株式会社Agritureの会社概要資料はこちらからダウンロードできます

乾燥野菜の原産地表示ルール|原料原産地表示制度を解説

この記事の要約
乾燥野菜の原料原産地表示制度について、2022年4月完全施行の背景と、国別重量順表示・製造地表示・又は表示・大括り表示の4パターンを具体例付きで解説します。「国産」と「国内製造」の決定的な違い、乾燥工程による重量変化への対応、複数野菜ブレンド時の計算方法、食品表示法違反時の最大1億円の罰金リスクと回避策を詳しく紹介します。
目次

この記事でわかること

  • 原料原産地表示制度の背景と2022年4月完全施行の経緯
  • 「国産」「国内製造」「又は表示」「大括り表示」の4パターンを具体例付きで解説
  • 乾燥野菜を原料に使う場合の表示方法と重量変化への対応
  • 違反事例と罰則(食品表示法違反は最大1億円の罰金)
  • 自社製品に使える原産地表示チェックリスト

原料原産地表示制度とは何か

制度の目的と背景

原料原産地表示制度は、消費者が加工食品を購入する際に、主要な原料がどこで生産されたものかを正しく把握できるようにするための仕組みです。食品の安全性への関心が高まるなか、産地情報の透明性を高めることが求められてきました。

もともと日本では、漬物やうなぎ蒲焼など一部の加工食品にのみ原料原産地表示が義務づけられていました。しかし、消費者の「原料がどこ産か知りたい」というニーズの高まりを受け、2017年9月に食品表示基準が改正され、国内で製造するすべての加工食品に対象が拡大されました。

2022年4月の完全施行までの流れ

改正された食品表示基準は、2017年9月1日から施行されましたが、事業者の準備期間として約4年半の経過措置が設けられました。この経過措置期間が終了し、2022年4月1日から完全施行となりました。

完全施行以降は、国内で製造されるすべての加工食品について、重量割合が最も高い原材料の原産地を表示することが義務づけられています。乾燥野菜を原料として使う食品メーカーにとっても、この制度への正確な対応は不可欠です。

制度の詳細は農林水産省の原料原産地表示制度に関するページで公開されています。

対象となる加工食品の範囲

制度の対象は、日本国内で製造・加工されたすべての加工食品です。乾燥野菜そのものが最終製品の場合はもちろん、乾燥野菜を原料として配合するスープ・カレー・お惣菜・インスタント食品なども対象となります。

ただし、以下のケースは表示義務の対象外となります。

  • 外食・中食(店舗での対面販売など)
  • 容器包装に入れずに販売するもの
  • 酒類(酒税法で規定される飲料)

原産地表示の4つのパターン

パターン1:国別重量順表示(基本ルール)

最も基本的な表示方法です。原料の原産国を、使用した重量の多い順に記載します。産地が安定している場合は、この方法が推奨されます。

表示例:

  • 「乾燥キャベツ(国産)」→ 日本産キャベツのみを使用
  • 「乾燥にんじん(中国産、国産)」→ 中国産が多く、日本産も使用
  • 「乾燥ほうれん草(アメリカ産)」→ アメリカ産のみ

国産の場合は「国産」と表示し、輸入品の場合は「原産国名」を表示します。2か国以上の原料を使っている場合は、重量割合の多い順に並べます。

パターン2:製造地表示(国内製造)

原料の産地が頻繁に切り替わるなどの理由で、国別重量順表示が困難な場合に使える方法です。原材料そのものではなく、加工(製造)した場所を表示します。

表示例:

  • 「乾燥ほうれん草(国内製造)」→ 日本国内の工場で乾燥加工されたもの

注意点として、「国内製造」は原料の栽培地が日本であることを意味しません。中国で栽培された野菜を日本で乾燥加工した場合でも「国内製造」と表示できます。この違いは後述する「国内製造」と「国産」の比較で詳しく解説します。

パターン3:又は表示

仕入先や産地が時期によって変動し、国別重量順表示が難しい場合に認められる方法です。過去の使用実績に基づいて、使用可能性のある産地を「又は」でつないで表示します。

表示例:

  • 「乾燥大根(国産又はアメリカ産)」
  • 「乾燥にんじん(中国産又は国産)」

又は表示を使用する場合、過去の実績に基づき、使用割合の高い産地から順に記載する必要があります。また、消費者への誤認を防ぐため、容器包装のどこかに「産地は、原料の仕入先の変更等により変動することがあります」などの注意書きが必要です。

パターン4:大括り表示

3か国以上の産地から原料を調達しており、かつ産地が頻繁に変わる場合に使える方法です。「輸入」「国産」といった大きなくくりで表示します。

表示例:

