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宮城の伝統野菜とは?仙台を中心に受け継がれる在来種22品目を解説

目次

宮城の伝統野菜とは?伊達藩の食文化が育んだ在来種

宮城県には、日本伝統野菜推進協会が整理する22品種(宮城県としての公的認定制度はなし)の伝統野菜が存在します。その多くは仙台藩(伊達藩)の城下町を中心に、江戸時代から400年以上にわたって栽培されてきた在来種です。

戦国武将・伊達政宗が食文化の発展に力を入れたことは広く知られています。仙台藩時代から続く品種もあるが、特定の藩主による導入が確認できるかは品目により異なるされており、宮城の伝統野菜には「伊達藩ゆかりの野菜」と呼べるものが集中しています。全国各地に伝統野菜は存在しますが、藩主の政策が品種の成立に直接関わった例は、宮城の特筆すべき点です。

伊達政宗と仙台の野菜文化

伊達政宗が直接的に関与したとされる品種は複数あります。1593年に博多から原種を持ち帰った仙台長なす、江戸から持ち帰った三河島菜が元になった仙台芭蕉菜など、政宗の遠征・参勤交代が品種伝来のきっかけになりました。

品目伊達藩との関係伝来経路
仙台長なす伊達政宗が原種を持ち帰り博多→仙台(1593年)
仙台芭蕉菜伊達藩士が江戸から持ち帰り江戸・三河島菜→仙台
仙台白菜仙台藩領内で品種確立明治期に中国白菜と交配→松島湾で採種
仙台曲がりねぎ仙台藩領・余目地区で開発水はけの悪い土壌への適応農法
仙台雪菜藩領内の在来冬菜から発展仙台在来品種の選抜
からとりいも正月雑煮の食材として定着仙台の食習慣に組み込まれた里芋

政宗は「ずんだ餅」の由来とされる枝豆の利用をはじめ、味噌・醤油の醸造奨励、水田開発など食の産業化を推進しました。こうした食への関心の高さが、宮城に多種の在来野菜が残る土台となりました。

仙台エリアで栽培される6品目

22品目のうち6品目が仙台エリアに集中しています。城下町の消費需要、伊達藩の農業奨励策、東北特有の寒暖差が品種の固定につながりました。

  • 仙台曲がりねぎ — 余目地区の水はけの悪い土壌に対応した独自農法で生まれた品種
  • 仙台長なす — 400年以上の栽培歴を持つ黒紫色の長なす
  • 仙台白菜 — 日本の白菜栽培の原点「松島純一号」を輩出
  • 仙台芭蕉菜 — 葉丈60〜80cmに達する大型の漬け菜
  • 仙台雪菜 — 寒さで甘みが増す冬限定の漬け菜
  • からとりいも — 赤茎の里芋。ずいき(葉柄)を正月雑煮に使用

これらの品目は仙台市内の農家によって代々受け継がれてきたものですが、生産者の高齢化と市街地拡大により栽培面積は減少傾向にあります。

消失した4品目と在来種保存の課題

宮城の伝統野菜のうち4品目は、種子の途絶や栽培者の消滅により現存が確認できない状態です。在来種の保存がいかに難しいかを示す事例として、記録にとどめておく価値があります。

消失品目分類産地状況
一本太ねぎネギ登米市栽培者不在により消失
新道のかき菜葉菜登米市種子途絶
長下田うりウリ登米市種子途絶
長下田小豆小豆登米市種子途絶

4品目すべてが登米市に集中している点は注目に値します。登米市は稲作主体の農業構造で、野菜を専業とする農家が少なかったことが、在来種の継承を困難にした背景と指摘されています。栽培者の高齢化が一気に進み、種の継承が途切れました。青森の伝統野菜岩手の伝統野菜でも同様の消失事例が報告されており、東北全域で在来種保全の取り組みが急務となっています。

