干し野菜(乾燥野菜)は、保存性・栄養価・調理効率といった利点を兼ね備え、業務用途やOEM商品開発において高い注目を集めています。特にローリングストックなどの保存食への着目など、幅広い用途に対応すべく様々な干し野菜が市場に出始めています。しかし、すべての野菜がそのまま乾燥に適しているわけではありません。本記事では、一般的に「干し野菜に向かない」とされる野菜の特徴についてご紹介いたします。水分が極端に多い野菜みずみずしさが魅力のきゅうりやレタス、もやしなどの野菜は、水分を多く含んでいるため、一般的には干し野菜には向かないとされています。乾燥に時間がかかり、風味が飛びやすく、シャキッとした食感も損なわれやすい傾向があります。また、乾燥しても残る量が少ないため、効率の面でも課題とされがちです。乾燥きゅうりの事例特にきゅうりは、そのみずみずしさこそが魅力であり、乾燥素材としてのイメージがあまり持たれてこなかった野菜のひとつです。 市場でもこれまでほとんど商品化の事例がなく、業務用途で使用されることはごく限られていました。そうした中、Agritureでは独自の低温乾燥技術と、カットの厚みや形状の工夫を組み合わせることで、きゅうりの風味や食感を損なわずに乾燥させることに成功しました。乾燥させることで、炊き込みご飯に使用できたり、料理に使用すると生にはない"コリコリ"とした食感が生まれるなど、新たな用途を発見できました。和食料理店などでは料理の付け合わせに使用いただいたことで、お客様に新たな食感の体験を提供できたと好評をいただいたこともあります。また、水気が抜けているため酢の物にする際も味が染み込みやすいのが特徴としてあります。乾燥きゅうりの製品情報繊維が少なく、柔らかすぎる野菜柔らかく崩れやすい野菜は、乾燥中に変形したり、仕上がりの形が安定しなかったりするため、一般的には扱いが難しいとされています。また、戻した際にも原型を保ちにくく、食感も劣化しやすい傾向があります。乾燥賀茂なすの事例ナスは通常の料理で使用しても煮崩れするなど取り扱いの難しい野菜です。その中でも京野菜の一種である賀茂茄子は、綺麗な円形の形が特徴で肉厚で柔らかい果肉で知られています。Agritureでは乾燥技術を用いて旨味を濃縮するだけでなく、皮の紫色や肉厚食感をそのままに乾燥させました。ナスのラザニアなどを作る際には下処理不要で、煮崩れもせず使用することができます。また、乾燥独特の肉厚食感を楽しむことができます。乾燥賀茂茄子の製品情報苦味やえぐみが出やすい野菜乾燥野菜において、「苦味」や「えぐみ」は干すことで増長して、食べた時に感じやすくなります。水分を抜く過程で味が凝縮され、野菜本来のクセが際立ってしまうため、使い方を間違えると料理全体のバランスを崩してしまうリスクがあります。特にピーマン類や香味野菜は、生の状態では爽やかな風味があっても、乾燥後に苦味や青臭さが強く出やすいとされます。乾燥万願寺とうがらし・伏見唐辛子の事例弊社で取り扱いのある万願寺とうがらしは、ピーマンのような肉厚ですっきりとしたフレッシュの香りが特徴です。乾燥をさせても、その肉厚感が加熱調理時の「食べごたえ」につながる野菜です。それを乾燥を通じて、肉厚食感はそのままに青臭さが強くならないようにじっくりと乾燥させたことで、ハーブティーの原料にも使用いただくことができました。そのほか、肉厚食感を活かしてラーメンの具材としても使用しました。一方で、伏見唐辛子は、種のプチプチとした食感と青い香りが魅力の甘唐辛子です。ただ、万願寺とうがらしとは違い唐辛子に近い味わいなので、香りが重要な野菜です。少しパリッと乾燥させることで香りを際立たせたのはもちろん、種を残すことでプチプチとした食感がアクセントになるようにしました。香りが良いため、伏見唐辛子はコーヒーの原料としても使用いただいています。万願寺とうがらしの製品情報伏見唐辛子の製品情報アクが強い野菜アクが強い野菜は、乾燥によってその成分が凝縮されるため、味や香りにクセが出やすく、扱いに注意が必要です。特に、ほうれん草やたけのこ、にらなどは、乾燥後にアクが際立ち、調理時に苦味やえぐみが強く感じられることがあります。乾燥であっても火を通して調理する必要があります。乾燥ほうれん草の事例乾燥野菜の中では一般的な乾燥ほうれん草。使い勝手も良くスーパーなどでも販売れています。弊社では、加工において2つのポイントをこだわりました。アクが少ない品種の使用(ファイトリッチの弁天丸)機能性成分を豊富に含む野菜として知られている、タキイ種苗が開発したファイトリッチは、野菜の持つ「色」と「機能性」に注目して生まれました。ホウレンソウ特有のアクが少なく、抗酸化作用が期待されるルテインを含まれている弁天丸という品種を採用しました。ファイトリッチに関してはこちら葉っぱと茎を分けて乾燥通常の乾燥ほうれん草は、形が小さいため即席麺などには向いていますが、料理には物足りなさを感じました。そのため、大きめにカットするだけでなく食感の特徴がある茎を分けて乾燥させることで、お客さんのニーズに応じた出荷が可能になりました。ほうれん草の製品情報一見すると「干し野菜には向かない」とされてきた野菜たち。しかし、乾燥方法を変えたりニーズに応じた素材の活用によりれまでにない価値を持つ乾燥野菜として活用することが可能になりました。Agritureでは、野菜の個性にあわせた低温乾燥やカット方法、品種選定、部位別加工といった細かな工程にまでこだわり、既成概念にとらわれない乾燥野菜の開発に取り組んでいます。仕入れや商品企画の際、「生野菜だと水っぽくなってしまう」「野菜をパウダーとして商品に入れたい」などの課題やニーズがある時こそ、ぜひ私たちにご相談ください。ニーズをヒアリングしてご提案をさせていただきます。業務用 乾燥野菜のOEM製造はこちら