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山梨の伝統野菜とは?13品目の特徴と旬・食べ方を解説

山梨県の伝統野菜は、富士山麓の火山灰土・甲府盆地の扇状地・南アルプス山麓・八ヶ岳南麓・身延山地という多彩な地形と標高差のなかで受け継がれてきた在来種群です。日本伝統野菜推進協会の認定では13品目にのぼり、あけぼの大豆・大塚にんじん・鳴沢菜・水かけ菜・やはたいもなど、標高差と水資源に育まれた多様な品目が揃っています。

この記事では13品目を一覧で整理し、代表7品目を詳しく解説します。身延町曙地区の大粒大豆「あけぼの大豆」、80〜120cmにもなる「大塚にんじん」、富士の湧水で育てる「水かけ菜」、標高約800〜900mの南アルプス麓で100年以上受け継がれる「茂倉うり」など、山梨で受け継がれる在来種を紹介します。

目次

「伝統野菜」の定義と本記事の対象

「伝統野菜」には全国統一の定義がなく、認定機関によって基準が異なります。本記事の内容を正確に理解していただくため、主要な認定機関の基準を整理します。

認定機関主な基準
京都府「京の伝統野菜」明治以前から京都で栽培され、京都特有のもの
大阪府「なにわの伝統野菜」概ね100年以上前から大阪府内で栽培
奈良県「大和の伝統野菜」40年以上の栽培歴を持つ品種
秋田県「あきた伝統野菜」昭和30年代以前から県内で栽培
山形県「やまがた伝統野菜」昭和20年以前から県内で栽培
日本伝統野菜推進協会独自の認定基準(より広め)

本記事では、日本伝統野菜推進協会の認定を主要ソースとして13品目を紹介します。山梨県独自の公式認定制度はありませんが、山梨県農政部や各市町村が地域ブランドとして在来種の保全・流通を支援しています。13品目のうち本編では12品目を中心に扱い、自生のクサソテツ若芽である「こごみ」は、厳密な栽培在来種とは位置づけが異なるため記事末尾の「その他の地方特産品種」セクションで別途紹介します。

山梨の伝統野菜とは?富士・八ヶ岳・南アルプスの標高差が育む食文化

山梨県は富士山麓・八ヶ岳南麓・南アルプス山麓・甲府盆地・身延山地という標高差と地形の組み合わせが特徴です。海のない内陸県ながら、富士の伏流水・富士山の火山灰土・南アルプスの清流が独自の栽培環境を生み、高冷地野菜と盆地野菜の両方が育ってきました。

4エリアと品目分布

エリア代表品目地域特性
富士北麓(鳴沢・富士吉田・都留・河口湖)鳴沢菜、水かけ菜、やまといも富士山の火山灰土と伏流水。冬野菜と保存食文化
峡北(北杜・甲斐)浅尾だいこん、紅花いんげん、増冨きゅうり、やはたいも八ヶ岳南麓の高冷地と甲府盆地西縁
峡西・峡南(市川三郷・身延・早川)大塚にんじん、あけぼの大豆、大野菜、茂倉うり南アルプス山麓と身延山地。標高差のある山間地
富士・東部(丹波山村など)落合芋多摩川源流部の山村。落合芋は戦国期に旧塩山から丹波山村に伝わり、現在は同村で継承

4エリアで気候・標高・土壌が大きく異なるため、富士北麓は冷涼気候の冬野菜、峡北は高冷地の豆類・根菜、峡南は標高差を活かした山間野菜というように、地域ごとに品目構成が明確に分かれます。

歴史的背景——江戸時代から続く在来種と富士の水文化

  • 鳴沢菜 — 1814年(文化11年)の『甲斐国誌』に鳴沢村の産物「菘(つけな)」として記載された江戸時代の在来種。野沢菜に似るが遺伝的には長禅寺菜系(長禅寺菜は甲府市の伝統野菜)
  • 浅尾だいこん — 江戸時代から北杜市明野町の火山灰土でソバとともに栽培されてきた在来大根
  • やはたいも — 甲斐市八幡地区で江戸中期から栽培される里芋。とろける舌触りで知られる
  • 茂倉うり — 早川町茂倉地区(標高約800〜900m)で明治期以降100年以上、自家採種で受け継がれている在来ウリ
  • あけぼの大豆 — 明治時代に関西から身延町曙地区に導入された大粒大豆。一般品種より一回り以上大きい粒が特徴

