賀茂茄子は「なすの女王」とも呼ばれ、京野菜の代表的な野菜のひとつです。京都市北区の上賀茂地域を中心に多く栽培されており、丸みを帯びた肉厚な形が大きな特徴です。ジューシーな食感を生かしたステーキや田楽などが人気の調理法とされています。一般的なスーパーで手に入れることができ、1個あたりの値段は600円~800円ほど。旬の時期は5月~8月で、夏の京料理には欠かせない食材として親しまれています。賀茂茄子とは?その歴史と名前の由来「賀茂茄子」という名称は、京都市北区の上賀茂や西賀茂、その周辺地域で盛んに栽培されてきたことに由来します。かつては左京区吉田田中地区で栽培されていましたが、後に栽培の中心が移り、明治時代に「賀茂なす」と呼ばれるようになりました。正確な起源は不明ですが、江戸時代初期には既に栽培されていたことが確認されています。江戸時代に刊行された山城国(現在の京都府南部)の地誌「雍州府志(ようしゅうふし)」にも記載されており、400年以上にわたって京都の農産物として地域文化に深く根付いていることが判明しています。JA公式サイト賀茂茄子の特性賀茂茄子は、その丸い形状と大きくずっしりとした重みが特徴です。直径は10cmを超え、肉厚でジューシーな実がたっぷり詰まっています。皮は柔らかく、肉質はしっかりとしていて、光沢のある見た目が美しいのも魅力です。また、へたの下の部分が白いのも賀茂茄子特有の特徴です。旬はである夏の時期には特に栄養価が高まり、美味しさも一層増します。本場とされる上賀茂では、鴨川上流の上質な水と豊かな土壌を生かし、より高い品質をの「京賀茂茄子」も栽培されています。様々な栄養価を備えるビタミンB群やビタミンC、カルシウム、鉄分、カリウムなどのミネラル成分をバランスよく含む賀茂茄子は、健康にも美容にも役立つ食材です。特に皮には抗酸化作用のある「アントシアニン」や「ポリフェノール」が豊富に含まれており、老化やがんの予防、悪玉コレステロールの抑制に効果があるとされています。また、体の熱を下げる作用もあり、解熱にも役立つため、夏の火照った体を冷やすのに最適です。参照賀茂茄子を使った代表的な料理賀茂茄子は、ずっしりと実が詰まっており、火を通しても適度な歯ごたえが残るため、煮崩れしにくいのが特徴です。そのため、油との相性が抜群で、炒めるとコクや旨みが一層引き立ちます。淡白な味わいを持つため、煮物にする際には濃いめのだし汁を使うことで、さらに旨みが増します。賀茂茄子の代表的な料理には、まず田楽が挙げられます。ゆっくり火を通すと、とろっとした食感に仕上がり、味噌との相性も抜群です。田楽や揚げ出しといった揚げ物料理のほか、煮物や焼き物にも幅広く利用されています。また、賀茂茄子を厚切りにしてステーキのように焼くと、その肉厚でジューシーな食感を存分に楽しむことができ、非常に人気があります。さらに、京漬物の代表格であるしば漬も、賀茂茄子を使った人気の一品です。乾燥野菜で食べても美味しい賀茂茄子賀茂茄子は乾燥野菜にするにも非常に優れた食材です。乾燥させることで、生の状態よりも一層実が締まり、ほんのりと上品な香りと甘美な味わいが引き立ちます。加熱すると、焼き茄子のようにとろとろとした食感が楽しめ、フルーツを想わせる甘さが広がります。さらに、乾燥させることで長期保存が可能であるため、値段も安定しやすいというメリットがあります。多様な調理法で楽しめる賀茂茄子は、夏の食卓を彩るのに欠かせない食材です。京都の風土で育まれ、長い歴史を持つ賀茂茄子は、その豊かな味わいをより多くの人々に届けられることが、私たちの願いです。詳細はこちら