  • 「乾燥野菜ミックス(輸入)」→ 複数国からの輸入原料
  • 「乾燥野菜ミックス(輸入又は国産)」→ 大括り表示+又は表示の組み合わせ

大括り表示は、国別重量順表示や又は表示が困難な場合にのみ認められます。原則として、できるだけ具体的な産地を表示することが推奨されています。

表示パターン 使用条件 具体例
国別重量順表示 産地が安定している場合(基本) 乾燥キャベツ(国産)
製造地表示 国別表示が困難な場合 乾燥ほうれん草(国内製造)
又は表示 産地が時期により変動する場合 乾燥大根(国産又は中国産)
大括り表示 3か国以上で頻繁に変動する場合 乾燥野菜(輸入)

「国内製造」と「国産」の決定的な違い

消費者が最も誤認しやすいポイント

「国内製造」と「国産」は、たった数文字の違いですが、意味は大きく異なります。乾燥野菜においてこの違いは特に重要です。

表示 意味 原料野菜の産地
国産 原料の野菜が日本国内で栽培されたもの 日本
国内製造 日本の工場で乾燥加工されたもの 問わない(海外産の可能性あり)

たとえば、中国で栽培されたほうれん草を輸入し、日本国内の工場で乾燥加工した製品は「国内製造」と表示できます。一方、「国産」と表示するには、原料となる野菜そのものが日本で栽培されている必要があります。

事業者が注意すべき表示の落とし穴

消費者庁は、「国内製造」を「国産」と同じ意味だと消費者が誤認しやすいことを繰り返し注意喚起しています。食品メーカーの立場では、以下の点に留意が必要です。

  • 自社パッケージで「国内製造」と表示する場合、消費者に誤解を与えない表現になっているか確認する
  • 問い合わせ対応のマニュアルに「国内製造と国産の違い」を明記しておく
  • 仕入先から「国内製造」の原料を調達する場合、原料の栽培地を別途確認する

乾燥野菜特有の表示上の注意点

乾燥工程による重量変化と原料割合の計算

乾燥野菜の原産地表示で特に注意が必要なのが、乾燥工程による重量変化です。野菜は乾燥させると水分が抜け、重量が生の状態の約10分の1になります。

原料原産地表示は「重量割合が最も高い原材料」に対して義務づけられていますが、乾燥野菜を使う場合、乾燥前の重量で計算するか、乾燥後の重量で計算するかによって順位が変わることがあります。

食品表示基準では、最終製品に使用される状態での重量で比較することが原則です。つまり、乾燥した状態で配合する場合は乾燥後の重量、復元して使う場合は復元後の重量で計算します。配合設計の段階からこの点を意識しておくことが重要です。

複数の乾燥野菜をブレンドする場合

乾燥野菜ミックスなど、複数の野菜をブレンドする製品では、表示はさらに複雑になります。この場合、最も重量割合が高い野菜の原産地を表示します。

たとえば、乾燥キャベツ(国産)50%、乾燥にんじん(中国産)30%、乾燥ほうれん草(国産)20%のミックスの場合、重量割合1位のキャベツについて「国産」と表示します。

ブレンド比率が時期によって変わる可能性がある場合は、又は表示や大括り表示の活用も検討しましょう。

違反事例と罰則

食品表示法に基づく罰則規定

原料原産地表示に関する違反は、食品表示法に基づいて取り締まられます。罰則は違反の内容によって異なります。

違反内容 罰則
表示義務違反(原産地未表示) 指示→命令→罰金(個人50万円以下、法人1億円以下)
原産地の虚偽表示 直罰あり(個人2年以下の懲役又は200万円以下の罰金、法人1億円以下の罰金)

特に原産地の虚偽表示については、行政処分を経ずに直接罰則が適用される「直罰」の対象です。中国産の原料を「国産」と偽るなどの行為は、企業の信用を根底から揺るがすリスクがあります。

過去に報告されている違反傾向

農林水産省や消費者庁が公表している指示・命令事例では、以下のような違反が確認されています。

  • 輸入原料を使用しているにもかかわらず「国産」と表示
  • 重量順位を誤って記載(2番目に多い産地を先に表示)
  • 「又は表示」の使用要件を満たしていないのに使用
  • 製造地表示を使えない条件で「国内製造」と表示

違反が発覚した場合、罰金だけでなく、企業名の公表やメディア報道による風評被害など、金額以上のダメージを受ける可能性があります。

自社製品の原産地表示チェックリスト

仕入れ・調達段階のチェック

  1. 原料となる乾燥野菜の栽培地(産地)をサプライヤーに確認したか
  2. 「国内製造」と「国産原料」の区別を正しく把握しているか
  3. サプライヤーから産地証明書・原産地証明書を入手しているか
  4. 産地の切り替わりがある場合、その頻度と実績を記録しているか
  5. 複数の乾燥野菜を使う場合、各原料の重量割合を正確に把握しているか