宮城の伝統野菜 全22品目一覧と旬カレンダー

日本伝統野菜推進協会が認定する宮城の伝統野菜22品目を一覧で整理し、続くセクションでは代表7品目を詳しく解説します。まずは全体像を把握しましょう。

22品目早見表

品目名・分類・産地・旬を一覧にまとめました。現存18品目と消失4品目を含む全22品目です。

No.品目分類産地状態
1仙台曲がりねぎネギ仙台市冬(11〜2月)現存
2仙台長なすナス仙台市7〜9月現存
3仙台白菜ハクサイ仙台市冬(11〜2月)現存
4仙台芭蕉菜漬け菜仙台市冬〜春現存
5仙台雪菜漬け菜仙台市12〜1月現存
6からとりいもサトイモ仙台市10〜12月現存
7荒町菜葉菜登米市3月下旬〜4月現存
8観音寺せりセリ登米市5月 / 12月現存
9黒沼つぼみ菜アブラナ科登米市3月頃現存
10石森の垣まめ登米市6月現存
11むかし垣まめ登米市4〜5月現存
12もちとみぎ穀類登米市8月頃苗のみ現存
13鬼首菜漬け菜大崎市鳴子町現存
14上伊場野芋サトイモ大崎市三本木町現存
15小瀬菜大根ダイコン加美町現存
16ちょっぺ茄子ナス白石市・蔵王町現存
17一本太ねぎネギ登米市消失
18新道のかき菜葉菜登米市消失
19長下田うりウリ登米市消失
20長下田小豆小豆登米市消失
21横山のにらニラ登米市春〜秋現存
22よめごささげササゲ登米市現存

※ 品目数のカウントは日本伝統野菜推進協会の認定リストに基づいています。消失4品目を含んだ全22品目です。

旬カレンダー

現存する18品目の収穫時期を月別に整理しました。宮城の伝統野菜は冬に旬を迎える品種が多く、東北の厳しい寒さを活かした栽培が特徴です。

旬を迎える品目
1月仙台雪菜、仙台白菜、仙台曲がりねぎ、仙台芭蕉菜、鬼首菜、小瀬菜大根
2月仙台白菜、仙台曲がりねぎ、鬼首菜、小瀬菜大根
3月仙台芭蕉菜、荒町菜、黒沼つぼみ菜
4月荒町菜、むかし垣まめ、横山のにら
5月観音寺せり(春物)、むかし垣まめ、横山のにら
6月石森の垣まめ、横山のにら
7月仙台長なす、ちょっぺ茄子、横山のにら、よめごささげ
8月仙台長なす、ちょっぺ茄子、もちとみぎ、横山のにら、よめごささげ
9月仙台長なす、上伊場野芋、横山のにら
10月からとりいも、上伊場野芋、横山のにら
11月仙台白菜、仙台曲がりねぎ、からとりいも
12月仙台雪菜、仙台白菜、仙台曲がりねぎ、からとりいも、観音寺せり(冬物)、鬼首菜、小瀬菜大根

12月〜1月に旬のピークが集中するのは、宮城の伝統野菜の大きな特徴です。仙台の冬は最低気温が氷点下に達する日が続きますが、この寒さが葉菜類の糖度を上げ、根菜のデンプン蓄積を促進します。冬の仙台朝市や直売所には、旬を迎えたこれらの伝統野菜がずらりと並びます。

100種前後の取り扱い品目がわかる商品カタログ

小ロット〜大ロットまで柔軟に対応できるアグリチャー

乾燥野菜
  • 100g~の小ロットから販売可能
  • 日本各地の伝統野菜の扱いあり
  • ドライフルーツ/ハーブも対応可能

代表的な宮城伝統野菜7品目の特徴と食べ方

22品目を一覧で整理したところで、ここからは特に知名度が高く流通量も多い代表7品目について、品種の由来・味わい・おすすめの食べ方を詳しく解説します。

仙台白菜 — 日本白菜のルーツ「松島純一号」

仙台白菜は、1922年に松島湾の馬放島で採種に成功した「松島純一号」を祖とする品種で、日本の白菜栽培の原点です。

項目詳細
分類アブラナ科ハクサイ
11月〜2月
外観結球型。葉は肉厚でやわらかい
甘みが強く、煮崩れしにくい
歴史1922年 松島湾・馬放島で採種成功
おすすめ調理鍋物、漬物(仙台白菜漬け)、クリーム煮

現代の白菜は品種改良が進んでいますが、仙台白菜は肉厚でやわらかく、煮込んでも形が崩れにくい点が特徴です。鍋に入れると芯まで甘く、スープにとろみが出ます。仙台では「白菜漬け」として冬の保存食にもなっています。

