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フリーズドライとは?味噌汁・野菜・いちごに広がる乾燥技術をやさしく解説

この記事の要約
フリーズドライと熱風乾燥の違いを、国産野菜の乾燥加工を手がけるAgritureの視点で解説します。フリーズドライは戻りが速く、味噌汁のような液状のものも一食分の形にして乾かせる一方、量産ロットは乾燥前原料で300〜1,000kg程度が目安になり、少量の試作が取りにくい製法です。糖度の高い果物が熱風乾燥では乾き切らない理由、パウダーや練り込み用途で熱風乾燥を選ぶ理由、「体に悪い」と言われることへの製造者としての回答までまとめました。

ネット通販やお土産屋さんでよく目にする、チョコレートがかかったいちごのお菓子。インバウンド需要もあって人気の商品ですが、あの軽くてサクッとしたいちごはフリーズドライで作られています。

フリーズドライは、非常食やアウトドアだけでなく、インスタント味噌汁やスナック、菓子の素材まで幅広く使われている乾燥技術です。一方で、同じ「乾燥」でも熱風乾燥(エアードライ)とは仕組みも、向いている商品もまったく違います。Agritureは国産野菜・果物の乾燥加工を手がけるメーカーとして、日々どちらの製法で作るべきかを判断しています。

この記事でわかること
  • フリーズドライと熱風乾燥の仕組み・仕上がりの違い
  • 味噌汁・野菜・いちごなど用途別に、どちらの製法が向くか
  • 「フリーズドライは体に悪い」への、製造者としての回答
  • フリーズドライは1回の製造単位が大きいという、商品開発で効いてくる制約
目次

フリーズドライの仕組みとは?

フリーズドライ(凍結乾燥)は、食品をいったん凍結させたあと、真空状態に置いて水分を取り除く加工方法です。氷を液体の水に戻さず、そのまま気体に変える「昇華」を利用します。加熱して水分を飛ばすのではないため、素材の細胞構造が壊れにくいのが特徴です。

細胞のあった場所がそのまま空洞として残るため、水やお湯を注ぐと素早く元の形に戻ります。この戻りの速さこそが、フリーズドライ最大の強みです。

3つの乾燥方法を比べる

代表的な乾燥方法との違いを整理します。どれが優れているかではなく、作りたい商品によって答えが変わります。

比較項目フリーズドライ熱風乾燥(エアードライ)真空乾燥
乾燥のしかた凍結させて真空で昇華温めた風で水分を蒸発減圧して低めの温度で蒸発
温度帯凍結させたまま乾燥おおむね40〜70℃(低温帯や仕上げでは前後する)40〜80℃程度
戻りの速さ速い(湯を注いで数秒〜)ゆっくり戻す(煮る・浸す)製品による
食感サクサク/湯戻しでふんわり歯ごたえが残る柔らかめ
味の出方素材の味がそのまま残る旨味が出て味が染みる製品による
1回の製造単位大きい小さくできる装置による
主な商品例インスタント味噌汁、いちご菓子、宇宙食切り干し大根、ドライトマト、かやくペースト、調味パウダー

ここで注目したいのが「味の出方」の行です。フリーズドライは素材の状態をそのまま閉じ込めるのに対し、熱風乾燥は煮出したときに味が出て、料理になじみやすいという違いがあります。この差が、用途の向き不向きを決めています。

身近な例が即席麺のかやくです。業界団体の解説によると、乾燥方法のなかで生産量がもっとも多いのは熱風乾燥で、主に野菜類に使われます。一方フリーズドライは、たんぱく質を多く含む素材や香味野菜に採用されます。価格で選び分けているというより、素材の性質に合わせて製法を変えているわけです。

乾燥野菜との違いをさらに詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。

フリーズドライのお味噌汁

フリーズドライ味噌汁の魅力とは?

フリーズドライ食品でもっとも身近なのが味噌汁です。お湯を注ぐだけで、具の食感まで戻った一杯ができあがります。冷蔵が要らず常温で長く置けるため、家庭やオフィスの備え、非常食としても定着しました。

ここが、フリーズドライならではの点です。味噌汁のような液状のものを、そのまま一食分の形にして乾かせるのは、熱風乾燥にはできません。工程を追うと、次のように進みます。

工程やっていること
1. 調理大きな釜で味噌汁を仕込む
2. 分注1食分ずつトレイに流し込む
3. 凍結マイナス30℃前後で8時間以上かけて凍らせる
4. 乾燥真空凍結乾燥機に入れ、24時間以上かけて水分を昇華させる

ポイントは3の凍結です。凍らせた時点でブロックの形が保たれるため、そのまま乾かせば一食分の固まりになります。固めるために何かを混ぜているわけではありません。お椀に入れてお湯を注ぐと、その形がほどけて広がっていきます。

