置き型社食の冷蔵vs常温|5つの違いと選び方
「冷蔵タイプとは何か違うのか」「うちのオフィスにはどっちが合うのか」——置き型社食を比較し始めた人事・総務担当者から最初に出る質問です。冷蔵型はサラダや惣菜が新鮮に届く満足度の高さが魅力ですが、月額数万円の固定費と廃棄ロスがネック。一方の常温型は乾燥野菜やフリーズドライスープを活用する新しいタイプで、初期費用無料・廃棄ロスほぼゼロで運用できます。本記事では、両方を5つの軸で並べて比較し、自社の規模・予算・働き方に合うタイプの選び方を整理しました。最後には貝印グループ × Agritureが運営するオフィス八百屋のような新しい選択肢も紹介します。
- 冷蔵庫設置型と常温型、それぞれの仕組みと特徴
- コスト・廃棄ロス・導入ハードルなど5つの比較ポイント
- 2026年度税制改正による食事補助の非課税枠拡大のメリット
- 乾燥野菜を活用した「第3の選択肢」常温型オフィス野菜サービス
オフィスの「食」が経営課題になっている理由
「社員の食事をサポートしたいけど、社員食堂を作る余裕はない」——そんな声を、総務担当者からよく聞きます。
経済産業省が推進する健康経営の認定企業は年々増加中。なかでも食事サポートは従業員満足度に直結するテーマで、福利厚生の希望アンケートでは「食事補助」が常にトップ3に入る人気施策です。
そこで注目されているのが、冷蔵庫や什器を置くだけで始められる「置き型社食」。オフィスの一角に設置するだけで、従業員がいつでもヘルシーな食事を手に取れる仕組みです。
ただし、いざ導入しようとすると「冷蔵タイプと常温タイプ、どっちがうちに合うの?」と迷う方が多いんですよね。
この記事では、両タイプの違いを5つの切り口で整理して、自社にフィットするサービスの選び方をお伝えします。
冷蔵庫設置型サービスとは?代表例と仕組み
冷蔵庫設置型は、オフィスに専用の冷蔵庫を設置して、サラダ・惣菜・フルーツなどの生鮮食品を定期配送するサービスです。
代表的なサービスと料金目安
| サービス名 | 月額目安(税抜) | 特徴 |
|---|---|---|
| OFFICE DE YASAI | 68,000円〜 | 累計10,000拠点以上導入。サラダ・惣菜が1品100円〜 |
| オフィスおかん | 66,000円〜 | 惣菜特化型。冷蔵庫の無料貸出あり |
| TUKTUK | 要問い合わせ | オフィスコンビニ型。クーポン額面×人数で料金変動 |
冷蔵型のメリット
- 新鮮なサラダや惣菜がすぐ食べられる
- 見た目の「おいしそう感」で利用率が上がりやすい
- 栄養バランスを取りやすいラインナップ
冷蔵型の課題
正直なところ、冷蔵型の最大の悩みは食品ロスです。
消費期限が2〜3日と短いため、利用率が読めない導入初期は廃棄率が高くなりがち。業界では10〜20%程度の廃棄率が一般的と言われています。毎月の固定費に加えて、廃棄分のコストも発生するため「思ったより割高だった」という声が少なくありません。
また、冷蔵庫の設置スペース・電源確保・衛生管理など、導入前にクリアすべきハードルが意外と多いのも特徴です。
常温型サービスとは?乾燥野菜という新しい選択肢
常温型は、常温保存できる食品をオフィスに設置するタイプです。従来はお菓子やカップ麺が中心でしたが、最近では乾燥野菜やフリーズドライスープなど、ヘルシーな選択肢が増えてきました。
常温型の仕組み
- 常温保存できる食品を棚やラックに陳列
- 賞味期限が数か月〜1年と長い
- 冷蔵庫・電源ともに不要
- 配送頻度が月1〜2回ですむ
ここで注目したいのが、乾燥野菜を活用した常温型オフィス野菜サービスという考え方です。代表例が、貝印グループの株式会社Agritureが2026年4月に本格提供を開始したオフィス八百屋。国産野菜100%・砂糖や添加物不使用・低温乾燥で旨味と栄養を凝縮させた個包装乾燥野菜を、カップ麺や味噌汁にそのまま加えるだけで野菜を補給できる設計です。
乾燥野菜は水やお湯で戻すだけで食べられ、食物繊維やミネラルといった栄養素はほぼそのまま残ります。常温で3カ月以上の保存が可能で、軽くてコンパクトなため、オフィスのちょっとしたスペースに置けるのが強み。さらに規格外野菜を生産者から適正価格で買い取りアップサイクルしているため、健康経営とフードロス削減を1つのサービスで両立できる点も、従来の冷蔵型と比べた決定的な違いです。
冷蔵型vs常温型|5つの比較ポイント
ここからが本題です。両タイプを5つの観点でくわしく比べてみましょう。
