健康経営度調査の食事の設問、何をどう書けば点が入るのか
食事の取り組みは始めた。あとは調査票に書くだけ、というところで手が止まる担当者の方が多くいらっしゃいます。設問がどこにあるのか、何を書けば適合になるのか、数字はどこまで求められるのか。ここが分からないまま書くと、実際にやっていることが評価に反映されません。
この記事は、健康経営度調査票と中小規模法人部門の申請書で、食事に関する設問をどう書くかだけに絞ってまとめました。設問番号、選択肢の構造、必須項目、不認定になる条件まで、公表資料に当たって確認したものを記載しています。
いま動いているのは健康経営優良法人2027(令和8年度)で、申請の受付は2026年8月17日に始まります。ただし令和8年度の調査票サンプルは、この記事を書いている時点ではまだ公開されていません。
そのため設問番号は、直近で公開されている令和7年度(健康経営優良法人2026)の調査票に基づいて書いています。番号は年度で動きます。実際に記入するときは、必ず最新の調査票で番号を確認してください。何を聞かれるかという構造そのものは、年度をまたいでも大きくは変わりません。
もうひとつ先に断っておきます。大規模法人部門の「健康経営度調査票」と、中小規模法人部門の「申請内容記載票」は別の文書です。同じQ33でも中身が違います。この記事では、どちらの文書のことかを毎回書き分けます。他社の解説記事はここを混ぜていることがあるので、番号だけを拾わないでください。
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食事の設問は調査票のどこにあるか
まず場所を特定します。大規模法人部門と中小規模法人部門で、設問番号が違います。
| 部門 | 設問 | 位置づけ |
|---|---|---|
| 大規模法人部門 | Q54 | 大項目「3. 制度・施策実行」/中項目「従業員の心と身体の健康づくりに関する具体的対策」/小項目「具体的な健康保持・増進施策」 |
| 中小規模法人部門 | Q25 | 同上(申請書上の評価項目⑫) |
どちらも評価項目としての名称は「⑫食生活の改善に向けた取り組み」です。健康経営度調査票の目次では「3. 制度・施策実行 ③従業員の心と体の健康づくりに関する具体的対策」の下に置かれています。
Q54の設問文と選択肢
大規模法人部門のQ54は、次のとおりです。
Q54.食生活改善に向けた具体的な支援(研修・情報提供を除く)を行っていますか。(いくつでも)
選択肢は3つです。
- 認定基準を満たす、従業員参加型の取り組みを実施している
- 認定基準を満たす、環境整備型の取り組みを実施している
- 特に行っていない ⇒ 評価項目不適合
ここで真っ先に押さえておくべきなのは、括弧書きの「研修・情報提供を除く」です。栄養に関するセミナーを開いた、社内報で食事の記事を配信した、という取り組みは、この設問では対象外になります。研修や情報提供は別の設問で扱われるためです。
セミナーだけをやってきた会社が、Q54で選択肢3にしか丸をつけられず不適合になる。この取りこぼしが実際に起きます。「具体的な支援」=実際に食べ物や食事の場に手を入れているかどうかだと理解してください。
参加型と環境整備型の違い
選択肢1と2は、どちらか一方でも適合します。両方に丸がつくならそのほうがいい、という関係です。
| 区分 | 性格 | SQで追加で聞かれること |
|---|---|---|
| 従業員参加型 | 従業員が個別に参加する形。誰が参加したかを数えられる | 対象者の比率と参加者の比率 |
| 環境整備型 | 職場の環境そのものを変える形。全員が対象になる | 対象者の比率のみ |
職場に食べ物を置く形は、環境整備型に整理されます。この場合、対象者は「その拠点で働く全従業員」と置けます。参加者の比率は求められないので、そこで悩む必要はありません。詳しくは次の章に書きます。
「認定基準を満たす取り組み」は決まったリストから選ぶ
ここが最初の関門です。Q54は「食生活改善に向けた具体的な支援を行っていますか」と聞いているだけに見えますが、何をもって「認定基準を満たす」とするかは、補足説明で具体的に列挙されています。この一覧に当てはまらない取り組みは、いくら熱心にやっていても適合しません。
大規模法人部門(令和7年度 健康経営度調査票の補足説明)では、次のとおりです。
