炭水化物・食塩相当量

原料原産地表示は、同じ品目を複数県から仕入れる可能性があると表記が複雑になります。設計段階でルールを確認しておくと、あとで刷り直しになりません。詳しくは加工食品の原料原産地表示ルールで整理しています。

ノベルティとして配る場合も表示の義務は変わりません。配布物特有の論点は食品ノベルティの賞味期限・食品表示で扱っています。

賞味期限は実測してから決める

ドライフルーツの日持ちは、仕上げの水分と包装で決まります。半生タイプは水分が残るぶん短くなり、カリカリタイプは長く取れます。推定ではなく保存試験で実測してから設定するのが前提です。

目安として、国産・無添加・砂糖不使用でつくると賞味期限は6ヶ月程度です。糖度の高い品目や品種では、ここからさらに短くなります。海外産の砂糖漬けが長く日持ちするのは、糖が水分を抱え込んで保存性を上げているためです。無添加はここで不利になります。

この期限の短さは、輸出を考えるときの制約になります。輸送と現地での流通にかかる期間を差し引くと残り日数が足りません。国産の無添加ドライフルーツは、輸出向きの商材ではないというのが実感です。海外展開を前提にするなら、加糖するか、賞味期限の長い別の加工形態を検討することになります。

管理の指標になるのが水分活性です。食品中の水分のうち微生物が利用できる自由水の割合を示す値で、総水分量とは別物です。同じ水分15%でも、糖が水を抱え込んでいれば水分活性は下がり、カビが生えにくくなります。無添加・砂糖不使用でつくると糖による保水が効かないため、総水分をより低く抑える設計が必要になります。

  • 狙う期限を先に決める。3ヶ月か6ヶ月かで包装の選択が変わる
  • その期間で保存試験を回す。期間が終わるまで結果は出ない
  • 透明袋は退色が進むため、色を売りにするなら遮光の検討が要る
  • 脱酸素剤や乾燥剤を使うなら、包装の設計と同時に決める

期限の逆算を忘れると、発売日が検査の完了待ちでずれます。6ヶ月の期限を取りたいなら、その6ヶ月をスケジュールに織り込んでおきます。

規格書は誰が出すか

小売やモールとの商談では、規格書の提出をほぼ必ず求められます。アレルゲン、原材料の配合表、製造工程図が中身です。発行に対応していないメーカーだと商談が止まるため、初回の問い合わせ時に確認しておきます。

ナッツを併用する商品では、アレルゲンの扱いが特に重要になります。同じラインで他のアレルゲンを扱っているかどうかも、規格書に書く内容に含まれます。

規格外の果物を選別してドライフルーツの原料にする作業
規格外の果実を選別する工程。アップサイクルの起点になる

原料をどう確保するか

果実は天候と作柄の影響を強く受けます。同じ品目でも、調達の仕方によってロット・価格・追跡できる情報が変わります。

調達ルートの違い

ルート価格数量の読みやすさラベルに書けること
契約栽培・農家直事前合意で固定できる作柄に左右されるが計画は立つ産地・品種・生産者まで書ける
市場仕入れ相場で動くその時の入荷次第産地までは書ける
規格外品の活用抑えられる出方が読みにくいアップサイクルの文脈を出せる

品種や生産者まで書ける商品にしたいなら、契約栽培が前提になります。ストーリーで売る商品ほど調達の設計が先に来るということです。

供給が途切れないようにする

果実は作柄の影響が大きく、1つの産地や農家に依存すると不作の年に商品が止まります。継続して売る商品ほど、調達の冗長性が要ります。

  • 調達先を複数持つ。同じ品種を別の産地からも引けるようにしておく
  • 収穫期に冷凍で確保しておき、加工枠に合わせて解凍してから乾燥する
  • 年間の販売計画から逆算し、収穫期にまとめて仕込む
  • 端境期に切らさないよう、1〜2ヶ月分を安全在庫として持つ

冷凍原料は、収穫期と加工枠がずれる場合の現実的な選択肢です。生果のまま置けない果実でも、冷凍を挟めば時期をずらして加工できます。

規格外品の活用は、原価とサステナビリティの両方に効きます。Agritureは規格外野菜・果実のアップサイクルを事業の核にしており、この文脈での相談も受けています。業務用としての調達の考え方は業務用ドライフルーツの仕入れ先を見極める7つの基準にまとめました。

業務用の国産ドライフルーツ
業務用の国産ドライフルーツ。出口によって求められる規格が変わる

出口別に仕様を組み替える

同じ原料でも、出口が変われば容量も包装も変わります。最初に1つ立ち上げたあと、横に広げるときの考え方を整理します。

自社ブランド・PBとして出す

リピートで成立させる設計になるため、容量と価格のバランスが要になります。ドライフルーツは単価が高いので、初回は40〜60gのお試しサイズを置き、リピーター向けに100g前後を用意する二段構えが組みやすくなります。

透明パウチとラベルシールで始めれば、印刷版代をかけずに複数の品目を展開できます。売れ筋が見えてから印刷パウチに切り替える順番が、初期投資を抑えます。企画から販売までの流れはオリジナルPB食品を作る完全ガイドで扱っています。

