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岩手の伝統野菜とは?17品目の特徴と旬・食べ方を解説

目次

「伝統野菜」の定義と本記事の対象

「伝統野菜」には全国統一の定義がなく、認定機関によって基準が異なります。本記事の内容を正確に理解していただくため、まず主要な認定機関の基準を整理します。

認定機関主な基準
京都府「京の伝統野菜」明治以前から京都で栽培され、京都特有のもの
大阪府「なにわの伝統野菜」概ね100年以上前から大阪府内で栽培
奈良県「大和の伝統野菜」戦前から本県での生産が確認されている品目
秋田県「あきた伝統野菜」昭和30年代以前から県内で栽培
山形県「山形おきたま伝統野菜」(置賜地域)等の地域別制度地域ごとに基準が異なる
日本伝統野菜推進協会独自の認定基準(より広め)

本記事では、日本伝統野菜推進協会の認定を主要ソースとして17品目を紹介します。ただし、戦後に育成登録された品種や、果実・水草・山菜など厳密な「野菜」の範疇に含まれにくい品目については、記事末尾の「その他の地方特産品種」セクションで別途整理しています。

岩手の伝統野菜とは?遠野・県南・沿岸—三つの地域が育んだ在来種

岩手県には、日本伝統野菜推進協会が認定する17品目の伝統野菜が存在します。北上山地を背骨に、西の内陸盆地、東の沿岸リアス、南の穀倉地帯と地形が複雑に入り組む岩手では、集落ごとに異なる在来種が受け継がれてきました。

とりわけ特徴的なのは、遠野盆地に集中する「かぶ文化」、南部藩と伊達藩の藩境で分かれた食文化の二重構造、そして三陸沿岸の冷涼な気候が生んだ根菜・山菜類の豊かさです。この記事では17品目すべてを整理し、代表7品目の食べ方や購入方法まで解説します。

遠野盆地のかぶ文化と近江からの伝来

遠野地方には暮坪かぶ・遠野かぶ・琴畑かぶの3品種が集中しており、いずれも長根系の特徴を持ちます。戦国時代から江戸初期にかけて、近江(滋賀)の薬売りが種を持ち込んだとする伝承が共通しています。

品目形状伝来の経緯
暮坪かぶ白色・長根20cm10月下旬〜11月上旬約400年前、近江の薬売りが種を持ち込んだとされる
遠野かぶ白色・長根20cm10月下旬〜11月上旬戦国時代に近江から伝来
琴畑かぶ赤色・細長10月頃30年間途絶後、2014年に地元農家が復活栽培

遠野盆地は標高約300mの高冷地で、昼夜の寒暖差がかぶの辛味成分を凝縮させます。暮坪かぶのすりおろしは「遠野物語」にも登場する郷土の薬味で、そばや焼き魚に添える食べ方が今も続いています。

南部藩・伊達藩の境界が生んだ食文化の多様性

岩手県は江戸時代、北部を南部藩、南部を伊達藩が治めていました。この藩境が食文化の境界線にもなり、伝統野菜の顔ぶれに違いを生んでいます。

  • 南部藩エリア(県北・沿岸): 安家地だいこん、阿房宮(食用菊)、畑わさびなど。冷涼な気候に適応した根菜・薬味類が多く、保存食文化(凍みダイコン、干し菊)が発達
  • 伊達藩エリア(県南): 一関特産曲がりねぎ、芭蕉菜、二子さといもなど。仙台圏との交流で伝わった品種が定着し、煮物・汁物文化が根づく
  • 遠野(南部藩南端): 暮坪かぶ、遠野かぶ、琴畑かぶ、早池峰菜、宮守わさび。内陸交易路の中継地として、近江や京都方面からの種が集まった独自の集積地

岩手の在来種を守る取り組み

17品目の中には一度途絶えた品種も含まれ、県内では産官学連携の保存活動が進んでいます。

  • 岩手県農業研究センター: 在来種の種子保存・特性調査を実施
  • 遠野市農林課: 暮坪かぶ・琴畑かぶの栽培継承プログラムを支援
  • 岩手大学農学部: 在来種の遺伝資源調査・DNA分析
  • 地元農家・種子保存団体: 自家採種による種の継承。矢越かぶや早池峰菜の復活は地元農家の尽力によるもの
  • 日本伝統野菜推進協会: 全国の伝統野菜を認定・データベース化し、情報発信を支援