| 区分 | 認定基準を満たす取り組み |
|---|---|
| a. 従業員参加 | 1 食生活改善に向けたアプリ提供、カロリー記録等のサポートを実施している |
| a. 従業員参加 | 2 定期的・継続的な食生活改善に向けた企画を実施している |
| a. 従業員参加 | 3 管理栄養士による個別指導を実施している |
| a. 従業員参加 | 4 健康に配慮したレシピの実演・調理を体験するイベントを実施している |
| b. 環境整備 | 1 社員食堂・仕出弁当、現物支給、金銭補助等を通じて、健康に配慮した食事(専門職が栄養管理している、第三者認証を取得している等)を健康課題やニーズに応じて摂取できるような環境整備・支援を行っている |
| b. 環境整備 | 2 管理栄養士等による相談窓口を設置している |
| b. 環境整備 | 3 朝食欠食対策として社員食堂等で朝食を提供している(飲料・栄養補助食品の提供は除く) |
置くだけでは足りない。中身に裏づけが要る
見落とされやすいのが、b.環境整備の1に入っている括弧書きです。
健康に配慮した食事(専門職が栄養管理している、第三者認証を取得している等)を健康課題やニーズに応じて摂取できるような環境整備・支援
つまり大規模法人部門では、職場に食べ物を置いただけでは条件を満たしません。その食事について、専門職が栄養管理しているか、第三者認証を取得しているか、といった裏づけが必要になります。「健康的なものを置いています」という説明だけでは弱い、ということです。
導入しているサービスがある場合は、栄養管理を誰が行っているか、認証を取得しているかを提供元に確認しておいてください。ここを聞かずに書くと、根拠が示せません。
中小規模法人部門は「現物支給」が独立した選択肢になっている
中小規模法人部門のQ25は選択肢が10個に分かれていて、こちらは構造が違います。実際の選択肢は次のとおりです。
| 区分 | 選択肢 |
|---|---|
| 従業員参加 | 1 食生活改善に向けたアプリ提供、カロリー記録等のサポートを実施している |
| 従業員参加 | 2 定期的・継続的な食生活改善に向けた全社的な運動を実施している(例:腹八分目運動、野菜摂取週間等) |
| 従業員参加 | 3 管理栄養士による個別指導を実施している |
| 従業員参加 | 4 健康に配慮したレシピの実演・調理を体験するイベントを実施している |
| 環境整備 | 5 社員食堂・仕出弁当、金銭補助等を通じて、健康に配慮した食事(専門職が栄養管理している、第三者認証を取得している等)を摂取できるような環境整備・支援を行っている |
| 環境整備 | 6 健康に配慮した食品等の現物支給を行っている |
| 環境整備 | 7 自動販売機や訪問販売等において健康に配慮した飲料・栄養補助食品を提供している |
| 環境整備 | 8 外部事業者・管理栄養士等による栄養指導・相談窓口を設置している |
| 環境整備 | 9 朝食欠食対策として社員食堂等で朝食を提供している(飲料・栄養補助食品の提供を除く) |
10が「いずれも特に行っていない ⇒評価項目不適合」です。
注目したいのは6「健康に配慮した食品等の現物支給」です。大規模法人部門では現物支給が「専門職が栄養管理している、第三者認証を取得している等」という条件つきの文のなかに含まれていますが、中小規模法人部門では独立した選択肢として立っています。職場に健康に配慮した食品を置いている会社は、中小規模法人部門ならここに素直に当てはまります。
複数該当するなら、該当するものすべてに丸をつけてください。ひとつに絞る必要はありません。
「実施している」に丸をつけるだけでは足りない
大規模法人部門では、Q54で選んだ選択肢に応じて追加の設問が出ます。ここを取り違えている解説を見かけるので、正確に書きます。
SQ1とSQ2は、順番に続く2つの設問ではありません。選んだ選択肢に対応した別々の記入枠です。
| Q54で選んだ選択肢 | 記入する枠 | 求められるもの |
|---|---|---|
| 1 従業員参加型 | SQ1 | a.従業員参加のリストから1つ選択/取り組み内容(100文字以内)/(a)対象者の比率/(b)参加者の比率 |
| 2 環境整備型 | SQ2 | b.環境整備のリストから1つ選択/取り組み内容(100文字以内)/(a)対象者の比率 |
