唐辛子の種類はいくつ?日本・世界の品種と辛さの違いを一覧解説
鷹の爪、ハバネロ、ししとう、万願寺とうがらし。ひとくちに唐辛子といっても、その顔ぶれは辛いものから辛くないものまでとても幅広く、「これは何という品種?」「鷹の爪と唐辛子は同じ?」と迷うことも多いはずです。
このページでは、唐辛子の種類を日本・世界の品種別に一覧で整理します。鷹の爪などの辛い系統、ししとうや万願寺とうがらしといった辛くない甘長系、地域に根づく在来種、世界の激辛品種までを、辛さの目安や料理での使い分けとあわせて紹介します。乾燥野菜やパウダーの加工に携わる立場から、生・乾燥・粉での使い分けや、業務用原料としての国産唐辛子の選び方も、つくり手の視点でまとめました。
唐辛子とは?種類を知る前の基礎知識
唐辛子はナス科トウガラシ属の植物で、中南米を原産地とします。世界には数千種ともいわれる品種があり、辛いものだけでなく、ピーマンやパプリカのように辛くないものも同じ仲間です。まずは呼び方と辛味の仕組みを押さえておくと、個々の品種の位置づけが見えてきます。
唐辛子・トウガラシ・鷹の爪の呼び方の違い
「唐辛子」と「トウガラシ」は同じものを指し、植物としての総称です。一方で「鷹の爪」は唐辛子のなかの一品種の名前で、唐辛子全体の別名ではありません。乾燥した赤い唐辛子をまとめて鷹の爪と呼ぶ場面も多いのですが、正確には鷹の爪は数ある品種のひとつです。スーパーで「乾燥唐辛子」として売られているものの多くがこの鷹の爪にあたるため、両者が混同されやすくなっています。
辛味のもとカプサイシンと、辛い品種・辛くない品種
唐辛子の辛味のもとは、カプサイシンという成分です。実の内側にある胎座(種が付く白いワタの部分)に多く含まれ、ここを取り除くと辛さはやわらぎます。同じ唐辛子の仲間でも、カプサイシンをほとんど含まない品種があり、ししとうやピーマン、パプリカ、万願寺とうがらしなどがこれにあたります。辛い唐辛子と辛くない唐辛子は、見た目が似ていても辛味成分の量が大きく違うわけです。料理で使い分けるうえでも、まずこの「辛いか辛くないか」で大きく二つに分けて考えると分かりやすくなります。
赤唐辛子・青唐辛子・黄唐辛子は熟し方の違い
赤唐辛子と青唐辛子は、別の品種ではなく熟し方の違いを指すことが多い言葉です。未熟な緑色の状態で収穫したものが青唐辛子、完熟して赤くなったものが赤唐辛子です。青いうちはさわやかな辛さと香り、赤くなると辛味と甘みが増し、乾燥や粉にも向きます。さらに完熟途中の黄色い段階を黄唐辛子と呼ぶこともあり、ハバネロのように黄〜オレンジで成熟する品種もあります。同じ株でも収穫のタイミングで色と風味が変わるのが、唐辛子の面白いところです。
唐辛子の辛さの目安|スコヴィル値で見る辛さ早見表
唐辛子の種類を比べるとき、いちばん気になるのが辛さです。辛さには数値の目安があり、品種選びの参考になります。
スコヴィル値とは(辛さの単位)
スコヴィル値(SHU)は、唐辛子の辛さを数値で示す単位です。カプサイシンの量をもとに換算され、数値が大きいほど辛いことを表します。ピーマンのように辛味のないものは0に近く、ハバネロや激辛品種になると数十万に達します。あくまで辛さの目安を示すもので、同じ品種でも栽培環境や個体によって幅が出ます。
主な唐辛子の辛さ比較
代表的な品種の辛さの目安を、おおまかな順に並べました。数値は資料によって幅がありますが、品種ごとの位置関係をつかむ参考になります。
| 品種 | 辛さの目安(スコヴィル値) | タイプ |
|---|---|---|
| ピーマン・パプリカ | 0前後 | 辛くない |
| ししとう・万願寺とうがらし | 0〜わずか | 辛くない(甘長系) |
| ハラペーニョ | 数千程度 | 中辛 |
