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捨てられる乳清が桃と出会った日|山梨KEIPEと清里ミルクの挑戦

山梨県甲府市のKEIPE株式会社と、北杜市の有限会社清里ミルクプラントが共同開発したジェラート「農良(のら)ジェラシー」が、2026年4月28日に発売されました。チーズ製造の過程で大量に出る「ホエイ(乳清)」と、見た目で出荷できなかった山梨県産の規格外フルーツを組み合わせた一品で、販売は石和温泉駅前のnouto工場直売所で通年。価格はシングル450円・ダブル550円(税込)です。捨てられていた素材から、地域の新しい看板商品が生まれた事例として注目を集めています。

目次

「農良ジェラシー」とは──桃といちご、2フレーバーから始動

「農良ジェラシー」のラインナップは、桃を使った「モモモーモ」と、いちごを使った「いちちご」の2種類。ベースの乳成分には、清里ミルクプラントがゴーダやモッツァレラ等のチーズを製造する過程で必然的に発生する「ホエイ」が使われています。チーズ製造では生乳のうち約9割がホエイとして残ると言われており、栄養を豊富に含みながらも処理に手間とコストがかかる素材として知られてきました。

桃フレーバーは発売当初の4月時点では山梨県産もも100%ジュースを使用し、生果が出回る7月以降は規格外の桃へ切り替える計画。いちごフレーバーには、山梨県産の規格外いちごが使われています。「形が悪い」「サイズが小さい」という理由で生食市場に出せなかった果実が、ホエイの軽やかな乳酸の風味と組み合わさって新しい価値を生んでいる構図です。

清里ミルクプラントの営業企画課長・磯部啓介氏は「試作を重ねたジェラートは、自信を持って『おいしい!』と言える仕上がり」とコメント。KEIPE統括マネージャーの雨宮友美氏も「栄養豊富ながら活用しきれなかったホエイは、新たな価値を吹き込むべき宝物」と話しています。

背景にある「ホエイ問題」と日本の酪農の縮小

ホエイはタンパク質やミネラルを多く含む一方、有機物濃度が高く、そのまま下水に流すと河川の水質悪化を招くため、適切な処理が国内外のチーズ工房にとって長年の課題となってきました。海外では飼料・粉末・酒・化粧品原料などの活用が進む一方、日本では小規模工房が大半を占めるため、設備投資の壁から廃棄や有償処理に回るケースが目立ちます。

もう一つの背景が、酪農経営の急速な縮小です。農林水産省の畜産統計によれば、酪農家戸数は1963年の約42万戸から減り続け、近年は1万戸割れに迫る水準へ落ち込んでいます。飼料高や乳価の問題を受けて廃業が相次ぐ中、生乳を最後まで使い切るチーズ製造の「副産物」を商品化する流れは、酪農の持続性を支える側面でも意味を持ちます。

規格外フルーツについても同じ構造があります。山梨は桃・ぶどう・いちごの一大産地ですが、収穫期には日々大量の規格外品が発生し、廃棄や安値取引に流れる果実は珍しくありません。Agriture社が乾燥野菜事業で京都の生産者と向き合ってきた経験でも、規格外品の活用は「拾い上げの仕組み」と「出口商品」の両輪が揃って初めて機能する難しいテーマです。

商品スペックと販売条件

項目内容
商品名農良(のら)ジェラシー
フレーバーモモモーモ(桃)/いちちご(いちご)
価格(税込)シングル 450円/ダブル 550円
発売日2026年4月28日
販売場所nouto工場直売所(山梨県笛吹市石和町駅前5-5)
販売期間通年販売
主原料清里ミルクプラント由来のホエイ/山梨県産フルーツ(4月時点の桃はジュース、7月以降は規格外桃/いちごは規格外品)
体験企画「まきまきマシン」(自分で盛り付け)/「レインボーベーグルがけ」

同じ素材を活かす類似事例──全国に広がる動き

ホエイ・規格外フルーツのアップサイクルは、ここ数年で全国に広がりを見せています。Agriture社の取材ベースでも、以下のような事例が確認できます。

  • 京都・ホエイのミルクせっけん:京都府内のチーズ工房が排出するホエイを水の代わりに使用し、保湿成分を活かした石けんとして商品化。
  • 北海道・廃棄ジャガイモのアイス化:上川管内で年間11万トン規模の規格外ジャガイモを使ったアイスクリームの開発。地域の食品ロスを菓子で消化する試みとして注目されました。
  • 長野・りんご産地のサイダーやドライフルーツ:色付きや傷みで出荷できないりんごを発泡飲料・乾燥菓子に転用する事業者が増加。
  • 静岡・みかんのアップサイクル瓶詰め:規格外みかんを丸ごと瓶詰めにし、皮ごと食べられる商品として販売する事例。