岩手の伝統野菜 全17品目一覧と旬カレンダー

岩手県の認定伝統野菜17品目を、分類・産地・旬とともに一覧にまとめました。根菜類(ダイコン・カブ)が6品目と最も多く、全体の3分の1以上を占めている点が岩手の特徴です。

17品目早見表

#品目分類主産地特徴
1安家地だいこんダイコン岩泉町安家地9月下旬紅色小ぶり600g、凍みダイコンに加工
2阿房宮食用菊久慈市10〜11月上旬黄色花弁が肉厚、南部藩主が京都から導入
3一関特産曲がりねぎネギ一関市初冬白根が太く曲がった長ネギ、伊達藩由来
4黒平豆盛岡市玉山10〜11月黒色楕円平型約2cm、大正初期に商品化
5暮坪かぶカブ遠野市上郷町10〜11月上旬長根系白かぶ、400年の歴史、辛味薬味
6琴畑かぶカブ遠野地区10月頃赤色細長、30年途絶後2014年復活
7地うり・昔きゅうりキュウリ岩泉町7〜9月丸くずんぐり、シベリア系統
8遠野かぶカブ遠野地方10〜11月上旬長根系20cm、戦国時代に近江から伝来
9橋野かぶカブ釜石市橋野11〜4月紅〜白のグラデーション、曲りかぶ
10芭蕉菜葉菜(からし菜)奥州市江刺10〜11月40〜50cmの大葉、塩漬け・粕漬け
11畑わさびワサビ岩泉町5〜9月日本原産、全国生産量の約50%を岩手が占める
12早池峰菜葉菜遠野地方11〜翌5月深緑丸葉、絶滅寸前から復活、年3回収穫
13二子さといもサトイモ北上市二子町9〜11月上旬赤茎種、300年の歴史、強い粘りとコク
14宮守わさびワサビ遠野市宮守町12〜1月草丈1m、辛味と甘味の両立、大正4年から
15矢越かぶカブ一関市矢越12〜2月紫茎、加熱で山吹色に変化、2006年復活
16岩手山梨果実北上山系秋〜初冬3〜8cmの小型野生種、救荒作物
17山ぶどう果実久慈地方9月下旬〜10月8mm球、糖度15度、ジュース・ワイン原料

旬カレンダー — 秋冬に集中する岩手の在来種

旬を迎える品目
5〜9月畑わさび、地うり・昔きゅうり
9月安家地だいこん、二子さといも、山ぶどう
10月暮坪かぶ、遠野かぶ、琴畑かぶ、阿房宮、芭蕉菜、黒平豆
11月早池峰菜(〜翌5月)、橋野かぶ(〜翌4月)
12〜2月一関特産曲がりねぎ、矢越かぶ、宮守わさび
秋〜初冬岩手山梨

17品目のうち14品目が9月〜翌2月に旬を迎える「秋冬集中型」の構成です。これは岩手の短い生育期間と、冬季の保存食文化が密接に関係しています。夏場に収穫できるのは畑わさびと地うり程度で、冬に向けて凍みダイコンや干し菊といった保存加工が行われてきました。

100種前後の取り扱い品目がわかる商品カタログ

小ロット〜大ロットまで柔軟に対応できるアグリチャー

乾燥野菜
  • 100g~の小ロットから販売可能
  • 日本各地の伝統野菜の扱いあり
  • ドライフルーツ/ハーブも対応可能

代表的な岩手伝統野菜7品目の特徴と食べ方

17品目を一覧で整理したところで、特に流通量が多い、あるいは食文化への影響が大きい代表7品目について、産地・旬・おすすめ料理を詳しく紹介します。

暮坪かぶ — 400年続く遠野の薬味かぶ

項目内容
10月下旬〜11月上旬
産地遠野市上郷町佐比内
代表的な料理すりおろし薬味(そば・焼き魚)、漬物、味噌汁

暮坪かぶは長さ約20cmの長根系で、一般的な丸かぶとは異なる形状を持っています。すりおろすと大根おろしに似たピリッとした辛味が広がり、遠野ではそばの薬味として欠かせない存在です。約400年前に近江の薬売りが種を持ち込んだとされ、佐比内地区のわずかな農家だけが栽培を続けています。

