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青森の伝統野菜とは?11品目の特徴と旬・食べ方を解説

目次

「伝統野菜」の定義と本記事の対象

「伝統野菜」には全国統一の定義がなく、認定機関によって基準が異なります。本記事の内容を正確に理解していただくため、まず主要な認定機関の基準を整理します。

認定機関主な基準
京都府「京の伝統野菜」明治以前から京都で栽培され、京都特有のもの
大阪府「なにわの伝統野菜」概ね100年以上前から大阪府内で栽培
奈良県「大和の伝統野菜」40年以上の栽培歴を持つ品種
秋田県「あきた伝統野菜」昭和30年代以前から県内で栽培
山形県「やまがた伝統野菜」昭和20年以前から県内で栽培
日本伝統野菜推進協会独自の認定基準(より広め)

本記事では、日本伝統野菜推進協会の認定を主要ソースとして11品目を紹介します。ただし、戦後に育成登録された品種や、果実・水草・山菜など厳密な「野菜」の範疇に含まれにくい品目については、記事末尾の「その他の地方特産品種」セクションで別途整理しています。

青森の伝統野菜とは?津軽と南部——二つの風土が育んだ在来種

青森県は本州最北端に位置し、津軽海峡から八甲田山系、太平洋側の南部平野まで多彩な地形を有しています。この広い県域には、江戸時代の藩政区分に由来する「津軽」と「南部」という異なる食文化圏が存在し、それぞれの土地に根づいた在来野菜が受け継がれてきました。

日本伝統野菜推進協会が認定する青森県の伝統野菜は現在11品目。食用菊「阿房宮」やトウガラシ「清水森なんば」、温泉熱で栽培する「大鰐温泉もやし」など、他県にはない独特の品種が揃っています。この記事では、11品目を一覧で整理し、代表7品目を詳しく解説します。

津軽藩と南部藩——異なる食文化が在来種を守った

青森県は明治維新まで、西側の津軽藩(弘前藩)と東側の南部藩に分かれていました。津軽藩は日本海側の温暖な気候と稲作文化を背景に、トウガラシや枝豆といった畑作品目を発展させた一方、南部藩は冷涼な太平洋側のやませ気候のなかで、食用菊やネギなど寒さに強い品目を育ててきた歴史があります。

津軽と南部の比較
区分津軽エリア(弘前・五所川原)南部エリア(八戸・三戸)
気候日本海側、冬は豪雪太平洋側、やませの影響
代表品目清水森なんば・毛豆・一町田せり阿房宮・糠塚きゅうり・南部太ねぎ
食文化津軽味噌・漬物文化菊料理・根菜の保存食

このように、藩の境界がそのまま食文化の境界となり、それぞれの風土に適した在来品種が独立して守られてきたのが青森の特徴です。京都の京野菜が公家文化から発展したのとは対照的に、青森の伝統野菜は農家の自家採種と地域の食習慣のなかで維持されてきました。

寒冷地の保存食文化と伝統野菜の関係

保存技術対応品目
天日干し(干し菊)阿房宮
温泉熱通年栽培大鰐温泉もやし
甘酢漬け・糠漬け笊石かぶ・筒井紅かぶ
一升漬け・冷凍清水森なんば
塩ゆで冷凍毛豆
漬物加工糠塚きゅうり

本州最北端という立地は、冬季の食料確保を最重要課題としてきました。秋に収穫した菊を蒸して干す「干し菊」、温泉熱を利用した冬季のもやし栽培、カブの漬物——こうした保存・加工の技術が、伝統野菜の品種を次世代に引き継ぐ動機となっています。

Agriture でも国産野菜の乾燥加工を手がけており、伝統野菜の保存性を高める技術には通じるものがあります。九条ねぎや聖護院大根といった京都の伝統野菜を低温乾燥で加工してきた知見から見ても、寒冷地の在来種には乾燥・冷凍と好相性の品目が多く、阿房宮の干し菊、毛豆の塩ゆで冷凍、糠塚きゅうりの漬物がその代表です。

「あおもり食命人」と地産地消の取り組み

  • 食命人認定制度:地元食材の魅力を発信する料理人・生産者を県が認定
  • レシピ開発:伝統野菜を使った新メニューの考案・普及
  • 食育イベント:県内各地で在来種を体験できる催しを開催
  • 直売所・ふるさと納税:県外への販路拡大で消費者との接点を増やす

