山口の伝統野菜とは?協会整理37品種(岩国れんこん・萩たまげなす・岩国赤大根)の特徴と旬・食べ方を解説
山口県の伝統野菜は、瀬戸内海沿岸の温暖な気候、日本海側の萩・長門、中国山地の山間部、岩国の錦川流域など多様な地形のなかで栽培されてきた品種です。日本伝統野菜推進協会では山口県の伝統野菜27品目と伝統果樹9品目を整理しています。本記事では野菜部門のうち主要23品目を本編で扱い、伝統果樹9品目と加工原料・香辛料(蒟蒻・秋穂ごま・鮎蓼・わさび)を末尾の「その他の地方特産品種」で整理します。
岩国れんこん(全国区のれんこん産地)、1kg級の萩たまげなす、岩国赤大根、美東ごぼう、山口甲高玉葱、仁保きゅうり、徳佐うりなど、山口の食文化を支える品目を紹介します。
「伝統野菜」の定義と本記事の対象
| 認定機関 | 主な基準 |
|---|---|
| 京都府「京の伝統野菜」 | 明治以前の栽培歴があり府内全域が対象 |
| 大阪府「なにわの伝統野菜」 | 概ね100年以上前から大阪府内で栽培 |
| 長野県「信州伝統野菜認定制度」 | 昭和30年代以前の栽培・食文化・品種特性 |
| 山口県 | 県独自の伝統野菜認定制度はなし。JA・各市町村が地域ブランド化を支援 |
山口県には伝統野菜を確定する公式な基準や認定制度はなく、日本伝統野菜推進協会も「伝統野菜として括るのが難しい」と注記しています。本記事では協会が整理する伝統野菜27品目と伝統果樹9品目のうち、野菜部門から主要23品目を本編で紹介し、伝統果樹9品目と加工原料・香辛料(蒟蒻・秋穂ごま・鮎蓼・わさび)は末尾の「その他の地方特産品種」セクションで別途扱います。
山口の伝統野菜とは?周防・長門の食文化
| エリア | 代表品目 | 地域特性 |
|---|---|---|
| 周防(岩国・周南など) | 岩国れんこん、岩国赤大根、笹川錦帯白菜、地這いきゅうり、とっくり大根 | 錦川流域と瀬戸内海沿岸 |
| 山口市周辺・宇部 | 仁保きゅうり、徳佐うり(現主産地:宇部市東岐波)、山口甲高玉葱、秋穂ごま、つくねいも、ささげ豆、角太郎ゆず | 山口盆地と阿東・徳地の山間部 |
| 長門(萩・長門市など) | 萩たまげなす、萩わけぎ、萩にんにく、萩ごぼう、萩ころげ蕪、白おくら(長門) | 日本海沿岸と萩城下町 |
| 下関(関門) | 武久蕪、彦島春菜、彦島夏播甘藍、かきちしゃ、大葉しゅんぎく、鮎蓼 | 関門海峡と彦島・内日地区 |
| 美祢・周南 | 美東ごぼう(赤郷ごぼう)、とっくり大根、わさび(蒟蒻は岩国市) | 秋吉台カルスト周辺と中国山地 |
歴史的背景——岩国れんこんと長州の食文化
- 岩国れんこん — 岩国市の錦川流域で栽培されるれんこん。1917年に中国から導入された「白花」系統を地域選抜して継承。肉厚で折ると長く糸を引くのが特徴で、山口県を代表する産品の一つ
- 萩たまげなす(田屋なす) — 長門市仙崎田屋・萩市霧口で栽培される巨大なすで、1kgに達する個体もある
- 山口甲高玉葱 — 山口市秋穂二島で栽培される小玉玉葱。1920年頃に北海道「札幌黄」から育成された早生系統
- 美東ごぼう(赤郷ごぼう) — 美祢市美東町で栽培されるごぼう。柔らかさと歯ごたえ、香りのバランスが持ち味
山口の伝統野菜 主要23品目一覧
根菜・いも類
| 品目 | 特徴 | 産地 | 旬 |
|---|---|---|---|
| 美東ごぼう/赤郷ごぼう | 柔らかく歯ごたえ・香り豊か | 美祢市美東町 | 10〜12月 |
| 岩国赤大根 | 表皮が鮮紅色で切り口は純白の丸大根 | 岩国市錦見 | 12〜2月 |