| 1と2の両方 | SQ1とSQ2の両方 | それぞれの枠に記入する |
大事なのは、環境整備型(SQ2)には参加者の比率の欄がないことです。対象者の比率だけを書きます。職場に食べ物を置く形はこちらに整理されるので、「実際に何人が使ったか」を申請書のために数える必要はありません。
ただし後述するQ71(効果検証)では、結局のところ利用の状況が必要になります。SQ2のために数えるのではなく、Q71のために残しておく、と考えてください。
もうひとつ、どちらの枠でも先に「重点的な取り組み」を前章のリストから1つ選ぶ手順があります。100文字を書くのはそのあとです。いきなり自由記述から入ると、リストのどれにも当てはまらない内容を書いてしまいます。
比率を書くときの決まりごと
調査票の注記に、細かいけれど外せない指定があります。
- 比率は小数点第2位を四捨五入して記入する
- 参加型で複数回実施している場合は、延べ人数ではなく実人数で答える
- その年度から始めた取り組みは、その年度の実績で答えてよい
3つ目は初年度の会社に効きます。「前年度の実績がないから書けない」と諦める必要はありません。当年度に始めた取り組みは、当年度の実績で答えてよいと明記されています。
2つ目も間違えやすいところです。月に何回か実施している取り組みで参加者を足し上げると、延べ人数になります。同じ人が何回参加しても1人として数えてください。
100文字の枠は短く見えますが、削りすぎると中身が伝わりません。前置きを省いて、対象・頻度・測り方を詰め込むと、ちょうど埋まります。
この数字は公開される
見落とされがちですが、Q54 SQ1・SQ2への回答は公開予定項目に含まれています。調査票のQ6にある「公開予定項目一覧」に、各施策の参加率として明記されています。
社内資料の数字とは扱いが違うということです。あとで説明を求められても答えられる根拠を持ったうえで書いてください。逆に言えば、根拠のある数字を出せる取り組みを重点施策に選ぶほうが、書く側は楽になります。
Q71のために、利用状況をどう残すか
申請書のSQ2では求められませんが、後述するQ71の効果検証では、取り組みがどれだけ使われたかを語れる材料が要ります。職場に置くタイプの取り組みは、ここが手薄になりがちです。
置いたものが実際に使われているかを把握するには、方法を決めておく必要があります。現実的なのは次のあたりです。
| 数え方 | 取れるもの | 注意点 |
|---|---|---|
| 決済データ | 購入件数、購入した人数 | キャッシュレス決済なら自動で残る。最も手間がない |
| 補充の頻度と数量 | 消費された総数 | 人数に換算できない。参加者比率の根拠には使えないが、利用の広がりを示す材料にはなる |
| 年1回の従業員アンケート | 利用したことがある人の割合 | 参加率として使いやすい。設問は毎年同じにする |
3つ目のアンケートがいちばん扱いやすいです。「この1年で1回でも利用したか」と聞けば、参加者の比率がそのまま出ます。設問の文言を毎年変えないでおけば、翌年は前年比がそのまま書けます。
決済データが自動で残る形になっていれば、集計の手間そのものが要りません。取り組みを選ぶ段階で、数字が自動で残るかどうかを見ておいてください。参加型を選ぶ場合は実人数が要るので、なおさら効いてきます。
17項目のうち、何項目そろえる必要があるか
食事の項目は必須ではありません。①〜⑰の選択評価項目のひとつです。ただし、必要数をそろえるための1項目としては軽くありません。
| 区分 | 必要な適合項目数 |
|---|---|
| 大規模法人部門 | ①〜⑰のうち14項目以上 |
| ホワイト500 | ①が必須化されるため、②〜⑰のうち14項目以上(+追加要件) |
| 中小規模法人部門 | ①〜③から2項目以上 + ④〜⑩から2項目以上 + ⑪〜⑰から4項目以上=17項目中8項目以上 |
| 小規模法人特例 | 推進計画〜③から2項目以上 + ④〜⑩から2項目以上 + ⑪〜⑰から2項目以上=6項目以上 |
| ブライト500/ネクストブライト1000 | ①〜⑰のうち16項目以上 |
大規模法人部門は17項目のうち14項目、つまり落とせるのは3項目だけです。この余裕のなさが、食事の項目を落とせない理由になります。
