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埼玉の伝統野菜とは?18品目の特徴と旬・食べ方を解説

埼玉県の伝統野菜は、江戸時代の川越藩領の農業開拓と東京近郊の野菜供給地としての歴史のなかで受け継がれてきた在来種です。日本伝統野菜推進協会の認定では18品目があり、のらぼう菜や川越いも、岩槻ねぎ、しゃくし菜など、首都圏の食文化を支えてきた在来種が揃っています。

この記事では18品目を一覧で整理し、代表7品目を詳しく解説します。江戸時代の飢饉救済から始まった「のらぼう菜」、くわいの産地としての歴史、秩父の山間部で守られる漬け菜など、埼玉ならではのストーリーを持つ品種を紹介します。

目次

「伝統野菜」の定義と本記事の対象

「伝統野菜」には全国統一の定義がなく、認定機関によって基準が異なります。本記事の内容を正確に理解していただくため、主要な認定機関の基準を整理します。

認定機関主な基準
京都府「京の伝統野菜」明治以前から京都で栽培され、京都特有のもの
大阪府「なにわの伝統野菜」概ね100年以上前から大阪府内で栽培
奈良県「大和の伝統野菜」40年以上の栽培歴を持つ品種
秋田県「あきた伝統野菜」昭和30年代以前から県内で栽培
山形県「やまがた伝統野菜」昭和20年以前から県内で栽培
日本伝統野菜推進協会独自の認定基準(より広め)

本記事では、日本伝統野菜推進協会の認定を主要ソースとして18品目を紹介します。埼玉県独自の公式認定制度はありませんが、地域団体と生産者組合による保存活動が盛んに行われています。18品目のうち、本編では16品目(野菜として一般流通する品種)を中心に扱い、木の芽(山椒の若芽)とぼうふう(セリ科の香辛野菜)は薬味・香辛用途が中心のため、記事末尾の「その他の地方特産品種」セクションで別途詳述します。

埼玉の伝統野菜とは?江戸近郊の食糧供給地が育んだ在来種

埼玉県は江戸時代から「江戸の台所」として首都圏への野菜供給を担ってきた地域です。川越藩のサツマイモ開発、綾瀬川流域のくわい栽培、秩父山間部の漬け菜文化など、地形と歴史が多様な在来種を生み出しました。

川越藩と江戸のサツマイモ文化

エリア代表品目地域特性
県南(さいたま・川口・岩槻)岩槻ねぎ、くわい、紅赤、べか菜、山東菜、落合節成きゅうり江戸近郊の野菜供給地。綾瀬川・芝川の水系が育む水生・葉菜類
川越・比企エリア富の川越いも、比企のらぼう菜、埼玉青大丸なす川越藩領のサツマイモ栽培文化、比企丘陵の飢饉救済野菜
秩父エリアしゃくし菜、大滝いんげん、秩父路ネギ、ちちぶ太白、中津川いも山間部の冷涼気候。白菜代わりの漬け菜文化が発達
東部(八潮・行田・熊谷・深谷)潮止晩生ねぎ、行田在来枝豆利根川・荒川流域の沖積地。明治期から近代農業の実験地

江戸時代、川越藩領の三芳町・所沢周辺では「落ち葉堆肥農法」による大規模なサツマイモ栽培が行われ、「川越いも」の名で江戸市中に出荷されていました。1694年の新田開発を起源とするこの農法は、現在も富の川越いもの生産地で継承されています。

のらぼう菜とくわい——救荒作物が伝統野菜に

  • 比企のらぼう菜 — 江戸中期の飢饉時に住民を救った葉菜。「野良生え」が名前の由来
  • くわい — 1786年の大水害で綾瀬川流域の農家を救済した水生作物。現代はおせち料理の定番
  • 行田在来枝豆 — 昭和50年代に埼玉県農業試験場が収集した希少な青大豆

埼玉の伝統野菜の中には、飢饉や災害の際に住民の命をつないだ救荒作物が複数含まれます。のらぼう菜は天明・天保の飢饉で比企地域の人々を救い、くわいは1786年の荒川水害からの復興を支えたと伝えられ、食糧供給の歴史と深く結びついています。