  • お湯を注ぐだけで、具材の食感まで戻る
  • 常温で長期保存でき、備蓄・オフィス常備に向く
  • 液状のものを一食分の形にできるため、商品設計の幅が広い

この「液体を一食分の形にして乾かせる」という点で、加工用途の広がりはフリーズドライに軍配が上がります。なお味噌と具材を別々に乾燥させて組み合わせる作り方もあり、メーカーによって設計は分かれます。

野菜をそのまま閉じ込めるフリーズドライ加工

味噌汁の具として使われるのが、フリーズドライの野菜です。凍らせたまま乾かすため、加熱による色や形の変化が起きにくく、ほうれん草小松菜のような葉物も、湯戻しでゆでたてに近い状態に戻ります。ごぼうや人参のような根菜は、スープや煮物にそのまま使えます。

ただし、野菜ならすべてフリーズドライが正解というわけではありません。むしろ、私たちが日常的に乾燥加工を手がけている立場から見ると、野菜は熱風乾燥のほうが向く場面が多くあります。

作りたいもの向く製法理由
味噌汁・スープの具フリーズドライ湯を注ぐだけで戻る速さが要る
煮物・炒め物の食材熱風乾燥味が染み、食感が残る
だしを取る素材熱風乾燥煮出したときに旨味が出る
野菜パウダー(練り込み用)熱風乾燥フリーズドライだと味が出にくい
飲料に溶かす素材熱風乾燥同上。風味を立たせたい用途

意外に思われるかもしれませんが、野菜パウダーをお菓子に練り込んだり、飲料に溶かしたりする用途では、フリーズドライだと味が出にくいと感じています。素材の状態をそのまま保つという長所が、この場合は「風味が立たない」という方向に働くためです。これは加工現場での実感であり、私たちがパウダー用途で熱風乾燥を選ぶ理由でもあります。取り扱っている品目は野菜パウダー一覧でご確認いただけます。

「フリーズドライのほうが上位の技術」と思われがちですが、実際は用途次第です。味を出したい商品なら熱風乾燥を選びます。

OEMの詳細資料をご用意

既存原料100g~から柔軟に対応できるAgritureの乾燥加工

乾燥野菜
  • 小ロットから大ロットまで対応
  • 持ち込み原料の乾燥加工も可能
  • 加工から充填まで一括でサポート

フリーズドライいちごが並んでいる写真

フリーズドライいちごの可能性

フリーズドライの中でも人気が高いのがいちごです。甘酸っぱさと香りが凝縮され、サクッと軽い食感に仕上がります。鮮やかな赤が残るため、チョコレートや抹茶をかけた菓子、ギフト商品として広く使われています。

糖度が高い果物こそフリーズドライ向き

果物をフリーズドライにする理由は、見た目や食感だけではありません。糖度が高い果物は、熱風乾燥では最後まで乾き切らないことがあるからです。

糖分が多いと水分が抜けにくく、乾燥させてもセミドライの状態で止まります。甘みが濃縮されて味そのものはおいしく仕上がる一方、水分が残るぶん日持ちしにくくなります。メーカーの立場では、輸出を考えたときに賞味期限の面で厳しくなるという判断につながります。

  • 糖度が高いほど水分が抜けにくく、乾燥に時間がかかる
  • セミドライで止まると、そのぶん日持ちの設計が難しくなる
  • 賞味期限が求められる輸出向けでは、この差が採否を分ける

その点フリーズドライなら、糖度が高い果物でもしっかり水分を抜けるため、パウダーに加工することもできます。チョコレートがけのいちごが成立するのも、この製法だからです。

果物の乾燥、製法の選び分け
  • いちごチョコ、パウダー、菓子の素材にする → フリーズドライ
  • そのまま食べるドライフルーツにする → 熱風乾燥のほうが味はおいしい
  • 糖度が高い果物を長く日持ちさせたい → フリーズドライ

加工品の素材としてはフリーズドライが強い一方、ただのドライフルーツとして食べるなら、熱風乾燥のほうが味はおいしく仕上がります。「フリーズドライにすれば良いものになる」とは限らない、というのが現場の実感です。

フリーズドライは体に悪い?