山梨の伝統野菜には、江戸時代からの長い栽培歴を持つ在来種と、富士山麓の伏流水を活かした独自の冬野菜(水かけ菜)が共存します。標高約800〜900mの茂倉うり、富士北麓の鳴沢菜など、山間地の気候差が在来種の多様性を支えてきました。

山梨の伝統野菜 全13品目一覧と旬カレンダー

日本伝統野菜推進協会が認定する山梨県の伝統野菜13品目を、分類別に整理しました。豆類2・根菜2・葉菜3・瓜類2・芋類3・山菜1(自生山菜のこごみ)という構成で、山梨の四季を支える品目が揃います。

12品目早見表

12品目を分類・産地とともに整理しました(こごみは末尾の特産品種で別途紹介)。自生山菜の「こごみ」は末尾の特産品種セクションで扱うため、本編では12品目を中心に扱います。

#品目分類主産地
1あけぼの大豆大豆身延町曙地区
2紅花いんげんインゲン豆(花豆)北杜市須玉町・高根町
3浅尾だいこんダイコン北杜市明野町浅尾地区
4大塚にんじんニンジン(長根)市川三郷町大塚地区
5大野菜葉菜(漬け菜)身延町大野地区
6水かけ菜葉菜(冬野菜)都留市・富士吉田市
7鳴沢菜葉菜(カブナ系)南都留郡鳴沢村
8茂倉うりウリ南巨摩郡早川町茂倉地区
9増冨きゅうりキュウリ北杜市須玉町増富地区
10落合芋ジャガイモ北都留郡丹波山村(発祥地は旧塩山市落合地区)
11やはたいもサトイモ甲斐市八幡地区
12やまといもヤマトイモ富士河口湖町大石地区

豆類2(あけぼの大豆・紅花いんげん)、根菜2(浅尾だいこん・大塚にんじん)、葉菜3(大野菜・水かけ菜・鳴沢菜)、芋類3(落合芋・やはたいも・やまといも)、瓜類2(茂倉うり・増冨きゅうり)と、バランスの良い品目構成です。

主要品目の旬カレンダー

旬を迎える主な品目
12〜2月水かけ菜(12月中旬〜2月末)、大野菜(〜3月下旬)
7月中旬落合芋、茂倉うり(7月上旬〜8月上旬)
8〜9月増冨きゅうり、やはたいも(9月上旬〜翌3月中旬)
9〜11月紅花いんげん(9月中旬〜11月下旬)、あけぼの大豆(10月中旬〜11月上旬)
10〜11月鳴沢菜(10月下旬〜11月上旬)、やまといも(11月収穫)
11〜12月浅尾だいこん(11月上旬〜12月下旬)、大塚にんじん

冬〜早春は水かけ菜・大野菜の葉菜、夏は茂倉うり・落合芋、秋はあけぼの大豆・大塚にんじん・浅尾だいこんと、四季を通じて山梨ならではの在来種が並びます。冬の湧水野菜「水かけ菜」は山梨に加え、静岡県小山町・御殿場市・富士宮市白糸地区でも特産として流通しています。

100種前後の取り扱い品目がわかる商品カタログ

小ロット〜大ロットまで柔軟に対応できるアグリチャー

乾燥野菜
  • 100g~の小ロットから販売可能
  • 日本各地の伝統野菜の扱いあり
  • ドライフルーツ/ハーブも対応可能

代表的な山梨伝統野菜7品目の特徴と食べ方

13品目のなかから、知名度・流通量・食文化への影響力を基準に代表7品目を選びました。

あけぼの大豆 — 一般大豆より一回り大きい在来大豆

10月中旬〜11月上旬(枝豆)、乾豆は通年
産地身延町曙地区
向く料理枝豆、豆腐、味噌、煮豆、豆乳

あけぼの大豆は、身延町曙地区で栽培される大粒の大豆で、一般品種より一回り以上大きい粒が特徴です。明治時代に関西から導入された品種が身延山の山あいの気候・土壌に適応し、甘みが強く味わい深い在来種として定着しました。

10月中旬から11月上旬の枝豆期には、身延町を中心に特産品として販売され、ふるさと納税の返礼品としても人気です。乾燥大豆は豆腐・味噌・煮豆に加工され、粒の大きさと甘みが特徴として活かされています。

