広島の伝統野菜とは?地域品目21品種(広島菜・観音ねぎ・青くわい)の特徴と旬・食べ方を解説
広島県の伝統野菜は、太田川下流の広島市中心部、福山・尾道の備後地方、安芸太田町などの中国山地南麓で受け継がれてきた品種です。広島県は平成21〜23年に在来品種を「広島お宝野菜」として選定(県公式)。現在は広島農業ジーンバンクと各地のJA・生産者が在来種の保存を担っています。日本伝統野菜推進協会では広島県の地域品目22品種を整理しており、本記事では主要14品目を本編で詳しく解説します。
高菜・野沢菜と並ぶ日本三大漬菜の「広島菜」、観音地区の「観音ねぎ」、福山の鮮やかな青紫「青くわい」、広島紅蓼・祇園パセリ・広甘藍など、広島の食文化を支える在来種を紹介します。
「伝統野菜」の定義と本記事の対象
「伝統野菜」には全国統一の定義がなく、認定機関によって基準が異なります。主要な認定機関の基準を整理します。
| 認定機関 | 主な基準 |
|---|---|
| 京都府「京の伝統野菜」 | 明治以前の栽培歴があり府内全域が対象 |
| 大阪府「なにわの伝統野菜」 | 概ね100年以上前から大阪府内で栽培 |
| 奈良県「大和の伝統野菜」 | 戦前から本県での生産が確認 |
| 長野県「信州伝統野菜認定制度」 | 来歴・食文化・品種特性(昭和30年代以前の栽培) |
| 広島県 | 平成21〜23年に「広島お宝野菜」として在来品種を選定(県公式)。現在は広島農業ジーンバンク・JA・生産者が保存を担う |
本記事では日本伝統野菜推進協会が整理する広島県22品種のうち、主要14品目(葉菜7・根菜塊茎5・香辛薬味2)を本編で扱い、流通が限定的な品種や近縁品目は末尾の「その他の地方特産品種」セクションで紹介します。
広島の伝統野菜とは?安芸・備後の食文化
| エリア | 代表品目 | 地域特性 |
|---|---|---|
| 広島市(安芸) | 広島菜、観音ねぎ、於多福春菊、矢賀ちしゃ、葉牛蒡、うぐろ大根、笹木三月子大根、深芋早生芋、祇園パセリ、広島紅蓼、小河原おくら、矢賀うり、川内ほうれん草、温品ほうれん草 | 太田川下流の都市近郊と北部山間部 |
| 備後(福山・尾道) | 絹さやえんどう(因島)、青大きゅうり(福山)、青くわい(福山)、田尻南瓜(福山田尻)、わけぎ(尾道向島) | 備後平野・沼隈半島・瀬戸内の島嶼 |
| 呉・東広島 | 広甘藍(呉)、東広島青なす | 瀬戸内海沿岸と西条盆地 |
| 安芸太田 | 太田かぶ | 中国山地南麓 |
広島市中心部と安佐南区・安佐北区に品目が集中し、福山・尾道の備後地方にも特徴的な品目が並びます。観音ねぎ・広島菜・祇園パセリは広島市内の地名を冠し、地域ごとの食文化と結びついた品目構成です。
歴史的背景——広島菜と日本三大漬菜
- 広島菜 — 起源には諸説あり(農水省注記)。JA系資料では明治25年(1892年)に川内村の木原才次が京都の観音寺付近で「観音寺白菜」の種を譲り受けて持ち帰り、在来白菜と交配して改良したとされます。昭和8年に広島県産業奨励会館で「広島菜」として命名展示され、高菜・野沢菜と並ぶ日本三大漬菜の「広島菜漬け」として定着
- 観音ねぎ — 広島市西区観音地区で栽培される白部の多い柔らかい葉ねぎ
- 青くわい — 福山市で栽培される鮮やかな青紫色の在来くわい
- 広甘藍 — 呉市広町・郷原町で栽培される柔らかい葉と甘みが特徴のキャベツ系在来種
広島の伝統野菜 主要14品目一覧と旬カレンダー
葉菜類
| 品目 | 特徴 | 産地 | 旬 |