ポイント1:導入・運用コスト
| 項目 | 冷蔵庫設置型 | 常温型(乾燥野菜) |
|---|---|---|
| 初期費用 | 0〜50,000円 | 0円 |
| 月額固定費 | 66,000〜68,000円〜 | なし(仕入れた分だけ) |
| 1品あたり単価 | 100〜200円 | 50〜150円 |
| 廃棄コスト | 月額の10〜20%相当 | ほぼゼロ |
冷蔵型は月額固定費が必須のため、利用人数が少ないと1食あたりの実質コストが跳ね上がります。たとえば月額68,000円で利用者が10人なら、1人あたり月6,800円。さらに廃棄コストが上乗せされます。
常温型は仕入れた分だけの従量制なので、10人程度の小規模オフィスでもコストを抑えて始められるのが強みです。
ポイント2:食品ロス・廃棄リスク
ここが最大の差です。
冷蔵型は消費期限2〜3日の商品が中心。配送されてから使い切れなかった分はそのまま廃棄になります。SDGsへの取り組みを打ち出している企業にとって、毎週食品を捨てている状況は対外的にも説明しづらいですよね。
一方、常温型の乾燥野菜は賞味期限が6か月〜1年。日々消費しながら新しいものを補充するだけなので、廃棄ロスはほぼゼロに抑えられます。
ポイント3:設置スペースと導入ハードル
| 項目 | 冷蔵庫設置型 | 常温型(乾燥野菜) |
|---|---|---|
| 必要スペース | 冷蔵庫1台分(約0.5畳) | 棚1つ分(約0.1畳) |
| 電源 | 必要 | 不要 |
| 衛生管理 | 冷蔵庫の温度管理・清掃が必要 | ほぼ不要 |
| 導入リードタイム | 2〜4週間 | 最短数日 |
テナントの規約で設備追加が難しかったり、冷蔵庫の搬入経路が確保できなかったりするオフィスは意外と多いもの。常温型なら棚ひとつ置くだけなので、導入のハードルが格段に低くなります。
ポイント4:メニューの満足度と使い方
冷蔵型はサラダや惣菜の「できたて感」が魅力で、ランチ代わりとしての満足度は高めです。
常温型の乾燥野菜は「それだけでお腹いっぱい」というよりも、ふだんの食事にプラスする”ちょい足し野菜”としての使い方がぴったり。
味噌汁やカップスープに乾燥ほうれん草やキャベツをひとつまみ入れるだけで、彩りも栄養価もぐっとアップします。コンビニ弁当やカップ麺に偏りがちなオフィスランチの「野菜不足」を、手間なく補えるわけです。
ポイント5:防災備蓄との兼用
ここは常温型だけの独自メリットです。
乾燥野菜は常温で長期保存ができるため、防災備蓄品としてもそのまま活用できます。
内閣府のガイドラインでは、企業に1人あたり3日分(水9L・食料9食)の備蓄が推奨されています。ふだん社員が消費する乾燥野菜をローリングストック方式で管理すれば、災害時にもビタミンやミネラルを含む食品が確保できます。
冷蔵型にはこの二刀流の発想はありません。BCP対策と健康経営を同時に満たせるのは、常温型ならではの強みです。
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置き型社食の”食事補助以外”の効果|社内コミュニケーションと働き方
置き型社食を導入した企業の声を聞くと、「野菜が摂れる」以上に評価されているのが、働き方や職場の雰囲気への波及効果です。コスト比較だけでは見えにくいメリットも押さえておきましょう。
社内コミュニケーションが生まれる”きっかけ”になる
食べ物が置いてある場所には、自然と人が集まります。乾燥野菜をカップスープに足しながら「それ何ですか?」と会話が生まれたり、部署をまたいだ雑談のきっかけになったり。リモートワークの普及で減りがちな偶発的なコミュニケーションを、オフィスの一角から取り戻すきっかけになります。
- 休憩スペースに人が集まり、部署を越えた雑談が増える
- 「何を入れている?」という会話から自然な情報交換が生まれる
- 新入社員やリモート中心のメンバーが打ち解けるきっかけになる
24時間・交代制勤務の”小腹”も埋められる
コンビニが近くにない立地や、深夜・早朝のシフトがある職場では、営業時間に縛られず24時間いつでも食べられることが大きな価値になります。常温型なら電源も冷蔵庫も不要なので、夜勤者の休憩スペースや工場の一角にも置きやすく、時間帯を問わず野菜やスープを補給できます。
- コンビニまで距離がある郊外オフィス・工場でも野菜を補える
- 深夜・早朝シフトの小腹対策として時間帯を選ばず使える