| とっくり大根 | とっくり形の小型大根 | 周南市 | 12月上〜中旬 |
| 武久蕪 | 小型・純白・肉質緻密・甘い | 下関市武久 | 11月下旬〜12月上旬 |
| 萩ころげ蕪 | 成長した葉が横倒しになる | 萩市 | 10月下旬〜12月 |
| 萩ごぼう | 短いごぼう・葉柄と根両方食用 | 萩市 | 11〜12月 |
| つくねいも/仏掌芋 | 掌状・粘り強く光沢 | 山口市徳地・阿東町 | 11〜12月 |
| 岩国れんこん | 肉厚・折ると長く糸を引く | 岩国市 | 8〜1月 |
葉菜・葉茎類
| 品目 | 特徴 | 産地 | 旬 |
|---|---|---|---|
| あざみ菜 | 寒さに強く厳寒期でも収穫 | 岩国・山口・萩など | 10月上旬〜3月 |
| かきちしゃ | 大島在来種・ほろ苦く歯ごたえ | 下関市 | 10〜6月 |
| 彦島春菜 | 濃緑縮れ半結球 | 下関市彦島・内日 | 12月上〜中旬 |
| 彦島夏播甘藍 | 葉柔らかく甘いキャベツ | 下関市彦島 | 11月下旬〜1月 |
| 大葉しゅんぎく | えぐみ少なく柔らかい | 下関市 | 10〜2月下旬 |
| 萩わけぎ | 刺激少なく風味良好 | 萩市大島 | 11〜3月 |
| 萩にんにく | りん片多く外皮薄紫色 | 萩市大島 | 5月末〜6月中旬 |
| 笹川錦帯白菜 | 産毛なく甘みの白菜 | 岩国市錦見 | 12月 |
果菜・豆・玉葱・その他
| 品目 | 特徴 | 産地 | 旬 |
|---|---|---|---|
| 地這いきゅうり | 地べたで育つ大型きゅうり | 岩国市錦町ほか | 夏 |
| 仁保きゅうり | 長さ30cm・香り・歯切れ良好 | 山口市仁保 | 7〜8月 |
| 徳佐うり | 白瓜・俵型・粕漬け用。現在は宇部市東岐波で栽培 | 山口市阿東徳佐(現主産地:宇部市東岐波) | 6〜8月 |
| 萩たまげなす/田屋なす | 最大1kg級の巨大ナス | 長門市仙崎田屋・萩市霧口 | 5月下旬〜7月中旬 |
| ささげ豆 | 小型そら豆・さっぱりした味 | 山口市旧秋穂町 | 5〜6月初旬 |
| 白おくら | 淡緑・粘り強く生食向き | 長門市(三隅・油谷・日置等) | 7月上旬〜10月 |
| 山口甲高玉葱 | 小玉で貯蔵性が高い早生系統 | 山口市秋穂二島 | 5〜6月 |
100種前後の取り扱い品目がわかる商品カタログ
小ロット〜大ロットまで柔軟に対応できるアグリチャー

- 100g~の小ロットから販売可能
- 日本各地の伝統野菜の扱いあり
- ドライフルーツ/ハーブも対応可能
代表的な山口の伝統野菜7品目の特徴と食べ方
岩国れんこん — 肉厚で糸を引く錦川れんこん
| 旬 | 8〜1月 |
| 産地 | 岩国市(錦川流域) |
| 向く料理 | 煮物、れんこん寿司、れんこんだんご、天ぷら |
岩国れんこんは、1917年に中国から導入された「白花」系統を岩国の錦川流域で選抜継承したれんこんで、肉厚で折ると長く糸を引く粘り気が最大の特徴です。岩国寿司(れんこん寿司)の具として地域の食文化と結びついてきました。
煮物・れんこんだんご・天ぷらのほか、れんこん入りの和食全般で食感が活きます。8〜1月が旬で、岩国市内のJA直売所・ふるさと納税返礼品・通販で県外にも出荷されます。
萩たまげなす(田屋なす) — 1kg級の巨大なす
| 旬 | 5月下旬〜7月中旬 |
| 産地 | 長門市仙崎田屋・萩市霧口 |