|---|---|---|---|
| 広島菜 | 日本三大漬菜の一角・白菜の一種 | 広島市安佐南区・川内 | 11〜1月 |
| 観音ねぎ | 白部が多く柔らかい葉ねぎ | 広島市西区観音 | 10〜2月(最盛期は冬) |
| 於多福春菊 | 葉が丸い大葉種で肉厚 | 広島市安佐南区・安佐北区 | 10〜3月 |
| 矢賀ちしゃ | 葉先が赤く細かい縮れを持つ掻きチシャ系の在来種 | 広島市東区矢賀 | 春(4〜6月)・秋(9〜11月) |
| 葉牛蒡 | 香りとシャキシャキ感 | 広島市安佐北区・安佐南区 | 1月下旬〜4月上旬 |
| 広甘藍 | 柔らかい葉・甘み | 呉市広町・郷原町 | 冬 |
| 温品ほうれん草 | 茎太く淡緑色 | 広島市東区温品・安佐北区飯室 | 11〜1月初旬 |
根菜・塊茎類
| 品目 | 特徴 | 産地 | 旬 |
|---|---|---|---|
| うぐろ大根 | 根元から先まで同じ太さで短い | 広島市 | 10〜12月 |
| 笹木三月子大根 | 丸く甘く水分少なめ | 広島市安佐南区長楽寺 | 2〜3月 |
| 太田かぶ | 株2〜3kg・葉は大きく幅広 | 山県郡安芸太田町 | 3月上旬〜中旬 |
| 青くわい | 球状・外皮が鮮やかな青紫色 | 福山市 | 11〜12月 |
| 深芋早生芋 | 小型・肉質きめ細かいさといも | 広島市安佐北区深川 | 8月下旬〜9月下旬 |
香辛・薬味
| 品目 | 特徴 | 産地 | 旬 |
|---|---|---|---|
| 祇園パセリ | 刻み細かく色鮮やかで肉厚 | 広島市安佐南区祇園 | 通年(旬10〜3月) |
| 広島紅蓼 | 鮮やかな紅色・香りと辛み | 広島市安佐南区 | 通年 |
100種前後の取り扱い品目がわかる商品カタログ
小ロット〜大ロットまで柔軟に対応できるアグリチャー

- 100g~の小ロットから販売可能
- 日本各地の伝統野菜の扱いあり
- ドライフルーツ/ハーブも対応可能
代表的な広島の伝統野菜7品目の特徴と食べ方
広島菜 — 日本三大漬菜の一角
| 旬 | 11〜1月 |
| 産地 | 広島市安佐南区・川内地域 |
| 向く料理 | 広島菜漬け、漬物、おにぎり、炒め物 |
広島菜は、アブラナ科の白菜系の葉菜で、高菜・野沢菜と並ぶ「日本三大漬菜」の一角として知られます。起源には諸説あります(農水省「うちの郷土料理」注記)。JA系資料によれば、明治25年(1892年)に川内村(現在の広島市安佐南区)の青年・木原才次が京都・本願寺参拝の帰途に観音寺(京都市北区)付近で「観音寺白菜」の種を譲り受けて持ち帰り、在来の白菜と交配して新品種を作り出したと伝わります。「広島菜」の名称として定着したのは、昭和8年に広島県産業奨励会館で命名展示されて以降です。
1960年代の高度経済成長期には、農協が川内産広島菜の漬物を贈答品として販売し始めたことで、広島の冬を代表する特産品として定着しました。広島菜漬けはおにぎりの具(広島菜むすび)としても農林水産省「うちの郷土料理」に掲載されています。
観音ねぎ — 広島市観音地区の柔らかい葉ねぎ
| 旬 | 10〜2月(最盛期は冬) |
| 産地 | 広島市西区観音地区 |
| 向く料理 | 薬味、お好み焼き、汁物、鍋物 |
観音ねぎは、広島市西区観音地区で栽培される在来の葉ねぎで、白部がやや多く、葉が非常に柔らかい性質を持ちます。広島の名物「お好み焼き」の薬味として欠かせない存在として、地元の食文化に根づいてきました。