青森県は「あおもり食命人(しょくめいじん)」制度を設け、地元食材の魅力を発信する料理人・生産者を認定しています。この制度を通じて、伝統野菜を使ったレシピ開発や食育イベントが県内各地で開催されており、消費者が在来種に触れる機会は増加傾向です(参照: 青森県庁「あおもりの野菜」)。

生産量が限られる伝統野菜を持続的に残すには、食べる人を増やす取り組みが欠かせません。県の施策に加え、直売所やふるさと納税を通じた県外への販路拡大も進んでいます。

青森の伝統野菜 全11品目一覧と旬カレンダー

日本伝統野菜推進協会が認定する青森県の伝統野菜は11品目です(参照: 日本伝統野菜推進協会)。まず全品目を一覧表で確認し、その後に月別の旬カレンダーで収穫時期を整理します。

11品目早見表

#品目名分類主産地ひとこと特徴
1阿房宮(あぼうきゅう)食用菊八戸~三戸10月下旬~11月上旬苦みのない黄色菊。江戸時代に南部藩主が京都から導入
2一町田せりセリ弘前市一町田11月下旬強い香りとシャキシャキ食感。400年以上の栽培歴
3おこっぺいもジャガイモ大間町奥戸(おこっぺ)秋~冬大間町奥戸(おこっぺ)地区の在来ジャガイモ。ホクホク粉質。明治38年にアメリカから導入
4がんく短(がんくみじか)長芋東北町~十和田市晩秋・春首が短く粘りが強い長芋
5毛豆(けまめ)枝豆津軽地方9月中旬~10月上旬茶色の毛で覆われた大粒枝豆。栗のような甘み
6大鰐温泉もやしもやし大鰐町通年原料は在来種の大豆「小八豆」。長さ40cm。温泉熱で350年以上栽培
7笊石かぶ(ざるいしかぶ)カブ筒井~田舎館村11月ピンク色の赤かぶ
8清水森なんばトウガラシ弘前市清水森8月~10月マイルドな辛みと高い糖分。栽培農家1人からの復活
9南部太ねぎネギ南部町10月下旬~11月一般ネギの1.5倍の糖度。復活途上の希少種
10筒井紅かぶ(つついあかかぶ)カブ青森市筒井10月下旬~11月上旬濃い紅色の丸形かぶ
11糠塚きゅうり(ぬかづかきゅうり)キュウリ八戸~七戸7月~8月シベリア系黒イボきゅうり。太さ5cm

旬カレンダー(月別テーブル)

品目7月8月9月10月11月通年
糠塚きゅうり
清水森なんば
毛豆
阿房宮
筒井紅かぶ
南部太ねぎ
笊石かぶ
一町田せり
おこっぺいも
がんく短春も
大鰐温泉もやし

カレンダーを見ると、青森の伝統野菜は大きく「夏収穫型」「秋冬集中型」に分かれます。夏収穫型は糠塚きゅうり(7〜8月)と清水森なんば(8〜10月)の2品目で、いずれもシベリア系・南蛮系という冷涼地向きの品種です。残りの9品目は10月〜11月に旬が集中しており、雪が降る前に収穫して漬物や干し菊に加工する——寒冷地ならではの食文化と直結しています。唯一の例外が大鰐温泉もやしで、温泉熱を活用した通年栽培が可能な点は、他の伝統野菜にはない特異性です。

100種前後の取り扱い品目がわかる商品カタログ

小ロット〜大ロットまで柔軟に対応できるアグリチャー

乾燥野菜
  • 100g~の小ロットから販売可能
  • 日本各地の伝統野菜の扱いあり
  • ドライフルーツ/ハーブも対応可能

代表的な青森伝統野菜7品目の特徴と食べ方

11品目のなかでも、生産量・知名度・食文化への影響力が大きい7品目を取り上げます。各品目のミニ表で旬・産地・向く料理を整理しつつ、背景にある歴史や栽培方法の特徴も掘り下げます。

清水森なんば——復活したマイルド唐辛子

項目内容
8月~10月
主産地弘前市清水森
向く料理味噌漬け・天ぷら・一升漬け・パスタ

清水森なんばは、弘前市の清水森地区で栽培されてきた在来トウガラシです。一般的な鷹の爪と比べて辛みがマイルドで、糖分が多いため生でかじっても甘みを感じるのが最大の特徴。地元では味噌と麹と合わせた「一升漬け」の材料として親しまれています。