在来種を守る取り組み

  • 岩槻ねぎ倶楽部 — 一時は市場から消えた岩槻ねぎの復活・普及活動
  • 比企のらぼう菜生産組合 — 西部5町村で連携して栽培継承
  • 埼玉県農業試験場 — 在来種の収集・保存・特性調査を担当
  • 首都圏マーケット連携 — 東京の高級スーパー・料亭との流通ネットワーク

埼玉の伝統野菜 全18品目一覧と旬カレンダー

日本伝統野菜推進協会が認定する埼玉県の伝統野菜18品目を、分類・産地・旬とともに一覧にまとめました。サツマイモ類4品目、葉菜類5品目、ネギ類3品目と、品目ジャンルのバランスが取れているのが特徴です。

18品目早見表

#品目分類主産地
1比企のらぼう菜葉菜(アブラナ科)比企郡西部5町村2月中下旬〜4月
2しゃくし菜漬け菜秩父郡皆野町・小鹿野町ほか10月末〜11月
3富の川越いもサツマイモ入間郡三芳町上富9月〜
4紅赤サツマイモさいたま市浦和区9月下旬〜11月初旬
5岩槻ねぎネギさいたま市岩槻区10〜3月
6くわい水生作物(オモダカ科)さいたま市緑区・岩槻区11月下旬〜12月
7山東菜アブラナ科さいたま市岩槻区・越谷市・八潮市12月10日前後10日間
8大滝いんげんインゲン豆秩父市大滝地区9〜10月
9秩父路ネギネギ秩父地方冬期
10ちちぶ太白サツマイモ秩父市大野原11月中旬〜12月中旬
11中津川いもジャガイモ(バレイショ)秩父市大滝地区初夏〜夏
12埼玉青大丸なすナス比企郡ときがわ町7月中旬〜10月上旬
13落合節成きゅうりキュウリさいたま市中央区落合初夏〜夏
14行田在来枝豆枝豆行田市・熊谷市・深谷市ほか9月下旬〜10月中旬
15潮止晩生ねぎネギ八潮市4〜5月
16べか菜白菜類さいたま市岩槻区・埼玉南部9月下旬・3月中心
17木の芽山椒の若芽さいたま市緑区・川口市神根地区春〜夏(※末尾特産品種で詳述)
18ぼうふうセリ科香辛野菜川口市神根地区・木曽呂地区3〜5月・10〜翌8月(※末尾特産品種で詳述)

サツマイモ類が4品目(富の川越いも・紅赤・ちちぶ太白・中津川いも)含まれるのは埼玉ならではの特徴で、江戸時代の川越藩領のサツマイモ栽培文化を反映しています。葉菜類・漬け菜類も5品目あり、首都圏への出荷を意識した栽培地域が広がっていた歴史が読み取れます。

旬カレンダー(月別)

旬を迎える品目
2〜4月比企のらぼう菜、べか菜(3月中心)
4〜5月潮止晩生ねぎ
初夏〜夏落合節成きゅうり、中津川いも、埼玉青大丸なす
9月富の川越いも、大滝いんげん、紅赤(開始)、行田在来枝豆、べか菜
10〜11月しゃくし菜、紅赤、大滝いんげん、岩槻ねぎ(開始)
11〜12月ちちぶ太白、くわい(11月下旬〜12月)、山東菜(12月10日前後10日間)、秩父路ネギ
翌1〜3月岩槻ねぎ(〜3月)、秩父路ネギ、比企のらぼう菜(2月下旬〜)

秋冬型が中心ですが、比企のらぼう菜の春収穫、落合節成きゅうりの夏収穫など、四季を通じて異なる品目が旬を迎えます。とりわけ山東菜の「12月10日前後10日間のみ」という極短の旬は、栽培条件の厳しさから「幻の野菜」と呼ばれる所以です。