薬味のほか、汁物・鍋物・炒め物の具材としても使われます。旬は10〜2月で、最盛期は冬。広島市内のJA直売所・スーパーで流通します(広島市公式)。
青くわい — 福山の鮮やかな青紫くわい
| 旬 | 11〜12月 |
| 産地 | 福山市 |
| 向く料理 | おせち料理、煮物、素揚げ、含め煮 |
青くわいは、福山市で栽培される球状のくわいで、外皮が鮮やかな青紫色になるのが特徴です。正月のおせち料理や煮物で縁起物として使われ、福山は全国的にもくわいの主要産地の一つとして知られています。
煮物・含め煮で青紫色の皮と白い果肉のコントラストが映え、素揚げにすると食感とほろ苦さが引き立ちます。旬の11〜12月に福山市内のJA直売所・百貨店で流通します。
笹木三月子大根 — 丸く甘い春の在来大根
| 旬 | 2〜3月 |
| 産地 | 広島市安佐南区長楽寺 |
| 向く料理 | 煮物、おろし、漬物、サラダ |
笹木三月子大根は、広島市安佐南区長楽寺地区で栽培される在来の丸大根で、甘みがあり水分が少ない肉質が特徴です。2〜3月という春先の短い時期に出荷される希少な春大根で、煮物にしても崩れにくく、おろし・漬物にも向きます。
地元では春の在来大根として親しまれ、広島市安佐南区の直売所で限られた時期に流通します。
広甘藍 — 呉市広町の柔らかい在来キャベツ
| 旬 | 冬 |
| 産地 | 呉市広町・郷原町 |
| 向く料理 | サラダ、お好み焼き、浅漬け、ロールキャベツ |
広甘藍は、呉市広町・郷原町で栽培されるキャベツ系の在来種で、葉が柔らかく甘みがあるのが特徴です。「甘藍(かんらん)」はキャベツの和名で、広地区で受け継がれてきたことから「広甘藍」の名称が付けられました。
サラダ・浅漬けで生の柔らかさが活き、お好み焼き・ロールキャベツでも扱いやすい品種。呉市内の直売所で流通します。
祇園パセリ — 広島祇園地区の肉厚パセリ
| 旬 | 通年(10〜3月が最盛期) |
| 産地 | 広島市安佐南区祇園地区 |
| 向く料理 | 料理の添え物、スープ、炒め物、パスタ |
祇園パセリは、広島市安佐南区祇園地区で栽培される在来のパセリで、刻みが細かく色が鮮やかで葉が肉厚という特徴を持ちます。通年出荷できますが、旬は10〜3月が最盛期。広島市内のレストラン・料亭で料理の彩りに使われるほか、家庭用にもJA直売所で流通します。
刻んで料理に振りかけるだけでなく、パスタやスープに入れても肉厚な食感が楽しめます。
広島紅蓼 — 鮮やかな紅色の薬味
| 旬 | 通年 |
| 産地 | 広島市安佐南区 |
| 向く料理 | 刺身のつま、寿司の薬味、料理の彩り |
広島紅蓼は、広島市安佐南区で栽培される在来のタデで、鮮やかな紅色と強い香り、ピリッとした辛みが特徴です。日本料理では刺身のつま・寿司の薬味として古くから使われてきた伝統的な薬味野菜で、広島の紅蓼は発色の鮮やかさで知られます。
刺身の添え物で料理の格を上げる役割を担い、料亭や寿司店で通年利用されます。家庭では少量パックが広島市内のスーパーで入手可能です。
広島の伝統野菜の購入方法と保存のコツ
| 品目 | 主な入手先 | 時期 |
|---|---|---|
| 広島菜 | 広島市内JA直売所、広島菜漬けは全国通販・百貨店 | 11〜1月(漬物通年) |
| 観音ねぎ | 広島市西区観音のJA直売所・スーパー | 10〜2月(最盛期は冬) |
| 青くわい | 福山市内JA直売所・百貨店 | 11〜12月 |