仙台曲がりねぎ — 余目地区の水はけ対策から生まれた甘ネギ

仙台市岩切の余目(あまるめ)地区で、水はけの悪い土壌への対策として「やとい」と呼ばれる斜め植え農法から生まれた品種です。

項目詳細
分類ヒガンバナ科ネギ属
11月〜2月
外観白い部分が弓なりに湾曲。肉厚
加熱で強い甘みが出る。辛味が少ない
由来余目地区の水はけ対策農法で自然発生
おすすめ調理焼きねぎ、すき焼き、天ぷら、仙台せり鍋の薬味

斜め植えによってネギが曲がりながら育ち、その過程で繊維が柔らかくなります。加熱すると糖度が一気に上がり、焼きねぎにするとトロリとした食感に変化します。京都の伝統野菜である九条ねぎが「薬味ネギ」として知られるのに対し、仙台曲がりねぎは「加熱して食べるネギ」として対照的な個性を持ちます。

仙台長なす — 伊達政宗が博多から持ち帰った400年の品種

仙台長なすの歴史は1593年に遡ります。豊臣秀吉の朝鮮出兵で九州に赴いた伊達政宗が、帰国の際に博多からナスの原種を持ち帰ったとされています。以来400年以上、仙台の気候風土の中で選抜・固定されてきました。

項目詳細
分類ナス科ナス属
7月〜9月
外観黒紫色で先端が尖った長なす形状
果肉がきめ細かく、加熱でとろける
歴史1593年 伊達政宗が博多から原種持ち帰り
おすすめ調理焼きなす、煮びたし、味噌田楽、漬物

仙台長なすは皮が薄く、果肉の水分量が多いため、焼きなすにすると箸で裂けるほどやわらかくなります。仙台では「なす漬け」として夏の食卓に欠かせない一品です。品種改良された現代のナスと比べると収量は少ないものの、味の濃さと食感の滑らかさで根強いファンがいます。

仙台芭蕉菜 — 伊達藩士が江戸から持ち帰った大葉漬け菜

仙台芭蕉菜は、伊達藩士が江戸で栽培されていた三河島菜を仙台に持ち帰ったことが起源と伝えられています。名前の由来は、芭蕉(バナナ)の葉に似た大きな葉の形状からです。

項目詳細
分類アブラナ科の漬け菜
冬〜春
外観葉丈60〜80cm。葉幅も広い大型品種
ほのかな辛みと歯切れのよさ
由来江戸・三河島菜を伊達藩士が持ち帰り
おすすめ調理おひたし、漬物、油炒め、みそ汁の具

東京では三河島菜がすでに消失していますが、仙台では芭蕉菜として形を変えて生き残りました。葉が大きいため、1枚でおにぎりを包む「菜飯おにぎり」にも使われます。漬物にすると独特の歯ざわりが楽しめ、仙台の冬の保存食として家庭ごとに漬け方が伝えられています。

小瀬菜大根 — 根を食べない大根、葉丈80cm超

加美町小瀬地区で栽培される小瀬菜大根は、一般的な大根とは食べ方がまったく異なります。根が肥大しないため、葉(葉丈80〜100cm)を食用にする「葉大根」です。

項目詳細
分類アブラナ科ダイコン属
産地加美町小瀬地区
外観根は細く小さい。葉丈80〜100cm
大根葉のシャキシャキ感と、ほろ苦さ
おすすめ調理漬物、炒め物、みそ汁の具、おひたし

根を食べる通常の大根とは対照的に、小瀬菜大根は葉を刈り取って使います。地元では塩漬けにした「菜漬け」が冬の常備菜として親しまれており、漬け込むことで苦味がまろやかになり、ご飯のお供として重宝されています。

観音寺せり — 仙台雑煮に欠かせない根ゼリ

登米市の観音寺地区で栽培されるセリは、「根ゼリ」と呼ばれ、根まで丸ごと食べるのが特徴です。仙台のお雑煮には欠かせない食材であり、年末には市場価格が急騰します。

項目詳細
分類セリ科セリ属
5月(春物)/ 12月(冬物)
産地登米市観音寺地区
外観白い根が長く発達。全体に細い
根はシャキシャキ、葉はさわやかな香り
おすすめ調理仙台雑煮、せり鍋、おひたし、天ぷら