「フリーズドライは体に悪いのでは」という声を目にすることがあります。乾燥加工を仕事にしている立場からお答えすると、フリーズドライは水分を抜くだけの物理的な加工で、製法そのものに健康上の問題はありません。

なぜ長期保存できるのか

保存料を入れているから日持ちするのではありません。食品が傷むには水分が必要で、その水分を抜いてしまうから傷みにくくなる、というだけの話です。干し椎茸や切り干し大根が常温で置けるのと、原理は同じです。

よくある不安実際のところ
保存料が入っているのでは水分を抜くことで保存性を出しており、乾燥工程で保存料は使わない
加熱で品質が落ちるのではフリーズドライは凍結させたまま乾かすため、加熱による変化は起きにくい
加工食品だから不安乾燥は水分を除く物理的な工程。味付けや添加物は乾燥とは別の話
何を見て選べばよいか原材料表示を確認する。乾燥方法ではなく味付けの内容が判断材料になる

気をつけたいのは、乾燥そのものではなく乾燥する前の素材に何が加えられているかです。砂糖や油脂、香料を加えてから乾燥させた商品もあります。判断したいときは、製法ではなく原材料表示を見るのが確実です。

  • 味付けや添加物の有無は、原材料表示で確認する
  • そのまま食べると喉に詰まることがあるため、小さな子どもや高齢者は湯戻しして使う
  • 開封後は湿気を吸うため、早めに使い切る

むしろ冷蔵も保存料も要らずに常温で置けるという点で、扱いやすい食品だと考えています。

伝統野菜を商品開発

業務用・OEMでも注目の加工技術

フリーズドライは業務用原料としても使われています。インスタントのスープや雑炊、菓子の素材、輸出向けの常温商材など、活かせる場面は広がっています。

商品開発で最初にぶつかるのはロットの壁

ここが、これからフリーズドライで商品を作ろうとする方に、いちばんお伝えしたい点です。フリーズドライは装置が大きく、1回の製造で扱う量がまとまって必要になります。受託メーカーが示す量産ロットは、乾燥前の原料換算でおおむね300〜1,000kg程度が目安です。装置を動かす単位が大きいため、少量だけ試作するという進め方が取りにくい製法です。実際、業務用では一度に数万食を処理する大型機も使われています。

一方で熱風乾燥は、小さな装置から大きな装置まで幅があります。生鮮原料1kg程度から回せるため、まず少量で試して反応を見る、という進め方ができます。両者の違いを整理すると、次のようになります。

フリーズドライ熱風乾燥
量産ロットの目安乾燥前原料でおおむね300〜1,000kg小さくできる(生鮮1kg程度から)
少量の試作取りにくい取りやすい
設備コスト高い比較的抑えられる
向く進め方数量の見通しを立ててから小さく試して育てる

つまり、フリーズドライで商品を作るなら、ある程度の販売数量を見込んだうえで動く必要があります。「まず100個だけ試したい」という段階なら、熱風乾燥で作れる商品設計に寄せるほうが現実的です。事業計画をフリーズドライ前提で組んでしまうと、ロットが合わずに動けなくなることがあります。

小ロットでの商品開発の考え方は、以下の記事で詳しく解説しています。

Agritureは熱風乾燥・低温乾燥で対応します

Agritureでは、国産の野菜・果物を低温帯の熱風乾燥で加工しています。乾燥温度はおよそ45℃を目安に設定し、素材そのものの味が残る仕上がりを狙っています。パウダー加工やカット形状の指定にも対応しており、原料の持ち込み加工も承ります。

乾燥加工の最小ロット(Agritureの場合)
  • 原料持ち込みの乾燥加工:原料1kg〜
  • 弊社在庫の原料を使用する場合:100g〜

用途から製法を選ぶのが近道

フリーズドライは「乾燥=保存」の枠を超えて、汁物を一杯の形にしたり、糖度の高い果物を菓子の素材に変えたりできる技術です。戻りの速さと、液体を固形にして乾かせる点が、他の製法にはない強みです。

一方で、味を出したい商品、少量から試したい商品には熱風乾燥が向きます。どちらが上ということではなく、作りたい商品から逆算して製法を決めるのが、遠回りをしない進め方です。

こうしたい選ぶ製法
お湯を注いですぐ食べられる商品にしたいフリーズドライ
汁物や果汁を一食分の形にしたいフリーズドライ
糖度の高い果物を菓子の素材にしたいフリーズドライ
煮物・だし・料理向けの素材にしたい熱風乾燥
パウダーにして練り込み・飲料に使いたい熱風乾燥
まず少量で試してから判断したい熱風乾燥

Agritureは乾燥加工のメーカーとして、どの製法で作るのが商品に合うかという段階からご相談を受けています。作りたい商品と想定数量をお聞かせいただければ、製法選びからお手伝いします。くわしくは乾燥加工のOEM・受託加工のページをご覧ください。

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    この記事を書いた人

    小島 怜のアバター 小島 怜 Agriture CEO

    株式会社Agriture CEO/乾燥野菜やドライフルーツを中心とした受託加工・OEM事業。京都府内の農家と連携し、規格外野菜の活用や6次産業化支援を通じて、「持続可能な食の流通」を追求している。製造現場での豊富な実体験を活かし、商品企画から試作、小ロット対応、パッケージ設計、販路開拓支援まで、OEMを検討するすべての事業者に伴走するサポートを提供。

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