島根の伝統野菜とは?協会掲載9品目(津田かぶ・黒田せりを含む)の特徴と旬・食べ方を解説
島根県の伝統野菜は、宍道湖・中海の汽水湖岸と出雲平野、中国山地を中心に受け継がれてきた品種です。島根県の公式資料では、在来品種として明確に位置づけられているのは「津田かぶ」と「黒田せり」が中心で、ほかの多くは地域ブランドや後年育成された地域品種を含みます。日本伝統野菜推進協会は島根の地域品目として9品目を整理しており、本記事ではその9品目を由来や位置づけを含めて解説します。
上部が赤紫で勾玉状の津田かぶ、鼻に抜ける辛味の出雲おろち大根、松江の秋鹿ごぼう、出雲市斐川町の出西しょうが、松江市黒田町の黒田せり、邑智郡邑南町のおおち鍋ねぎ、松江市大野町の食えん芋、松江市八束町のはまぼうふうなど、松江・出雲・石見にまたがる島根の在来種と地域品目を紹介します(出雲おろち大根は2011年、おおち鍋ねぎは2008年に島根県内で育成された比較的新しい地域品種です)。
「伝統野菜」の定義と本記事の対象
「伝統野菜」には全国統一の定義がなく、認定機関によって基準が異なります。主要な認定機関の基準を整理します。
| 認定機関 | 主な基準 |
|---|---|
| 京都府「京の伝統野菜」 | 明治以前の栽培歴があり府内全域が対象(たけのこ含む、キノコ類・シダ類を除く、絶滅品目も対象) |
| 大阪府「なにわの伝統野菜」 | 概ね100年以上前から大阪府内で栽培 |
| 奈良県「大和の伝統野菜」 | 戦前から本県での生産が確認・独特の栽培方法・味や香り・形態・来歴の特徴 |
| 長野県「信州伝統野菜認定制度」 | 来歴・食文化・品種特性(来歴は昭和30年代以前) |
| 島根県 | 県独自の伝統野菜認定制度はなし。JAしまね・各市町村が地域ブランド化を支援 |
本記事では日本伝統野菜推進協会が整理する島根県9品目のうち、野菜8品目を本編で扱います。薬用人参(チョウセンニンジン)系で食用と用途が異なる「雲州人参」は記事末尾の「その他の地方特産品種」セクションで別途紹介します。
島根の伝統野菜とは?宍道湖・出雲・石見の食文化
| エリア | 代表品目 | 地域特性 |
|---|---|---|
| 松江(出雲東部) | 津田かぶ、秋鹿ごぼう、黒田せり、食えん芋、はまぼうふう | 宍道湖・中海の汽水湖岸と松江城下町 |
| 出雲(出雲平野) | 出雲おろち大根、出西しょうが | 出雲平野と斐伊川流域 |
| 石見(邑智) | おおち鍋ねぎ | 中国山地の山間部 |
松江・出雲・石見の3地域に分かれ、宍道湖周辺と松江城下町に在来種が集中します。松江藩の菜園場として江戸時代から続く津田地区、出雲平野の薬味系品目、中国山地の山間部の冬ねぎと、歴史と地形を反映した品目構成です。
8品目早見表
| # | 品目 | 分類 | 主産地 | 旬 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 津田かぶ | カブ(勾玉状・紅紫) | 松江市東津田町・津田地区ほか | 11月中旬収穫、11月下旬〜12月に「はで干し」 |
| 2 | 出雲おろち大根 | ダイコン(辛味) | 出雲市 | 11月下旬〜3月上旬 |
| 3 | 秋鹿ごぼう | ゴボウ | 松江市秋鹿・大野 | 11〜5月 |
| 4 | 出西しょうが | ショウガ | 出雲市斐川町出西 | 8〜10月 |
| 5 | 黒田せり | セリ | 松江市黒田町 | 11〜3月 |
| 6 | おおち鍋ねぎ | ネギ | 邑智郡邑南町 | 12〜1月 |
| 7 | 食えん芋 | サトイモ | 松江市大野町 | 秋〜冬 |
| 8 | はまぼうふう | ボウフウ(セリ科) | 松江市八束町 | 4〜5月(花芽は5月下旬〜6月上旬) |
100種前後の取り扱い品目がわかる商品カタログ
小ロット〜大ロットまで柔軟に対応できるアグリチャー

- 100g~の小ロットから販売可能
- 日本各地の伝統野菜の扱いあり
- ドライフルーツ/ハーブも対応可能