からとりいも — 正月雑煮の「ずいき」

からとりいもは、仙台で栽培される赤茎の里芋です。一般的な里芋と異なり、ずいき(葉柄)を食用にする文化が根付いています。仙台の正月雑煮には乾燥させたずいきが欠かせない具材です。

項目詳細
分類サトイモ科サトイモ属
10月〜12月
外観茎が赤紫色。芋は小ぶり
芋はねっとり、ずいきはシャキシャキ
食べ方ずいき(葉柄)を乾燥保存し、正月雑煮に使用
おすすめ調理雑煮、煮物、酢の物

ずいきの乾燥保存は、冬の食料確保という東北の生活の知恵そのものです。乾燥ずいきを水で戻すと独特のシャキシャキ食感が復活し、雑煮のだしを吸って風味豊かな一品になります。Agritureが手がける北海道の伝統野菜の記事でも触れていますが、寒冷地では乾燥保存の技術が在来種の食文化と深く結びついています。

地域別の個性—仙台・登米・県北・県南の伝統野菜

宮城の伝統野菜は仙台市に集中するイメージがありますが、実際には登米市・大崎市・加美町・白石市にも固有の品種が分布しています。地域ごとの気候・土壌・食文化が在来種の個性を形づくりました。

仙台エリア(6品目)

城下町の消費需要と伊達藩の農業政策が品種の多様性を支えました。6品目すべてが現存し、流通量も比較的安定しています。

  • 仙台曲がりねぎ(冬)— 余目地区の独自農法。焼きねぎ、すき焼き向き
  • 仙台長なす(7〜9月)— 黒紫色の長なす。焼きなす、漬物
  • 仙台白菜(冬)— 松島純一号の原種。鍋物、白菜漬け
  • 仙台芭蕉菜(冬〜春)— 葉丈60〜80cmの大型漬け菜
  • 仙台雪菜(12〜1月)— 寒さで甘みが増す冬限定品種
  • からとりいも(10〜12月)— ずいきを正月雑煮に使う赤茎里芋

登米エリア(現存8品目+消失4品目)

登米市は宮城県北部の米どころで、豊かな水田地帯が広がります。品目数は多いものの、消失4品目が集中しているエリアでもあり、在来種の保存が課題です。

  • 荒町菜(3月下旬〜4月)— つぼみ菜に似た春野菜。おひたし向き
  • 観音寺せり(5月/12月)— 根まで食べる根ゼリ。仙台雑煮の具
  • 黒沼つぼみ菜(3月頃)— やわらかいアブラナ科の春菜
  • 石森の垣まめ(6月)— 紫花が美しい、個性的な風味の豆
  • むかし垣まめ(4〜5月)— 濃い味わいの在来豆
  • もちとみぎ(8月頃)— 黒色の実、もちもち食感。苗のみ現存
  • 横山のにら(春〜秋)— 登米市横山地区で栽培される在来ニラ
  • よめごささげ(夏)— 登米市の在来ササゲ
  • 【消失】一本太ねぎ / 新道のかき菜 / 長下田うり / 長下田小豆

県北・県南エリア(4品目)

仙台・登米以外の地域にも、その土地固有の在来種が残っています。山間部の鬼首菜は山形県境の気候を反映し、県南のちょっぺ茄子は蔵王山麓の冷涼な環境で育まれた品種です。

  • 鬼首菜(大崎市鳴子町・冬)— 大正時代に山形最上地方から伝来。赤茎・白茎の2系統が存在
  • 上伊場野芋(大崎市三本木町・秋)— 小ぶりで赤紫色の茎を持つサトイモ
  • 小瀬菜大根(加美町小瀬・冬)— 根が肥大しない葉大根。葉丈80〜100cm
  • ちょっぺ茄子(白石市・蔵王町・夏)— 皮も果肉もやわらかい漬物専用ナス

鬼首菜は県境を越えて山形からもたらされた品種であり、なにわの伝統野菜大和の伝統野菜にも見られるように、隣接する地域間で種が行き来して独自の品種に発展するパターンは全国共通です。

