徳島県産のさるなしを使った「乾燥さるなし」の試作を行いました
このたびAgritureでは、徳島県産のさるなしを原料に使った「乾燥さるなし」の試作を行いました。さるなしはマタタビ科マタタビ属のつる性植物で、キウイフルーツの近縁種にあたります。果実は2〜3cm前後と小さく、産毛のない薄い皮ごとそのまま食べられるのが特徴です。コクワという呼び名のほか、ベビーキウイ・ハーディキウイという流通名で扱われることもあります。

今回の試作では、京都府内の自社加工所で選別・洗浄を行い、皮付きのまま縦と横の2方向にカットして低温乾燥にかけました。仕上がりは写真のとおり深いオリーブ色で、横にカットした断面には放射状の模様と細かな種が現れます。キウイフルーツをそのまま縮小したような見た目が、乾燥後もはっきり残りました。
味は、キウイに似た爽やかな酸味が先に立ち、噛むほどに濃い甘みが追いかけてくる二段構造でした。乾燥によって糖と酸が同時に凝縮するため、生果のときよりも輪郭のはっきりした味わいになります。皮ごと噛んだときの細かな種の食感も残っており、果実としての情報量が多い素材だという手応えがありました。
丸ごとでは乾かなかった
試作ではまず、カットせずに丸ごと乾燥させる方法を試しました。果実が2〜3cmと小さいため、そのままでも乾くのではないかという見立てでしたが、結果は不可でした。表面の皮が乾いて膜のようになり、内側の水分が抜けきらないまま止まってしまいます。
さるなしの皮は薄いものの、水分の通り道としては抵抗になります。小さい果実ほど表面積の割に中心までの距離が短く乾きやすい、という考え方は、皮が全周を覆っている場合には当てはまりませんでした。結局、どこかで皮を切って水分の出口を作る必要があります。
そこで、縦と横の2方向でカットする方法に切り替えました。切断面ができることで内部の水分が抜け、狙った乾燥度合いまで持っていけるようになります。カットは乾燥させるための必須工程であって、形状の選択肢ではないというのが今回の結論です。
皮は剥かないのではなく、剥けない
ドライフルーツの加工では、剥皮工程が歩留まりと手間の両方を押し下げる要因になります。さるなしの場合、そもそも果実が小さすぎて皮を剥く作業が成立しません。産毛のない薄い皮は生果の時点からそのまま食べられるため、皮付きを前提に仕様を組んでいます。
結果として廃棄部位がほとんど出ず、原料を使い切れる素材になりました。ただしこれは「皮ごと使うことを選んだ」のではなく「皮ごとしか使えない」という制約から来ています。皮を除いた仕様を求められる商品設計には向きません。
縦カットと横カット、どちらで仕上げるか
カットの方向によって、乾燥後の見た目と使い道が変わります。
- 縦カット:果実の輪郭に沿った細長い形が残る。焼き菓子の練り込み、シリアル配合、そのまま食べるスナック
- 横カット:放射状の断面が意匠として使える。トッピング、フルーツティーの構成素材
横カットは断面の面積が大きいぶん、湯を注いだときに風味が出やすく、ブレンドティーに組み込む場合はこちらが向きます。見た目の意匠性を重視する製菓・デザート用途でも、放射模様が見える横カットのほうが使い道が広がります。
追熟の見極めが仕上がりを左右する
さるなしは樹上では十分に軟化せず、硬いまま収穫して追熟させる果実です。追熟が足りないと酸ばかりが立ち、進みすぎると果肉が崩れてカット時に形が残りません。カットして乾燥させる工程を前提にすると、この熟度の幅はさらに狭くなります。
収穫のタイミングと追熟の管理を産地側とすり合わせられるかどうかが、量産に進めるかの分かれ目になる素材です。
国産さるなしという原料の希少性
さるなしは山地に自生する果実としても知られますが、ドライフルーツの原料として業務用の量で流通する機会は多くありません。今回は徳島県産の原料を確保し、乾燥品として仕上げました。
原料そのものが珍しいため、商品の訴求軸を素材名だけで立てられるのが強みになります。キウイフルーツの近縁種という説明も、読み手にとって想像しやすい入り口になります。
さるなしを使うOEM・商品開発のアイデア
Agriture社でご相談が多い方向性を整理します。
- 希少果実を軸にした国産ドライフルーツのギフト・詰め合わせ
- グラノーラ・ミューズリーの配合素材(他にない果実で差別化)
- 横カットの断面を活かしたフルーツティー・ブレンドティー
- パウンドケーキ・スコーンなど焼き菓子への練り込み
- カフェ・ホテルのデザートトッピング(戻さずそのまま使える素材)
- 徳島県産という産地を前に出した地域ブランド商品
試作の最小ロットと加工所について
試作は原料1kgからお受けしています。縦カットと横カットの形状違い、乾燥度合いの違いを並行で試せるため、最終製品での見え方や食感を比較しながら仕様を決められます。本製造は10kgからの対応で、仕入れロット・納期・包装形態は個別相談で詰めます。
加工所は京都府内の自社加工所です。賞味期限は出荷日から6ヶ月程度、業務用バルク・小袋・遮光包装まで対応可能です。さるなしの主な製造時期は9〜10月のため、量産を見込む場合は製造時期の3ヶ月前までにご相談ください。
他のドライフルーツとの組み合わせ
さるなしは単独でも使えますが、他のドライフルーツと組み合わせることで商品の幅が広がります。ドライキウイと並べて大小のキウイとして見せる構成、乾燥グリーンレモンで酸味を重ねる設計、ドライりんごで甘みの対比を作る組み合わせなどをご相談いただけます。
Agritureでは、さるなしをはじめとする希少な国産果実の乾燥加工OEMや業務用原料の試作にも対応しています。製菓・飲料・シリアル・ギフトなどの商品開発にご関心のある企業様は、ぜひお気軽にご相談ください。