代表的な島根の伝統野菜7品目の特徴と食べ方
8品目のうち、知名度と流通量から代表7品目を取り上げます(はまぼうふうは出荷期間が春〜初夏の短期間に限定されるため、本セクションでは割愛して一覧表で紹介します)。
津田かぶ — 勾玉状の赤紫かぶと「はで干し」文化
| 旬 | 11月中旬収穫、11月下旬〜12月中下旬に「はで干し」 |
| 産地 | 松江市東津田町・津田地区ほか |
| 向く料理 | 津田かぶ漬け(ぬか・塩漬けが本漬け)、浅漬け、煮物 |
津田かぶは、出雲神話の三種の神器の一つ「勾玉(まがたま)」のような形状が特徴の在来かぶで、上部が赤紫、下部が白いツートーンです。江戸時代末期、松江藩の菜園場だった津田村(現在の松江市津田地区)で篤農家・立原紋兵衛が品種改良を行い、「紋兵衛かぶ」を経て現在の「津田かぶ」の名称に定着したと伝わります。元となった系統は、参勤交代の際に近江(現在の滋賀県)から持ち込まれた日野菜かぶとされています。
11月中旬から収穫が始まり、11月下旬〜12月中下旬に「はで」と呼ばれる稲架(はざ)掛けに約1週間干す「はで干し」を経て、ぬかと塩で本漬けする「津田かぶ漬け」が松江の冬の保存食となります。浅漬けで流通するものもあります。農林水産省「にっぽん伝統食図鑑」にも掲載された島根の代表的な伝統食です。
出雲おろち大根 — 鼻に抜ける辛味大根
| 旬 | 11月下旬〜3月上旬 |
| 産地 | 出雲市 |
| 向く料理 | おろし、出雲そばの薬味、浅漬け |
出雲おろち大根は、島根大学が島根県産のハマダイコン(浜大根)を素材に育成した辛味大根で、2011年に品種登録されました。ヤマタノオロチ伝説にちなむ命名で、鼻に抜ける強い辛味が持ち味です。出雲そばの薬味として利用され、すりおろして搾った汁を蕎麦のつけ汁に加える食べ方が定着しています。
旬は11月下旬〜3月上旬で、出雲市内のJA直売所・道の駅で流通します。
秋鹿ごぼう — 松江の香り高いごぼう
| 旬 | 11〜5月 |
| 産地 | 松江市秋鹿地区・大野地区 |
| 向く料理 | きんぴら、煮物、天ぷら、汁物 |
秋鹿ごぼうは、松江市秋鹿地区・大野地区で栽培されるごぼうで、香りの豊かさと柔らかな食感が持ち味です。宍道湖北岸の粘土質のかたい土壌で育ち、地元ブランド品目として流通しています。旬は11月から翌5月まで長期にわたります。
きんぴら・煮物・天ぷらで香りが引き立ち、汁物にしても肉質の柔らかさが楽しめます。松江市内のJA直売所で流通します。
出西しょうが — 出雲平野の爽やかな新生姜
| 旬 | 8〜10月 |
| 産地 | 出雲市斐川町出西 |
| 向く料理 | 甘酢漬け、薬味、佃煮、寿司のガリ |
出西しょうがは、出雲市斐川町出西地区で栽培されるショウガで、繊維質が少なく爽やかな香りと鋭い辛味を併せ持つのが特徴です。斐伊川下流域の砂壌土と温暖な気候のもとで栽培され、地元ブランドとして流通しています。
甘酢漬けや寿司のガリとして、筋のない口当たりの良さが引き立ちます。佃煮・薬味にも向き、出雲市内のJA直売所と加工業者から出荷されます。
黒田せり — 松江黒田町の香り高いせり
| 旬 | 11〜3月 |
| 産地 | 松江市黒田町 |
| 向く料理 | せり鍋、お浸し、和え物、雑煮 |
黒田せりは、松江市黒田町で栽培される在来のセリで、シャキシャキした食感と優れた香りが持ち味です。冬〜早春の鍋物や松江の雑煮の具として使われます。水田の転用地や湧水を活かした栽培で、11月から3月まで長期にわたり出荷されます。
せり鍋にすると根もシャキッと食感を保ち、お浸し・和え物で香りが引き立ちます。松江市内のJA直売所で冬期に出荷されます。
おおち鍋ねぎ — 邑南町の冬の白ねぎ
| 旬 | 12〜1月 |
| 産地 | 邑智郡邑南町 |
| 向く料理 | 鍋物、すき焼き、焼きねぎ、汁物 |
おおち鍋ねぎは、2008年に邑智郡邑南町で誕生した白ねぎで、甘みと柔らかさが持ち味です。中国山地の山間部・邑南町の冷涼な気候のもとで栽培される地域品目です。
