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「有機食品の購買は味より信頼で決まる」──日英共同研究が2,800人調査で実証、有機JAS認証の制度的信頼が日本の有機農業普及のカギ

2026年4月、ブルネル大学ロンドンと神戸大学の共同研究チームが、英国約1,300人・日本約1,500人を対象とした大規模消費者調査の結果を発表した。結論は明確だ——有機食品の購買を最も強く促進するのは「味」ではなく「制度(政府認証)への信頼」である。

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研究の概要と主要知見

ブルネル大学のスティーブン・デイヴィッド・ピカリング博士、マーティン・エイナー・ハンセン教授、神戸大学の砂原庸介准教授らによるこの研究は、英国研究イノベーション機構(UKRI)のESRCと日本学術振興会(JSPS)の共同助成を受けて実施された。

調査では乳製品・肉類・卵・野菜の4カテゴリについて「有機版にプレミアム価格を支払う意思(WTP)」を測定し、政府信頼度・対人信頼度・リスク許容度との相関を分析。その結果、人口統計的要因(年齢・収入・学歴)を統制しても、政府を信頼する消費者ほど有機食品への追加支払い意思が有意に高いことが全カテゴリで確認された。

日英比較で見える「認証制度」の重要性

興味深いのは日英間の差異だ:

日本:政府主導の一元的な有機JAS認証制度が存在し、政府への制度的信頼が購買行動に強く連動する構造。

英国:Soil Association・Organic Farmers & Growersなど民間認証が分散しており、制度的信頼に加えて「対人信頼(共有される価値観)」も購買に影響する。

研究チームは「消費者は有機食品を購入後にその品質を自分で検証できない——これは『信用財』である」と指摘。つまり認証マークへの信頼がなければ、いくら店頭で「有機」を謳っても購買には結びつかない構造的な問題がある。

日本の有機農業普及への示唆

農林水産省は2030年までに有機食品の国内需要を3,280億円、有機農業面積を6.3万ヘクタール、消費者の週1回以上の有機食品利用率を25%とする目標を掲げている。過去10年で日本の有機農業市場は42%成長し、有機JAS認証面積は40%増の23,000ヘクタールに達したが、目標にはまだ大きなギャップがある。

今回の研究結果は、このギャップを埋めるためのアプローチとして「マーケティングや表示の改善だけでなく、認証制度そのものの透明性向上が不可欠」というメッセージを発している。

有機農業に携わる生産者・加工業者への実践的ヒント

  • 有機JAS認証の取得・維持を最優先に:認証のない「自称オーガニック」は、この研究が示すとおり消費者の信頼を獲得できない
  • 認証プロセスの可視化:認証取得の過程や検査の様子を発信することで、「透明性」を消費者に伝える
  • 価格プレミアムの正当化:「有機=高い」ではなく「認証された品質=適正価格」というコミュニケーションが有効

籾殻の食品利用プロジェクト「Kami-神-」下水汚泥からの再生リン回収など、サステナブル農業の取り組みが加速する中、「制度的信頼」の構築が有機農業普及の最大のレバーであることを本研究は示している。

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この記事を書いた人

小島 怜のアバター 小島 怜 Agriture CEO

株式会社Agriture CEO/乾燥野菜やドライフルーツを中心とした受託加工・OEM事業。京都府内の農家と連携し、規格外野菜の活用や6次産業化支援を通じて、「持続可能な食の流通」を追求している。製造現場での豊富な実体験を活かし、商品企画から試作、小ロット対応、パッケージ設計、販路開拓支援まで、OEMを検討するすべての事業者に伴走するサポートを提供。

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