100種前後の取り扱い品目がわかる商品カタログ

小ロット〜大ロットまで柔軟に対応できるアグリチャー

乾燥野菜
  • 100g~の小ロットから販売可能
  • 日本各地の伝統野菜の扱いあり
  • ドライフルーツ/ハーブも対応可能

代表的な埼玉伝統野菜7品目の特徴と食べ方

18品目のなかから、知名度・流通量・食文化への影響力を基準に代表7品目を選びました。

比企のらぼう菜 — 江戸時代の飢饉を救った春の葉菜

2月中下旬〜4月
産地比企郡西部5町村
向く料理おひたし、辛子和え、炒め物、天ぷら、パスタ

のらぼう菜は、アブラナ科のつぼみ付きの茎を食用にする早春の葉菜です。江戸時代の古文書にも登場し、天明・天保の飢饉時には比企地域の住民を救った救荒作物として伝えられています。「野良生え(のらばえ)」が名前の由来とされ、荒地でも育つ強さが特徴です。

甘みが強くシャキシャキした食感で、栄養価も非常に高いため、和洋どちらの料理にも使いやすい万能野菜です。おひたし・辛子和えの定番調理以外にも、パスタの具やサラダに使える汎用性があります。

しゃくし菜 — 秩父の白菜代わりの漬け菜

10月末〜11月
産地秩父郡皆野町・小鹿野町ほか
向く料理しゃくし菜漬け、炒め物、味噌汁、おひたし

しゃくし菜は、葉が淡緑色・茎が純白でしゃくし(杓子)のような形をしている漬け菜です。明治初期に中国から伝来し、秩父地方では標高が高く白菜の栽培に不向きな地域の漬物用野菜として古くから栽培されてきました。

シャキシャキした食感と独特の辛味・苦みが特徴で、塩漬けにした「しゃくし菜漬け」は秩父の郷土料理の代表格です。炒め物や味噌汁の具としても地元で親しまれ、秩父観光のお土産としても定番の商品です。

富の川越いも — 江戸時代から続くホクホクのサツマイモ

9月〜
産地入間郡三芳町上富
向く料理焼き芋、天ぷら、和菓子、蒸し芋

富の川越いもは、入間郡三芳町上富で1694年の新田開発を起源とする伝統的な「落ち葉堆肥農法」で栽培されるサツマイモです。江戸時代には川越藩領から江戸市中に大量に出荷され、「川越いも」の名で親しまれました。

ホクホクとした食感と強い甘みが特徴で、焼き芋や蒸し芋、天ぷら、和菓子の材料として幅広く使われます。三芳町の「落ち葉堆肥農法」は2023年7月に世界農業遺産(GIAHS)に認定など、世界的にも注目される伝統農法です。

紅赤 — 1898年発見のきんとん用サツマイモ

9月下旬〜11月初旬
産地さいたま市浦和区
向く料理きんとん、干し芋、スイートポテト、栗きんとん

紅赤は、1898年(明治31年)にさいたま市浦和区針ケ谷の農家が発見した在来サツマイモです。皮が鮮やかな赤紫色、肉は黄色で粉質が強く、甘みとホクホク感を兼ね備えた特性から、大正〜昭和初期には埼玉県内のサツマイモ作付面積の約9割を占めるまでに広がりました。

粉質で糖度が高いため、きんとん・干し芋・スイートポテトなど加工用途に最適。現在は新品種の台頭で生産量が減少していますが、「きんとん用の最高峰」として根強い需要があります。

岩槻ねぎ — 江戸時代の古典落語に登場する分けつ性ネギ

10月〜翌3月
産地さいたま市岩槻区
向く料理鍋物、焼きねぎ、薬味、すき焼き

岩槻ねぎは、1株から10〜15本のネギが分けつする独特の在来ネギです。江戸時代の古典落語「たらちね」にも登場する歴史ある品種で、青身が短く白身は緑色を帯びるのが特徴です。

柔らかさゆえに葉が折れやすく、現代の大量輸送・大量陳列には不向きだったため一時は市場から姿を消しましたが、「岩槻ねぎ倶楽部」の復活運動により現在は直売所や地元飲食店で再び入手できるようになっています。