名前の通り鍋物向きの白ねぎで、加熱するととろけるような甘みが広がります。旬の12〜1月には邑南町内のJA直売所で流通します。
食えん芋 — 耐寒性の強い松江の里芋
| 旬 | 秋〜冬 |
| 産地 | 松江市大野町 |
| 向く料理 | 煮物、いも煮、衣かつぎ、田楽 |
食えん芋は、松江市大野町で栽培される在来の里芋で、耐寒性が強く、えぐみが少ないのが特徴です。松江の農家が長年自家採種を続けて守り、冬期の保存食材として活用されてきました。
煮物・いも煮で食感が活き、田楽・衣かつぎでも素材の味わいが楽しめます。松江市大野町の直売所で扱われることがある希少品です。
島根の伝統野菜の購入方法と保存のコツ
| 品目 | 主な入手先 | 時期 |
|---|---|---|
| 津田かぶ | 松江市内JA直売所、加工品(津田かぶ漬け)は通年 | 11〜12月 |
| 出雲おろち大根 | 出雲市内JA直売所・道の駅 | 11月下旬〜3月上旬 |
| 秋鹿ごぼう | 松江市のJA直売所 | 11〜5月 |
| 出西しょうが | 出雲市斐川町のJA直売所、加工業者 | 8〜10月 |
| 黒田せり | 松江市内のJA直売所 | 11〜3月 |
| おおち鍋ねぎ | 邑南町のJA直売所・島根県西部 | 12〜1月 |
| 食えん芋 | 松江市大野町の直売所 | 秋〜冬 |
| はまぼうふう | 松江市八束町周辺の栽培農家・JA産直市・道の駅 | 4〜5月(花芽は5月下旬〜6月上旬) |
県外への通販・ふるさと納税
- 津田かぶ漬け — 松江市のふるさと納税・加工業者通販で通年流通
- 出雲おろち大根 — 出雲市のふるさと納税返礼品として冬季発送
- 出西しょうが — 出雲市斐川町のふるさと納税と加工品通販で夏秋期限定
- 加工品 — 津田かぶ漬け、出西しょうがの佃煮、はまぼうふうの加工品などが流通
100種前後の取り扱い品目がわかる商品カタログ
小ロット〜大ロットまで柔軟に対応できるアグリチャー

- 100g~の小ロットから販売可能
- 日本各地の伝統野菜の扱いあり
- ドライフルーツ/ハーブも対応可能
島根の伝統野菜を守る取り組み
| 取り組み | 内容 |
|---|---|
| 津田かぶ漬けの伝統食認定 | 農林水産省「にっぽん伝統食図鑑」に掲載 |
| JAしまね国引きの津田かぶブランド | 松江市東津田町・津田地区の津田かぶを地域ブランドとして流通 |
| 雲州人参の薬用ブランド | 松江市八束町入江地区の在来薬用人参を全国流通 |
| 地域食材の継承支援 | 各地域のJA・自治体が在来種の生産・販売を支援 |
よくある質問
その他の地方特産品種
日本伝統野菜推進協会のリストに含まれますが、食用野菜ではなく薬用人参系の品目を別途紹介します。
| 品目 | 分類 | 産地 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 雲州人参 | 薬用人参(ウコギ科チョウセンニンジン系) | 松江市八束町入江地区 | 成長に約6年を要する薬用人参。高いサポニン含有率を持ち、食用野菜とは用途が異なる |
まとめ
島根の地域品目は、野菜8品目(津田かぶ・出雲おろち大根・秋鹿ごぼう・出西しょうが・黒田せり・おおち鍋ねぎ・食えん芋・はまぼうふう)と薬用人参系の雲州人参を合わせた計9品目です。島根県公式は在来品種として「津田かぶ」「黒田せり」を中心に位置づけ、残りは地域ブランドや後年育成された地域品種を含みます。松江藩の菜園場として発達した津田地区、出雲神話の土地で育まれた辛味大根、中国山地で受け継がれる冬ねぎと、歴史と地形が重なる品目構成です。
夏秋は出西しょうが、秋冬は津田かぶ・出雲おろち大根・秋鹿ごぼう・黒田せり、冬は食えん芋・おおち鍋ねぎ、春には はまぼうふう と、季節ごとに島根県産の在来種が流通します。ふるさと納税や直売所・加工品通販を活用すれば、松江・出雲・石見の食文化を家庭でも味わえます。
参考文献・情報ソース
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