世界で生産される食品の約4割が廃棄されている中、「アップサイクル食品」はその無駄を価値に変える新たな解決策として注目されています。本記事では、廃棄予定の食材や副産物に新たな命を吹き込むアップサイクルの考え方と、京都発の乾燥野菜ブランド「OYAOYA」による先進的な取り組みを紹介します。持続可能な食の選択肢として、今なぜアップサイクル食品が求められているのかを深掘りします。アップサイクル食品とは?食品ロス削減の新たな潮流食品ロスが世界的な課題となる中、新たな解決策として「アップサイクル食品」が注目を集めています。短文で言えば、捨てられるはずだった食材に新たな価値を与える取り組みです。世界では生産する食品のおよそ40%が廃棄されているという現実があります。アップサイクル食品とは、本来は廃棄される予定だった食品原料や副産物に創意工夫を加え、新たな商品として生まれ変わらせる取り組みのことです。単なる再利用ではなく、元の素材の特性を活かしながら、むしろ価値を高める点が特徴的です。日本の食品ロスは年間約523万トンにも上り、そのうち食品製造業が全体の24%(125万トン)を占めています。この膨大な無駄を減らすべく、アップサイクル食品は従来の「もったいない」という日本文化と現代のサステナビリティの考え方が融合した解決策として広がりつつあるのです。参考:消費者庁消費者教育推進課 食品ロス削減推進室例:規格外野菜の可能性を広げるOYAOYA弊社が運営する京都発の乾燥野菜専門通販ブランド「OYAOYA(おやおや)」は、規格外野菜のアップサイクルに取り組むブランドです。全収穫量の約3割が形の悪さから行き場を失う現状に着目し、新たな価値を生み出しています。OYAOYAは京都府北部エリアの農家から仕入れた野菜を使用した乾燥野菜(切り干し野菜)を全国に届けています。特に形が悪く市場に出回らない規格外野菜や京野菜に焦点を当て、それらをブドウ糖不使用の無添加で仕上げた商品を提供しているのです。天日干しに近い温度でじっくり乾かすことにより、野菜の旨味や栄養を凝縮させるだけでなく、生鮮野菜では気付けなかった隠れた魅力を引き出すことに成功しています。この製法により、廃棄される予定だった野菜に新たな命を吹き込み、「畑の新しいご馳走」として提案しています。アップサイクル食品の環境・社会・経済的メリットアップサイクル食品は、環境・社会・経済の三側面からさまざまなメリットをもたらします。オタゴ大学(ニュージーランド)の調査によると、余剰食品や副産物のアップサイクルには多くの潜在的メリットがあることが明らかになっています。環境面では、食品廃棄物の削減によって温室効果ガスの排出量を抑制できます。食品廃棄物の削減は、気候変動を逆転させる解決策の中でも最も重要な位置を占めているのです。OYAOYAのような取り組みは、廃棄される予定だった野菜に新たな命を吹き込むことで、環境負荷の軽減に貢献しています。社会的には、食品廃棄物や農業廃棄物をアップサイクルすることで、雇用創出や生産者の所得向上につながります。OYAOYAは京都府北部エリアの生産者と連携し、地元ならではの資材を使ったサスティナブルな土づくりや栽培方法にこだわる農家を支援しています。これにより、地域社会の活性化にも一役買っているのです。経済的観点からは、加工に関わる一次加工を地域の福祉施設と連携して行なっていることから地元企業で雇用を発生させることもできております。アップサイクル食品は単なるトレンドではなく、持続可能な社会への転換において重要な役割を果たすビジネスモデルとして注目されています。あなたも日常の食品選びを通じて、この持続可能な循環に参加できるのです。アップサイクル食品の課題と将来性アップサイクル食品には多くのメリットがある一方で、いくつかの課題も存在します。オタゴ大学の調査によると、食品のアップサイクルが必ずしも持続可能とは言えない場合もあることが示唆されています。例えば、アップサイクル食品の環境的な利点は、再利用される廃棄物や加工に必要なエネルギーの種類などの要因によって決まります。ビール製造に使った穀物を食品にアップサイクルする場合、環境に配慮したエネルギーを使用しない限り、動物の飼料に使うよりも多くのCO2を排出する可能性があるのです。また、アップサイクル食品が高級商品として売られる場合、経済的に入手しやすくなるとは限りません。完成した製品が高価格になり、低所得者層を排除する可能性もあります。さらに、食べられる食品をアップサイクル食品にすることで、フードバンクへの寄付が減少するリスクも指摘されています。経済的観点からは、高い生産コストやサプライチェーンへの依存性などの課題が、商品の販売拡大を制限する可能性があります。しかし、これらの課題にもかかわらず、アップサイクル食品市場は成長を続けています。国内では「長野アップサイクル・フード」のように、余剰となっていた鶏のレバー・ハツを使用したグルメ缶詰や、お土産品のウエハースの端材を使ったクラフトビールなど、さまざまな取り組みが生まれています。アップサイクル食品の将来性は明るいと言えるでしょうか?2050年には世界人口が97億人になると予想される中、持続可能な食料生産の重要性はますます高まっています。アップサイクル食品は、食料安全保障の強化や環境負荷の軽減に貢献する可能性を秘めています。持続可能な食品選びで始める一歩私たちの日々の食品選びが、持続可能な未来への一歩となります。アップサイクル食品を選ぶことは、食品ロス削減に直接貢献する行動です。その企業の製品を購入することで、応援になるのはもちろん、間接的に持続可能な未来に向けた一歩をサポートしているのです。また、企業はアップサイクルされた商品を開発するのはもちろん。ノベルティなどで採用することも社会活動の一環になり得ます。もし、そのようなサスティナブルなノベルティを制作希望される場合は、ぜひお気軽にお問合せください。