| タバスコ用品種 | 3万〜5万 | 辛い |
| 鷹の爪 | 4万〜5万 | 辛い |
| ハバネロ | 20万〜35万 | 激辛 |
| キャロライナ・リーパー | 100万超 | 世界最高クラスの激辛 |
辛さの感じ方と調理での変化
同じ品種でも、辛さの感じ方には個人差があります。また、種とワタを取り除けば辛さは抑えられ、油でじっくり熱すると辛味成分が油に移って料理全体に辛さが回ります。鷹の爪を丸ごと使うか、刻んで使うか、粉にするかでも辛さの出方は変わります。辛さを効かせたい料理ほど表の数値が高い品種を、彩りや風味づけが目的なら数値の低い品種を選ぶと、狙いどおりに仕上がります。
日本の唐辛子の種類|辛い品種と代表的な系統
日本で栽培される辛い唐辛子は、いくつかの系統に整理できます。代表が鷹の爪群・八房群・伏見群で、それぞれ実の付き方や形に特徴があります。
鷹の爪群(鷹の爪・本鷹・だるま)
実が下向きに付き、3〜4.5cmほどの細長い形をした系統です。先端がとがって鷹の鉤爪に似ていることが、鷹の爪という名の由来とされます。乾燥させて一味や七味、ペペロンチーノなどに使われる、日本でもっともなじみ深い辛味唐辛子です。本鷹は5cmほどと大型で、香川県の香川本鷹が知られています。だるまもこの群に含まれます。
八房群(八房・三鷹・熊鷹)
実が上向きに房状にまとまって付くことから、八房と名づけられた系統です。三鷹は本鷹と八房をかけ合わせて生まれた品種で、かつては愛知県、現在は栃木県で多く栽培され、栃木三鷹と呼ばれています。熊鷹もこの仲間です。八房群は実の付きがよく収量が安定するため、加工原料として広く使われてきました。
伏見群と色を楽しむ辛味種
伏見群は、辛味のある伏見辛や日光とうがらしなどを含む系統です。ここで注意したいのが、京都の「伏見とうがらし」との違いです。系統名としての伏見群は辛味種を指すのに対し、野菜として流通する伏見とうがらしは辛くない甘長系で、別のものとして扱われます(甘長系は次の章で紹介します)。
このほか、赤ではなく紫色に色づく品種もあります。Agritureでは国産の乾燥紫唐辛子や紫唐辛子パウダーを扱っており、紫の色を生かして料理の彩りや調味料の見た目に変化をつけられます。
| 系統 | 代表的な品種 | 実の付き方・特徴 |
|---|---|---|
| 鷹の爪群 | 鷹の爪・本鷹・だるま | 下向きに付く細長い実。一味・七味の定番 |
| 八房群 | 八房・三鷹・熊鷹 | 上向きに房状に付く。収量が安定し加工向き |
| 伏見群 | 伏見辛・日光とうがらし | 主に辛味用に使われる系統(甘長の伏見とうがらしとは別) |
同じ辛味唐辛子でも、鷹の爪群は粒立った辛さ、八房群は安定した収量と加工のしやすさ、と系統ごとに持ち味が違います。一味や七味のように粉で使うなら鷹の爪群、加工原料としてまとまった量を扱うなら八房群、と用途で系統を選ぶと無駄がありません。
辛くない唐辛子(甘長系)|ししとう・万願寺・伏見とうがらし
唐辛子の仲間には、辛くない品種も数多くあります。甘味があり長い形をしたものは甘長唐辛子と呼ばれ、焼き物や煮物でそのまま味わえます。京都には甘長系の代表格が揃っています。
万願寺とうがらし
京都を代表する大型の甘長唐辛子で、肉厚でやわらかく、辛くないのが特徴です。「とうがらしの王様」とも呼ばれ、焼いて出汁醤油で食べる料理が定番です。Agritureでは国産の乾燥万願寺とうがらしや万願寺とうがらしパウダーとして加工し、彩りや風味づけに活用しています。京野菜としての特徴は万願寺とうがらしの解説でも紹介しています。
伏見とうがらし
細長く、辛味が少なく甘みが引き立つ京都の伝統的な甘長唐辛子です。万願寺とうがらしの片親ともいわれ、やわらかな食感で焼き物や炒め物に向きます。詳しくは伏見とうがらしの解説でも触れています。Agritureでも乾燥伏見唐辛子として通年使える形に加工しています。