一時は栽培農家が1人にまで減りましたが、保存会の活動で75戸以上に回復しています(詳細は後述の「復活ストーリー」を参照)。料理面では、生のまま味噌をつけてかじる、天ぷらにする、パスタの辛み付けに使うなど、洋食にも展開しやすい点が2010年代から注目を集めています(参照: マイナビ農業)。

大鰐温泉もやし——350年の温泉栽培

項目内容
通年(温泉栽培のため)
主産地南津軽郡大鰐町
向く料理鍋・炒め物・おひたし・味噌汁

大鰐温泉もやしは、大鰐町の温泉熱を利用して350年以上栽培されてきた「温泉もやし」です。原料は「小八豆(こはちまめ)」と呼ばれる在来の大豆品種。一般的なスーパーのもやしとは別物で、長さ約40cmに育ち、根元から茎まで豆の風味が濃く残ります。

栽培は温泉水を土壌に引き込む独自の方法で、真冬でも安定して生産できます。ただし手間がかかるため生産者は限られており、大鰐町内の直売所や道の駅で入手するのが確実です。シャキシャキとした食感と豆の旨みがあるため、鍋に入れると出汁を吸って存在感を発揮します。

毛豆——津軽の秋の味覚

項目内容
9月中旬~10月上旬
主産地津軽地方一帯
向く料理塩ゆで・ずんだ餅・炊き込みご飯・燻製

毛豆は、さやの表面を茶色の毛が覆う大粒の枝豆です。津軽地方では江戸時代から自家消費用に栽培されてきた在来種で、一般的な枝豆と比べて粒が大きく、栗に近い甘みとコクが口に広がります。

旬は9月中旬から10月上旬にかけてと、一般的な枝豆よりも遅い時期に収穫されます。ビールのつまみとしての塩ゆでが定番ですが、ペースト状にしてずんだ餅にするのも津軽流。脂質が多く味が濃い品種のため、燻製にしても風味が飛びにくい特長があります。

阿房宮——京から伝わった食用菊

項目内容
10月下旬~11月上旬
主産地八戸市~三戸郡
向く料理おひたし・酢の物・干し菊・天ぷら

阿房宮は、花弁が肉厚で苦みのない黄色い食用菊です。江戸時代に南部藩主が京都から取り寄せたと伝えられ、八戸から三戸にかけての南部地方で定着しました。収穫期の10月下旬になると、地元のスーパーにも並ぶほど生活に根づいた食材です。

花弁をむしって熱湯でさっとゆで、酢の物やおひたしにするのが基本の食べ方。保存食としては、蒸した花弁を天日干しにした「干し菊」が伝統的で、冬場の汁物や煮物に戻して使えます。北海道の伝統野菜と比べても、食用菊を日常食として食べる文化は青森ならではの特色です。

糠塚きゅうり——江戸時代のシベリア系

項目内容
7月~8月
主産地八戸市~七戸町
向く料理冷や汁・漬物・サラダ・味噌をつけて丸かじり

糠塚きゅうりは、長さ約20cm・太さ約5cmのずんぐりとした形が特徴のきゅうりです。シベリア系の「黒イボきゅうり」に分類され、表面に黒い突起(イボ)があります。江戸時代から八戸周辺で栽培されてきましたが、一般品種の普及に押されて一時は生産量が激減しました。

味は水分が多く、さわやかな苦みがあるため、皮ごと味噌をつけて丸かじりするのが地元流。肉厚なので漬物にしても歯ごたえが残り、浅漬けや糠漬けとの相性が抜群です。Agriture では京丹後産の昔ながらのきゅうり品種を乾燥加工していますが、糠塚きゅうりのような肉厚品種は乾燥加工でコリコリとした独特の食感が生まれるため、加工素材としても注目しています。

南部太ねぎ——糖度1.5倍の太ネギ

項目内容
10月下旬~11月
主産地南部町
向く料理焼きネギ・鍋・グラタン・すき焼き

南部太ねぎは、一般的なネギと比べて糖度が約1.5倍の太ネギです。一時は生産者が激減しましたが、現在は地元有志により復活途上にあります(詳細は後述の「復活ストーリー」を参照)。白い部分を2cmの輪切りにして焼くと、中からトロリと甘い汁があふれ、ネギだけで一品になります。

薬膳の観点では、白ネギは「辛温解表類」に分類され、体を温める作用が期待されます(参照: 伝統野菜と薬膳の関係)。冬の寒さが厳しい南部地方で太ネギが重宝されてきたのは、味の良さだけでなく、冬場の体調管理という実用面もあったとされています。