| 向く料理 | 田楽、焼きなす、煮物、揚げ浸し |
萩たまげなす(別名:田屋なす)は、長門市仙崎田屋・萩市霧口で栽培される大型なすで、1個が1kgに達する個体もあります。「たまげた」(驚いた)が名前の由来とされ、見た目のインパクトから地域の特産品として流通しています。肉質は柔らかく、加熱するととろけるような食感になります。
田楽・焼きなす・揚げ浸しで大玉を活かした一品に。旬の5月下旬〜7月中旬に長門・萩の直売所で出荷されます。
岩国赤大根 — 表皮が鮮紅の丸大根
| 旬 | 12〜2月 |
| 産地 | 岩国市錦見地区 |
| 向く料理 | 酢漬け、サラダ、浅漬け、なます |
岩国赤大根は、岩国市錦見地区で栽培される丸大根で、表皮は鮮紅色・切り口は純白。紅白のコントラストが美しく、酢漬け・なますにすると食卓の彩りになります。冬期の岩国市内で流通します。
サラダ・浅漬けで生の歯ごたえを楽しめ、正月の紅白料理にも使われます。
美東ごぼう(赤郷ごぼう) — 秋吉台周辺の香り豊かなごぼう
| 旬 | 10〜12月 |
| 産地 | 美祢市美東町 |
| 向く料理 | きんぴら、煮物、天ぷら、ごぼう汁 |
美東ごぼうは、美祢市美東町で栽培される在来ごぼうで、柔らかさと歯ごたえ、風味と香りのバランスが持ち味です。秋吉台カルスト台地の周辺で育ち、水はけの良い土壌がごぼう栽培に適しています。
きんぴら・煮物・天ぷらで香りが引き立ち、ごぼう汁でも味わいが活きます。10〜12月に美祢市内のJA直売所で出荷されます。
山口甲高玉葱 — 札幌黄から育成された秋穂の小玉玉葱
| 旬 | 5〜6月 |
| 産地 | 山口市秋穂二島 |
| 向く料理 | オニオンサラダ、スープ、煮物、炒め物 |
山口甲高玉葱は、山口市秋穂二島で栽培される玉葱で、1920年頃に北海道「札幌黄」から育成された早生系統です(在来品種は現存せず。日本伝統野菜推進協会・JA山口県公式)。貯蔵性の高さが特徴で、瀬戸内海に面した砂壌土と温暖な気候が栽培に適しています。
小玉で甘みが強く、オニオンサラダ・スープで味わいが引き立ちます。5〜6月の収穫期に山口市内のJA直売所で出荷されます。
仁保きゅうり — 山口市仁保の長さ30cmきゅうり
| 旬 | 7〜8月 |
| 産地 | 山口市仁保地区 |
| 向く料理 | サラダ、浅漬け、酢の物、みそ汁 |
仁保きゅうりは、山口市仁保地区で栽培される長さ30cm程度の在来きゅうりで、香りの良さと歯切れの良さが持ち味です。山口盆地の中山間地で受け継がれてきた品種で、地元の夏野菜として親しまれています。
サラダ・浅漬けで食感と香りが引き立ち、みそ汁の具にしても水分の多さが活きます。
徳佐うり — 阿東徳佐の粕漬け用白瓜
| 旬 | 6〜8月 |
| 産地 | 山口市阿東徳佐 |
| 向く料理 | 粕漬け、奈良漬け風、浅漬け、煮物 |
徳佐うりは、もともと山口市阿東徳佐で栽培されてきた俵型の白瓜で、現在は宇部市東岐波で栽培されています(日本伝統野菜推進協会による整理)。粕漬けの原料として受け継がれてきた白瓜です。
粕漬け・奈良漬け風の漬物が地域で愛され、浅漬け・煮物にも使えます。6〜8月に宇部市東岐波の直売所で入手できます。
山口の伝統野菜の購入方法と保存のコツ
| 品目 | 主な入手先 | 時期 |
|---|---|---|
| 岩国れんこん | 岩国市内JA直売所、ふるさと納税、全国通販 | 8〜1月 |
| 萩たまげなす | 長門・萩のJA直売所 | 5月下旬〜7月中旬 |
| 岩国赤大根 | 岩国市内JA直売所 | 12〜2月 |