ししとう・ひもとうがらし
ししとう(獅子唐辛子)は小ぶりで辛くない品種ですが、栽培環境によってまれに辛い実が混じることがあります。ひもとうがらしは奈良の在来種で、ひものように細長く、辛くないため炒め物などにそのまま使えます。三宝甘長とうがらしなど、各地に甘長系の在来種が受け継がれています。
地域に根づく在来種・伝統野菜の唐辛子
日本各地には、その土地で受け継がれてきた在来種の唐辛子があります。伝統野菜として認定され、地域の料理や産業を支えてきたものも少なくありません。
香川本鷹・栃木三鷹
香川本鷹は、一般的な鷹の爪の2倍ほどの大きさがある大型の品種で、香りと辛味、旨味のバランスがよいとされます。栃木三鷹は栃木県を代表する産地品種で、辛味の強さから加工原料として広く使われてきました。産地と結びついて発展してきた点が、これら在来種の特徴です。
内藤とうがらし・剣崎なんば・清水森ナンバ
内藤とうがらしは東京・新宿周辺で江戸時代に栽培されていた在来種で、あらためて栽培が広がっています。剣崎なんばは石川県、清水森ナンバは青森県の在来種で、いずれも地域の伝統野菜として大切にされています。「なんば」「なんばん」は唐辛子を指す地域の呼び名で、各地でいろいろな名前で親しまれてきました。
色や形を楽しむ品種
観賞用に育てられる色とりどりの唐辛子や、紫・黒・クリーム色に色づく品種もあります。あじめコショウのように曲がった形をした在来種など、形に個性のあるものも各地に残っています。食用と観賞用の両方で楽しまれてきたのが、唐辛子という野菜の幅広さです。
100種前後の取り扱い品目がわかる商品カタログ
小ロット〜大ロットまで柔軟に対応できるアグリチャー

- 100g~の小ロットから販売可能
- 日本各地の伝統野菜の扱いあり
- ドライフルーツ/ハーブも対応可能
世界の唐辛子の種類
唐辛子は世界中の料理に欠かせない存在で、地域ごとに個性的な品種が使われています。辛さも風味も幅広く、料理の文化と深く結びついています。
メキシコ(ハラペーニョ・ハバネロ)
唐辛子の原産地に近いメキシコは、品種の宝庫です。ハラペーニョは肉厚で辛さは中程度、刻んでサルサや漬け込みに使われます。熟して燻製にしたものはチポトレと呼ばれます。ハバネロは小さな実に強い辛さと、フルーティーな香りを併せ持つ激辛品種で、ソースの原料に使われます。乾燥させて使う品種も多く、料理ごとに使い分けられています。
韓国・タイ・中南米の唐辛子
韓国唐辛子は辛さがおだやかで甘みと旨味があり、キムチやコチュジャンに欠かせません。粉にした粗びきの韓国唐辛子は、鮮やかな赤色が料理を引き立てます。タイのプリッキーヌは小粒で強い辛さがあり、トムヤムクンなどに使われます。原産地である中南米には、ここで紹介しきれないほど多彩な在来品種が今も残っています。
世界一辛い品種(激辛唐辛子)
激辛を追求した品種も世界で生まれています。ブート・ジョロキアはハバネロの2倍ほどの辛さを持ち、キャロライナ・リーパーはスコヴィル値が100万を超える、世界最高クラスの辛さで知られます。これらは料理というより辛さそのものを競うために育てられた品種で、取り扱いには注意が必要です。
世界の代表的な品種を、産地と辛さの目安、主な使い方で一覧にまとめました。
| 品種 | 主な産地 | 辛さの目安 | 主な使い方 |
|---|---|---|---|
| ハラペーニョ | メキシコ | 中辛 | サルサ・漬け込み |
| セラーノ | メキシコ | 中〜強 | 生のソース・刻み |
| ハバネロ | メキシコ・中南米 | 激辛 | ホットソース |
| カイエンペッパー | 中南米由来 | 強い | 粉・調味料 |