一町田せり——400年の香り

項目内容
11月下旬
主産地弘前市一町田
向く料理きりたんぽ鍋・おひたし・天ぷら・雑煮

一町田せりは、弘前市一町田地区で400年以上にわたって栽培されてきたセリの在来種です。市場で流通する一般的なセリと比べて香りが強く、茎のシャキシャキした歯ごたえが際立ちます。

旬は11月下旬と短く、収穫量も限定的ですが、弘前市内の料理店では季節の素材として珍重されています。秋田のきりたんぽ鍋にセリを入れる文化は東北全域に共通していますが、一町田せりを使うと香り立ちが段違い。根まで食べられるので、根を素揚げにして塩を振るのも試してみてください。

地域別の個性——津軽・南部の伝統野菜

青森県の伝統野菜は、藩政時代の区分を引き継ぐ津軽(西部)と南部(東部)の2エリアで整理できます。それぞれの気候・歴史・食文化が伝統野菜のラインナップに反映されており、全国各地の伝統野菜を比較しても、一つの県内にこれほど多彩な食文化圏があるのは珍しい事例です。

津軽エリア

  • 清水森なんば(弘前市):トウガラシ文化の中心地。味噌・麹との合わせ使いが根づく
  • 毛豆(津軽地方一帯):秋の枝豆文化。自家採種で家ごとに味が異なる
  • 一町田せり(弘前市):津軽の冬の食卓に欠かせない香味野菜
  • 大鰐温泉もやし(大鰐町):温泉熱利用の通年栽培。津軽の知恵の結晶

津軽エリアは日本海からの湿った空気と豪雪が特徴で、冬を越すための保存食文化が発達しました。清水森なんばの一升漬けや毛豆のずんだ加工は、保存性を高めるための知恵から生まれた食べ方です。

南部エリア

  • 阿房宮(八戸~三戸):食用菊文化の代表。干し菊に加工して冬の常備食に
  • 糠塚きゅうり(八戸~七戸):シベリア系在来種。太くて肉厚
  • 南部太ねぎ(南部町):復活途上の希少ネギ
  • 笊石かぶ(筒井~田舎館村):漬物用のピンク色かぶ
  • 筒井紅かぶ(青森市筒井):濃紅色の丸形かぶ
  • おこっぺいも(大間町奥戸):明治38年にアメリカから導入された在来ジャガイモ。ホクホク粉質
  • がんく短(東北町~十和田市):粘りの強い在来長芋。上十三地域の特産

南部エリアはやませ(太平洋からの冷たい風)の影響を受けやすく、冷涼な気候に適した根菜類やネギが多く見られます。食用菊を食べる文化は山形県にも共通しますが、阿房宮という固有品種を守り続けてきた点が南部地方の独自性。なにわの伝統野菜大和の伝統野菜に見られる温暖地の品種構成とは対照的に、耐寒性のある品目が並ぶのが特徴です。

南部エリアにはさらに、大間町奥戸(おこっぺ)地区の在来ジャガイモ「おこっぺいも」や、上十三地域(東北町~十和田市)で栽培される粘りの強い在来長芋「がんく短」も含まれます。おこっぺいもは男爵いもより古い歴史を持ち、ホクホクした粉質の食感が煮崩れしにくいのが特長。地元では粉ふき芋や味噌汁の具として使われ、飲食店での提供も増えています。

青森伝統野菜の購入方法と保存のコツ

伝統野菜は生産量が限られるため、一般のスーパーで見かける機会は少なめです。確実に入手するための方法と、旬の短い品目を長く楽しむための保存方法をまとめました。

県内の直売所・道の駅

施設エリア入手しやすい品目
道の駅いなかだて「弥生の里」田舎館村笊石かぶ・筒井紅かぶ
大鰐町 鰐come大鰐町大鰐温泉もやし
弘前市農産物直売所「野市里」弘前市清水森なんば・毛豆・一町田せり
八戸舘鼻岸壁朝市八戸市阿房宮・糠塚きゅうり
道の駅よこはま「菜の花プラザ」横浜町がんく短・季節野菜