大塚にんじん — 80〜120cmの長根にんじん

11〜12月
産地市川三郷町大塚地区
向く料理煮物、きんぴら、スープ、ジュース

大塚にんじんは、市川三郷町大塚地区で栽培される80〜120cmの太く長い長根系にんじんです。濃い鮮紅色とカロチン含量の高さが特徴で、甘みが強く香り豊かです。火山灰由来の深い土壌と地域の栽培技術が、この長さを可能にしています。

煮物にすると崩れず甘みが増し、スープやジュースでは濃厚な色合いと風味が楽しめます。収穫期の11〜12月は市川三郷町内の直売所に並び、1m近い長さを活かしたディスプレイが見られます。

水かけ菜 — 富士の湧水が育てる冬野菜

12月中旬〜2月末
産地都留市・富士吉田市
向く料理お浸し、味噌汁、鍋物、漬物

水かけ菜は、富士山の伏流水(湧水)を田畑に引き込んで栽培する冬野菜(静岡県御殿場市・小山町でも同系の水掛菜が栽培されている)です。富士の湧水は冬でも10℃前後と比較的温かく安定しており、厳寒期でも菜が凍らずに育ちます。柔らかくアクがほとんどなく、ほのかな甘みが特徴です。

お浸し・味噌汁・鍋物で持ち味が引き立ち、繊維の柔らかさと甘みが楽しめます。富士の湧水を活かす栽培法が特徴の品目です(静岡側では「水掛菜」の表記で同種が栽培されている)。旬は厳冬期のみで、都留・富士吉田の直売所が主な入手先です。

鳴沢菜 — 富士北麓の江戸時代から続く漬け菜

10月下旬〜11月上旬
産地南都留郡鳴沢村
向く料理浅漬け、醤油漬け、鳴沢菜漬け、炒め物

鳴沢菜は、富士山北麓の鳴沢村で江戸時代から栽培されてきたカブナ系の葉菜です。1814年(文化11年)の『甲斐国誌』に鳴沢村の産物「菘(つけな)」として記載があります。見た目は野沢菜に似ていますが、遺伝的には野沢菜とは異なる系統と報告されています。

茎が細くて柔らかく、シャキシャキとした食感が特徴。浅漬けや醤油漬けに加工した「鳴沢菜漬け」が地元の定番惣菜で、農林水産省「にっぽん伝統食図鑑」にも掲載されています。鳴沢村の道の駅が主な入手先で、富士山観光とセットで楽しめます。

やはたいも — とろける食感の江戸中期からのサトイモ

9月上旬〜翌3月中旬
産地甲斐市八幡地区
向く料理煮物、衣かつぎ、いも汁、田楽

やはたいもは、甲斐市八幡地区で江戸中期から栽培される里芋で、とろけるような舌触りが最大の特徴です。粘り気が強く、煮物にすると柔らかくもちっとした食感が楽しめます。八幡地区の砂質壌土と甲府盆地特有の寒暖差が、この食感を育てます。

旬は9月から翌3月中旬までの長期で、秋〜冬の山梨の食卓を支えます。衣かつぎやいも汁で素材の個性が引き立ち、地元の郷土料理にも欠かせない品目です。甲斐市内の直売所と産直ECで入手可能です。

茂倉うり — 標高約800〜900mで受け継がれる山間の在来ウリ

7月上旬〜8月上旬
産地南巨摩郡早川町茂倉地区
向く料理漬物、酢の物、塩もみ、サラダ

茂倉うりは、南アルプス山麓の早川町茂倉地区(標高約800〜900m)で、明治期以降100年以上にわたり自家採種で受け継がれてきた在来ウリです。山間地の冷涼な気候が、みずみずしく独特の風味を持つウリを育てています。

塩もみやサラダで食感を楽しむのが定番で、漬物・酢の物にも向きます。栽培地域が早川町茂倉地区に限られ、生産量も少ないため、現地の直売所か産直ECでの入手が中心です。7月上旬〜8月上旬の短い旬を狙って訪れる愛好家もいます。

浅尾だいこん — 八ヶ岳南麓の火山灰土で育つ江戸時代からの大根

11月上旬〜12月下旬
産地北杜市明野町浅尾地区
向く料理おろし、漬物、煮物、大根そば

浅尾だいこんは、北杜市明野町浅尾地区で江戸時代からソバとともに栽培されてきた在来大根です。八ヶ岳南麓の火山灰土は水はけがよく、甘みと辛味のバランスが整った大根を育てます。地元の「大根そば」は、この浅尾だいこんを使った郷土料理として有名です。

