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IT企業が規格外野菜の宅配を全社員へ無償提供——農水省「食育実践優良法人」初認定333社の一社に

システム開発の日本ナレッジスペース株式会社(東京都港区、社員189名)が、農林水産省「食育実践優良法人2026」に初めて認定された。同制度の初年度認定333社の一社で、規格外野菜の月次宅配「ロスヘル」を全社員へ会社負担で届ける福利厚生などが評価された。認定日は2026年4月1日。IT企業が食を起点に社員の健康へ踏み込む姿勢が、規格外野菜の活用という形で結実した事例だ。

目次

規格外野菜の宅配を「会社負担」で全社員へ

評価の核となったのが、2024年9月に始めた「ロスヘル」の活用だ。形や大きさが規格を外れた野菜を月に約5kg(8〜9種類)、社員の自宅へ会社負担で届ける仕組みである。出社・在宅にかかわらず全社員が受け取れる設計で、働く場所を問わない食の補助を狙っている。

規格外野菜は、味や栄養に問題がなくても見た目の基準で市場から弾かれてきた。それを福利厚生として社員の食卓へ回す発想は、廃棄を減らしながら社員満足にもつなげる二重の効果を持つ。

三本柱の「食の福利厚生」

同社の食支援は、ロスヘル単独ではない。電子食事カードを全国25万拠点超で使える「チケットレストラン」(2023年1月導入)、年最大1万円の米購入補助(2025年6月導入)と組み合わせ、複数の経路で社員の食を支える構成になっている。代表は「働く場所にかかわりなく全社員に平等な食事補助」を掲げている。

こうした全社員への食支援は、健康経営の潮流とも重なる。健康経営優良法人2026が2万6850法人に拡大し、食が最重要テーマになった流れを踏まえると、食を軸にした福利厚生の設計はますます重要度を増している。

取り組みの全体像

施策 内容 導入時期
ロスヘル 規格外野菜 月約5kg(8〜9種)を自宅へ会社負担で配送 2024年9月
チケットレストラン 電子食事カード(全国25万拠点超で利用可) 2023年1月
米購入補助 年最大1万円の補助 2025年6月

制度・現場の受け止め

「食育実践優良法人」は農水省が始めた制度で、初年度の認定は333社。IT・システム開発という、必ずしも食と縁が深くない業種からの認定は、食育の裾野が広がっていることを示す。社員にとっては、自宅に届く規格外野菜が日々の食卓を支える。会社にとっては、採用や社員満足、社内コミュニケーションの活性化につながる。産地にとっては、規格外品の出口が広がる。

規格外野菜をどう価値へ変えるかという課題には、各社が独自の答えを出している。規格外野菜をパウダー化するupvegeのように、宅配だけでなく加工によって新たな用途を生む動きも広がっている。

読者への影響——福利厚生という新しい出口

食品メーカーや人事・総務の担当者にとって、この事例は規格外野菜の新しい受け皿を示す。これまで産地や卸が抱えていた規格外品が、企業の福利厚生需要を通じて消費されるようになれば、廃棄を減らしながら社員の健康にも寄与できる。食を軸にした福利厚生は、採用競争が激しい業種ほど効果を発揮しやすい。

業界への波及——規格外×働き方という掛け算

在宅勤務が定着するなか、社食のように一カ所に集めて提供する福利厚生は届きにくくなった。自宅へ直接届く宅配型は、その課題に応える形だ。安定供給という点では、乾燥野菜という選択肢も相性がよい。日持ちし軽量な乾燥野菜は、配送コストを抑えつつ自宅でのストック食材として扱いやすい。Agritureが運営するOYAOYAも、京都産の規格外野菜を乾燥野菜へ転換し、天候に左右されない供給を実現してきた。Agritureはオフィス向けの八百屋という形でも、職場や働き手へ野菜を届ける取り組みを健康経営の文脈で進めている。

家庭での活用

規格外野菜が自宅に届いたとき、使い切る工夫があると無駄が出ない。形が不揃いでも刻めば見た目は気にならず、まとめて下ゆでして冷凍すれば日持ちする。乾燥させればさらに保存性が高まり、汁物や煮物にそのまま使える。会社から届く野菜を上手に回すことが、家庭でのロス削減にもつながる。

まとめ

規格外野菜の宅配を全社員へ無償提供する取り組みが、農水省の食育実践優良法人として初認定された。初年度333社の一社という事実は、規格外野菜の活用が単なる環境配慮を超え、企業の福利厚生戦略の一部になりつつあることを示す。捨てられてきた野菜が、働く人の食卓を支える——その循環が、制度として認められた意義は大きい。

参考

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この記事を書いた人

小島 怜のアバター 小島 怜 Agriture CEO

株式会社Agriture CEO/乾燥野菜やドライフルーツを中心とした受託加工・OEM事業。京都府内の農家と連携し、規格外野菜の活用や6次産業化支援を通じて、「持続可能な食の流通」を追求している。製造現場での豊富な実体験を活かし、商品企画から試作、小ロット対応、パッケージ設計、販路開拓支援まで、OEMを検討するすべての事業者に伴走するサポートを提供。

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