旬の時期に産地を訪れるのが最も確実な方法です。特に八戸の舘鼻岸壁朝市は日本最大級の朝市で、7〜8月には糠塚きゅうり、10〜11月には阿房宮が並びます。

県外への通信販売

  • ふるさと納税:弘前市・大鰐町・南部町では返礼品として清水森なんば加工品や温泉もやしセットを取り扱っている自治体があります
  • JA直営のオンラインショップ:JA津軽みらい、JAゆうき青森などが旬の時期に期間限定販売を行うケースがあります
  • 個人農家のEC:毛豆や清水森なんばは、個人農家がBASEやポケットマルシェで直接販売するケースも増えています

ただし、伝統野菜は収穫量が少ないため、通販では予約制や数量限定になる場合がほとんどです。旬の時期の1〜2カ月前から情報を集め、予約開始と同時に申し込むのがおすすめです。

保存方法(乾燥菊・冷凍など)

品目別の保存方法
品目保存方法保存期間の目安
阿房宮蒸してから天日干し(干し菊)半年〜1年
清水森なんば一升漬け加工 / 冷凍保存一升漬け:半年以上 / 冷凍:3カ月
毛豆塩ゆで後に冷凍冷凍で2〜3カ月
糠塚きゅうり漬物加工 / 塩もみして水気を絞ってから冷凍漬物:1〜2カ月 / 冷凍:1カ月
筒井紅かぶ・笊石かぶ甘酢漬け・糠漬け1〜2カ月
大鰐温泉もやし冷蔵(早めに消費)冷蔵で3〜4日

伝統野菜の保存には「加工して保存性を高める」という考え方が合っています。阿房宮の干し菊は代表例で、乾燥させることで旨みが凝縮し、水で戻せばいつでも料理に使えます。Agriture が手がける低温乾燥技術でも、野菜の風味を損なわずに長期保存できる加工が可能で、伝統野菜と乾燥加工の組み合わせは相性のよい領域です。

100種前後の取り扱い品目がわかる商品カタログ

小ロット〜大ロットまで柔軟に対応できるアグリチャー

乾燥野菜
  • 100g~の小ロットから販売可能
  • 日本各地の伝統野菜の扱いあり
  • ドライフルーツ/ハーブも対応可能

消滅の危機から復活した青森の伝統野菜

伝統野菜は「種を守る人」がいなくなれば消滅します。青森でも高齢化や後継者不足で栽培をやめる農家が相次ぎ、品種存続の危機に直面した事例が複数あります。ここでは復活のストーリーを持つ3品目を紹介します。

清水森なんば——栽培農家1人から75戸へ

出来事
2003年栽培農家がわずか1人にまで減少。品種消滅の危機
2004年弘前在来トウガラシ研究会(現・保存会)が発足。種の保存と栽培技術の記録を開始
2005年〜苗の無償配布・栽培講習会を毎年実施
現在2020年時点で61戸の農家が栽培。一升漬け・なんばん味噌がブランド化

復活の鍵となったのは、「一升漬け」「なんばん味噌」といった加工品としてのブランド化です。生鮮だけでなく加工品として販路を広げたことで、栽培の経済的な動機が生まれました。苗の無償配布で参入障壁を下げた点も、短期間で農家数が増えた要因です(参照: ハイポネックス「伝統野菜コラム」)。

南部太ねぎ——最後の1人から復活

出来事
1964年(昭和39年)種苗登録。南部町周辺で広く栽培される
2000年代大量生産に不向きな太さ・栽培期間の長さにより生産者が激減。最後の1人に
2010年代〜南部町の有志グループが復活に着手。地元飲食店と連携し認知度向上
現在復活途上。糖度が一般ネギの1.5倍という品質が追い風に

復活の原動力は「味の良さ」そのものです。糖度が一般ネギの1.5倍あるという品質は、飲食店側からの引き合いにつながり、栽培を再開する経済的な理由になっています。地元飲食店がメニューに取り入れたことで、消費者の認知度も上がりつつあります。

糠塚きゅうり——生産伝承会の挑戦

時期出来事
江戸時代八戸周辺でシベリア系キュウリとして栽培開始
昭和後期F1品種の普及で栽培農家が減少
2014年「糠塚きゅうり生産伝承会」設立
現在八戸市内の飲食店が「夏野菜」としてメニュー採用、認知拡大中

糠塚きゅうりは、八戸市の「糠塚きゅうり生産伝承会」が中心となって栽培を続けています。一般的なきゅうりと形状も味も異なるため、市場流通に乗りにくかった品種ですが、地元の居酒屋やレストランが「八戸の夏野菜」としてメニューに取り入れたことで認知度が上昇しました。

全国の伝統野菜に共通する課題ですが、青森のケースでは「保存会」「伝承会」といった市民主導の団体が復活の原動力になっている点が特徴的です。京都の伝統野菜が行政主導のブランド認定制度で守られてきたのとは異なるアプローチで、草の根の力が品種を救った事例として参考になります。

よくある質問

青森の伝統野菜は何品目ありますか?