おろしにすると香りと辛味が立ち、そばの薬味に最適。漬物・煮物でも肉質の緻密さが活きます。収穫期の11〜12月は北杜市内の直売所に新鮮な大根が並び、そば屋の食べ歩きとあわせて訪れる価値のある産地です。

山梨伝統野菜の購入方法と保存のコツ

山梨の伝統野菜は、産地の直売所・JA直売所・道の駅・ふるさと納税が主要な入手ルートです。あけぼの大豆・やはたいも・大塚にんじんは首都圏のデパート・高級スーパーでも見かける機会があり、水かけ菜・鳴沢菜・茂倉うりは現地訪問か産直ECが中心です。

県内直売所・道の駅

品目主な入手先時期
あけぼの大豆道の駅しもべ、身延町内JA直売所10月中旬〜11月上旬
大塚にんじん道の駅とよとみ、市川三郷町内JA直売所11〜12月
水かけ菜道の駅つる、富士吉田市内の直売所12〜2月
鳴沢菜道の駅なるさわ10月下旬〜11月上旬(加工品通年)
やはたいも甲斐市内JA直売所9〜翌3月
茂倉うり早川町内直売所7月上旬〜8月上旬
浅尾だいこん北杜市明野町のJA直売所11〜12月

県外への通販・ふるさと納税

  • あけぼの大豆 — 身延町のふるさと納税返礼品として秋季限定で全国発送。乾燥大豆は通年
  • やはたいも — 甲斐市のふるさと納税返礼品として秋〜冬に全国発送
  • 大塚にんじん — 市川三郷町のふるさと納税と産直ECで11〜12月に限定出荷
  • 加工品 — 鳴沢菜漬け、あけぼの大豆の豆腐・味噌、水かけ菜のおひたし用セットなどが通年流通

品目別の保存方法

品目短期保存長期保存
あけぼの大豆枝豆は冷蔵2〜3日乾燥大豆として密閉保存(1年以上)
大塚にんじん新聞紙で野菜室1〜2週間ささがき冷凍(1か月)
水かけ菜湿らせて野菜室3日さっと茹でて冷凍(2週間)
鳴沢菜湿らせて野菜室3日鳴沢菜漬けで1か月以上
やはたいも新聞紙で冷暗所2週間洗わず土付きで冷暗所1か月
茂倉うり冷蔵で5日塩もみ・漬物で2週間
浅尾だいこん新聞紙で野菜室2週間切り干し大根で数か月

100種前後の取り扱い品目がわかる商品カタログ

小ロット〜大ロットまで柔軟に対応できるアグリチャー

乾燥野菜
  • 100g~の小ロットから販売可能
  • 日本各地の伝統野菜の扱いあり
  • ドライフルーツ/ハーブも対応可能

山梨の伝統野菜を守る取り組み

13品目の在来種を維持するため、山梨県農政部・身延町・市川三郷町・鳴沢村・北杜市などの自治体と、JAグループ・生産者団体が連携した活動が進んでいます。

地域ブランド化と復活プロジェクト

取り組み内容
あけぼの大豆プロジェクト身延町が町ぐるみで生産拡大・加工品開発・観光誘致に取り組む
鳴沢菜ブランド化鳴沢村とJAが道の駅を拠点に鳴沢菜漬けを全国流通
水かけ菜の産地保全都留市・富士吉田市が富士の湧水を活かした栽培技術を継承支援
大塚にんじん振興市川三郷町がブランド農産物として観光・通販を強化

山梨県独自の公式認定制度はないものの、各自治体が町ぐるみで在来種のブランド化と普及活動を進めています。身延町の「あけぼの大豆の里」、鳴沢村の「道の駅なるさわ」など、観光と直結した産地拠点が形成されているのが特徴です。

あけぼの大豆の町ぐるみプロジェクト

時期出来事
明治時代関西から導入された大豆が身延町曙地区で栽培開始
昭和後期輸入大豆の普及で栽培面積が縮小
平成期身延町が町ぐるみで「あけぼの大豆プロジェクト」を立ち上げ、ブランド化
現在ふるさと納税・加工品開発・観光イベント(あけぼの大豆フェア)で全国流通を確立

あけぼの大豆は、町ぐるみのブランド化により一度縮小した生産を回復させたケースです。自治体・生産者・加工業者の連携した取り組みが、枝豆・大豆・加工品(豆腐・味噌)の複数の流通ルートを生んでいます。

よくある質問

山梨の伝統野菜は何品目ありますか?