| 笹木三月子大根 | 広島市安佐南区の直売所 | 2〜3月 |
| 広甘藍 | 呉市内JA直売所 | 冬 |
| 祇園パセリ | 広島市安佐南区祇園地区の直売所 | 通年(最盛期10〜3月) |
| 広島紅蓼 | 広島市内のスーパー・料亭向け卸 | 通年 |
県外への通販・ふるさと納税
- 広島菜漬け — 広島市のふるさと納税返礼品として通年流通。山豊(株)など老舗漬物店の通販でも入手可能
- 青くわい — 福山市のふるさと納税返礼品として冬季発送
- 観音ねぎ — 広島市のふるさと納税返礼品として出荷期に発送
- 加工品 — 広島菜漬け、広島紅蓼の加工品、祇園パセリの冷凍品などが通年流通
100種前後の取り扱い品目がわかる商品カタログ
小ロット〜大ロットまで柔軟に対応できるアグリチャー

- 100g~の小ロットから販売可能
- 日本各地の伝統野菜の扱いあり
- ドライフルーツ/ハーブも対応可能
広島の伝統野菜を守る取り組み
| 取り組み | 内容 |
|---|---|
| 広島農業ジーンバンク | 広島県内の在来種の種子保存・情報発信を担う |
| 広島菜の産地保全 | 広島市安佐南区川内地域がJA・漬物メーカーと連携 |
| 福山市の青くわい振興 | 市・JA・生産者が冬季限定ブランドとして普及 |
| 広島菜漬けの食文化継承 | 農林水産省「うちの郷土料理」に掲載。おにぎり・漬物として全国流通 |
よくある質問
その他の地方特産品種
日本伝統野菜推進協会が整理する地域品目のうち、本編で扱わなかった品種を地域特産品として紹介します(協会リストは随時更新されるため、品目数は整理時期によって若干変動します)。
| 品目 | 産地 | 特徴 |
|---|---|---|
| 絹さやえんどう(因島) | 尾道市因島 | 10月下旬〜5月上旬が出荷期。シャキシャキした食感の絹さや |
| 矢賀うり | 広島市中区矢賀 | 7月下旬〜8月上旬。肉質柔らかく緑色に黄色の縦縞 |
| 青大きゅうり | 福山市 | 6〜10月。長さ約30cm・重さ1kg弱の大型白いぼ系きゅうり |
| 田尻南瓜 | 福山市田尻町 | 12月頃。扁平で大きく強い縮緬のしわがある在来かぼちゃ |
| 東広島青なす | 東広島市 | 7月。果皮が美しい緑色で肉質きめ細かい青なす |
| 小河原おくら | 広島市安佐北区小河原町 | 7月上旬〜9月上旬。8〜9角形で毛茸が少ない在来オクラ |
| わけぎ(木原早生・晩生1号) | 尾道市向島町 | 10〜12月。耐寒性が強く、肉質が柔らかくマイルドな香り |
| 川内ほうれん草 | 広島市安佐南区川内 | 広島菜と同じ川内地区で受け継がれてきた在来ほうれん草 |
まとめ
広島の伝統野菜は、日本三大漬菜の広島菜、観音ねぎ、青くわい、笹木三月子大根、広甘藍、祇園パセリ、広島紅蓼を中心に、広島市・福山・呉・東広島・安芸太田・尾道にまたがる22品種。明治期の京都由来で改良された広島菜、お好み焼き文化と結びついた観音ねぎ、正月の縁起物として定着した青くわいなど、広島の食文化を映す品目が揃います。
夏は矢賀うり・青大きゅうり・小河原おくら、秋冬は広島菜・観音ねぎ・青くわい・広甘藍、早春は笹木三月子大根・太田かぶ・葉牛蒡と、季節ごとに広島の在来種が流通します。ふるさと納税や直売所を通じて、安芸・備後の食材を家庭の食卓に取り入れられます。
参考文献・情報ソース
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