| 美東ごぼう | 美祢市JA直売所 | 10〜12月 |
| 山口甲高玉葱 | 山口市秋穂のJA直売所 | 5〜6月 |
| 仁保きゅうり | 山口市仁保地区の直売所 | 7〜8月 |
| 徳佐うり | 宇部市東岐波の直売所 | 6〜8月 |
県外への通販・ふるさと納税
- 岩国れんこん — 岩国市のふるさと納税返礼品として秋冬〜翌1月発送
- 美東ごぼう — 美祢市のふるさと納税返礼品として秋〜冬発送
- 加工品 — 徳佐うり粕漬け、岩国蒟蒻、萩ごぼう加工品などが流通
100種前後の取り扱い品目がわかる商品カタログ
小ロット〜大ロットまで柔軟に対応できるアグリチャー

- 100g~の小ロットから販売可能
- 日本各地の伝統野菜の扱いあり
- ドライフルーツ/ハーブも対応可能
山口の伝統野菜を守る取り組み
| 取り組み | 内容 |
|---|---|
| JA山口県のブランド展開 | 岩国れんこん・美東ごぼう・萩たまげなすなどを地域ブランドとして普及 |
| 各市町村の在来種継承 | 山口市(秋穂・仁保・阿東)、下関市(彦島・武久)、岩国市、萩市が地域独自の品種を維持 |
| 伝統果樹の文化財指定 | 山口市の角太郎ゆずは山口市文化財指定。長門市青海島のなつみかん原樹は天然記念物 |
よくある質問
その他の地方特産品種
日本伝統野菜推進協会のリストに含まれる伝統果樹9品目と、加工原料・香辛料など野菜の枠に収まらない品目を別途紹介します。
伝統果樹9品目
| 品目 | 産地 | 特徴 |
|---|---|---|
| 伊予柑 | 周防大島町 | 周防大島産。特選品「島そだち」が糖度12度以上 |
| 角太郎ゆず | 山口市 | 無核ユズ。山口市文化財指定 |
| 岸根栗 | 岩国市美和町河平・岸根 | 大粒で30g以上の栗 |
| こっこう | 上関町祝島 | シマサルナシの仲間。幻の果樹 |
| 西条柿 | 萩市・美祢市 | 渋柿で干し柿に適する |
| 酢橙 | 周南市大津島 | 冬に橙色になり春に緑色に戻る |
| なつみかん/夏橙 | 長門市 | 天然記念物。原樹は青海島で発見 |
| 横野柿 | 下関市安岡横野 | 富有柿より大きく糖度20度前後 |
| 吉浦ポンカン | 岩国市 | 山口県オリジナル柑橘品種の親 |
加工原料・香辛料
| 品目 | 産地 | 特徴 |
|---|---|---|
| 蒟蒻 | 岩国市 | 錦川の清らかな水で加工される在来こんにゃく |
| 秋穂ごま | 山口市秋穂二島 | 秋穂在来系のごま。11〜2月に販売 |
| 鮎蓼 | 下関市 | 蓼酢の材料として鮎料理に使われる薬味 |
| わさび | 岩国市錦町・周南市鹿野 | 甘み・辛み・香りのバランスが良い |
まとめ
山口の伝統野菜は、岩国れんこん・萩たまげなす・岩国赤大根・美東ごぼう・山口甲高玉葱・仁保きゅうり・徳佐うりを中心に、周防・長門の多彩な地域で受け継がれる27品目に伝統果樹9品目を加えた計36品目。瀬戸内海沿岸から中国山地、日本海側の萩・長門まで、地形ごとに品目が分かれます。
春〜初夏は萩たまげなす・萩にんにく・山口甲高玉葱、夏は仁保きゅうり・徳佐うり・白おくら、秋は美東ごぼう・岩国れんこん、冬は岩国赤大根・武久蕪・笹川錦帯白菜と、時期や産地が品目ごとに分かれ、直売所中心の流通が多い点にも注意してください。ふるさと納税や直売所を通じて、山口の地域食材を家庭の食卓で楽しめます。
参考文献・情報ソース
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