日本伝統野菜推進協会の認定では13品目です。山梨県独自の公式認定制度はありませんが、身延町・市川三郷町・鳴沢村・北杜市などの自治体が町ぐるみで在来種のブランド化を進めています。富士北麓・八ヶ岳南麓・南アルプス山麓・甲府盆地・身延山地と、多様な地形と標高差に対応した品目構成が特徴です。

あけぼの大豆はなぜ「大粒」と呼ばれるのですか?

あけぼの大豆は、身延町曙地区で栽培される大粒の在来大豆で、一般的な大豆より一回り以上大きく育つのが最大の特徴です。明治時代に関西から導入された品種が身延山の山あいの気候と土壌に適応し、地元の在来種として定着しました。枝豆・豆腐・味噌・煮豆など用途が広く、ふるさと納税の返礼品としても人気です。

水かけ菜はどうやって冬に栽培できるのですか?

水かけ菜は、富士山の伏流水(湧水)を田畑に引き込んで栽培する冬野菜(静岡県御殿場市・小山町でも同系の水掛菜が栽培されている)です。富士の湧水は冬でも10℃前後と比較的温かく安定しており、厳寒期でも菜が凍らず育つ環境をつくります。都留市・富士吉田市が主産地で、柔らかくアクがほとんどなく、お浸し・味噌汁・鍋物で持ち味が引き立ちます。旬は12月中旬〜2月末の厳冬期のみです。

鳴沢菜と野沢菜は同じ品種ですか?

見た目は似ていますが、異なる品種です。鳴沢菜は南都留郡鳴沢村で江戸時代(1814年の『甲斐国誌』に記載あり)から栽培されてきたカブナ系の葉菜で、甲府市の伝統野菜「長禅寺菜」に近い系統とされます。野沢菜(長野県野沢温泉村)とは外見が似るものの、遺伝的には別系統と報告されています。鳴沢菜は茎が細く柔らかくシャキシャキした食感が特徴で、浅漬け・醤油漬けの「鳴沢菜漬け」が地元の定番惣菜です。

大塚にんじんはなぜ80〜120cmも長くなるのですか?

市川三郷町大塚地区の火山灰由来の深く柔らかい土壌と、地域の栽培技術が、この長さを可能にしています。大塚にんじんは太く長い長根系のにんじんで、濃い鮮紅色とカロチン含量の高さが特徴。甘みが強く香り豊かで、煮物・きんぴら・スープ・ジュースに向きます。収穫期の11〜12月は市川三郷町内の直売所で独特の長さを活かしたディスプレイが見られます。

その他の地方特産品種

日本伝統野菜推進協会のリストに含まれますが、栽培在来種ではなく自生山菜として扱われる品目を、ここでは「地方特産品種」として別途紹介します。

品目分類産地特徴・位置づけ
こごみ山菜(クサソテツ若芽)西八代郡市川三郷町黒沢地区クサソテツの若芽を食用にする自生山菜。栽培在来種というより里山で採取される春の山菜で、4月中旬〜5月上旬が旬

まとめ

山梨の伝統野菜13品目は、富士山麓・八ヶ岳南麓・南アルプス山麓・甲府盆地・身延山地という地形と標高差のなかで受け継がれてきた在来種群です。あけぼの大豆・大塚にんじん・水かけ菜・鳴沢菜・やはたいも・茂倉うり・浅尾だいこんなど、標高差と水資源に対応した品目が並びます。

夏は茂倉うり・落合芋、秋はあけぼの大豆・大塚にんじん・浅尾だいこん、冬〜早春は水かけ菜・大野菜・鳴沢菜漬けと、四季を通じて山梨県産の在来種が流通します。ふるさと納税や道の駅を通じて、山梨の多様な地形が育てた在来種を家庭の食卓に取り入れられます。

参考文献・情報ソース

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    この記事を書いた人

    小島 怜のアバター 小島 怜 Agriture CEO

    株式会社Agriture CEO/乾燥野菜やドライフルーツを中心とした受託加工・OEM事業。京都府内の農家と連携し、規格外野菜の活用や6次産業化支援を通じて、「持続可能な食の流通」を追求している。製造現場での豊富な実体験を活かし、商品企画から試作、小ロット対応、パッケージ設計、販路開拓支援まで、OEMを検討するすべての事業者に伴走するサポートを提供。

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