宮城伝統野菜の購入方法と保存のコツ

宮城の伝統野菜は、一般的なスーパーではほとんど流通していません。入手するには直売所・朝市・通販を活用するのが現実的です。

県内直売所・朝市

旬の時期に限定されますが、産地に近い直売所が最も確実な入手先です。仙台市内の朝市や農産物直売所では、冬場を中心に仙台曲がりねぎ・仙台白菜などが並びます。

品目主な入手先入手時期
仙台曲がりねぎ仙台朝市、JA仙台直売所、仙台場外市場11月〜2月
仙台長なす仙台朝市、仙台市農業園芸センター直売7月〜9月
仙台白菜仙台朝市、地元スーパー(冬季限定)11月〜2月
仙台芭蕉菜・雪菜仙台朝市、農家直販12月〜3月
観音寺せり登米市内直売所、仙台朝市(冬物)12月
小瀬菜大根加美町内直売所冬季
からとりいも仙台朝市、農家直販10月〜12月

仙台朝市は仙台駅から徒歩5分のアクセスで、旬の時期には複数の店舗で伝統野菜を取り扱っています。年末は特にセリとからとりいもの需要が高まり、早朝に売り切れることも珍しくありません。

県外への通販・ふるさと納税

県外から宮城の伝統野菜を入手するには、以下の方法があります。

  • JA仙台オンラインショップ — 仙台曲がりねぎ、仙台白菜などを冬季限定で販売
  • ふるさと納税 — 仙台市・登米市の返礼品に仙台曲がりねぎセット、せりなどが含まれる場合がある
  • 産直EC(食べチョク・ポケットマルシェ等) — 個別農家が出品する旬の品目を購入可能
  • 仙台土産としての加工品 — 仙台長なす漬け、仙台曲がりねぎの冷凍品など

在来種は収量が限られるため、通販では「予約制」「数量限定」の形式が多い点に注意が必要です。旬の1〜2か月前に予約を開始するケースもあります。

保存方法

品目ごとに適した保存方法が異なります。伝統野菜は品種改良された現代品種より日持ちが短い傾向があるため、早めの消費が基本です。

品目冷蔵保存長期保存
仙台曲がりねぎ新聞紙に包み野菜室で1週間刻んで冷凍(1か月)
仙台長なすラップで個包装、野菜室で4〜5日素揚げ後冷凍 / 漬物
仙台白菜丸のまま新聞紙で立てて冷暗所に2週間塩漬け(白菜漬け)
仙台芭蕉菜・雪菜湿った新聞紙で包み野菜室で3〜4日塩漬け・醤油漬け
観音寺せり根を水に浸し冷蔵で2〜3日さっと茹でて冷凍
小瀬菜大根葉を切り分け、湿った新聞紙で3日塩漬け(菜漬け)
からとりいも風通しのよい冷暗所で1〜2週間ずいきを干して乾燥保存(半年以上)

からとりいものずいきは天日干しで乾燥させると半年以上保存できます。水で戻して使う方法は東北の伝統的な保存食文化の一例であり、乾燥野菜としての利用価値も高い食材です。

100種前後の取り扱い品目がわかる商品カタログ

小ロット〜大ロットまで柔軟に対応できるアグリチャー

乾燥野菜
  • 100g~の小ロットから販売可能
  • 日本各地の伝統野菜の扱いあり
  • ドライフルーツ/ハーブも対応可能

伊達藩の食文化と仙台野菜の復活の動き

宮城の伝統野菜は、単なる農産物ではなく仙台藩の食文化に加え、明治以降に成立した品目も含む多層的な背景です。一時は栽培が途絶えかけた品種もありましたが、地元の農家・研究機関・飲食店が連携して復活に取り組んできた歴史があります。

仙台白菜の復活—松島湾での採種から100年

仙台白菜の歴史は、日本における白菜栽培そのものの歴史と重なります。明治期に中国から持ち込まれた白菜は、他のアブラナ科と交雑しやすく、純粋な種の維持が困難でした。そこで注目されたのが松島湾の離島です。

出来事
明治初期中国から白菜の種が日本に持ち込まれる。交雑問題で安定栽培が難航
1922年宮城県農事試験場が松島湾の馬放島で隔離採種に成功。「松島純一号」「松島純二号」誕生
1920〜40年代松島白菜として全国に流通。日本の白菜栽培の基盤に
1960年代〜F1品種(一代交配種)の普及で松島白菜の栽培面積が激減
2000年代〜地元農家・JA仙台が「仙台白菜」として復活栽培を開始
2010年代〜仙台市内の飲食店がメニューに採用。認知度が回復傾向