中小規模法人部門で見ておきたいのは、⑫食生活が⑪〜⑰のブロックに入っている点です。このブロックからは4項目以上が必要で、7項目のうち4項目ですから、こちらも余裕がありません。食事を落とすと、残る6項目から4項目をそろえることになります。
ブライト500・ネクストブライト1000を狙うなら、17項目中16項目です。実質的に食事は必須だと考えてください。
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効果検証を書かないと、その時点で不認定になる
ここが、この記事でいちばんお伝えしたい部分です。大規模法人部門には、食生活が名指しで出てくる必須設問があります。★Q71です。
Q71.今年度の健康経営の推進方針を検討するにあたり、昨年度までに実施した健康経営の施策について、どのように効果検証を行っていますか。
1 個々の施策について取り組み結果(受診率、従業員参加率、参加満足度、施策認知度、残業時間等)に加え、生活習慣や意識(睡眠時間、食生活、運動習慣比率、喫煙率、ストレスチェック結果、従業員調査結果等)の改善状況を検証している
2 個々の施策について取り組み結果のみ把握し生活習慣や意識の改善状況は検証していない、または特に効果検証を行っていない ⇒ 健康経営優良法人不認定
選択肢2を選ぶと、その時点で不認定です。他の項目がどれだけそろっていても関係ありません。
そして選択肢1の条件は、「取り組み結果」に加えて「生活習慣や意識の改善状況」まで検証していることです。参加率だけを把握している状態は、選択肢1に当たりません。
Q71は2つの層の数字を聞いている
Q71が求めているのは、2つの層の数字です。
| 層 | 測るもの | 食事の取り組みでの例 |
|---|---|---|
| 1階:取り組み結果 | 参加率、認知度、満足度 | 利用したことがある人の割合、月あたりの利用件数 |
| 2階:生活習慣・意識の改善 | 食生活そのものの変化 | 「野菜を意識して食べるようになったか」への回答の推移 |
2階の数字は、健診の問診票からも取れます。特定健診の質問票には食習慣に関する設問が含まれているため、産業保健のスタッフと相談すれば、集計値を出せることがあります。自前でアンケートを回す前に、すでに社内で取っている数字がないかを確認してください。
アンケートを新たに作る場合は、設問を増やさないことです。1問か2問でかまいません。毎年同じ文言で聞き続けられることのほうが、設問の精度より重要になります。
中小規模法人部門の場合
中小規模法人部門の通常認定では、Q25は選択肢方式の有無判定で、参加率の数値記入までは求められません。ただし評価・改善に関するQ32は必須です。
ブライト500・ネクストブライト1000を申請する場合は、ここに設問が加わります。よく取り違えられるので、正確に書きます。
- 申請内容記載票Q36は「経営者・役員が関与している内容」を選ぶ設問。指標(KGI)とその目標値・達成年度を書くのは、選択肢1〜3を選んだ場合に開くSQ1の(c)欄
- 申請内容記載票Q38は「昨年度までに実施した取り組みについて評価を実施しているか」を聞く設問。SQ1以降で課題と取り組み内容を書く
ブライト500の順位は、設問そのものではなく6つの設問項目に配点ウェイトを置いて算出されます。申請内容記載票には、経営者・役員の関与の度合い/組織への浸透/健康経営のPDCAに関する取り組み状況/健康風土の把握/自社からの発信状況/外部からの依頼による発信状況を20:10:35:20:10:5のウエイトで配点する、と記載されています。
最も重いのがPDCAに関する取り組み状況(35)で、Q38とそのSQがここに当たります。単独で全体の3分の1を超えます。順位を上げにいくなら、まずここに書けることを増やしてください。
数値目標はQ33に書く
大規模法人部門には、もうひとつ落とすと不認定になる必須設問があります。★Q33です。
1 具体的な推進計画を策定し、数値目標、実施主体、達成期限を定めて推進している
2 具体的な推進計画は定めていない ⇒ 健康経営優良法人不認定
選択肢1を選ぶには、数値目標・実施主体・達成期限の3つを定めて推進していることが前提になります。そのうえでSQ1に、最優先の健康課題について次を記入します。
| 欄 | 書くこと |
|---|---|
| (a) 課題のテーマ | 11個の選択肢から選ぶ |
| (b) 課題の内容とその根拠 | 200字以内 |