食べ方のポイントは、収穫後すぐにすりおろすこと。鮮度が落ちると辛味が飛んでしまうため、地元では畑から抜いたその日のうちに使い切るのが習わしです。

二子さといも — 300年の粘りとコク

項目内容
9月初旬〜11月上旬
産地北上市二子町
代表的な料理いものこ汁、煮っ転がし、芋煮

北上市二子町で300年以上栽培されてきた赤茎種のサトイモです。一般的な里芋と比べて粘りが格段に強く、煮崩れしにくいのに箸で割ると中はねっとりとした食感が広がります。

地元の秋祭りや河川敷で開かれる「いものこ汁」は、二子さといもを主役にした郷土料理の代表格。鶏肉・ごぼう・きのこと一緒に醤油仕立てで煮込む岩手式の芋煮は、山形の牛肉・味噌仕立てとはまったく異なる味わいです。伝統野菜の魅力を体感するなら、まずこの一杯から試してみてください。

安家地だいこん — 紅色の凍みダイコン

項目内容
9月下旬
産地岩泉町安家地区
代表的な料理凍みダイコン(保存食)、煮物、味噌汁

「安家(あっか)」はアイヌ語に由来する地名で、岩泉町の山間部で古くから栽培されてきました。一般的な大根の半分ほどの大きさ(約600g)で、皮が紅色を帯びているのが外見上の特徴です。

最大の特徴は「凍みダイコン」への加工適性にあります。冬の厳寒期に屋外で凍結・乾燥を繰り返すことで水分が抜け、保存性と旨味が格段に向上します。水で戻して煮物や味噌汁に使うと、生の大根にはない凝縮された甘みが出ます。Agritureでも京都の伝統野菜を乾燥加工していますが、東北の凍み加工は寒風を利用する点で異なるアプローチです。

早池峰菜 — 絶滅寸前から復活した遠野の葉菜

項目内容
11月〜翌5月
産地遠野地方
代表的な料理おひたし、漬物、味噌汁の具

早池峰山のふもとで栽培されてきた深緑色の丸葉が特徴の葉菜です。一時は栽培農家が数軒まで減り絶滅寸前に陥りましたが、地元の種子保存活動によって復活を果たしました。

年に3回の収穫が可能で、秋から翌春にかけて長期間にわたり出荷される点も珍しい特性です。霜に当たるとアクが抜けて甘みが増すため、真冬が最もおいしい時期とされています。クセが少なく、おひたしや味噌汁にそのまま使えるため、日常の食卓に取り入れやすい野菜です。

一関特産曲がりねぎ — 伊達藩由来の太ネギ

項目内容
初冬
産地一関市
代表的な料理鍋物、焼きねぎ、天ぷら

白根部分が太く、途中で大きく曲がった独特の形状を持つ長ネギです。栽培途中で植え替えを行い、わざと曲がりを作ることで白根に甘みが凝縮されます。伊達藩の農法が起源とされ、仙台の「曲がりねぎ」と同系統の品種です。

加熱するととろりとした食感に変わり、鍋物や焼きねぎにすると甘みが際立ちます。一関の郷土料理「もち文化」と組み合わせた雑煮やもち膳にも欠かせない食材として、地域の食卓を支えています。

畑わさび — 代表的な生産量を誇る岩泉

項目内容
5月〜9月
産地岩泉町
代表的な料理薬味(刺身・蕎麦)、わさび漬け、茎の醤油漬け

渓流のない畑地で栽培される「畑わさび」は、岩手県が全国生産量の約50%を占めています。沢わさびと比べて辛味はやや穏やかで、茎や葉も食用にできる点が特徴です。

岩泉町の冷涼で湿度の高い気候がわさびの生育に適しており、花芽・茎・葉をすべて利用する「畑わさびの醤油漬け」は地元の定番保存食です。春先に出回る花わさびは、ツンとした辛味とほのかな甘みが同時に楽しめる季節限定の味わいです。

芭蕉菜 — 江刺の大葉からし菜

項目内容
10月〜11月
産地奥州市江刺
代表的な料理塩漬け、粕漬け、おにぎりの包み

葉の長さが40〜50cmにもなる大型のからし菜で、その姿が芭蕉(バナナ)の葉に似ていることから「芭蕉菜」の名がつきました。奥州市江刺地区で古くから栽培されています。

生のままではピリッとした辛味がありますが、塩漬けにすると辛味が和らぎ、シャキシャキとした歯ごたえが残ります。大きな葉でおにぎりを包む「芭蕉菜おにぎり」は、江刺の農作業弁当として親しまれてきた郷土の味。粕漬けにすると長期保存が可能で、冬の常備菜として重宝されています。