松島湾の離島では他のアブラナ科植物が少なく、交雑を防いで白菜の純粋な種を維持できました。この隔離採種の成功が、のちに全国へ広がる白菜栽培の出発点となりました。

仙台曲がりねぎの伝統農法と若手農家

仙台曲がりねぎの「やとい」農法は、手間がかかる分だけ生産コストが高くなります。一時は生産者が激減しましたが、伝統農法の価値を再評価する動きが広がりつつあります。

年代状況
江戸時代余目地区で水はけ対策として斜め植え農法が自然発生
明治〜昭和初期仙台の冬ネギとして市場に定着。「余目ねぎ」の名で流通
1960〜80年代直立型ネギの普及で曲がりねぎの需要が低下。栽培面積縮小
2000年代伝統野菜ブームで再評価。ブランド化の取り組みが始まる
2010年代〜若手農家の参入。飲食店との連携による販路拡大

よくある質問

宮城の伝統野菜は全部で何品目ありますか?

日本伝統野菜推進協会の認定では22品目です。ただし、そのうち4品目(一本太ねぎ・新道のかき菜・長下田うり・長下田小豆)は種子の途絶などにより消失しており、現存が確認できるのは18品目です。

仙台曲がりねぎはなぜ曲がっているのですか?

余目地区の水はけの悪い土壌に対応するため、苗を一度掘り起こして斜めに植え替える「やとい」という農法が生まれました。斜めに植えたネギが太陽に向かって伸びる過程で湾曲し、この独特の形状になります。同時に繊維がやわらかくなり、甘みが増す効果もあります。

宮城の伝統野菜は県外からでも購入できますか?

仙台曲がりねぎなど一部品目はJA仙台のオンラインショップやふるさと納税の返礼品で入手可能です。ただし在来種は収量が限られるため、予約制や数量限定が多く、旬の1〜2か月前から情報をチェックすることをおすすめします。産直EC(食べチョク・ポケットマルシェ等)も有効な手段です。

仙台白菜と一般の白菜の違いは何ですか?

仙台白菜は1922年に松島湾の離島で採種に成功した「松島純一号」を祖とする品種です。現代のF1品種と比べて葉が肉厚でやわらかく、煮込んでも形が崩れにくい特徴があります。甘みが強く、鍋物に入れるとスープにとろみが出る点も大きな違いです。

伊達政宗が持ち帰った野菜はどれですか?

仙台長なすが代表例です。1593年、豊臣秀吉の朝鮮出兵で九州に赴いた伊達政宗が、博多からナスの原種を持ち帰ったと伝えられています。また、仙台芭蕉菜は伊達藩士が江戸の三河島菜を仙台に持ち帰ったことが起源とされており、伊達藩の参勤交代が品種伝来のきっかけになりました。

まとめ

宮城の伝統野菜22品目は、伊達政宗の食文化政策、仙台藩の城下町需要、東北の厳しい冬という3つの要素が交差して生まれた在来種群です。仙台曲がりねぎの「やとい」農法、松島湾での隔離採種による仙台白菜の誕生、400年続く仙台長なすの栽培など、品種ひとつひとつに固有の物語があります。

消失した4品目が示すように、在来種の保存は決して簡単ではありません。一方で、せり鍋ブームによる観音寺せりの需要増加、若手農家の参入による仙台曲がりねぎの生産拡大など、食べることで伝統を守る動きは確実に広がっています。宮城を訪れた際には、仙台朝市や地元の直売所で旬の伝統野菜を手に取ってみてください。

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    小島 怜のアバター 小島 怜 Agriture CEO

    株式会社Agriture CEO/乾燥野菜やドライフルーツを中心とした受託加工・OEM事業。京都府内の農家と連携し、規格外野菜の活用や6次産業化支援を通じて、「持続可能な食の流通」を追求している。製造現場での豊富な実体験を活かし、商品企画から試作、小ロット対応、パッケージ設計、販路開拓支援まで、OEMを検討するすべての事業者に伴走するサポートを提供。

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