くわい — おせち料理に欠かせない縁起物

11月下旬〜12月
産地さいたま市緑区・岩槻区
向く料理おせち(煮物)、揚げ物、茶碗蒸し、炊き込みご飯

くわいは、オモダカ科の水生作物で、球茎部分を食用にします。江戸中期に綾瀬川流域で栽培が始まり、1786年の大水害からの復興を支えた歴史があります。芽が出た姿が「芽出たい」に通じることから、おせち料理の縁起物として重用されます。

ホクホクした栗や芋のような食感と、ほのかな苦みが特徴。煮物が定番ですが、素揚げにして塩を振るだけでも良質なおつまみになります。さいたま市緑区・岩槻区は全国有数のくわい産地で、11月下旬に泥炭地から収穫が始まります。

山東菜 — 12月10日前後10日間だけの「幻の野菜」

12月10日前後10日間
産地さいたま市岩槻区・越谷市・八潮市
向く料理浅漬け、べったら漬け、おひたし、鍋物

山東菜は、1875年(明治8年)に日本に渡来したアブラナ科の野菜で、白菜のように結球せず半結球状になるのが特徴です。1株6〜7kgという巨大な大きさで、肉質がやわらかく漬物に最適です。

栽培条件が非常に厳しく、適期は12月10日前後のわずか10日間ほど。そのため「幻の野菜」と呼ばれ、旬を逃すと翌年まで待つことになります。現在は岩槻区・越谷市・八潮市の限定農家でしか栽培されておらず、流通量は極めて少ない希少品種です。

地域別の個性—県南・川越比企・秩父・東部

埼玉の16品目(木の芽・ぼうふうを除く)は、県南・川越比企・秩父・東部の4エリアに分布しています。

県南エリア(さいたま市・川口市・岩槻区・越谷・八潮)

  • 岩槻ねぎ(さいたま市岩槻区)— 分けつ性の在来ネギ
  • くわい(さいたま市緑区・岩槻区)— おせちの縁起物
  • 紅赤(さいたま市浦和区)— きんとん用の粉質サツマイモ
  • 山東菜(岩槻区・越谷市・八潮市)— 12月10日前後のみ収穫する幻の野菜
  • べか菜(岩槻区・埼玉南部)— 山東菜の間引き菜が起源
  • 落合節成きゅうり(さいたま市中央区落合)— 戦前の全国流通キュウリの原型

川越・比企エリア(三芳・比企郡西部・ときがわ)

  • 富の川越いも(入間郡三芳町上富)— 落ち葉堆肥農法による江戸時代からのサツマイモ
  • 比企のらぼう菜(比企郡西部5町村)— 飢饉を救った春の葉菜
  • 埼玉青大丸なす(比企郡ときがわ町)— 奈良漬け用の巾着型ナス

秩父エリア(秩父市・皆野・小鹿野)

  • しゃくし菜(秩父郡皆野町・小鹿野町ほか)— 白菜代わりの漬け菜
  • 大滝いんげん(秩父市大滝地区)— 幅広で筋のない在来いんげん
  • 秩父路ネギ(秩父地方)— 秩父在来の緑葉ネギ
  • ちちぶ太白(秩父市大野原)— 大正7年選抜の白肉サツマイモ
  • 中津川いも(秩父市大滝地区)— 淡ピンクのねばりサツマイモ

秩父エリアは山間部の冷涼気候と独自の食文化が残る地域で、5品目という最多の集積を誇ります。しゃくし菜の漬物、ちちぶ太白の焼き芋など、秩父観光の食の楽しみとしても人気です。

東部エリア(八潮・行田・熊谷・深谷)

  • 潮止晩生ねぎ(八潮市)— 江戸時代導入の在来ネギ
  • 行田在来枝豆(行田市・熊谷市・深谷市ほか)— 希少な晩生の青大豆

埼玉伝統野菜の購入方法と保存のコツ

埼玉の伝統野菜は首都圏からのアクセスが良く、産地の直売所・道の駅、JA直売所、ふるさと納税で入手しやすい環境です。富の川越いも・しゃくし菜漬けなど加工品は通年購入可能、生野菜は旬の時期に限られます。