地域別の個性—遠野・県南・沿岸部の伝統野菜

岩手の伝統野菜17品目は、大きく「遠野エリア」「県南エリア」「沿岸部エリア」の3地域に分けて整理できます。それぞれの気候・歴史・食文化が、在来種の顔ぶれに色濃く反映されています。

遠野エリア(5品目)— かぶと薬味の宝庫

  • 暮坪かぶ: 長根系白かぶ。すりおろし薬味として蕎麦に添える。栽培は佐比内地区に限定
  • 遠野かぶ: 暮坪かぶと同じ長根系。漬物や味噌汁の具として日常的に利用
  • 琴畑かぶ: 赤い細長かぶ。30年間途絶していたが2014年に復活栽培が始まった
  • 早池峰菜: 深緑色の丸葉。絶滅寸前から復活し、年3回の収穫が可能
  • 宮守わさび: 草丈1mに達する大型わさび。辛味と甘味を併せ持ち、大正4年から栽培

遠野盆地は標高300m前後の冷涼な高地で、かぶの辛味成分が凝縮されやすい環境にあります。近江商人や薬売りが持ち込んだ種が土地に適応し、集落ごとに異なる品種として定着したのが遠野のかぶ文化の成り立ちです。

県南エリア(5品目)— 伊達藩と穀倉地帯の恵み

  • 一関特産曲がりねぎ: 白根が太く甘い曲がりネギ。伊達藩の農法が起源
  • 矢越かぶ: 紫茎のかぶ。戦後途絶し2006年に再発見・復活。加熱すると山吹色に変色
  • 芭蕉菜: 40〜50cmの大葉からし菜。塩漬け・粕漬けの保存食として利用
  • 二子さといも: 赤茎種の里芋。300年の歴史を持ち、いものこ汁の主役
  • 黒平豆: 黒色の楕円平型豆。枝豆としても黒豆としても食べられる二用途品種

県南は北上平野を中心とした岩手随一の穀倉地帯で、里芋や豆類の栽培にも適した肥沃な土壌が広がります。仙台藩(伊達藩)の影響で、煮物・汁物を中心にした食文化が根づいた地域です。

沿岸部エリア(7品目)— 冷涼な気候と野生の恵み

  • 安家地だいこん: 紅色の小ぶり大根。凍みダイコンへの加工が伝統的な保存法
  • 地うり・昔きゅうり: シベリア系統の丸いキュウリ。生食やもろみ漬けに使用
  • 畑わさび: 全国生産量の約50%を岩手県が占める。茎・葉も食用
  • 阿房宮: 黄色の食用菊。南部藩主が京都から導入した経緯を持つ
  • 橋野かぶ: 紅〜白のグラデーションが特徴的な曲りかぶ。長期保存が可能
  • 岩手山梨: 3〜8cmの小型野生種。飢饉時の救荒作物として利用された歴史
  • 山ぶどう: 糖度15度の小粒果実。ジュース・ワイン・ジャムの原料として加工

三陸沿岸から北上山地にかけての冷涼な気候帯では、根菜類の保存加工に加えて、山ぶどうや岩手山梨のような野生種の利用も盛んです。沿岸部特有の湿潤な環境が、畑わさびの大規模栽培を可能にしてきました。

岩手伝統野菜の購入方法と保存のコツ

岩手の伝統野菜は生産量が限られるため、一般的なスーパーにはあまり並びません。購入ルートと品目別の保存方法を把握しておくと、旬の時期を逃さず手に入れやすくなります。

県内の直売所・道の駅で探す

品目主な入手先流通時期
暮坪かぶ遠野市内の直売所(限定流通)10〜11月
二子さといも北上市内の直売所・JAいわて花巻9〜11月
安家地だいこん岩泉町道の駅「いわいずみ」9〜10月
畑わさび岩泉町直売所、道の駅5〜9月
芭蕉菜江刺地区の直売所10〜11月(漬物は通年)
山ぶどう久慈地方の直売所(加工品は通年)9〜10月(生果)
曲がりねぎ一関市内の直売所・スーパー11〜1月

暮坪かぶは遠野市上郷地区の農家が少数で栽培しているため、地元の直売所でも入手が難しい品目です。確実に手に入れたい場合は、秋の収穫期に遠野市の直売所を直接訪れるか、遠野市観光協会に問い合わせるのが確実です。