| (c) 今年度の取り組みの推進計画 | 200字以内 |
| (d) 数値目標の内容と期限 | どのような数値目標か/現在値/今年度の目標値/最終目標値/単位/目標達成期限(年度) |
注意したいのは、SQ1に「実施主体」を書く欄はないことです。実施主体は選択肢1の文言に含まれる要件で、記入欄として独立してはいません。社内で誰が主体かを決めておく必要はありますが、この欄に書き込もうとすると迷います。
また(b)と(c)は200字あります。100字のQ54とは分量が違うので、ここは根拠まで書き切ってください。
食事で置ける数値目標の例
目標を高く置きすぎると、翌年に下方修正することになります。達成できなかった目標を毎年書き換えるのは、評価の面でも社内の面でも得がありません。
置きやすいのは、次のような形です。
- どのような数値目標か:職場の食事関連の取り組みを1年に1回以上利用した従業員の割合/現在値◯%/今年度の目標値◯%/最終目標値◯%/達成期限◯年度
- どのような数値目標か:従業員アンケートで「野菜を意識して食べている」と回答した割合/現在値◯%/今年度の目標値◯%/最終目標値◯%/達成期限◯年度
1つ目が1階の数字、2つ目が2階の数字です。この2本を立てておくと、Q71の効果検証でそのまま使えます。Q33の目標とQ71の検証は、同じ数字でつなげるのが書きやすい形です。
点が入る書き方と、入らない書き方
Q54 SQ1の100文字に何を入れるかで、伝わり方が変わります。実際に差が出るところを並べます。
| 弱い書き方 | 直したもの |
|---|---|
| 従業員の健康のため、食生活の改善に取り組んでいます | 全13拠点の休憩室に、管理栄養士が栄養管理した野菜を常備。就業日は全従業員が自由に利用でき、キャッシュレス決済の履歴から月次の利用状況を把握している |
| 栄養バランスに配慮したメニューを提供しています | 社員食堂の全定食を管理栄養士が監修し、野菜量と塩分量を券売機とメニュー表に表示。表示開始後の定食別の選択比率を月次で記録し、健康配慮メニューの比率を追っている |
| 健康的な食事を推奨しています | 全従業員を対象に毎週火・木、管理栄養士が献立を組んだ昼食を提供。参加は任意で、利用状況は受け取り時の記録と年1回の従業員アンケートで測定している |
直したものに共通しているのは3点です。
- 誰が対象かが書いてある(全従業員/希望者/特定拠点)
- 何をどれくらいの頻度でやっているかが書いてある
- どうやって数えているかが書いてある
3つ目を入れておくと、SQ2の比率との整合が取れます。100文字のなかで測定方法まで書いてある回答は多くありません。
避けたい書き方
次のような表現は、字数を使う割に何も伝えません。
- 「健康意識の向上を図っています」…何をしたのかが書かれていない
- 「福利厚生の充実に努めています」…食事の設問への答えになっていない
- 「セミナーを実施しています」…Q54は研修・情報提供を除く設問なので、ここに書くと的を外す
- 「今後導入予定です」…実施していない状態は選択肢3に当たる
とくに3つ目は起こりがちです。研修や情報提供の取り組みは、別の設問で書いてください。
手元に残しておく記録
申請の時期にまとめて集めようとすると、必ず足りないものが出ます。年間を通じて残しておくものを決めておいてください。
| 残すもの | 使うところ | 残し方 |
|---|---|---|
| 導入日と対象範囲が分かる社内通知 | Q54 SQ1・SQ2の対象者比率 | 全社メールをそのまま保存する |
| 利用状況の月次データ | Q71の効果検証(参加型を選ぶ場合はSQ1の参加者比率) | 決済履歴、または納品数の記録 |
| 年1回のアンケート結果 | Q71の生活習慣の改善状況 | 設問文を毎年固定して集計値を残す |
| 推進計画の文書 | 調査票Q33の数値目標・実施主体・達成期限 | 会議体で承認した記録も一緒に残す |
| 健康経営に関する会議の議事録 | Q23(ホワイト500の追加要件) | 議題と決定事項が分かる形で残す |
いちばん抜けやすいのが1行目です。導入した日と、どの拠点の誰が対象だったかは、あとから思い出せません。始めた時点で社内通知を1本保存しておくだけで済みます。