- 電源・冷蔵庫が不要なので休憩室や倉庫の一角にも置ける
健康経営・採用ブランディングにつながる
「社員の食事に投資している会社」という事実は、求職者にとって分かりやすい魅力です。健康経営優良法人の認定取得を目指す企業にとっても、食事サポートは取り組みやすい施策のひとつ。採用ページや面接で具体的に語れる福利厚生があると、採用競争力の底上げにもつながります。
- 健康経営優良法人の認定で評価される取り組みのひとつになる
- 採用ページや面接で具体的に語れる福利厚生になる
- SDGs・フードロス削減の文脈でも対外的にアピールできる
2026年度税制改正で食事補助の非課税枠が拡大
見落としがちですが、2026年度(令和8年度)の税制改正で、食事補助の非課税限度額が月額3,500円から7,500円へ引き上げられました。1984年以来、42年ぶりの見直しです。
| 項目 | 改正前 | 改正後 |
|---|---|---|
| 非課税限度額 | 月額3,500円 | 月額7,500円 |
| 企業負担の上限目安 | 月額1,750円/人 | 月額3,750円/人 |
ただし、非課税になるには条件があります。食事を現物支給すること、従業員が食事代の半額以上を負担すること、そのうえで会社の負担額が月7,500円以下であること。この3つを満たせば、補助分が給与として課税されません(国税庁の食事補助の取扱いに基づく)。
置き型社食はこの「現物支給」の形を取りやすく、非課税枠を活かしながら福利厚生を手厚くできます。食事補助制度の導入や見直しを検討するなら、この枠を前提に設計しておくと、採用力の強化にもつながります。
置き型社食で失敗しない導入3ステップ
「冷蔵と常温、どっちが合うか分からない」と迷ったときは、次の3ステップで考えると判断しやすくなります。
- ステップ1:現状の課題を1つに絞る|「野菜不足を補いたい」「残業時の食事を支えたい」「採用でアピールしたい」——いちばん解決したい課題を決めると、必要な機能が見えてきます。
- ステップ2:低コストの常温型でスモールスタート|初期費用ゼロで始められる常温型なら、利用率のデータを取りながらリスクなくテストできます。社員アンケートで人気メニューを把握するのもこの段階です。
- ステップ3:データを見て拡張・併用を判断|利用が定着して「もっと食べごたえが欲しい」という声が増えたら、冷蔵型の追加や品目拡大を検討。最初から大きく入れず、使われ方に合わせて育てるのが失敗しないコツです。
タイプ別おすすめ|こんな会社にはこっちが合う
冷蔵庫設置型が向いている会社
- 従業員50人以上で、毎日の利用率が安定して見込める
- オフィスに冷蔵庫を置けるスペースと電源がある
- 「見た目の充実感」を福利厚生のアピールポイントにしたい
- 食事補助の月額予算に7万円以上かけられる
常温型(乾燥野菜活用)が向いている会社
- 従業員10〜50人の中小規模オフィス
- 設置スペースが限られている
- 食品ロスを出したくない(SDGs・コスト両面)
- 防災備蓄とあわせて一石二鳥にしたい
- まずは低コストで小さく始めてみたい
個人的なおすすめとしては、まず常温型で小さく始めて利用率のデータを取り、手応えがあれば冷蔵型の追加を検討するというステップ。いきなり冷蔵型を入れて廃棄に悩むよりも、ずっと合理的なアプローチですよ。
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まとめ|置き型社食はコストと運用負荷で選ぶ
冷蔵型と常温型、それぞれにメリットがあります。ここまでの話を整理すると、選ぶポイントはコスト・食品ロス・設置のしやすさの3つに集約されます。
| 判断基準 | 冷蔵型 | 常温型 |
|---|---|---|
| 導入コスト | 高い | 低い |
| 食品ロス | 発生する | ほぼゼロ |
| 設置ハードル | やや高い | 低い |
| メニュー満足度 | 高い | ちょい足し向き |
| 防災備蓄兼用 | 不可 | 可能 |
税制改正で非課税枠が拡大する今、置き型社食の導入を検討するには絶好のタイミングです。まずは自社のオフィス環境と予算を確認して、フィットするタイプを選んでみてください。置き型サービス8社の料金比較、置き菓子サービスの選び方10選もあわせて確認すると、サービスごとの強みが整理しやすくなります。
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