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ベトナム農林水産輸出、2026年第1四半期は166.9億ドル——コーヒー・米の価格急落も水産が13%増で下支え

ベトナム農業農村開発省が発表した2026年第1四半期(1〜3月)の農林水産物輸出統計によると、総輸出額は166億9000万米ドル(前年同期比+5.9%増)に達した。コーヒーや米など主力作物の国際価格が急落するという逆風の中での達成であり、特に水産分野の底力が注目されている。

目次

全体概況:コーヒー・米の価格下落が足を引っ張る中での成長

ベトナムは世界有数の農業輸出国として、コーヒー・米・胡椒・カシューナッツ・エビなど多様な農産品を世界中に輸出している。しかし2026年に入り、コーヒーと米の国際価格が大幅に下落。両品目の輸出金額を圧迫したにもかかわらず、水産品の急伸と他品目の数量増加で全体を支えた格好だ。

農業輸出の多様化という戦略の成果が数字に表れてきていると言える。単一品目依存のリスクを分散するという農業政策が、今回の局面で機能していることを示している。

水産輸出が主役:26.2億ドル・前年比13.3%増

Q1 2026の最大の牽引役は水産輸出だ。輸出総額は26億2000万米ドルと前年同期比13.3%増を達成した。

中でも注目されるのが中国・香港市場への輸出急増だ。Q1累計で約7億6400万ドル(前年比45%増)を記録し、3月単月では2億5000万ドル超(前年比50%以上増)という驚異的な伸びを示した。

この背景には3つの要因がある:

  1. 春節需要:2026年の旧正月は2月中旬で、年末から年初にかけて中国国内の高級海産物需要が急増した
  2. 生きたロブスターの供給代替:カナダからの輸入関税・供給変動を受け、中国がベトナム産ロブスターへの需要を急拡大させた
  3. 中価格帯〜高級品セグメントの拡大:中国の中間所得層による高品質水産物消費増加が継続

課題:米国・日本・韓国向けは約10%減

一方で懸念材料もある。米国向け輸出はMMPA(海洋哺乳類保護法)由来のCOA規制と反ダンピング関税の影響で前年比10%以上減少した。日本・韓国向けも約10%の減少で、消費の落ち込みと規制環境が足かせとなっている。

EU市場は「ほぼ横ばい」の状況で、安定はしているものの成長エンジンとはなっていない。

日本の農業・食品業界への示唆

ベトナムの農産品輸出動向は、日本の食品OEMや農業事業者にとっても無関係ではない。具体的には以下の点で関連が深い:

  • 原材料価格への影響:ベトナム産コーヒー豆・胡椒・カシューナッツを原料に使う食品OEMでは、価格下落が仕入れコスト低下につながる可能性がある
  • 規格外野菜・乾燥野菜の輸出機会:ベトナムで技術力・品質基準が向上する中、日本の加工技術との連携でアジア市場を狙う動きが出始めている
  • 食料安全保障の観点:中国市場でのベトナム水産需要急増は、日本への供給に影響を与える可能性も

今後の見通し:中国依存高まりつつも多様化戦略は継続

VASEP(ベトナム水産品輸出業者協会)によると、Q2以降も中国・香港が最大の成長市場として牽引役を果たすと予測されている。一方で米国・日本向けの回復には時間がかかる見通しだ。

ベトナム政府はこの状況を受け、農産品の多市場展開と高付加価値化を引き続き推進する方針を示している。アグリテック(農業テクノロジー)の活用や、バリューチェーン整備への投資も加速する見通しだ。

参考:ベトナム政府公式情報(英語)Vietnam Investment Review。agriture.jpでは食品OEM市場動向2026FOOD展2026情報も提供している。

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この記事を書いた人

小島 怜のアバター 小島 怜 Agriture CEO

株式会社Agriture CEO/乾燥野菜やドライフルーツを中心とした受託加工・OEM事業。京都府内の農家と連携し、規格外野菜の活用や6次産業化支援を通じて、「持続可能な食の流通」を追求している。製造現場での豊富な実体験を活かし、商品企画から試作、小ロット対応、パッケージ設計、販路開拓支援まで、OEMを検討するすべての事業者に伴走するサポートを提供。

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