表示作成段階のチェック

  1. 重量割合1位の原材料に原産地表示を入れているか
  2. 使用する表示パターン(国別順・製造地・又は・大括り)は適切か
  3. 「国内製造」を使用する場合、消費者に誤認を与えない表記になっているか
  4. 又は表示を使う場合、過去実績に基づく割合順になっているか
  5. 注意書き(産地変動の可能性等)が必要な表示パターンで漏れていないか
  6. 乾燥前後の重量変化を考慮した原料割合計算になっているか

Agritureの乾燥野菜は国産原料100%で、産地証明書やロットごとのトレーサビリティ情報を提供しています。原産地表示に必要な情報をスムーズに入手できるため、表示作成の負担を軽減できます。

まとめ

原料原産地表示制度は、2022年4月の完全施行以降、すべての加工食品メーカーに対応が求められています。乾燥野菜を原料として使用する場合は、「国産」と「国内製造」の違いを正しく理解し、乾燥工程による重量変化も考慮したうえで、適切な表示パターンを選択することが重要です。

表示ミスは罰則リスクだけでなく、消費者からの信頼を失うことにもつながります。仕入れ段階から産地情報を正確に管理し、チェックリストを活用して漏れのない表示を心がけましょう。

原産地表示を含む品質管理については、業務用乾燥野菜のページでも紹介しています。品質規格の読み方国産・中国産の比較もあわせてご確認ください。受託加工サービス生野菜から乾燥野菜への切り替えガイド取り扱い商品一覧も参考にしてください。

業務用仕入れでも原産地の確認は必要ですか?

BtoB取引の場合、最終消費者向けの容器包装に表示義務がかかります。業務用原料として仕入れる段階では表示義務は免除されるケースもありますが、自社の最終製品に正確な表示を行うためには、仕入先からの産地情報の入手は必須です。サプライヤーに産地証明書の発行を依頼しましょう。

原産地表示に違反した場合の罰則はどの程度ですか?

食品表示法に基づき、表示義務違反の場合は指示・命令を経て罰金(法人は最大1億円以下)が科されます。原産地の虚偽表示はさらに厳しく、直罰の対象で、法人は1億円以下の罰金、個人は2年以下の懲役又は200万円以下の罰金が科される可能性があります。金銭的な罰則に加え、企業名の公表による信用失墜のリスクも大きいため、表示の正確性には細心の注意が必要です。

乾燥野菜をブレンドして使う場合、原産地表示はどうなりますか?

複数の乾燥野菜をブレンドする場合、最終製品中で最も重量割合が高い原材料の原産地を表示します。たとえば、キャベツ・にんじん・ほうれん草のミックスでキャベツが最多なら、キャベツの原産地を表示します。ブレンド比率が変動する可能性がある場合は、「又は表示」や「大括り表示」の活用も検討してください。

原産地が頻繁に変わる場合はどう表示すればよいですか?

産地が時期によって変動する場合は「又は表示」が使えます。過去の使用実績に基づいて割合の高い産地から順に「国産又は中国産」のように表示します。3か国以上で頻繁に変動する場合は「大括り表示」(「輸入」など)も認められています。いずれの場合も、産地が変動する旨の注意書きを併記することが求められます。

消費者からの産地問い合わせにはどう対応すべきですか?

「国内製造」表示の製品に対して「原料はどこ産ですか?」という問い合わせが増えています。対応マニュアルには「国内製造」と「国産」の違いを明記し、正確に回答できる体制を整えましょう。サプライヤーから最新の産地情報を定期的に入手し、問い合わせに迅速に対応できるようにしておくことが消費者の信頼獲得につながります。

乾燥工程で重量が変わる場合、原料割合はどう計算しますか?

食品表示基準では、最終製品に使用する状態での重量で比較するのが原則です。乾燥状態のまま配合する場合は乾燥後の重量で、水戻しして使う場合は復元後の重量で原料割合を算出します。乾燥すると重量が約10分の1になるため、生野菜と混在する製品では特に注意が必要です。配合設計時に計算方法を統一しておきましょう。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

小島 怜のアバター 小島 怜 Agriture CEO

株式会社Agriture CEO/乾燥野菜やドライフルーツを中心とした受託加工・OEM事業。京都府内の農家と連携し、規格外野菜の活用や6次産業化支援を通じて、「持続可能な食の流通」を追求している。製造現場での豊富な実体験を活かし、商品企画から試作、小ロット対応、パッケージ設計、販路開拓支援まで、OEMを検討するすべての事業者に伴走するサポートを提供。

目次