2行目は、取り組みの選び方に関わります。手作業で数える形にしてしまうと、担当者が異動した時点で記録が途切れます。放っておいても数字が残る形かどうかを、導入前に見てください。
誰が書くのか、社内でどう分担するか
調査票の設問は健康、労務、人事、総務にまたがります。1人で全部を埋めようとすると、根拠が取れない設問で止まります。
食事の設問に必要な情報の出どころ
| 必要な情報 | 持っている部署 |
|---|---|
| 対象となる従業員数、拠点ごとの人数 | 人事 |
| 取り組みの導入日、契約内容、費用 | 総務 |
| 利用状況の数字 | 総務、または委託先 |
| 健診の問診票から取れる食習慣の集計値 | 産業保健スタッフ、健康保険組合 |
| 推進計画を承認した会議の記録 | 経営企画 |
いちばん時間がかかるのは、健診の問診票から食習慣の集計値を出す部分です。個人単位のデータは扱いに制約があるため、集計値を出してもらう依頼を早めに出しておく必要があります。回答期間に入ってから頼むと間に合いません。
担当者が変わっても書ける状態にする
毎年度の申請なので、担当者の異動が必ず起きます。前任者の頭のなかにしか情報がないと、翌年の申請で数字が途切れます。
やっておくと効くのは、前年の回答内容をそのまま保存しておくことです。設問ごとに何をどう書いたか、その根拠がどこにあったかを1枚にまとめておけば、翌年は差分を埋める作業になります。前年の回答を見ないまま書き直すと、同じ取り組みなのに数字の定義が変わってしまい、前年比が説明できなくなります。
委託先に確認しておくこと
取り組みそのものを外部に委託している場合、利用状況の数字は委託先が持っています。契約の時点で年次のレポートを出してもらえるかを確認しておくと、申請時に依頼する手間が減ります。
逆に、数字を出せない委託先だと、申請のたびに自社で数え直すことになります。取り組みを選ぶ段階で確認しておきたい項目です。
ブライト500・ネクストブライト1000を狙うなら
中小規模法人部門の上位区分です。ブライト500が上位500社、ネクストブライト1000が501〜1500位という構成になっています。
ここで落としやすい手続きが2つあります。どちらも、取り組みの中身とは関係のないところで対象から外れます。
- 申請内容記載票Q33で「1」(ブライト500申請意向)を記載する。ネクストブライト1000はブライト500申請法人から選定されるため、ここが未記載だとネクストブライト1000の対象にもなりません
- 同Q34で選択肢1〜3のいずれかを選ぶ(評価結果の公開に同意)。開示不可の場合、500位以内・1500位以内でも認定されません
加えて、Q33〜Q41のブライト500認定設問への回答と、①〜⑰のうち16項目以上の適合が必要です。17項目のうち落とせるのは1項目だけなので、食事の項目は事実上そろえておく前提になります。
上位1500位に入らなかった場合は、通常の中小規模法人部門として認定されます。申請したこと自体が不利になるわけではありません。
大規模法人部門のホワイト500
大規模法人部門で、評価順位が上位500位以内の法人に付く冠です。
上位500位に加えて、次の4項目が追加で必須になります。
- 健康経営の推進方針の浸透(Q17 SQ4)
- 従業員パフォーマンス指標および測定方法の開示(Q18 SQ3)。アブセンティーイズム・プレゼンティーイズム・ワークエンゲイジメントのいずれかの直近実績値、測定基準、開示URLが必要
- トップランナーとして健康経営の普及に取り組んでいること(Q20・Q21)
- 健康経営推進に関する経営レベルの会議での議題・決定(Q23)
さらに、評価結果等の一括開示に同意すること(Q6で選択肢1〜3のいずれか)が必須条件です。開示に同意しない場合、500位以内でもホワイト500ではなく通常認定になります。
いつまでに何を出すのか、いくらかかるのか
いま動いている令和8年度(健康経営優良法人2027)の申請期間は、すでに公表されています。それ以降の日程は本記事の執筆時点で未公表のため、前年度(健康経営優良法人2026)の実績を並べて、時期の感覚がつかめるようにしました。
| 時期 | 内容 | 確度 |
|---|---|---|
| 2026年8月17日〜10月9日 17時 | 健康経営度調査の回答期間(大規模法人部門) | 公表済み |
| 2026年8月17日〜10月16日 17時 | 中小規模法人部門の認定申請期間 | 公表済み |