企業ノベルティ・法人ギフトとして配る

配布物は、渡した相手に負担をかけないことが優先されます。個包装で常温、賞味期限に余裕があり、アレルギー表示が明確であることが条件になります。

  • 1個あたりの容量は小さく。20〜40gが扱いやすい
  • 個包装にする。大袋は配布に向かない
  • 配布日から逆算して賞味期限の残りを確保する
  • ナッツを入れるならアレルゲン表示を目立つ位置に置く
  • 企業ロゴはパッケージではなく台紙やシールで対応するとコストが下がる

ドライフルーツ単体で配るほか、果実の甘味を活かした二次製品にすると企画の幅が出ます。弊社ではこれまでに、りんごを使ったコーヒーや、みかんチップを使ったアイスを試作してきました。砂糖を足さなくても果実の甘さが出るため、無添加を掲げたままお茶や菓子、冷菓へ展開できます。

国産のドライフルーツは、ギフトとして渡したときの反応がよい商材です。輸入品との違いが分かりやすく、産地を語れることが効きます。

規格外果実を使ったノベルティは、配る側の姿勢を伝える手段にもなります。選び方は企業ノベルティ用ドライフルーツの選び方、企画全体の流れはオリジナルノベルティ製作の完全ガイド、ブランディング視点での選び方は企業ブランディングに効果的なノベルティの選び方で解説しています。

業務用・原料として卸す

製菓・製パン・飲料の原料として使う場合、求められるのは規格の均一性です。カットサイズ、水分、粒度が揃っていることが、相手のラインで使えるかを決めます。

この用途では大容量とコストが優先されるため、小売向けとは別の仕様になります。同じ品目でも、小売用と業務用で2つの規格を持つ形が現実的です。

販路をどう開くか

販路向く商品準備すること
自社EC・D2C産地や品種を語れる高付加価値品写真と商品説明。集客は別途設計する
ECモール容量とセットで単価をつくれる商品規格書、賞味期限、レビュー対策
百貨店・専門店ギフト向けのセミドライや詰め合わせ賞味期限の残日数、化粧箱、のし対応
ふるさと納税産地が明確な単品・詰め合わせ原料と加工地が自治体の要件を満たすか
展示会・商談会業務用、原料としての提案サンプルと規格書を先に用意する

ふるさと納税は、原料の産地と加工地の要件が自治体ごとに決まっています。京都府産の果実を京丹後で加工する構成なら要件を満たしやすく、乾燥品は常温で長期流通できるため返礼品との相性がよいカテゴリです。

SNSは、見た目と使用シーンを見せられる商品と相性がよい販路です。ドライフルーツは彩りが出るため、写真で伝わりやすい部類に入ります。ギフト用途での展開は乾燥野菜ギフトが喜ばれる理由、サステナビリティを軸にした贈答はSDGsギフトでも扱っています。

どの委託先に頼むか

ドライフルーツは配合の自由度より、メーカーが持っている原料と設備が上限になります。設備よりも、扱っている品目と収穫期の押さえ方を見るのが実務的です。

確認したい7項目

項目確認する内容
扱える品目希望の果実を実際に加工した実績があるか
乾燥方式熱風・低温・フリーズドライのどれに対応するか
原料調達自社で確保できるか、持ち込みが前提か
最低ロット製品単位と品目単位の両方を確認する
充填・包装個包装や箱詰めまで一貫でできるか
規格書アレルゲン・配合表・工程図を発行できるか
製造枠収穫期の枠をいつまでに押さえる必要があるか

最低ロットは二重構造になっている点に注意します。製品として「50個から」と書いてあっても、使う果実に最低の仕入単位があるため、実際に組めるロットはもっと大きくなることがあります。小ロットで始めたい場合の考え方は個人事業主のOEMに乾燥野菜やドライフルーツが向いている理由で扱っています。

乾燥加工のOEMについてわかる資料をご用意しています

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  • 既存原料100g~からOEM対応
  • 持ち込み原料の乾燥加工も可能
  • 加工から充填まで一括でサポート

まとめ

ドライフルーツOEMは、乾燥野菜や菓子のOEMとは原価の決まり方が違います。歩留まりは7〜10%で、生果1kgから取れる製品は70〜100gほど。規格外品を使えばさらに落ちます。この数字を理解しておくと、見積もりの読み方が変わります。

設計の順番は、出口を決める、乾燥方式と水分を決める、原料の調達ルートを決める、収穫期から逆算して発注する、という流れになります。とくに原料の確保は旬の3〜6ヶ月前から動く必要があります。旬に入ってからでは間に合わないため、年内に出したい商品があるなら春から夏のうちに品目を固めておいてください。

Agritureは京都府京丹後で、国産果実の乾燥加工を受託しています。規格外果実のアップサイクルを核に、原料の調達から乾燥、配合、充填までを一貫で担っています。自社ブランド、企業ノベルティ、業務用のいずれの出口にも対応できます。品目と数量、出したい時期をお知らせいただければ、収穫期を踏まえたスケジュールと単価をご案内します。

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    この記事を書いた人

    小島 怜のアバター 小島 怜 Agriture CEO

    株式会社Agriture CEO/乾燥野菜やドライフルーツを中心とした受託加工・OEM事業。京都府内の農家と連携し、規格外野菜の活用や6次産業化支援を通じて、「持続可能な食の流通」を追求している。製造現場での豊富な実体験を活かし、商品企画から試作、小ロット対応、パッケージ設計、販路開拓支援まで、OEMを検討するすべての事業者に伴走するサポートを提供。

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