県内直売所・道の駅

品目主な入手先時期
比企のらぼう菜比企郡西部の直売所、道の駅おがわまち2〜4月
しゃくし菜秩父市・皆野町の直売所、道の駅みなの10〜11月
富の川越いも三芳町の直売所、道の駅いちごの里9〜12月
紅赤さいたま市内直売所(限定)9〜11月
岩槻ねぎ岩槻区内直売所、岩槻ねぎ倶楽部10〜3月
くわいさいたま市緑区・岩槻区の直売所11月下旬〜12月
山東菜岩槻・越谷・八潮の農家直販(限定)12月10日前後

首都圏からの日帰り圏内に全ての産地があるため、旬に合わせて現地を訪れるのが最も確実な入手方法です。特に山東菜は旬が10日間のみのため、訪問時期を逃すと翌年まで待つことになります。

県外への通販・ふるさと納税

  • 富の川越いも — 三芳町のふるさと納税返礼品として通年販売(秋〜冬の生芋+加工品)
  • しゃくし菜漬け — 加工品として通販で通年購入可能。秩父土産の定番
  • くわい — 年末限定で首都圏の青果店・高級スーパーに出荷
  • 紅赤 — 数量限定で通販・さいたま市のふるさと納税返礼品に
  • 比企のらぼう菜 — 春限定で産直EC・東京の高級スーパーに出荷

品目別の保存方法

品目短期保存長期保存
比企のらぼう菜湿らせた新聞紙で野菜室3日さっと茹でて冷凍(2週間)
しゃくし菜湿らせて野菜室3日塩漬け(しゃくし菜漬け、1〜2か月)
富の川越いも新聞紙で冷暗所(新聞紙で包んで2〜3か月)焼き芋にして冷凍(1か月)
紅赤新聞紙で冷暗所1〜2か月干し芋加工(半年以上)
岩槻ねぎ新聞紙で野菜室1週間刻んで冷凍(1か月)
くわい水に浸して冷蔵1週間茹でてから冷凍(1か月)
山東菜丸ごと冷暗所で1週間塩漬け(1〜2か月)

サツマイモ類は新聞紙で冷暗所保存すれば数ヶ月持ちます。葉菜類は鮮度低下が早いため、購入後すぐに茹でて冷凍保存するのが鮮度を保つコツです。

100種前後の取り扱い品目がわかる商品カタログ

小ロット〜大ロットまで柔軟に対応できるアグリチャー

乾燥野菜
  • 100g~の小ロットから販売可能
  • 日本各地の伝統野菜の扱いあり
  • ドライフルーツ/ハーブも対応可能

埼玉の伝統野菜を守る取り組み

18品目の在来種を維持するため、生産者組合・自治体・飲食店が連携した活動が続いています。

岩槻ねぎ倶楽部の復活プロジェクト

時期出来事
江戸時代さいたま市岩槻区で分けつ性ネギとして栽培。古典落語「たらちね」に登場
昭和後期葉が折れやすく輸送難度が高いことから生産激減
2000年代「岩槻ねぎ倶楽部」が発足。在来種の復活栽培を開始
現在直売所・地元飲食店での流通が定着。ふるさと納税返礼品にも

「輸送に弱い在来種」を復活させるには、流通を変えることが鍵でした。大量流通から地産地消へ舵を切ることで、岩槻ねぎは生産・消費のサイクルを取り戻しました。

富の川越いもと落ち葉堆肥農法

  • 三芳町上富地区 — 1694年の新田開発以降、落ち葉堆肥を使った持続可能な農法が継承
  • 世界農業遺産(GIAHS)認定申請 — 2023年に国際的な申請が進められ、伝統農法の価値が再評価
  • 農家の世代交代 — 若手農家の参入と観光農園化でブランド強化

落ち葉堆肥農法は、雑木林から落ち葉を集めて畑に敷き、腐葉土として利用する循環型の農法です。化学肥料なしでサツマイモの品質を保つため、環境保全と伝統野菜の継承を同時に実現する好事例として注目されています。

よくある質問

埼玉の伝統野菜は何品目ありますか?