県外への通信販売・ふるさと納税

  • 二子さといも: ふるさと納税の返礼品として北上市から出品されることがあり、県外からの入手ルートとして有力
  • 山ぶどうジュース・ワイン: 久慈地方の加工品は通販サイトで通年購入が可能。「くずまきワイン」「山ぶどう原液」など商品名で検索できる
  • 畑わさび加工品: わさび漬け・茎の醤油漬けは岩泉町の特産品として通販で流通
  • 凍みダイコン: 安家地だいこんの加工品として、乾物専門店や岩手県産品のオンラインショップで取り扱いあり
  • 芭蕉菜の漬物: 塩漬け・粕漬けは奥州市江刺の特産品として、地元業者が通販を行っている

生の状態で県外に届く品目は限られるため、加工品(漬物・乾物・ジュース類)での購入が現実的な選択肢です。北海道の伝統野菜青森の伝統野菜と同様に、東北・北海道の在来種は保存加工品としての流通に強みがあります。

品目別の保存方法

品目保存方法保存期間の目安ポイント
暮坪かぶ・遠野かぶ新聞紙で包み冷蔵庫の野菜室へ1〜2週間辛味は鮮度とともに落ちるため早めに使い切る
二子さといも土つきのまま新聞紙で包み冷暗所へ2〜3週間洗うと日持ちが落ちるため、使う直前に洗う
安家地だいこん凍みダイコンに加工(屋外で凍結乾燥)半年〜1年水で戻して使用。戻し汁にも旨味が溶け出す
阿房宮(食用菊)花弁をほぐして酢水でゆで、冷凍保存冷凍で3か月干し菊にすると常温で長期保存が可能
芭蕉菜塩漬け・粕漬け塩漬けで3〜6か月漬ける前に天日で半日干すと水っぽくならない
畑わさび湿らせたキッチンペーパーで包み冷蔵1〜2週間茎・葉は醤油漬けにすると1か月保存可能
山ぶどうジュース・ジャム・ワインに加工加工品で1年以上生果は傷みやすく、収穫後3日以内に加工推奨

岩手の伝統野菜は、凍みダイコン・干し菊・塩漬けなど「冬を越すための保存技術」と一体化して伝わってきました。生で長期保存できる品目は少ないため、旬のうちに加工保存するのが岩手流の活用法です。

100種前後の取り扱い品目がわかる商品カタログ

小ロット〜大ロットまで柔軟に対応できるアグリチャー

乾燥野菜
  • 100g~の小ロットから販売可能
  • 日本各地の伝統野菜の扱いあり
  • ドライフルーツ/ハーブも対応可能

途絶から復活—岩手の伝統野菜を守る人々

17品目の中には、栽培が一度完全に途絶えながらも地元の人々の手で復活した品種が含まれています。ここでは代表的な3品目について、途絶と復活の経緯を年表で整理します。

琴畑かぶ — 30年の途絶と2014年の復活

年代出来事
〜1980年代前半遠野市琴畑地区で自家用として栽培されていた
1980年代半ば高齢化と過疎化により栽培農家がゼロに。約30年間途絶
2013年地元の種子バンクに保存されていた種子の存在が確認される
2014年遠野市の農家が復活栽培を開始。赤い細長かぶの姿が再び畑に戻る
2014年以降少量ながら地元直売所に出荷。栽培面積の拡大が課題

琴畑かぶの復活は、種子保存の仕組みがなければ実現しなかった事例です。30年もの空白期間を経ても発芽能力を保っていた種子と、それを引き継いだ農家の意志が復活を可能にしました。

矢越かぶ — 戦後途絶から平成6年(1994年)に栽培復活

年代出来事
戦前〜戦中一関市矢越地区で自家用野菜として栽培
戦後品種改良された西洋系かぶの普及により栽培が途絶
2006年地元農家の倉庫から古い種子が発見される。試験栽培で発芽を確認
2007年〜一関市内の農家が栽培を再開。紫茎で加熱すると山吹色に変わる特性が話題に
現在少量生産ながら地元レストランや直売所に供給。料理人からの評価が高い

矢越かぶが注目を集めたのは、加熱すると山吹色に変わるという視覚的なインパクトです。地元の料理人がこの特性に着目し、煮物やポタージュに採用したことで認知が広がりました。