| 11月上旬ごろ | 申請料の請求書送付 | 前年度の実績 |
| 12月下旬ごろ | フィードバックシート交付(メールのみ) | 前年度の実績 |
| 12月31日 15時ごろ | 申請料の振込期限。入金確認をもって認定審査 | 前年度の実績 |
| 翌年3月ごろ | 認定発表(前年度は2026年3月9日) | 前年度の実績 |
回答期間は8月中旬から10月中旬です。前年度の実績を書く設問が中心なので、早く始めているほど書ける材料は増えます。ただし前述のとおり、その年度に始めた取り組みはその年度の実績で答えてよいと明記されています。今年から始めた会社でも、書けないと決めつけないでください。
申請料
| 部門 | 認定申請料(1件あたり) |
|---|---|
| 大規模法人部門 | 80,000円(税込88,000円) |
| 大規模・グループ合算申請の加算 | 同時認定対象1法人あたり15,000円(税込16,500円) |
| 中小規模法人部門 | 15,000円(税込16,500円) |
「申請は無料」と書いている解説を見かけますが、認定申請料はかかります。振込手数料は申請者負担で、入金後に申請を取り下げた場合や不認定になった場合も返金されません。
ひとつ知っておくと使えるのが、健康経営度調査への回答のみで認定申請をしない場合は申請料が不要という点です。この場合もフィードバックシートは交付されます。認定審査は行われませんが、自社の位置と弱い項目が分かります。初年度に現在地を測ってから翌年に申請する、という進め方ができます。
有効期間
認定日から翌年3月31日までです。健康経営優良法人2026であれば、認定後から2027年3月31日までとなります。実質1年で、毎年度の申請が必要です。
毎年更新するということは、毎年同じ数字を出し続けるということでもあります。1回の申請のために特別に集めた数字は、翌年に再現できません。日常の運用のなかで自然に残る形かどうかが、ここでも効いてきます。
フィードバックシートで自社の位置を見る
12月下旬に、回答した法人にフィードバックシートが交付されます。メールのみでの交付です。ここに、翌年の書き方を決める材料が入っています。
食事に関して見ておきたいのは、評価軸の集約のされ方です。Q54は単独で評価されるのではなく、「生活習慣の改善」という評価軸にまとめられて偏差値化されます。この軸にはQ54のほか、Q55、Q56、Q62、Q63が含まれます。
これが意味するのは、食事だけを厚くしても、この軸の偏差値は上がりにくいということです。同じ軸に入っている他の設問が弱いままだと、全体として埋もれます。順位を上げにいくなら、軸ごとに見て、いちばん弱い設問から手を入れるほうが効率が良くなります。
順位そのものは、ホワイト500が「評価順位が上位500位以内」、ネクストブライト1000が「上位501位から1500位」と定められています。シートに出た順位が届いていなくても、どの軸が弱いかは読み取れます。そこを次の一手の材料にしてください。
食育実践優良法人顕彰制度が新しくできた
令和7年度から、調査票のQ54と中小規模法人部門のQ25の注記に、農林水産省が新設した「食育実践優良法人顕彰制度」への参照が入りました。健康経営度調査の本体から、農林水産省の顕彰制度へ導線が張られたのは今年度からです。
食事の取り組みを進めている会社にとっては、同じ材料でもうひとつ外部評価を取りにいける、という意味があります。健康経営の側で残している記録は、そのまま使える部分が多くなります。
まだ知られていない制度なので、社内で健康経営の話をするときの材料としても使えます。詳細は農林水産省のサイトで公開されています。
提出前に見ておくところ
最後に、食事まわりで落としやすい箇所をまとめます。取り組みの中身とは関係のないところで対象から外れるものが含まれるので、提出前に一度当ててください。
- Q54(中小はQ25)で、研修・情報提供しか書いていない状態になっていないか
- Q54で「重点的な取り組み」を、認定基準の一覧から選んだうえで100文字を書いているか
- その100文字に、対象者・頻度・測定方法が入っているか
- 参加型ならSQ1に対象者比率と参加者比率、環境整備型ならSQ2に対象者比率を記入したか。この数字は公開される