当サイトでも関連動向を追っています。たとえば旭川の規格外ジャガイモ11万トンをアイスに転換した取り組みや、デルタインターナショナルが規格外みかんを瓶詰めにしたまるまるみかんの事例upvegeによる規格外野菜のパウダー化などは、いずれも「拾い上げる仕組み」と「商品にする力」を組み合わせた点で農良ジェラシーと共通します。

nouto工場直売所と「農良ジェラシー」を買いに行くには

販売拠点となるnoutoは、KEIPEが2025年5月にグランドオープンさせた工場併設の直売所です。ジェラート、糖度約60度の干し芋、特許製法による砂糖不使用ドライフルーツ、桃・ぶどうの生果(正規品・規格外品)などを扱い、施設は工場と売場の境界をガラス張りにして、製造の様子を見ながら買い物ができる構造になっています。

5月2日〜6日にかけては、開業1周年を記念した企画も予定されています。発表されている内容は次の通りです。

  • 数量限定の福袋販売
  • 5,000円以上の購入でお買物券を配布
  • 干し芋・ドライフルーツの「詰め放題」企画
  • 桃ジュースを蛇口から注ぐ体験「モモジャグチー」

体験型コンテンツは「まきまきマシン」での自盛り付け、ベーグルへの盛りトッピング「レインボーベーグルがけ」など、家族連れでも楽しめる導線が用意されています。石和温泉駅から徒歩3分という立地も、観光客が立ち寄りやすいポイントです。

食品アップサイクル業界への波及

農良ジェラシーが面白いのは、「廃棄寸前の素材を集める」だけにとどまらず、農家・乳業・小売・体験企画までを地域の中で完結させた循環モデルになっている点です。チーズ工房は副産物を商品化することで実質的な歩留まりが上がり、農家は廃棄するしかなかった規格外品を適正価格で引き取ってもらえる。消費者は「いつもの観光地で買える限定スイーツ」として手に取りやすく、廃棄削減への参加感も得られます。

食品OEMの現場で見ても、ホエイの活用と規格外フルーツの組み合わせは、ペーストやジュレ、発酵飲料、菓子原料など派生レシピに広げやすい構造を持っています。今回はジェラート、次は焼き菓子・乳酸飲料といったかたちで横展開すれば、年間を通じた素材循環の母数を増やしやすく、観光土産・ふるさと納税・PB商品としての引き合いも狙える設計です。

KEIPEは障害者就労支援事業から出発し、現在は地域商社事業や飲食事業など幅広く手がけています。今回のような商品開発の現場が、地域の雇用や働き方の選択肢を広げる場として機能していくのかも、引き続き観察したいテーマです。

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実用情報まとめ

項目詳細
店舗名nouto工場直売所
所在地山梨県笛吹市石和町駅前5-5
アクセスJR中央本線「石和温泉駅」から徒歩3分
営業時間9:30〜16:30(時期により変動の可能性あり)
定休日木曜日
運営KEIPE株式会社(山梨県甲府市)
共同開発有限会社清里ミルクプラント(山梨県北杜市高根町清里)
1周年企画期間2026年5月2日〜5月6日(福袋・詰め放題・モモジャグチー等)

まとめ:副産物と規格外品が「観光商品」に変わるとき

「農良ジェラシー」は、ホエイと規格外フルーツという、これまで活かしきれていなかった2つの素材を、地元の乳業と直売所が組んで観光客にも届く商品へ仕立てた事例です。チーズ作りの副産物が、酪農の縮小と食品ロスという別々の課題を同時に少しだけ前に進めるかたちになっており、食品アップサイクルの議論によく出てくる「捨てない」だけでなく、「美味しいから選ばれる」を成立させた点に意味があります。石和温泉に立ち寄る機会があれば、桃といちご、それぞれの仕上がりをぜひ味わってみてください。

引用元

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    この記事を書いた人

    小島 怜のアバター 小島 怜 Agriture CEO

    株式会社Agriture CEO/乾燥野菜やドライフルーツを中心とした受託加工・OEM事業。京都府内の農家と連携し、規格外野菜の活用や6次産業化支援を通じて、「持続可能な食の流通」を追求している。製造現場での豊富な実体験を活かし、商品企画から試作、小ロット対応、パッケージ設計、販路開拓支援まで、OEMを検討するすべての事業者に伴走するサポートを提供。

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