早池峰菜 — 絶滅寸前からの復活

年代出来事
〜昭和後期遠野地方で冬の葉野菜として広く栽培されていた
平成初期市場流通品種への切り替えが進み、栽培農家が激減。数軒にまで減少
2000年代前半地元の在来種保存グループが残存する種子を収集し、増殖を開始
2000年代後半試験栽培を経て出荷が再開。年3回収穫できる多収性が再評価される
現在遠野地方の直売所を中心に流通。霜に当たった冬場の葉が最もおいしいと評される

早池峰菜は「食べておいしい品種」が復活した好例です。年3回収穫でき、霜で甘みが増す実用性の高さが再評価のきっかけとなり、産地の直売所では冬の人気商品として定着しつつあります。

こうした復活事例に共通するのは、「種子が残っていた」という偶然と、「育ててみよう」という個人の意志の両方が揃ったことです。持続可能な農業の観点からも、在来種の遺伝資源を守る動きは、岩手の農業の未来を支える基盤になりつつあります。

よくある質問

岩手の伝統野菜は何品目ありますか?

日本伝統野菜推進協会が認定する岩手県の伝統野菜は17品目です。ダイコン・カブの根菜類が多く、全体の3分の1以上を占めているのが特徴です。

岩手の伝統野菜で代表的な品目は何ですか?

暮坪かぶ(遠野の薬味かぶ)、二子さといも(北上のいものこ汁の主役)、安家地だいこん(凍みダイコンの原料)の3品目が特に知名度が高い代表品目です。畑わさびは全国生産量の約50%を岩手県が占めており、生産規模の面でも代表的な品目です。

岩手の伝統野菜は県外でも購入できますか?

生の状態で県外に届く品目は限られますが、凍みダイコン・山ぶどうジュース・わさび加工品・芭蕉菜の漬物などの加工品は通販で購入可能です。二子さといもはふるさと納税の返礼品として出品されることもあります。

「凍みダイコン」とは何ですか?

安家地だいこんなどを冬の厳寒期に屋外で凍結・乾燥を繰り返して作る保存食です。水分が抜けて旨味が凝縮され、水で戻して煮物や味噌汁に使うと生の大根にはない甘みが出ます。保存期間は半年から1年程度です。

岩手の伝統野菜の旬はいつ頃ですか?

17品目のうち14品目が9月〜翌2月に旬を迎える「秋冬集中型」の構成です。夏場に収穫できるのは畑わさび(5〜9月)と地うり・昔きゅうり(7〜9月)のみで、秋から冬にかけてが岩手伝統野菜の最盛期となります。

まとめ

岩手の伝統野菜17品目は、遠野盆地のかぶ文化、県南の伊達藩由来の根菜・穀物、沿岸部の冷涼気候が育んだ根菜・果実と、地域ごとにはっきりとした個性を持っています。暮坪かぶの薬味、二子さといものいものこ汁、安家地だいこんの凍みダイコンなど、それぞれの品目が土地固有の食べ方・保存技術と一体になって受け継がれてきた点が、岩手の在来種の最大の魅力です。

琴畑かぶや矢越かぶのように一度途絶えてから復活した品種もあり、在来種の保存には種子の管理と栽培を引き継ぐ人材の両方が欠かせないことを物語っています。秋冬の旬を迎えたら、直売所やふるさと納税を通じて、ぜひ岩手の伝統野菜を食卓に取り入れてみてください。

参考文献・情報ソース

その他の地方特産品種

日本伝統野菜推進協会のリストに含まれますが、果実類や野生種など「野菜」の範疇を超える品目を、ここでは「地方特産品種」として別途紹介します。岩手の食文化を支える重要な作物である点は変わりません。

品目分類産地特徴・位置づけ
岩手山梨果実(野生種)北上山系3〜8cmの小型野生梨。飢饉時の救荒作物として利用された歴史を持つ。厳密には果実だが、山間部の在来作物として岩手の食文化を構成
山ぶどう果実(野生種)久慈地方8mm球・糖度15度の小粒果実。ジュース・ジャム・ワインの原料として加工利用。野生果実だが、久慈地方の特産品として定着

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    小島 怜のアバター 小島 怜 Agriture CEO

    株式会社Agriture CEO/乾燥野菜やドライフルーツを中心とした受託加工・OEM事業。京都府内の農家と連携し、規格外野菜の活用や6次産業化支援を通じて、「持続可能な食の流通」を追求している。製造現場での豊富な実体験を活かし、商品企画から試作、小ロット対応、パッケージ設計、販路開拓支援まで、OEMを検討するすべての事業者に伴走するサポートを提供。

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