- 参加者比率を実人数で出しているか(延べ人数は不可)。比率は小数点第2位を四捨五入したか
- 調査票Q33で数値目標・実施主体・達成期限の3点がそろっているか。欠けると不認定
- Q71で選択肢1を選べる状態か。参加率だけでは足りず、生活習慣の改善状況まで検証している必要がある
- Q33の目標に置いた指標と、Q71で検証している指標がつながっているか
- ブライト500を狙うなら、申請内容記載票Q33で「1」を記載し、同Q34で公開に同意しているか(調査票のQ33・Q34とは別物)
- ホワイト500を狙うなら、Q6で一括開示に同意しているか
- 申請料の振込期限(前年度は12月31日15時)を社内の支払いサイクルに乗せてあるか
最後の項目は事務の話ですが、実際に危ないところです。入金の確認をもって認定審査に進むため、振込が遅れると審査に進みません。請求書は11月上旬に届きます。社内の支払いが月末締めの翌月払いなら、そのままでは間に合わない可能性があります。届いた時点で経理に渡してください。
あわせて、Q54とQ25の記入は前章のリストから選択肢を1つ選んでから本文を書く手順になっているかも確認してください。自由記述から書き始めると、リストのどれにも当てはまらない内容になります。
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よくある質問
まとめ
食事の設問そのものは、実施しているかどうかの判定です。ただし、その周りにある必須設問のほうが重く効きます。
- 食事の設問は大規模Q54/中小Q25。評価項目は⑫食生活の改善に向けた取り組み
- Q54は研修・情報提供を除く。セミナーだけでは適合しない。取り組みは認定基準の一覧から選ぶ
- 大規模は選んだ選択肢で枠が分かれる。参加型はSQ1に参加者比率まで、環境整備型はSQ2に対象者比率のみ。どちらも公開される
- Q71で生活習慣の改善状況まで検証していないと不認定。食生活が名指しで挙がっている
- Q33で数値目標・実施主体・達成期限がそろっていないと不認定
- 必要適合数は大規模14/17、中小8/17、ブライト500とネクストブライト1000は16/17
- 大規模の環境整備型は、食事の中身に専門職の栄養管理や第三者認証といった裏づけが要る
- 申請料は大規模80,000円(税込88,000円)、中小15,000円(税込16,500円)。無料ではない
書くときのこつは、Q33の目標とQ71の検証を同じ数字でつなぐことです。目標に置いた指標をそのまま検証に使えば、記入の負担も、翌年の再現性も、いちばん軽くなります。
弊社では、職場に国産乾燥野菜を置くオフィス八百屋を運営しています。決済履歴が自動で残るので、Q71の効果検証で使う利用状況を手作業で集めずに済みます。中小規模法人部門であれば、Q25の選択肢6「健康に配慮した食品等の現物支給」に当たる形です。取り扱っている品目は商品一覧をご覧ください。
出典
本記事の設問番号・選択肢・認定要件・日程・申請料は、以下の公表資料で確認したものです(2026年8月時点)。設問番号は年度で変わるため、記入時は最新の調査票をご確認ください。
- 令和7年度 健康経営度調査 調査票サンプル(大規模法人部門)|ACTION!健康経営(健康経営優良法人認定事務局)… Q54・Q33・Q71・Q6の設問文と選択肢、認定要件、補足説明の「認定基準を満たす取り組み」一覧
- 健康経営優良法人2026(中小規模法人部門)申請書サンプル|同上… Q25の選択肢、Q33・Q34、Q36・Q38、ブライト500の配点ウエイト、認定有効期間
- 健康経営優良法人2026(中小規模法人部門)申請に関する説明資料|同上… 評価項目が15項目から17項目へ増えた経緯、必要適合数の7項目以上から8項目以上への変更、ブライト500・ネクストブライト1000の16項目以上
- 申請について|ACTION!健康経営… 令和8年度の申請期間(大規模 2026年8月17日〜10月9日17時/中小規模 同8月17日〜10月16日17時)
- 認定申請料|ACTION!健康経営… 大規模80,000円(税込88,000円)、中小規模15,000円(税込16,500円)、調査回答のみの場合は申請料不要
- 食育実践優良法人顕彰制度|農林水産省
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