日本伝統野菜推進協会が認定している青森県の伝統野菜は11品目です。食用菊、トウガラシ、枝豆、もやし、カブ、ネギ、セリ、キュウリ、ジャガイモ、長芋と、品目のバリエーションが幅広いのが特徴です。

大鰐温泉もやしはどこで買えますか?

大鰐町内の直売所「鰐come」や道の駅で購入できます。県外への通販は期間限定で行われることがありますが、生産量が限られるため予約制になるケースがほとんどです。ふるさと納税の返礼品として取り扱う自治体もあります。

清水森なんばと一般的なトウガラシの違いは?

清水森なんばは一般的な鷹の爪と比べて辛みがマイルドで、糖分が多い点が特徴です。生でかじっても甘みを感じ、加熱すると辛さがさらに穏やかになります。地元では味噌や麹と合わせた「一升漬け」の材料として使われています。

毛豆の旬はいつですか?

毛豆の旬は9月中旬から10月上旬で、一般的な枝豆(7〜8月)よりも1〜2カ月遅い時期に収穫されます。さやの表面が茶色の毛で覆われており、大粒で栗のような甘みとコクがあるのが特徴です。

伝統野菜の種は入手できますか?

品目によって異なります。毛豆は自家採種の在来種なので、農家から直接分けてもらうか、地元の種苗店に問い合わせるのが現実的です。清水森なんばは保存会が苗の配布活動を行っており、弘前市内の園芸店で苗を購入できる場合があります。ただし多くの伝統野菜は市販の種子が流通していないため、産地の農業団体に問い合わせてください。

まとめ

青森県の伝統野菜11品目は、津軽と南部という二つの食文化圏が育んだ在来種の集合体です。温泉熱で350年以上栽培される大鰐温泉もやし、栽培農家1人からの復活を遂げた清水森なんば、栗のような甘みの毛豆——いずれも、その土地の風土と食習慣のなかでしか生まれ得ない品種ばかりです。

大半の品目は10〜11月の秋冬に収穫期が集中するため、旬を狙った訪問か、干し菊・一升漬けなどの加工品を活用するのが入手のコツです。青森の伝統野菜に興味を持った方は、旬の時期に産地を訪れ、現地の直売所で手に取ってみてください。

参考文献・情報ソース

その他の地方特産品種

日本伝統野菜推進協会のリストに含まれますが、戦後に種苗登録された育成品種であり、厳密な「伝統野菜(戦前からの在来種)」とは位置づけがやや異なる品目を、ここでは「地方特産品種」として別途紹介します。

品目分類産地特徴・位置づけ
南部太ねぎネギ南部町昭和39年(1964年)に種苗登録された太ネギ。在来の南部系ネギから選抜された育成品種で、糖度が高く加熱で強い甘みが出る。戦後登録のため厳密な在来種とは異なるが、青森の食文化を代表する品種

関連記事

青森以外の地域の伝統野菜についても、以下の記事で解説しています。

その他の地方特産品種

日本伝統野菜推進協会のリストに含まれますが、戦後に種苗登録された育成品種であり、厳密な「伝統野菜(戦前からの在来種)」とは位置づけがやや異なる品目を、ここでは「地方特産品種」として別途紹介します。

品目分類産地特徴・位置づけ
南部太ねぎネギ南部町昭和39年(1964年)に種苗登録された太ネギ。在来の南部系ネギから選抜された育成品種で、糖度が高く加熱で強い甘みが出る。戦後登録のため厳密な在来種とは異なるが、青森の食文化を代表する品種

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    この記事を書いた人

    小島 怜のアバター 小島 怜 Agriture CEO

    株式会社Agriture CEO/乾燥野菜やドライフルーツを中心とした受託加工・OEM事業。京都府内の農家と連携し、規格外野菜の活用や6次産業化支援を通じて、「持続可能な食の流通」を追求している。製造現場での豊富な実体験を活かし、商品企画から試作、小ロット対応、パッケージ設計、販路開拓支援まで、OEMを検討するすべての事業者に伴走するサポートを提供。

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