日本伝統野菜推進協会が文献や地域取り組みから整理した18品種(埼玉県では伝統野菜の特段の定義や認定は未実施)です。埼玉県独自の公式認定制度はなく、協会認定が主な根拠となっています。サツマイモ類・葉菜類・ネギ類がバランスよく含まれ、地域的にも県南・川越比企・秩父・東部に分布しています。

のらぼう菜はなぜ「野良生え」と呼ばれるのですか?

「野良生え(のらばえ)」とは、畑の外でも自生する強い生命力を指す言葉です。のらぼう菜は江戸時代の飢饉時に荒地でも育って住民を救ったことから、「野良生え」が名前の由来になったとされています。栄養価が非常に高く、現在も比企地域の春の食卓を支える葉菜として親しまれています。

山東菜の「12月10日前後10日間」とはどういうことですか?

山東菜は栽培条件が非常に厳しく、収穫適期が12月10日前後のわずか10日間程度しかない希少品種です。早すぎれば半結球にならず、遅すぎれば霜害で傷みます。この短い期間を逃すと翌年まで入手できないため、「幻の野菜」と呼ばれます。岩槻・越谷・八潮の限定農家が栽培を続けています。

紅赤と一般のサツマイモは何が違いますか?

紅赤は1898年に発見された粉質の強い在来サツマイモで、きんとんやスイートポテトなどの加工用途に最適です。現在主流のシルクスイート・べにはるかといった「ねっとり系」品種とは食感が異なり、ホクホクとした粉質感が持ち味です。大正〜昭和初期には関東の主力品種でしたが、新品種の台頭で現在は希少品種となっています。

川越いもと富の川越いもは同じですか?

「川越いも」は江戸時代に川越藩領で栽培されたサツマイモの総称で、複数の品種を含みます。その中でも入間郡三芳町上富で落ち葉堆肥農法により栽培されるサツマイモが「富の川越いも」として日本伝統野菜推進協会に認定されています。紅赤も川越いもの一系統として扱われますが、認定上は別品目です。

その他の地方特産品種

日本伝統野菜推進協会のリストに含まれますが、薬味・香辛野菜として一般的な「野菜」の範疇とは異なる用途の品目を、ここでは「地方特産品種」として別途紹介します。いずれも埼玉の食文化を代表する重要な在来作物です。

品目分類産地特徴・位置づけ
木の芽山椒の若芽さいたま市緑区・川口市神根地区山椒の若芽。奈良・平安時代から薬用として使われ、明治時代から栽培が始まった。独特の香りとほろ苦さで和食の添え物・薬味として用いられる
ぼうふうセリ科香辛野菜川口市神根地区・木曽呂地区セリに似た香りと苦味を持つ香辛野菜。刺身のツマとして使用。江戸中期に茨城県鹿島地方から種子が導入され、全国シェア80%を占める埼玉の特産

まとめ

埼玉の伝統野菜18品目は、江戸時代の川越藩領のサツマイモ栽培、綾瀬川流域のくわい、比企地域ののらぼう菜、秩父の漬け菜文化など、首都圏の食を支えてきた歴史を持つ在来種です。川越いも・のらぼう菜・岩槻ねぎは復活活動が進み、東京の飲食店でも再び見かけるようになりました。

春は比企のらぼう菜、秋は紅赤・富の川越いも、冬は岩槻ねぎ・しゃくし菜・くわい・山東菜と、季節ごとに異なる在来種が楽しめます。首都圏からの日帰りでも訪れやすい埼玉の産地直売所を巡る旅は、伝統野菜の世界に触れる入門としてもおすすめです。

参考文献・情報ソース

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    この記事を書いた人

    小島 怜のアバター 小島 怜 Agriture CEO

    株式会社Agriture CEO/乾燥野菜やドライフルーツを中心とした受託加工・OEM事業。京都府内の農家と連携し、規格外野菜の活用や6次産業化支援を通じて、「持続可能な食の流通」を追求している。製造現場での豊富な実体験を活かし、商品企画から試作、小ロット対応、パッケージ設計、販路開拓支援まで、OEMを検討するすべての事業者に伴走するサポートを提供。

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