| 韓国唐辛子 | 韓国 | おだやか | キムチ・コチュジャン |
| プリッキーヌ | タイ | 強い | トムヤムクンなど |
| ブート・ジョロキア | インド | 激辛 | 少量で辛味づけ |
種類別の選び方と使い分け|料理・乾燥・パウダーの視点
唐辛子は、生・乾燥・パウダーのどの形で使うかによって、向く品種や使い方が変わります。加工に携わる立場から、選び方のポイントを整理します。
生・乾燥・パウダーで変わる使い方
生の唐辛子はみずみずしい香りと辛さが持ち味で、青唐辛子の薬味や万願寺とうがらしの焼き物などに向きます。乾燥させると保存がきき、辛味と旨味が凝縮されて、丸ごと油に効かせたり水で戻して使ったりできます。パウダーにすると料理に均一に混ざり、彩りづけや調味料のベースに使いやすくなります。同じ品種でも、形を変えることで用途が大きく広がります。
代表的な国産の品種について、辛さと主な用途、乾燥・パウダー加工での向き不向きを、つくり手の視点でまとめました。原料選びの目安としてご覧ください。
| 品種 | 辛さ | 主な用途 | 乾燥・パウダー | 加工メモ |
|---|---|---|---|---|
| 鷹の爪 | 辛い | 一味・七味・ペペロンチーノ | ◎ | 丸ごと乾燥に向き、粉砕で辛味が立ちやすい |
| 本鷹(香川本鷹) | 辛い | だし・調味 | ◯ | 大型で香りが出やすい |
| 八房・三鷹 | 辛い | 加工原料・一味 | ◎ | 収量が安定し、粉原料にまとめやすい |
| 紫唐辛子 | 辛い | 彩り・調味 | ◯ | 紫の色味を生かしやすい |
| 万願寺とうがらし | 辛くない | 焼き物・惣菜 | ◯ | 肉厚。乾燥・粉で彩りづけに |
| 伏見とうがらし | 辛くない | 焼き物・炒め物 | ◯ | 細長くやわらかい |
| ししとう | 辛くない | 揚げ・焼き | △ | まれに辛い実が混じる |
料理別の選び方
ペペロンチーノや麻婆豆腐のように辛味をはっきり効かせたい料理には鷹の爪、漬け込みやソースには中辛のハラペーニョ、彩りや甘みを生かす一品にはししとうや万願寺とうがらしと、料理の目的で品種を選ぶと失敗が少なくなります。一味や七味のように粉で使う場合は、辛味と香りのバランスがよい国産の鷹の爪系がよく合います。
業務用・加工原料としての国産唐辛子
商品開発や業務用の原料として唐辛子を探す場合は、品種に加えて産地・乾燥度合い・粒度・辛さの安定性が選定のポイントになります。国産にこだわると原料の履歴がたどりやすく、味や辛さのばらつきも管理しやすくなります。Agritureでは国産の唐辛子を乾燥・パウダーに加工し、小ロットからの原料供給に対応しています。一味や七味づくりについては七味OEMの解説もあわせてご覧ください。
よくあるご質問
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まとめ:唐辛子の種類は辛さと用途で覚える
唐辛子には、鷹の爪・本鷹・八房・三鷹といった辛い品種から、ししとう・万願寺とうがらし・伏見とうがらしといった辛くない甘長系、香川本鷹や栃木三鷹などの在来種、ハラペーニョやハバネロといった世界の品種まで、数多くの種類があります。まずは「辛いか辛くないか」で大きく分け、辛さの目安や産地、料理での使い方で選ぶと、迷わず使い分けられるようになります。
生で香りを楽しみ、乾燥で辛味と旨味を凝縮し、パウダーで料理に均一に効かせる。形を変えれば、ひとつの品種の使い道はぐっと広がります。気になる品種が見つかったら、乾燥唐辛子の使い方や、業務用の唐辛子パウダーの選び方もあわせてご覧ください。国産の唐辛子を上手に取り入れて、毎日の料理に辛さと彩りを添えてみてください。
